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大学入試自由作文問題採点基準像(Q27-28)

第 6 章 教師への調査(調査 3)

6.5 結果

6.5.3 分析 3:大学入試の波及効果に関する教師要因

6.5.3.2 大学入試自由作文問題採点基準像(Q27-28)

の教師の方が、本調査で抽出された 4 因子により重み付けを置いて採点をしていることが考 えられる。逆に、GD2 の教師は、これらの 4 因子については GD1 の教師よりも採点に関係 する度合いが低いと考えられ、4 因子以外の要因が採点に関係している可能性がある。例え ば、GD2の教師の回答には、生徒の書いた語数を採点に含めるという意見もあった。今回の アンケート項目は、広く使用されている熟達度テストの採点基準に含まれる観点のみを含め ているため、各因子得点の高かった GD1を「熟達度採点群」と命名した。また、各因子得点 が低く、アンケート項目以外に教師が持つ採点観点を重視していると考えられる GD2を「独 自採点群」と命名した。

-1.600 -1.400 -1.200 -1.000 -0.800 -0.600 -0.400 -0.200 0.000 0.200 0.400 0.600

FD1 0.277 -0.987

FD2 0.394 -1.402

FD3 0.285 -1.015

FD4 0.189 -0.673

GD1 GD2

1:FD1「文章全体の整合性」、FD2「文の意味の正確さ」、FD3「機械的技能」、FD4「表現の多様性」

2:GD1「熟達度採点群」、GD2「独自採点群」

図6.6 2グループの授業内自由作文テスト評価基準

表6.22 大学入試自由作文問題採点基準像(Q27) 記述統計 採点観点

M SD

F01 タスクやトピックとの関連性 4.56 0.65 F02 議論の構成と発展 4.48 0.67 F03 結合性 coherence 4.32 0.85 F07 文法の正確さ 4.25 0.77 F11 スペリングの正確さ 4.19 0.84 F08 語彙の正確さ 4.13 0.76 F04 結束性 cohesion 4.08 0.90 F09 語彙の適切さ 3.92 0.81 F13 大文字・小文字の正しい使用 3.71 1.05 F14 段落のフォーマット 3.51 1.01

F12 句読法 3.40 1.00

F15 文字の読みにくさ 3.32 1.07 F10 語彙の豊かさ 3.20 1.00 F06 文構造の多様性 2.88 0.97 F05 文構造の複雑さ 2.79 0.97 注:有効回答数=119

次に、大学入試自由作文問題の採点基準に関わっていると考える観点について、最尤法による 因子分析を行った。固有値は、5.44、2.15、1.98、1.29、.87、.71 と続き、4 因子構造が妥当で あると判断した。そこで、再度4因子を仮定して最尤法・プロマックス回転による因子分析を行 った。回転後の最終的な因子パターンと因子間の相関は、表 6.23と表6.24 に示す通りである。

回転前の4因子は、分散の72.40%を説明していた。各因子の下位尺度の信頼性係数(Cronbach α)は、第 1因子(4項目)が.85、第 2因子(3項目)が.85、第 3因子(4項目)が.82、第 4 因子(3項目)が.87と、いずれの下位尺度も高い信頼性が示され、内部一貫性があると判断した。

第1因子である FF1は4項目で構成されており、「論理構成」や「タスクやトピックとの関連 性」、「結合性」、「結束性」が含まれていた。このことから、FF1を「文章全体の整合性」と命名 した。

第2因子であるFF2は、3項目で構成されており、「文構造の豊かさ」、「文構造の複雑さ」、「語 彙の豊かさ」が含まれていた。このことから、FF2を「表現の多様性」と命名した。

表6.23 大学入試自由作文問題採点基準像(Q27) 因子分析

M SD 因子負荷量

FF1 FF2 FF3 FF4

F02 論理構成 4.48 0.67 0.895 0.129 0.295 0.294 F01 タスクやトピックとの関連性 4.56 0.65 0.820 0.076 0.260 0.265

