第 4 章 大学入試自由作文問題分析(調査 1)
4.5 結果
表 4.1 は、自由作文問題、要約問題、和文英訳問題の 3 種類の問題が出題されている入試 の数と割合を示している。また、「出題なし」は、上記のいずれの問題も出題されていない入 試の数と割合を示している。なお、この割合の値は、大学の数ではなく大学入試問題の数を 分母とした割合を示しており、以降の結果報告でも同様である。
自由作文問題は 70(29.29%)の入試で出題されていた。しかし、国公立大学と私立大学で出 題割合が大きく異なり、前者は 56.84%、後者は 11.11%の入試で出題されていた。また、71 の入試での出題が確認されたが、中には複数の自由作文を課している入試もあり、自由作文 問題の総数は80題だった。
要約問題はほとんどの入試で出題が確認されず、6(2.51%)の入試での出題にとどまった。
国公立大学と私立大学での出題割合も、前者は 4.21%、後者は 1.39%だった。このうち、5 つの問題では英語の文章を要約する問題で、1 つの問題は日本語の文章を要約する問題であ った。また、国公立大学の入試では、与えられた文章に関するトピックについての自由作文 問題も同時に課せられていた。
和文英訳問題は、69(28.87%)の入試で出題されており、70(29.29%)の入試で出題されてい た自由作文問題とほぼ同数であった。国公立大学と私立大学での出題割合も大きく異なり、
前者は 46.32%、後者は 17.36%の入試で出題されていた。
自由作文 問題、 要約問題 、和文 英 訳問題のい ずれの 問題も出 題されて いない入試 の数は 115(48.12%)で、約半数の大学では書く問題を出題していなかった。また、国公立大学では同 問題が出題されていない入試が 10.53%に対して、私立大学では72.92%と、出題率には大き な隔たりがあった。
また、要約問題を出題している 6 の入試のうち、4 の入試は自由作文と同時に出題してお り、残りの 2の入試は要約問題のみの出題だった。同様に、和文英訳問題を出題している69 の入試のうち、17(24.64%)の入試は自由作文と同時に出題しており、残りの52(75.36%)の入 試は和文英訳問題の出題のみだった。
表4.1 大学入試問題ごとに確認されたライティング問題の種類
問題の種類 合計(239) 国公立大学(95) 私立大学(144) 出題
入試数
割合(%) 出題 入試数
割合(%) 出題 入試数
割合(%)
自由作文 70 29.29 54 56.84 16 11.11
要約 6 2.51 4 4.21 2 1.39
和文英訳 69 28.87 44 46.32 25 17.36
出題なし 115 48.12 10 10.53 105 72.92
配点については、5 大学の入試問題にて記載があった。それらの配点は、それぞれの大学
で50%、50%、40%、40%、25%であり、4分の1 から2分の 1程度の割合を示している。
次に、確認された 80 の自由作文問題で与えられた情報についてであるが、36 問(45.00%) は英語の文章などの情報が与えられ、44問(55.00%)はそれらの情報の提示はなかった。また、
情報が与えられた 36問のうち、2問は絵と日本語の文章の 2種類の情報が与えられている問 題であった。
表 4.2 は、与えられている情報別の問題数と割合を示している。リーディング問題で使用 された英語の文章(以下、R の文章)が与えられた情報としては最も多かったが、英語の文 章と自由作文問題は、トピックは同じまたは関係があるが、内容面で関係性は弱く、文章を 読まずとも自由作文問題の解答に支障がない問題であった。 これらの問題は、実質自由作文
問題に取り組むための情報でないため、何も情報が与えられない問題 に分類した(表 4.3)。
その結果、情報が与えられた自由作文問題、つまり統合的な自由作文問題は 22 題(27.50%) となった。このうちでは文字情報が与えられる問題が多く、英語の文章が 9題(11.25%)、日 本語の文章が6題(7.50%)で与えられた。それに続き、データ情報であるグラフが4題(5.00%)、
絵が2題(2.50%)、写真が1題(1.25%)確認された。また、音声情報と表が与えられた問題は なかった。
