• 検索結果がありません。

第3章 シェルサンド

3.5 シェルサンドの性質

35

36

図-3.11 シェルサンドのアスペクト比のヒストグラム図

3.5.2 各種物性試験結果

シェルサンドの各種物性試験結果の一例を表-3.3に示す.いずれの物性も表-3.1に示す 要求品質を満足している.塩化物量(NaClとして)は除塩などの処理は施していないが,

要求品質を十分に満足しており,また有機不純物についても問題のない結果であった.こ の原因としては,既述したように,ホタテ貝は加工過程において洗浄,およびボイル処理 を施されたものであり,また加工後は屋外にそのまま長期間集積され,この間に雨水など によって洗われていたことが要因として挙げられる.

密度および吸水率,有機不純物,また塩化物量の試験結果の内容について,それぞれ以 下に述べる.

表-3.3 シェルサンドの各種物性試験結果

項 目 試験結果 絶乾密度(g/cm3) 2.55 吸水率(%) 2.12

有機不純物 淡い

塩化物量(%) 0.004 安定性(%) 0.4

37

湿潤状態 表乾状態

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0

2.45 2.50 2.55 2.60 2.65 絶乾密度(g/cm3

吸水率(%)

1) 密度および吸水率

絶乾密度および吸水率の試験はJIS A 1109によるが,形状が扁平なシェルサンドでは,

表面乾燥飽水状態(表乾状態)の判定は難しく,試験結果がばらつくため,表乾状態の判 定が同様に難しい再生細骨材Lを参考に,試験結果は3回の平均値とした.写真-3.5にシェ ルサンドの湿潤状態および表乾状態を示す.

図-3.12は,これまで実施した試験結果を基にシェルサンドの絶乾密度と吸水率との関係 を示したものである.同図に示すように,絶乾密度が大きくなると吸水率は小さくなる傾 向にあり,一般的な骨材と同様である.なお,絶乾密度が約2.55g/cm3と約2.60g/cm3に集ま っている原因としては,使用したホタテ貝殻の物性自体の違いも考えられるが,同程度の 絶乾密度における吸水率の違いについては,表面乾燥飽水状態(表乾状態)の判定のバラ ツキにもよるものと考えられる.

写真-3.5 シェルサンドの湿潤および表乾状態

図-3.12 シェルサンドの絶乾密度と吸水率との関係

38 2) 有機不純物

コンクリート用細骨材として活用する原材料のホタテ貝殻は,ホタテ貝の加工過程にお いて洗浄,およびボイル処理を施された半成貝および成貝を対象としているものの,特に 生後 2~3 年目で加工向けの原貝として出荷される成貝(写真-3.6),また生後 2 年目の早 い段階から出荷される半成貝(写真-3.7)の貝殻表面にも,フジツボなどの付着物が確認 できる場合がある.しかし,これらのホタテ貝殻や付着物自体を,破砕前に取り除くなど の処置は施しておらず,そのまま破砕されたシェルサンドを対象に有機不純物試験(JIS A 1105)を実施しており,その結果に問題のないことを確認している.

また,生後 2~3 年目で出荷される成貝の増養殖には,「耳吊り」と呼ばれる方法が採ら れる場合がある.これは,図-3.13 および写真-3.8 に示すように,海中にホタテ貝を吊る すために貝殻の端に孔を開け,樹脂性のテグスを通してロープに繋ぐ方法である.しかし,

破砕前にテグスの混入量について調査した結果,混入率は質量割合で 0.0082%と僅かな量で あるため,これについても特に破砕前に取り除くなどの処置は施さないこととした.

写真-3.6 成貝の貝殻 写真-3.7 半成貝の貝殻

図-3.13 ホタテ貝の「耳吊り」イメージ図 写真-3.8 ホタテ貝殻に付いているテグス

39 0.00

0.01 0.02 0.03 0.04 0.05

0 3 6 9 12

加工処理後の期間(ヶ月)

シェルサンド塩化物量(%) 要求品質

3) 塩化物量

図-3.14にはシェルサンドの塩化物量を,原材料としたホタテ貝殻の加工処理後の集積期 間毎に示したものである.同図に示すように,加工処理直後(0ヶ月)のホタテ貝殻を原材 料として使用した場合でも,シェルサンドの塩化物量は0.011%であり,要求品質の値 0.04%を満足している.また,加工処理後に6ヶ月以上集積されたものでは,雨水の影響に よって,シェルサンドの塩化物量は0.004%と減少しており,要求品質よりも1桁小さい値で ある.

図-3.14 シェルサンドの塩化物量

40

3.6 まとめ

① シェルサンドの要求品質

シェルサンドの粒度の要求品質は,一般的なコンクリート用骨材と同様に,普通細骨材 と混合した粒度が細骨材の粒度標準内(JIS A 5005)にあることを条件とした.シェルサ ンドの粒度分布が粒度標準を大きく外れる場合には,混合後の粒度の要求品質を満足させ ることのできるシェルサンド置換率は必然的に小さくなることから,ホタテ貝殻を大量に リサイクルするためには,シェルサンドの粒度は粒度標準内にできる限り近づけることが 必要となる.

