第6章 ワインツーリズムに関する消費者動向の調査
3 空知地域のワイナリー等訪問者を対象とするアンケート調査
本研究では、第2章第1節3項に記したとおり、前節のインターネットによる「ワイン 嗜好とツーリズムに関するアンケート」調査に先立って、空知総合振興局が所管するワイ ナリーとヴィンヤード(以下、「ワイナリー等」と略)、10カ所の協力を得て、1回目の「空 知地域のワイナリー・ヴィンヤード来訪者アンケート」調査を、2013(平成25)年10月~
11月に行った。
この調査では、消費者のワイン嗜好やワイナリー訪問に関連する、幅広い内容について の質問項目を設定した。生産者からワイナリー等への来訪者に調査票を渡してもらい、来 訪者が持ち帰って記入し、後日、返送してもらう方法を採用した。その理由は、項目数が 多く記入にある程度時間を要することと、調査票とともに調査の趣旨等を説明する文書を 添え理解を求め必要があること、あわせてワイナリー等への負担を少なくしたいからであ る。
1 回の調査で回収した調査票の記載状況を確認して質問項目を絞り込み、インターネッ ト調査と空知地域を対象とする2回目の調査に反映した。なお、2回目の「空知地域のワ イナリー・ヴィンヤード来訪者アンケート」調査は、前回調査以降にブドウ栽培を休止し た1カ所を除く、ワイナリー等9カ所を対象として、2014(平成26)年6月~11月に実施 した。なお、結果については1回目と2回目の「空知地域のワイナリー・ヴィンヤード来 訪者アンケート」調査(「空知地域の調査」と略)を、合わせて集計し、その分析結果を示 すこととした。
(1)回答者の基本属性
回答者は2回の合計で145人である。基本属性に関する質問項目は、個人情報を含むこ とから、性別・年代・住所地のみとした。性別では、男性81人(55.9%)、女性62人(42.8%)、 未記入2人(1.4%)であった。インターネット調査での、男性443人(44.3%)、女性581 人(56.7)、に比較し、構成割合が逆転している。インターネット調査で、性別数を年代区 分で振り分け独立性の検定を行ったところ、両者の間に有意差は認められなかったことか ら、男女の合計値をもとに分析を行うこととした。
空知地域の調査での回答者の性別と年代区分は、表14のとおり男性81人、女性62人 である。男性では50代以上が多いのに対し、女性では40代と50代が多い。年齢の高い 男性からの回答が多いため、全体でも50代から60代が多く、インターネット調査に比較
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して年代層が高くなっている。性別と年代のクロス集計によると、個々の区分を比較する にはサンプル数が不足している区分があることから、男女を合計して分析することとした。
なお、年代区分70代はインターネット調査に合わせて、60代以上として合算して分析し た。
表 14 空知地域についてのアンケート回答者の性別・年代別分布
(2)空知地域のワイナリー等訪問者のワイン消費行動
第5章における空知地域の調査対象は、主に南部地域の小規模なワイナリー等であるが、
地域内には日本でブドウ栽培面積が最大規模のヴィンヤードがあり、このヴィンヤードと 他のワイナリー等では、その規模において明確な違いがある。本研究では、この大規模ヴ ィンヤードからもアンケート調査の協力を得ている。同ヴィンヤード訪問者では、47人か ら回答を得ており、他の小規模ワイナリー等訪問者 98 人の約半分だが、統計的に分析可 能と判断した。そして、ワイナリー等訪問の印象に関する5項目の質問に関して、比較対 照軸としてワイナリー等の規模の大小も採用することにした。その他の質問項目について は、「ワイン嗜好とツーリズムに関するアンケート」調査の項目に準じて集計した。
空知地域における調査の結果を集計し、インターネット調査での訪問経験者数(512人)
の結果と対照して分析する際には、両調査での回答数に開きがあるので、各調査の全回答 者に対する比率で比較検討することにした。なお、「ワインに関心を持ってからの年数」に ついての質問では、選択肢区分に違いがあるため、複数の階級をまとめ比較した。
先ず、回答者の属性に関する項目のうち、「ワインに関心を持ってからの年数」について は、図 12 のとおり、回答者の数は年数が多くなるに従って増えている。この質問につい ては、前述のとおりインターネット調査と年数区分に違いがあることから、全回答者に占 める5年未満と5年以上の割合で比較した。インターネット調査では前者は22.3%、後者
が77.7%であったが、空知地域の調査では前者が23.2%、後者が76.8%で、ほぼ同じ割合
を示した。
また、「ワインへのこだわり」に関する質問項目については、空知地域の調査での有効回
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答者数は139人である。インターネット調査での全回答者に占める割合と比較したところ、
