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第3章 シェルサンド

3.4 破砕性能試験

3.4.1 事前試験

事前試験として,回転式破砕機のバーの回転数を900rpm,破砕量を12t/hrに設定してホ タテ貝殻の破砕(シェルサンドの製造)を行った. JIS A 1102の「ふるい分け試験」に準 拠して行ったシェルサンドの粒度分布を図-3.6に,また同図には細骨材(砕砂)の粒度標 準範囲(JIS A 5005)を太線で示す.

写真-3.2に示すように,シェルサンドの粒度状況は粗く,5mm以上の占める割合は50%程 度,そのうち10mm以上の占める割合は30%程度となり,粒度標準を大きく外れた.その要因 としては,ホタテ貝殻自体が緻密で強度が高い3.3)ことに加え,破砕された貝殻は扁平であ るため,その一部がバーの先端と円筒内壁の隙間を通過してしまうことが要因に挙げられ た.

図-3.6 事前試験によるシェルサンド粒度分布

写真-3.2 事前試験によるシェルサンドの破砕状況

31 3.4.2 破砕機の改良

回転式破砕機は,地盤材料の細粒化とセメントなどの添加材料との混合を同時に行える といった特長から,土質改良機としての実績3.9)が多く,「回転式破砕混合装置」とも呼ばれ ている.破砕機に特化した実績としては,建物解体に伴って発生するコンクリート廃材を 破砕して,締固めが容易な粒度調整砕石に近似した粒度分布にすることにより,路盤材,

排水材,埋戻し材,ILB用骨材として活用した事例3.7)や,室内試験レベルではあるが,再生 骨材として活用した検討事例3.8)もある.また,原石山に岩石を多く含む場合を対象に,破 砕機としての性能を生かし,台形CSGダムのCSG材料(Cemented Sand and Gravel)の製造 に適用した事例3.10),3.11)もある.

これまでの破砕機としての実績では,原材料の強度はいずれも高いものの,既述したよ うに,ホタテ貝殻自体の強度が高い3.3)ことに加え,形状が扁平であるため,破砕された貝 殻の一部がバーの先端と円筒内壁の隙間を通過してしまうことによって,シェルサンドの 粒度分布は粒度標準を大きく外れる結果になったと考えられる.

そこで,シェルサンドの粒度分布を粒度標準と同程度にするため,破砕機の改良を行っ た.破砕機の改良はバーの先端と円筒内壁の隙間を狭くし,擦り揉み効果が現れるように,

内壁8箇所に鉛直方向のバー(ラウンドバー)を設置した.更に,バーを通り抜けた貝殻が 再度回転軸方向に弾き返され,滞留時間を長くして貝殻への打撃回数が増加するように,

内壁2箇所に円周方向の返し羽根(傾斜フィン)を設置した.破砕機の改良内容を示した内 部構造を図-3.7に示す.

改良を行った破砕機を使用して,3.4.1の事前試験の仕様(バーの回転数900rpm,破砕量 12t/hr)と同様に,ホタテ貝殻の破砕(シェルサンドの製造)を行った.改良後のシェル サンドの粒度分布を,事前試験結果(改良前)と細骨材(砕砂)の粒度標準範囲(JIS A 5005)

と併せて図-3.8に示す.同図に示すように,円筒内部の改良によって,大幅に破砕性能は 向上し,5mm以上の占める割合は13%程度,そのうち10mm以上の占める割合は5%程度となり,

シェルサンドに要求される粒度標準内に近づいた.

32 粒度標準

ラウンドバー

改良後

ラウンドバー 傾斜フィン

傾斜フィン

図-3.7 改良を行った回転式破砕機の内部構造

図-3.8 改良前後のシェルサンド粒度分布の比較

33 粒度標準

3.4.3 バーの回転数の決定

バーの回転数の違いによるホタテ貝殻の破砕性能への影響,また改良した破砕機の適切 な回転数を決定するため,バーの回転数を450,750,900,また本機械の最大能力である 1,200rpmに設定して破砕試験を実施した.なお,破砕量については3.4.1の事前試験と同様 に12t/hrとした.バーの回転数の違いによるシェルサンドの粒度分布を,細骨材(砕砂)

の粒度標準範囲(JIS A 5005)と併せて図-3.9に示す.

同図に示すように,回転数が450rpmといった低速領域では,破砕機によるホタテ貝殻の 破砕性能は極端に低くなる.一方,バーの回転数を増加させることにより,貝殻への打撃 回数は増加して細粒化は進むものの,900rpmから1,200rpmの高速領域における細粒化の進 みは鈍く,また5~2.5mm程度の粒径の占める割合が若干多い粒度となる.つまり,改良を 施した破砕機であるが,バーの先端と円筒内壁の隙間の通過を抑えられる粒径は5mm程度ま でが限界と考えられる.

なお,改良した破砕機の適切な回転数は,細骨材の粒度標準内にできる限り近づけたい ことから,本機械の最大能力である1,200rpmが必要と判断した.

図-3.9 バーの回転数の違いによるシェルサンド粒度分布

34 粒度標準

3.4.4 破砕量の決定

ホタテ貝殻の破砕量の違いによる破砕性能への影響,また適切な破砕量を決定するため,

破砕量を12,24,36t/hrに設定した破砕試験を実施した.バーの回転数は3.4.3において,

細骨材の粒度標準内に収めるために必要と判断した1,200rpmとした.破砕量の違いによる シェルサンドの粒度分布を,細骨材(砕砂)の粒度標準範囲(JIS A 5005)と併せて図-3.10 に示す.

同図に示すように,破砕量を増加させることにより,粗粒化が進むことがわかる.この 原因としては,本破砕機は重力式のため,破砕量が増加することによって,貝殻への打撃 回数が減少したことが考えられる.以上から,細骨材の粒度標準内にできる限り近づける ためには,ホタテ貝殻の1時間当りの破砕量は12t/hr程度が必要と判断した.

なお,本破砕性能試験における破砕量は,ベルトコンベア速度を10m/minとして,ベルト コンベア上(全長7m)に単位m当りに並べるホタテ貝殻の量を変化させることによって設定 している(例:破砕量12t/hr=20kg/m×10m/min×60).ベルトコンベア上に並べた破砕前の ホタテ貝殻(20kg/m)の状況を写真-3.3に示す.

図-3.10 破砕量の違いによるシェルサンド粒度分布

写真-3.3 ベルトコンベア上に並べた破砕前のホタテ貝殻(20kg/m)の状況

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