シェルサンドの各種物性の要求品質は,微粒分量を除き JIS A 5308 の附属書1「レディ ーミクストコンクリート用骨材」に規定された数値を基準とした.微粒分量については石 灰石微粉末と同様の混和材とみなして,細骨材としての微粒分量の規定(7.0%以下;JIS A 5005)の適用は除外した.

② ホタテ貝殻の破砕方法

ホタテ貝殻の破砕には,建物解体などの工事実績 3.7),3.8)があり,機械の仕様を変えるこ とによって破砕材の粒度調整が可能な回転式破砕機を採用した.これは鋼製の円筒,中心 の軸,軸に取り付けられているバー(上段・中段・下段の 3 段に各 8 本)で構成されてい る.シェルサンドの粒度を粒度標準と同程度にするため,ホタテ貝殻の破砕にあたっては,

バーの先端と円筒内壁の隙間を狭くし,擦り揉み効果が現れるように,内壁 8 箇所に鉛直 方向のバーを,更に,滞留時間を長くして貝殻への打撃回数が増加するように,内壁 2 箇 所に円周方向の返し羽根を設置する改良を施した.

破砕機はインバータを用いてバーの回転数や,ベルトスケールにより破砕量の仕様を変 えることによって粒度調整が可能となる.破砕機の適切な仕様は,破砕試験の結果,バー の回転数は 1,200rpm,ホタテ貝殻の 1 時間当りの破砕量は 12t 程度にすることによって,

シェルサンドは細骨材の粒度標準内に近づけることができた.

③ シェルサンドの性質

シェルサンドの形状は扁平な薄片や棒状であり,アスペクト比は 0.8~2.0 の範囲(平均 1.35 程度)であった.シェルサンドの各種物性は要求品質を全て満足しており,塩化物量

(NaCl として)については除塩などの処理は施していないが,要求品質を十分に満足した.

また,有機不純物についても問題のない結果であった.この原因としては,ホタテ貝は加 工過程において洗浄,およびボイル処理を施されたものであり,また加工後は屋外にその まま長期間集積され,この間に雨水などによって洗われていたことが要因として考えられ た.

41

参考文献

3.1) 青森県ほたて流通振興協会(ホームページ)

http://www.aomori-hotate.com/01/01_03.html

3.2) 吉崎友里子,岡村武士,岡村成子,岡隼人,高根沢美佳,町田裕,松原壮馬,吉田悟 史:自然素材の構造物への応用に関する基礎的研究 その1 ホタテ貝殻の結合材として の評価,日本大学理工学部学術講演会論文集,Ba22,2001.

3.3) 笹木圭子,小林弘幸,恒川昌美:ホタテ貝殻および石灰石を原料とした aragonite の 合成-逐次反応による形態抑制-,資材と素材,Vol.117,No.9,pp.747-752,2001.

3.4) 坂井悦郎,市川牧彦,大門正機:石灰石微粉末の特性とその利用,コンクリート工学,

Vol.36,No.6,pp.3-9,1998.

3.5) 木口輝:水産系副産物のリサイクルの推進~ホタテ貝殻のケーソン中詰材としての活 用可能性~,建設リサイクル,Vol.33,pp.10-13,2005.

3.6) 多田克彦,福田泰昭,福田一見,外崎正:ホタテ貝殻を用いたコンクリートの漁礁ブ ロックへの適用,コンクリート工学年次論文集,Vol.28,No.1,pp.1655-1660,2006.

3.7) 大西利満,横田茂幸,山内匡,川上博:コンクリート廃材のリサイクルへの取組み(そ の 1),土木学会第 60 回年次学術講演会,5-445,pp.889-890,2005.

3.8) 横田季彦,山内匡,大西利満,横田茂幸:コンクリート廃材のリサイクルへの取組み (その 2),土木学会第 60 回年次学術講演会,5-446,pp.891-892,2005.

3.9) 二宮康治,赤神元英,尾山利彦,宮本光則:回転式破砕混合工法を用いた事前混合処 理工法の実施例,土木学会第 1 回土木建設技術シンポジウム,pp.1-8,2002

3.10) 山内匡,高垣豊,佐原晴也,林伊佐雄:回転式破砕混合機によるCSG材料の製造実 験,土木学会第 58 回年次学術講演会,VⅠ-300,pp.599-600,2003.

3.11) 高垣豊,山内匡,佐原晴也,徳田順司:回転式破砕混合機によるCSG工法用岩石質 材料の破砕実験,土木学会第 58 回年次学術講演会,VⅠ-301,pp.601-602,2003.

3.12) 作田庸一:水産系廃棄物の有効利用に関する研究開発,日本環境測定分析協会・北海 道支部,2007.

42