第4章 シェルコンクリート
4.7 シェルコンクリートの配合手法
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76 4.7.1 コンクリート材料の違いによる配合への影響
コンクリート材料は青森県内の4社(A~D)の生コン工場で実際に使用しているものを用 いた.各工場の細骨材の粗粒率と各種物性を表-4.12に示す.同表には,各工場の普通細骨 材の混合割合を容積比(%)で示す.なお,シェルサンド(SS)は表乾密度2.61g/m3,吸水 率2.12%,粗粒率3.32のものを,セメントは高炉セメントB種(C:密度3.04g/m3)を使用した.
シェルコンクリートはスランプ12cm,空気量4.5%を配合条件とし,水セメント比(W/C)50%
程度の各工場におけるJIS配合(SS0%)に対して,シェルサンド置換率を25%,50%と変化さ せ,スランプ±1.5cm(JIS A 1101),空気量±1.0%(JIS A 1128)を目標に単位水量およ びAE剤による調整を行った.単位粗骨材かさ容積およびAE減水剤量はJIS配合と同一とした.
生コン工場Aの材料を用いた場合のコンクリート配合例を表-4.13に示す.
工場毎のシェルサンド置換率と単位水量との関係,またシェルサンド置換率と圧縮強度 との関係を図-4.30,図-4.31にそれぞれ示す.シェルサンド置換率の増加に伴う,同一ス ランプを得るのに必要な単位水量はいずれの工場も増える傾向にある.圧縮強度への影響 については,工場毎で置換する普通細骨材の種類や粒度の違いによる影響によって若干の 違いはあるが,大きな影響は認められなかった.
表-4.12 各プラントの細骨材の粗粒率と各種物性
生コン工場 細骨材(S)の種類 粗粒率 表乾密度(g/cm3) 吸水率(%) A ① 陸砂(75%) 2.30 2.65 1.12
② 石灰砕砂(25%) 3.60 2.68 0.96 B ① 山砂(65%) 2.26 2.62 2.10
② 石灰砕砂(35%) 2.91 2.66 1.08 C ① 陸砂(50%) 2.20 2.60 1.55
② 石灰砕砂(50%) 3.20 2.69 0.81 D ① 山砂(60%) 2.15 2.59 1.93
② 砕砂(40%) 3.50 2.60 2.57
表-4.13 コンクリート配合例(生コン工場 A)
W/C (%)
SS (%)
s/a (%)
単位量(kg/m3) C×(%) W C S① S② SS G Ad
50
0 44.4 152 304 620 209 0
1056 0.4 25 42.5 166 332 430 145 188
50 40.8 178 356 267 90 351
77 140
150 160 170 180 190
0 25 50
シェルサンド置換率(%) 単位水量(kg/m3 )
工場A 工場B 工場C 工場D
10 20 30 40 50 60
0 25 50
シェルサンド置換率(%)
圧縮強度 (N/mm2 )
工場A 工場B
工場C 工場D σ7
σ28
図-4.30 工場毎のシェルサンド置換率と単位水量との関係
図-4.31 工場毎のシェルサンド置換率と圧縮強度との関係
78 6
8 10 12 14 16
150 155 160 165 170 175 180 185 単位水量(kg/m3)
スランプ(cm)
SS25%
SS50%
4.7.2 単位水量とスランプの関係
生コン工場Aの材料を用いて,表-4.13に示すコンクリート配合のうち,シェルサンド置 換率25%,50%のシェルコンクリートについて,細骨材率をそれぞれ42.5%と40.8%に固定し て,単位水量を変化させた場合のスランプとの関係を図-4.32に示す.
スランプを1cm変化させる単位水量の補正は,シェルサンド置換率25%で1.26%,シェルサ ンド置換率50%で1.36%となり,土木学会コンクリート標準示方書「施工編」(2012年制定)4.14)
に示されている「使用材料あるいはコンクリートの品質の違いに対する細骨材率および単 位水量の補正の目安」の1.2%と同程度の補正値であった.
図-4.32 シェルコンクリート単位水量とスランプの関係(生コン工場A)
79 6
8 10 12 14 16
36 38 40 42 44 46 48 50
細骨材率(%)
スランプ(cm)
SS25%
SS50%
4.7.3 細骨材率とスランプの関係
生コン工場Aの材料を用いて,表-4.13に示すコンクリート配合のうち,シェルサンド置 換率25%,50%のシェルコンクリートについて,単位水量をそれぞれ161kg/m3と173kg/m3に固 定して,細骨材率を変化させた場合のスランプとの関係を図-4.33に示す.