F03 結合性 4.32 0.85 0.710 0.284 0.279 0.331

F04 結束性 4.08 0.90 0.683 0.409 0.334 0.374

F06 文構造の多様性 2.88 0.97 0.212 0.956 0.149 0.213 F05 文構造の複雑さ 2.79 0.97 0.245 0.843 0.191 0.169 F10 語彙の豊かさ 3.20 1.00 0.130 0.645 0.264 0.375 F13 大文字・小文字の正しい使用 3.71 1.05 0.291 0.112 0.929 0.430

F12 句読法 3.40 1.00 0.253 0.306 0.784 0.462

F11 スペリングの正確さ 4.19 0.84 0.378 0.166 0.770 0.640 F14 段落のフォーマット 3.51 1.01 0.376 0.382 0.455 0.336 F08 語彙の正確さ 4.13 0.76 0.235 0.223 0.453 0.858 F07 文法の正確さ 4.25 0.77 0.452 0.104 0.655 0.837 F09 語彙の適切さ 3.92 0.81 0.381 0.317 0.399 0.829 F15 文字の読みにくさ 3.32 1.07 0.159 0.311 0.296 0.161 注:FF1「文章全体の整合性」、FF2「表現の多様性」、FF3「機械的技能」、FF4「文の意味の正確さ」

表6.24 大学入試自由作文問題採点基準像 因子間の相関

FF1 FF2 FF3 FF4

FF1 .249 .382 .399

FF2 .221 .268

FF3 .577

FF4

第 3因子である FF3は、4 項目で構成されており、「句読法」や「段落のフォーマット」など が含まれていた。このことから、FF3を「機械的技能」と命名した。

第 4因子である FF4は、3 項目で構成されており、「語彙の正確さ」、「語彙の適切さ」、「文法 の正確さ」が含まれていた。このことから、FF4を「文の意味の正確さ」と命名した。

因子間の相関については、.221 から.577の正の相関を示し、機械的技能因子(FF3)と文の意味 の正確さ因子(FF4)の相関が最大値をとった。

続いて、各参加者の因子得点を算出した。そして、Ward 法を用いたクラスター分析によ り、FF1「文章全体の整合性」、FF2「表現の多様性」、FF3「機械的技能」、FF4「文の意味 の正確さ」の4 つの因子得点をもとに、同じ反応を示したグループに分類した。その結果、2 つのクラスター(GF1、GF2)が得られた。その際、GF1には65名、GF2には 54名が分類さ れた。

次に、得られた2つのグループを独立変数、FF1「文章全体の整合性」、FF2「表現の多様 性」、FF3「機械的技能」、FF4「文の意味の正確さ」の因子得点を従属変数とした t検定を行 った。その結果、すべてのグループで有意な差が見られた(FD1:

t

(117) = 6.387,

p

< .001、

FD2:

t

(117) = 3.528,

p

< .001、FD3:

t

(117) = 8.975,

p

< .001、FD4:

t

(117) = 11.434,

p

< .001)。

図6.7に各グループの平均値を示す。

t検定の結果、全ての因子得点においてGF1の得点が有意に高かった。この結果は、GF1 の教師の方が、本調査で抽出された 4 因子により重み付けが置かれて採点されていると考え ていることが読み取れる。逆に、GF2 の教師は、これらの 4 因子については GF1 の教師よ りも採点に関係する度合いが低いと考えていると推測され、4 因子以外の要因が採点に関係 していると考えている可能性がある。よって、GF1を「熟達度採点基準像群」GF2を「独自 採点基準像群」とした。

-1.000 -0.800 -0.600 -0.400 -0.200 0.000 0.200 0.400 0.600 0.800

FF1 0.438 -0.528

FF2 0.272 -0.328

FF3 0.558 -0.672

FF4 0.626 -0.753

GF1 GF2

1:FF1「文章全体の整合性」、FF2「表現の多様性」、FF3「機械的技能」、FF4「文の意味の正確さ」

2:GF1「熟達度採点基準像群」、GF2「独自採点基準像群」

図6.7 2グループの大学入試自由作文採点基準像