第5章 災害がれき移動被害予測モデルの検討
5.1. 災害がれき被害予測モデルの構築
5.1.1.
基礎方程式本研究で構築 したがれ きの移動予測 モデルの 概要を示す.が れきの 挙動予測 モデルの運動 方程式を 示す.
ρ
debV
debdu
debdt =ρV
debdu
fdt +ρ(C
M-1)V
deb(du
fdt - du
debdt
)+ 1
2 ρC
DA
deb(uf-u
deb)|uf-u
deb| - fdebb-f
debg-f
debk(5.1)
斥力
底面摩擦力 流体力
浮力
斜面方向重力 がれき
重力
ここでudev
,
ufはがれきの 速 度,水の流 速 ,ρdeb,ρは,がれきの見か けの 密度 , 水 の 密 度 ,V
debは 没 水 部 分 の が れ き の 体 積 ,A
debは 流 水 方 向 に 対 す る 没 水 部 分 の が れ き の 投 影 面 積C
M,C
D は 付 加 質 量 係 数 お よ び 抗 力 係 数 を 示 す . ま たf
debb,
fdebg,
fdebk は が れ き が 受 け る 底 面 摩 擦 , 重 力 成 分 , が れ き 同 士 の 斥 力 である.底面 摩擦力と 重力成分は 以 下の式(5.2),(5.3)
となる.fdebb
=μ
deb(ρdeb-ρ)V
debg cos
𝜃𝑏 udeb|udeb|
(5.2)
fdebg
=(ρ
deb-ρ)V
debg sin θ
𝑏(5.3)
ここで,μ
deb はがれきに 作用する 摩擦 係数,g
は重力加速度 ,𝜃𝑏 は地形勾配 を示す.抗 力 係 数 と 付 加 質 量 係 数 は , 大 窪 ら (
2004)
11)の 既 往 成 果 を 参 考 に し ,以 下の通り設定 した.log C
D=
{0.25-1.6 log F
rfor h
inun⁄H <1.2 0.55-025 h
inun⁄H -1.6 log F
rfor 1.2< h
inun⁄H <2.0
0.05-1.6 log F
rfor 2.0< h
inun⁄H (5.4) C
M=1.15+1.15 tanh
inun{(-2.0+2.5h
inun⁄ )π}H
(5.5)
また,がれき 同士の斥 力については ,ばねモ デルを適用し がれきの 辺の長さと がれき間の重 心の差分 にバネ定数を 乗じた力 を斥力とし, すべての がれきの斥 力の和をfdebkとした.モデ ルの概念図を図 5.2に示す.図 5.2 斥力の算定概 念図
y
x
がれき0
がれき2 がれき1
がれき2から受ける斥力 がれき1から受ける斥力
がれき0がうける斥力の和fk
5.1.2.
数値計算法が れ き の 拡 散 に よ る ず れ は , 拡 散 係 数𝜅0 を 満 足 す る 散 ら ば り と な る よ う に
(0,1)間の 一 様 乱 数 ξ用い て定 め る .も し , 時 刻 t
= 0に座 標X
0に 存在 し て い た が れきが座標Xに 移動した ものとすると 式(5.6)
のように計算で きる.X
deb=X
deb0+
∫udebdt
t 0
+
∑ √24𝑘0∆t
(ξk- 1 2
)n
k=0
(5.6)
ここでXdeb
, X
deb0t=n∆tである.計算 は運動方程式 とがれき の座標算定式 を差分
化して行う .式
(5.1),(5.6)の差分式 は,kを時 間ステップ ,jをがれき につけた
番号とするとu
deb,jk+1= 1
1+μ
[(1-μ)udeb,jk-1+2∆tα
(du dt
)j k
+2μu
jk+γ]
(5.7) X
jk+1= X
jk+∆tu
deb,jk+√24κ∆t
(ξjk- 1
2
)(5.8)
ここで,μ,α,β,γは それぞれ,
μ =β∆tC
DAdebVdeb|udeb
-u
f| ,α=
ρdebCM⁄ρ+CM-1 ,
β=
12(ρdeb
⁄ρ+CM-1)
, γ=-4βΔt
fdebb+fdebg+fdebkρ𝑉𝑑𝑒𝑏
である.
5.1.3.
地形勾配・摩擦係数の扱い(1) 地形勾配
災害がれきの 運動方程 式(式
5.1~式 5.3)における 底面摩 擦と重力 成分 の地
形勾配θ
bは, がれき 位置 座標とメ ッシュ の 水深・標高値 より算定 した .図 5.3 に算定の概念 図を示す.
x
方向 の勾 配を求める際 には,x
方向の計算 格子のうち近 傍の2メ ッシュ の値か ら算定し た.がれき 位 置(黒星 印)がi
メッ シュに含まれ ている場 合, がれき位 置がi-1
寄りであればi
とi+1
のメッシュ より算定し,i+1より であればi
とi+1
のメッシュで算定 を行って いる .またy
方向について も同様に 近傍の2メッ シュの標 高・水深値か ら地形の 勾配を算定 している.図 5.3 勾配算出の概 要
j+1
j
j-1
i-1 i i+1
計算格子と重心 がれき位置
x方向の地形勾配算定に 用いる計算格子
y方向の地形勾配算定に
用いる計算格子
(2) 静止・動摩擦 係数
通常 流水 中の 物 体は , 図
5.4
に示 す とお り 流れ が大 きく な るに 従 って , 底 面を滑る様に 移動する 滑動から回転 しながら 移動する 転動,転動か ら 水中を跳 ねるように移 動する 跳 動というよう に移動形 態が変化する.静止時 は静止摩擦 係数を,滑動 時は動摩 擦係数を与え る.地面 との接地時間 が短くな る転動や跳 動については ,流速の 関数で表現す る方法が 考えられる.本モデルでは ,式(5.2)の底面摩擦項 の 摩擦係 数
μ
debは,流況に 応じ て変化す る 滑 動 , 転 動 , 跳 動 等 の 移 動 形 態 を 表 現 す る た め に , 流 速 の 関 数 と な る 次 式(5.10)で示される . 同 式は菅原 ら
42)の 研究 報告に基づき 設定した .μ
deb=μ
dyn
2.2
β
02+2.2 (5.9)
β
02= u
deb2(1-
ρ ρ
⁄ deb)gH(5.10)
こ こ で ,μ
dynは 動 摩 擦 係 数 ,
Hは が れ き の 代 表 ス ケ ー ル(本 研 究 で は が れ き の 高
さとしている)を示 す .
遅い流れ
速い流れ
さらに速い流れ
滑動移動
転動移動
跳動移動
図 5.4 流速と移動形 態の概念図
ドキュメント内
著者 小園 裕司
(ページ 119-124)