図 13 のとおりである。インターネット調査での回答者に比べ、空知地域の調査での回答 者のこだわりの程度はやや低く、「あまりこだわらない」と回答した比率が全体のなかで最 も高い。
図12 ワインに関心を持ってからの年数 図13 ワインに対するこだわり
次に、回答者のワイン消費行動に関する質問項目のうち、「ワイン購入の目的」について は、空知地域の有効回答数は138人である。インターネット調査による同一内容の質問へ の回答者数は512人であるが、両調査による集計値の回答者に占める割合を比較したとこ ろ、表 15 のとおりである。空知地域の調査で「自分が飲む」とした回答が、インターネ ット調査に比べ8.8%高い比率だった。
「ワインの主な購入先」に関する質問については、回答者数の多い順に、図 14 に示す とおり、①ワイナリー、②酒販店、③スーパーであった。購入先の第1位がスーパーマー ケットであった、インターネット調査による結果とは異なっている。また、インターネッ ト調査で地域的特徴が認められた札幌市居住者では、コンビニで購入するものが①スーパ ー、②酒販店、に次いで第3位であったが、空知地域の調査では第5位(24.1%)であっ た。
「ワインを選ぶポイント」の関する質問については、空知地域の調査でも、図 15 に示 すとおりインターネット調査結果と同様、回答者数の多い順は、①嗜好、②タイプ、③価 格であった。特徴としては、品種を選択した者が4番目に多く、その割合はインターネッ ト調査での回答者に比べ13.4%高い値を示した。
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表 15 ワイン購入の目的
図 14 ワインの主な購入先
図 15 ワインを選ぶポイント
また、「ワイナリー等の訪問回数」に関する質問についての結果は表16に示した。空知 地域における調査では「はじめて」と回答したものが最も多く、訪問回数が「2~4 回」、 それ以上と多くなるにつれ漸減傾向にあった。こうした結果に対しインターネット調査で は、「2~4回」の回答の割合が半分をこえていた。再訪者の割合は、空知地域の調査では
回答者の58.6%であったが、インターネット調査では回答者全体の69.4%であった。
「訪問先のワイナリー等に関する情報源」についての質問では、空知地域の調査では「イ ンターネット」と「知人の紹介」をあげた者が、回答者の約 30%であった。これに対し、
インターネット調査では回答者の約70%近くが「インターネット」を情報源にあげている。
これは調査方法の差によるものと推測される。また、複数の選択肢をあげるよう回答者に 求めたところ、インターネット調査での回答者は1人平均の選択数は2.1であり、空知地 域の調査での平均選択数1.4を上回っており、複数の情報源を持つことが、ワイナリー等
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への訪問行動につながったものと推察される。(図16参照)
次に、「訪問のきっかけと目的」に関する質問に対する回答の集計結果を図17に示した。
インターネット調査では回答者の多い順に、①施設見学、②試飲、③ドライブでの立寄り、
であったが、空知地域での調査では、①購入、②ドライブでの立寄り、次いで「知人の勧 め」、「施設見学」、「生育観察」が同じ割合で 3 位であった。その外、「対話」や「体験」
を目的にあげた者が1割を超え、インターネット調査による回答者の割合に比べ約2倍と なっている。
表 16 ワイナリー等への訪問回数
図 16 ワイナリー等に関する情報の入手先
図 17 ワイナリー等訪問のきっかけと目的
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(3)空知地域のワイナリー等訪問での印象
空知地域におけるワイナリー等への訪問での印象に関連し、訪問によってのワインやワ イン生産に対する理解や考え方の変化等に関する5項目の質問に対し、肯定系と否定系の 各2区分の選択肢をもとに回答を求めた。本節第2項に記したとおり、小規模なワイナリ ー等と大規模なヴィンヤードでは、訪問での印象が異なることが、後述する自由記載の内 容から推察されたため、各項目について規模の違いと回答区分に従って、回答者の割合を 比較した結果は図18に示す。
「景観」に関する質問については、規模の違いによらずほぼ同様の傾向を示し、否定か ら肯定へと回答率は増加した。「理解」、「信頼」、「応援」、「愛飲」の各質問に関しては、小 規模ワイナリー等訪問者では「景観」に関する質問と同様の傾向を示した。一方、大規模 ヴィンヤード訪問者に関しては、「理解」、「信頼」、「応援」、「愛飲」の各質問に対する回答 で、最も回答者の割合が高いのは「ややそう思う」という回答であり、小規模ワイナリー 等訪問者の回答傾向とは異なる結果であった。