• 検索結果がありません。

CQ33

併発白内障に対する手術はどのように行うか?

推奨

33

併発白内障に対しては、眼発作が一定期間みられないことを確認した後に 手術を行うことを推奨する。

エビデンスレベル:

4

同意度:

4.81

推奨度:

A

解説

視機能が低下した併発白内障に対しては、手術による治療が適応となることがある。た だし、眼発作を繰り返す症例や慢性炎症が持続している症例では、まず確実な消炎治療を 行い、炎症が沈静化した状態を一定期間にわたって確認した後に白内障手術に踏み切るこ とを推奨する。重篤な炎症発作を繰り返す症例には、必要に応じて

TNF

阻害薬を導入 1) した上で手術の計画を立てることが望ましい。

TNF

阻害薬導入時の手術施行時期に関して、例えばインフリキシマブでは通常

8

週間 隔での投与となるため、次回投与の直前(

7

週頃)は血中の薬物濃度が低下している可能 性が高く、抗炎症作用の面から手術施行時期として適しているとは言えない。一方、術後 感染症や手術の創傷治癒に関しては、インフリキシマブの血中濃度が高い方がリスクがあ ると考えられており、点滴直後の手術も最適とは言えない。したがって、これらを勘案し て、点滴治療後あまり週数の経過しない時点で白内障手術を行うことが望ましいとされて いる 2-4)。術式は加齢性白内障と同様、小切開白内障手術が、眼内レンズは小切開手術に 適応したアクリルレンズなどが推奨される5-7)

参考文献

1. Okada AA, et al. Multicenter study of infliximab for refractory uveoretinitis in Behcet disease. Arch Ophthalmol 2012; 130:

592-598.

2. Alfawaz A et al. Cataract surgery under systemic infliximab therapy in patients with refractory uveitis associated with Behcet disease. Ann Saudi Med 34:328-333, 2014.

3. Sakai T et al. Intraocular surgery in patients receiving infliximab therapy for Behçet disease. Jpn J Ophthalmol 54:360-361, 2010.

4. Noda E et al. Cataract surgery under infliximab therapy in a patient with Behçet's disease. J Ocul Pharmacol Ther 25:467-470, 2009.

5. Mehta S et al. Outcomes of cataract surgery in patients with uveitis: a systematic review and meta-analysis. Am J Ophthalmol 158:676-692, 2014.

6. Takayama K et al: Short-term outcomes of coaxial microincision cataract surgery for uveitis-associated cataract without postoperative systemic steroid therapy. Ophthalmologica 231:111-116, 2014.

7. 永本敏之:ぶどう膜炎眼に対する白内障手術戦略.眼科手術 2015;28:512-517.

142

CQ34

続発緑内障(開放隅角)に対する手術はいつ、どのように行うか?

推奨

34

薬物治療では十分な眼圧コントロールが得られない続発緑内障には、緑内 障手術を行うことを提案する。

エビデンスレベル:

4

同意度:

4.38

推奨度:

C1

解説

続発緑内障(開放隅角)に対する外科的治療法のタイミングや術式の選択は、術前の眼 圧の程度や緑内障性神経障害の進行程度などを考慮して判断する必要がある。初回手術の 場合は眼球の下方に房水流出路再建術(線維柱帯切開術

)

を行い、効果不十分な場合、あ るいは初回手術から十分な眼圧下降効果を期待する場合にはマイトマイシン

C

MMC

) 併用線維柱帯切除術が行われる。一方、線維柱帯切開術は、一般に隅角癒着がほとんど存

在せず、

high teen

の術後眼圧を目標とする症例が適応となる。それ以外の多くの場合は

MMC

併用線維柱帯切除術が適応となる1)-3)

したがって、薬物治療では十分な眼圧コントロールが得られない続発緑内障では、その 病態や進行程度およびベーチェット病の疾患活動性などを評価して、緑内障手術を行うこ とを提案する。重篤な炎症発作を繰り返す症例では、

TNF

阻害薬を導入4)した上で手術治 療を行うことも提案する。

参考文献

1. Siddique SS et al. Glaucoma and uveitis. Surv Ophthalmol 58:1-10, 2013.

2. 蕪城俊克ら:ぶどう膜炎による続発緑内障に対する外科療法.眼科手術 2012;25:211-216.

3. 陳進輝:ぶどう膜炎続発緑内障に対する手術戦略.眼科手術 2015;28:518-524.

4. Okada AA, et al. Multicenter study of infliximab for refractory uveoretinitis in Behcet disease. Arch Ophthalmol 2012;

130: 592-598.

143

CQ35

瞳孔ブロックによる眼圧上昇には、どのように対処するか?