細骨材率が小さくなることにより,スランプは大きくなる傾向にあり,スランプを1cm変 化させる細骨材率は2%程度であった.
配合選定においては,所要のワーカビリティーが得られる範囲内で,単位水量が最小に なる細骨材率(最適細骨材率)を定める必要がある.本試験では,細骨材率の変化に伴う スランプの変動傾向に大きな変化はなく,またワーカビリティーへの大きな影響もみられ なかった.しかし,シェルサンド置換率25%のシェルコンクリートについては,細骨材率 45.5%で若干のスランプの増大やワーカビリティーの向上がみられたことから,生コン工場 Aにおいては,細骨材率は45.5%程度が最適細骨材率と判断ができる.
図-4.33 シェルコンクリートの細骨材率とスランプの関係(生コン工場A)
80 0.00
0.05 0.10 0.15 0.20
1 2 3
シェルサンド置換率(%)
ブリーディング量(cm3 /cm2 )
0 25 50 4.7.4 単位水量の増加によるコンクリートへの影響 1) ブリーディング
生コン工場Aの材料を用いて,表-4.13に示すコンクリート配合について,JIS A 1123に 準拠してブリーディング試験を行った.試験結果を図-4.34に示す.
シェルサンド置換率の増加に伴い,所要のスランプを得るのに必要な単位水量は増える が,ブリーディング量はシェルサンド置換率の増加に伴い,若干増加する程度であった.
なお,建築学会では「鉄筋コンクリート造建築物の収縮ひび割れ制御設計・施工指針」4.15)
においては,調合設計による収縮ひび割れ対策として,コンクリートの単位水量の目安を 180kg/m3以下とし,ブリーディング量は0.3cm3/cm2を標準としているが,生コン工場Aの材料 を使用したシェルコンクリートは,その値についても満足する結果であった.
*建築工事標準仕様書(JASS5)では,単位水量は185kg/m3以下4.16)としている.
図-4.34 シェルサンド置換率とブリーディング量との関係(生コン工場A)
81 0
5 10 15 20 25 30 35 40
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 練混ぜ後の経過時間(h)
貫入抵抗値(N/mm2 )
SS 0%
SS25%
SS50%
終結(28N/mm2)
始発(3.5N/mm2) 2) 凝結時間
生コン工場Aの材料を用いて,表-4.13に示すコンクリート配合について,JIS A 1147に 準拠して凝結時間試験を行った.試験結果を図-4.35に示す.
シェルサンド置換率の増加に伴い,所要のスランプを得るのに必要な単位水量が増えた ことにより,凝結時間については置換率の増加に伴い,遅くなる傾向が認められた.凝結 時間については,特に明確な規格などはないが,凝結時間が遅くなることによって,こて 仕上げの時期やタンピング時期に影響を及ぼすため,施工上の注意が必要となる.
図-4.35 シェルコンクリートの練混ぜ後の経過時間(h)と貫入抵抗値(N/mm2)との関係
(生コン工場A)
82 -600
-500 -400 -300 -200 -100 0
乾燥期間(週)
長さ変化率(×10-6 )
SS 0%
SS25%
SS50%
0 10 20 30 40 50 60 3) 乾燥収縮
生コン工場Aの材料を用いて,表-4.13に示すコンクリート配合について,JIS A 1129-2に 準拠した乾燥収縮試験(長さ変化試験)を行った.試験結果を図-4.36に示す.
シェルコンクリートの長さ変化率はシェルサンド置換率の増加に伴い,明らかに大きく なる傾向がみられた.建築工事標準仕様書(JASS5・2009年2月改訂)では,「計画供用期間 が長期又は超長期の場合は,乾燥収縮率は800×10-6以下」4.17),また土木学会コンクリート 標準示方書「設計編」(2007年制定)4.18)では,自己収縮ひずみ200×10-6を含む収縮ひずみの最 終値を1200×10-6としているが,生コン工場Aの材料を使用したシェルコンクリートは,こ れらの値を下回る結果である.
しかし,普通コンクリート(SS0%)の長さ変化率(乾燥収縮率)自体が300×10-6程度と 小さく,またシェルサンドで置換する普通細骨材の種類によっても異なるが,一般的に,
乾燥収縮は単位水量による影響を大きく受ける.そのため,シェルサンド置換率の増加に 伴う,所要のスランプを得るための単位水量の増加には十分留意し,単位水量をできるだ け少なくするような適切な配合選定は重要となる.
図-4.36 シェルコンクリートの乾燥収縮試験(長さ変化試験)結果
(生コン工場A)
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