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病理学的 N(pN)分類

pN1 単発性リンパ節転移で最大径が3cm以下かつ節外浸潤なし pN2 以下に記す転移:

pN2a  一側の単発性リンパ節転移で最大径が3cm以下かつ節外浸潤あり,または 最大径が3cmをこえるが6cm以下で節外浸潤なし

pN2b  一側の多発性リンパ節転移で最大径が6cm以下かつ節外浸潤なし pN2c  両側あるいは対側のリンパ節転移で最大径が6cm以下かつ節外浸潤なし pN3a 最大径が6cmをこえるリンパ節転移で節外浸潤なし

pN3b 最大径が3cmをこえるリンパ節転移で節外浸潤あり,または一側の多発性リ ンパ節転移もしくは対側あるいは両側のリンパ節転移で節外浸潤あり

[M 分類]

M0 遠隔転移なし M1 遠隔転移あり

[臨床的・病理学的病期分類]

Ⅲ期 T0 N1 M0

ⅣA期 T0 N2 M0

ⅣB期 T0 N3 M0

ⅣC期 T0 N1,N2,N3 M1

2 原発巣の検索

症状に関する問診と転移性リンパ節の存在部位から,原発巣の局在を予想することができ る 1,2)。また,上内深頸部や中内深頸部に囊胞変性した扁平上皮癌の転移を認めた場合は,

口蓋扁桃に原発巣が存在する可能性を疑う 1)。顎下部,上内深頸部,中内深頸部領域に扁平 上皮癌の転移性リンパ節がある場合は頭頸部癌が,下内深頸部領域や気管傍領域,鎖骨上領 域のみに腺癌の転移性リンパ節がある場合は甲状腺癌か鎖骨以下の胸腹部領域の癌の存在が 疑われる 3)。頭頸部の視触診も重要で,特に口蓋扁桃,舌根扁桃,上咽頭,下咽頭梨状陥凹 は,隠れた原発巣として有力候補であるので注意してよく観察する。

頭頸部外科医が用いる喉頭内視鏡での観察を基本に,narrow band imaging(NBI)にて微 小癌を検出する方法も併用されるべきである 4)。また,下咽頭の輪状後部および梨状陥凹先 端付近の観察に体位の工夫で原発巣が発見できることもあり,試みるべきであろう 5)。上部 消化管内視鏡検査も原発巣検索あるいは重複癌検索として重要である。血液検査では各種の 腫瘍マーカー測定も参考となり,ある種の癌に特異的なマーカーもあるため有効な場合があ る 1)

画像診断では胸部レントゲン写真,頭頸部造影CT,MRIが施行される。CT,MRIでは 特に造影効果のある粘膜面の肥厚をはじめ左右の非対称性を読影することが大事となる 1)

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Ⅲ-B-9.原発不明頸部転移癌 45

甲状腺癌が疑われる場合に超音波検査も有用である 6)。PETないしPET/CTも原発巣検索

に使用される。PETでの原発巣検出率はおよそ30%程度,PET/CTでは50%程度とされ,

一般に5mm以下の小さな原発巣では解像度の関係で検出が難しい 1,7)。むしろ鎖骨以下の臓 器が原発巣である場合に,より有効である。

ここまでの検査でも原発巣が不明な場合,咽頭(特に上咽頭や舌根,下咽頭など)の無作 為生検や口蓋扁桃摘出術を考慮する。リンパ節転移と反対側の口蓋扁桃に原発巣が認められ る例が約10%の症例に認められることから,両側の口蓋扁桃摘出術を推奨する報告もあ る 8)

しかしながら,以上の一連の原発巣検索がなされても,約50〜70%の原発不明頸部転移 癌において原発巣は検出できないといわれている 1,2)

治療法と適応は?

原発不明頸部転移癌の予後規定因子は遠隔転移がない場合,N病期とリンパ節転移におけ る節外浸潤である 2)。頸部郭清術が基本となる治療法に位置づけられ,その目的は頸部制御 にあるが予後予測の点でも有用である 1,2)。しかし,長径が3cm以下の単一の節外浸潤がな いリンパ節転移は,原発不明頸部転移癌の中でも予後良好な群とされ,放射線治療でも制御 が可能であり,頸部郭清を施行した場合と有意差がないとする報告もある 9)。多発頸部リン パ節転移例や節外浸潤をはじめとする病理学的な予後因子を明らかにする意味でも,郭清範 囲はレベルⅡ-Ⅴが推奨されている。

放射線治療は患側(頸部リンパ節転移側)頸部には通常65〜70Gy,ワルダイエル輪を含む 頭頸部の粘膜面および対側の頸部に50Gy当てられるが,種々の検査から原発巣が疑われる 粘膜部位には60〜64Gyの照射量が推奨されている 2)。節外浸潤陽性例は,根治的頸部郭清 術に加えて化学放射線療法を追加することが推奨されている 1,2,9)。併用する化学療法の薬剤 には,CDDPを代表とする白金製剤が一般には用いられている 10)

参考文献

1) Schmalbach CE, Miller FR. Occult primary head and neck carcinoma. Current Oncology report.

2007;9:139-46. (レベルⅠ)

2) Pavlidis N, Pentheroudakis G, Plataniotis G. Cervical lymph node metastases of squamous cell carcino-ma from an unknown pricarcino-mary site:a favourable prognosis subset of patients with CUP. Clin Transl

Oncol. 2009;11:340-8. (レベルⅠ)

3) Jereczek-Fossa BA, Jassem J, Orecchia R. Cervical lymph node metastases of squamous cell carcino-ma from an unknown pricarcino-mary. Cancer Treat Rev. 2004;30:153-64. (レベルⅣ)

4) Shinozaki T, Hayashi R, Ebihara M, et al. Narrow band imaging endoscopy for unknown primary

tu-mor sites of the neck. Head Neck 2012. 34:826-9. (レベルⅣ)

5) Sakai A, Okami K, Ebisumoto K, et al. New techniques to detect unknown primaries in cervical lymph node metastasis. Laryngoscope. 2010;120:1779-83. (レベルⅣ)

6) Lew JI, Rodgers SEA, Solorzano CC. Developments in the use of ultrasound for thyroid cancer. Curr

Opin Oncol. 2010;22:11-6. (レベルⅣ)

7) Miller FR, Hussey D, Beeram M, et al. Positron emission tomography in the management of unknown primary head and neck carcinoma. Arch Otolaryngol Head Neck Surg. 2005;131:626-9.(レベルⅣ)

89/181

8) Koch WM, Bhatti N, Williams MF, et al. Oncologic rationale for bilateral tonsillectomy in head and neck squamous cell carcinoma of unknown primary source. Otolaryngol Head Neck Surg. 2001;

124:331-3. (レベルⅣ)

9) Strojan P, Ferlito A, Lanqendijk JA, et al. Contemporary management of lymph node metastases from an unknown primary to the neck:Ⅱ. A review of therapeutic options. Head Neck. 2013;35:

286-93. (レベルⅠ)

10) Shehadeh NJ, Ensley JF, Kucuk O, et al. Benefit of postoperative chemoradiotherapy for patients with unknown primary squamous cell carcinoma of the head and neck. Head Neck. 2006;28:1090-8.

(レベルⅣ)

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Ⅳ-1.診断 1