推奨

35

瞳孔ブロックによる眼圧上昇には、まずは薬物治療を行い、眼圧下降が得 られない場合は手術療法を推奨する。

エビデンスレベル:

4

同意度:

4.50

推奨度:

B

解説

瞳孔ブロックによる眼圧上昇には、まず薬物療法として高浸透圧薬の点滴静注や炭酸脱 水酵素阻害薬の内服、散瞳薬の頻回点眼を行い、眼圧下降とともに虹彩後癒着の解除を試 みる。これらの治療が奏功しない場合には周辺虹彩切除術、あるいは活動性の炎症がなけ ればレーザー虹彩切開術が行われる1)

ベーチェット病では、前眼部の強い炎症発作により瞳孔ブロックを呈することがあり、

このような活動性の眼内炎症がみられる時にレーザー虹彩切開術を行うと、激しい炎症の 惹起とともに再閉塞による眼圧上昇を来たし、結果的に無効となることが多い。したがっ て、副腎皮質ステロイド薬点眼により消炎を図りながら、確実な効果を得るために周辺虹 彩切除術を行うことを推奨する。

したがって、瞳孔ブロックによる眼圧上昇には、まずは瞳孔解除や消炎のための薬物治 療を十分に行い、それでも眼圧下降が得られない場合には手術治療を行うことを推奨す る。

参考文献

1. 陳進輝:ぶどう膜炎続発緑内障に対する手術戦略.眼科手術 2015;28:518-524.

144

CQ36

硝子体手術はどのような場合に行うか?

推奨

36

薬物療法で効果が得られない、あるいは効果が期待できない網膜硝子体の 病変がある場合には、硝子体手術を行うことを提案する。

エビデンスレベル:

4

同意度:

4.06

推奨度:

C1

解説

網膜あるいは視神経乳頭新生血管の破綻による硝子体出血や、薬物療法に反応しない 硝子体混濁が遷延する場合は、視機能の改善目的に硝子体手術が行われることがある

1)-3)

裂孔原性網膜剥離を生じた場合は、増殖性変化を伴わない症例には通常の強膜内陥術によ って網膜復位を得ることは可能だが、硝子体変性が進み、後部硝子体が未剥離で牽引性の 要素が強い場合には硝子体手術が適応となる4, 5)。術中のトリアムシノロンアセトニドの 併用は硝子体の可視化を容易にし、術中操作の向上とともに消炎効果も期待される6)

したがって、薬物療法で効果が得られない、あるいは効果が期待できない網膜硝子体の 病変がある場合には、硝子体手術を行うことを提案する。しかしながら、網膜硝子体病変 の程度によっては硝子体手術による侵襲は少なくないため、ベーチェット病の活動性に応 じ、

TNF

阻害薬を導入した上で手術治療を計画することを提案する7)

参考文献

1. Becker M et al. Vitrectomy in the treatment of uveitis. Am J Ophthalmol 140:1096-1105, 2005.

2. 外間英之ら:内眼炎160眼の硝子体手術成績.眼科手術 2004;17:249-256.

3. 川野庸一ら:硝子体手術を行ったベーチェット病症例の検討.眼紀 2005;56:797-800.

4. Dabour SA et al. Outcome of surgical management for rhegmatogenous retinal detachment in Behçet's disease. BMC Ophthalmol 14:61, 2014.

5. Kerkhoff FT et al. Rhegmatogenous retinal detachment and uveitis. Ophthalmology 110:427-431, 2003.

6. Sonoda KH et al. Pars plana vitrectomy assisted by triamcinolone acetonide for refractory uveitis: a case series study. Br J Ophthalmol 87:1010-1014, 2003.

7. Okada AA, et al. Multicenter study of infliximab for refractory uveoretinitis in Behcet disease. Arch Ophthalmol 2012;

130: 592-598.

145 CQ37-1

CQ37-2

網膜裂孔を発見した時はどのように対応するか?

蛍光眼底造影検査で網膜無灌流領域が検出された場合、光凝固術を行う か?

推奨

37

活動性のベーチェット病では網膜光凝固の施行後に眼内炎症の誘発や増悪 を来すことがあるため、光凝固の適応や施行時には十分に注意することを 推奨する。

エビデンスレベル:

4

同意度:

4.33

推奨度:

C1

解説

ベーチェット病では網膜光凝固を施行することによって眼内炎症の誘発や増悪を来す ことがある。網膜裂孔に対しては網膜剥離予防のために光凝固は行わざるを得ないが、炎 症を誘発した時は副腎皮質ステロイド薬の局所注射などで対処する。

網膜無灌流領域に対する光凝固の是非については議論の別れるところである。網膜新生 血管を生じていないのであれば、敢えて光凝固を行う必要はない。また、網膜新生血管は

TNF

阻害薬などの強力な薬物療療1)によって消退することもあるので、一律に光凝固を行 うことは眼炎症を誘発しかねないので避けるべきである。

したがって、活動性のベーチェット病では網膜光凝固の施行後に眼内炎症の誘発や増悪 を来すことがあるため、光凝固の適応や施行時には十分に注意することを推奨する。

参考文献

1. Giansanti F, et al. Infliximab for the treatment of posterior uveitis with retinal neovascularization in Behcet disease. Eur J Ophthalmol 2004; 14: 445-448.

146