表4.2 自由作文問題で与えられる情報
与えられる情報 問題数 割合(%) リーディング問題で使
用された英語の文章 14 17.50 英語の文章 9 11.25 日本語の文章 6 7.50
グラフ 4 5.00
絵 2 2.50
写真 1 1.25
音声情報 0 0.00
表 0 0.00
その他 2 2.50
なし 44 55.00
表4.3 自由作文問題で与えられる情報
与えられる情報 問題数 割合(%) 英語の文章 9 11.25 日本語の文章 6 7.50
グラフ 4 5.00
絵 2 2.50
写真 1 1.25
音声情報 0 0.00
表 0 0.00
その他 2 2.50
なし 58 72.50
表 4.4 は、自由作文問題で書くことが要求されているジャンルの問題数と割合を示してい る。エッセイが 78.75%と突出して多く、手紙(3.75%)、電子メール(2.50%)、会話(2.50%)、
物語(1.25%)、記事(1.25%)と続いた。自由作文問題ではあるが、ある内容を口頭で伝える状 況が設定され、その内容を書くという問題を「会話」とした。
表4.4 自由作文問題のジャンル
ジャンル 問題数 割合(%) エッセイ 63 78.75
手紙 3 3.75
電子メール 2 2.50
会話 2 2.50
物語 1 1.25
記事 1 1.25
その他 8 10.00
合計 80 100.00
表 4.5 は、自由作文問題で求められている作文の文体の問題数と割合を示している。意見 型の自由作文問題が最も多く、82.25%を占めた。これに、説明(10.00%)、描写(2.50%)、語 り(1.25%)と続いた。また、判別不可能な問題が 3題あった。
表4.5 自由作文問題の文体の種類
文体の種類 問題数 割合(%)
意見 66 82.25
説明 8 10.00
描写 2 2.50
語り 1 1.25
その他 3 3.75
合計 80 100.00
表4.6は、自由作文問題の読み手の設定の有無について示している。80問の自由作文問題 のうち、読み手が設定されている問題は5 問(6.25%)と非常に少なかった。設定されていた読 み手は、新聞の読者、外国人観光客、大学の英語教員、日本の総理大臣、家族だった。
表4.6 自由作文問題の読み手の設定の有無 読み手の設定 問題数 割合(%) 読み手の設定あり 5 6.25 読み手の設定なし 75 93.75
合計 80 100.00
表4.7は、自由作文問題の設定語数について示している。設定語数のなかった 10問と、行 数設定などのため設定語数の解釈が困難だった 7問を除いた問題数は 63問だった。最も設定 語数の多い問題は200語で5問(7.94%)あり、100語の問題が20問(31.75%)と最も多かった。
また、100 語を超えていた問題は合計で 15 問(23.81%)、100 語を下回った問題は合計で 28 問(44.44%)となり、100語以下の問題が多かったことが分かる。
表4.7 自由作文問題の設定語数
設定語数 問題数 割合(%)
200 語 5 7.94
160 語 1 1.59
150 語 8 12.70
120 語 1 1.59
100 語 20 31.75
90語 1 1.59
80語 4 6.35
70語 5 7.94
60語 5 7.94
50語 6 9.52
40語 3 4.76
30語 2 3.17
10語 2 3.17
合計 63 100.00
注:設定語数なし 10問、その他の設定語数7 問
以上の結果を踏まえ、学習指導要領上の記述と大学入試の傾向の比較を表4.8にまとめる。
表4.8 学習指導要領上の記述と大学入試自由作文問題の傾向の比較
観点 学習指導要領上の記述 大学入試の傾向
書く内容 概要や要点を書く、自分の考えを 書く
自由作文出題は 3 割未満。要約はほと んどない。
与 え ら れ
る情報 書かれた情報、音声情報 文章やグラフ、絵が与えられる問題が 多少ある。音声情報はなし。
ジャンル 様々な場面と目的
エッセイが多数。手紙などその他のジ ャンルは少数。
文体 様々な場面と目的 意見が多数。他の文体は少数。
読み手 様々な読み手 ほとんどの問題で読み手の設定なし。
語数 記述なし 多くが 100 語以下。最大 200語。