(4) 線構造物デー タの設定
津波浸水シミ ュレーシ ョンでは地形 の起伏の 影響を地盤高・水深値 を設定す ることが基本 となるが ,海岸堤防や河 川堤防 など計算格子 幅未満と なる場合や , 越流破堤条件 を設定す る場合などは ,図 3.20右図のように 線構造 物によって 構造物の位置 や高さを 表現する.
東日本大震災 時では,検討対象とす る気仙沼 市街地のほと んどの構 造物が加 配されていた ことから ,構造物の越 流破堤条 件を適用する ため,構 造物の位置 と高さを線構 造物で設 定した.構造物 の位置 と高さは内閣 府のデー タに参考に 詳細メッシュ 領域に新 たに設定した 。
本検討で設定 した線構 造物の設定状 況を図 3.21に示す.
図 3.20 津波浸 水シ ミュレーショ ンにおけ る構造物の取 り扱いの 例 31)
図 3.21 線構造 物設 定箇所
(5) 線構造物の破 堤条件の 設定
東日本大震災 時の気仙 沼における構 造物はそ のほとんどが,破壊さ れている . 構造物の破壊 の原因と して,地 震,津波によ る滑動・越流によ る洗 掘,漂流 物 の衝突などが 考えられ るが,最も破堤 条件と して考えられ るのが越 流時の破堤 で あ る と 考 え ら れ る . 本 研 究 で は , 津 波 が 越 流 し た 段 階 で 即 時 破 堤 と し て 取 扱った.
― 線 構 造 物 設 定 箇 所
3.3.3.
波源・断層モデルの設定東北地方太平 洋沖地震 津波の後,様々 な研究 機関から断層 モデルが 提案され た.特に 国内では 東北 大モデル 32)と藤 井・佐竹モデ ル 33),34)が代 表的な断層モ デルになる.東 北大モ デルは浸水域 や痕跡値 に着目して断 層モデル のパラメー タ を 設 定し て お り , 藤 井 ・ 佐 竹モ デ ル は 検 潮 所 と 沖 合の 津 波 計 , 及 び
DART
における津波 波形を用 いて,インバー ジョン によるパラメ ータ設定 を行ってい る.本 研 究 で は 市 街 地 に 来 襲 す る 津 波 波 形 が 建 物 に 対 し て 大 き な 影 響 を も た ら すと考え ,藤井・佐竹 モデル
Ver. 8.0
を採用した.藤 井・佐 竹モデ ルVer. 8.0
は伝播破壊が 考慮され ており,津波 の初期波 形が時間発展 する.本 研究でも断 層の伝播破 壊を考慮 し た.藤井・ 佐竹モデ ル の概要(小 断層位置 ・ すべり量)を図 3.22に示す.こ の図より ,震央お よび 海溝沿いに大 きなすべ り量が設定 されているこ とがわか る.
図 3.22 藤井佐 竹モ デル Ver8.0 のすべ り 量 34)
3.3.4.
初期潮位の設定本研究では ,東北津 波 太平洋沖地震 津波の断 層モデルとし て,藤 井・佐竹モ デルを採用し た.同モ デルは,
10
秒間隔で 伝播破壊が考 慮されて おり,地震 発生から100
秒かけ て海底が隆起 ・沈降す る.本研究で もこれに 倣い,津波 の伝播破壊を 考慮して 初期水位を設 定した.図 3.24 は各
10
秒間 の津波初期水 位(鉛直 地殻変動量) を示した ものであ る.この 結果から 地震 発生直後に大 きく隆起・沈降し たわけで はな く,30-60
秒にかけて震 央付近で 大きく隆起・沈降し て いる.その 後,南 北に 伝播破壊し ながら除々に 隆起・沈 降が小さくな る.また,断層 モデルか ら 地殻変動量を 算定し ,津波の初期波 形を算定 した.算 定した各タイ ム区間に おける波形を図 3.24 に示す.また ,各タイ ム区間の波 形を積分した 津波の初 期波形を図 3.25に示す.
図 3.23 藤井佐 竹モ デル Ver8.0 のすべり 量の時系列変 化
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
0 20 40 60 80 100
累積すべり量(m)
進行時間(s)
震央付近 累積すべり量(m)
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
0 20 40 60 80 100
累積すべり量(m)
進行時間(s)
波源縁付近 累積すべり量(m)
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
0 20 40 60 80 100
累積すべり量(m)
進行時間(s)
超大すべり域 累積すべり量(m)
0-10s 10-20s 20-30s
30-40s 40-50s 50-60s
60-70s 70-80s 80-90s
図 3.25 積分し た 津 波初期水位 の 分布
0.0 2.0
4.0 6.0
8.0 0.0 -2.0
0.0
10.0
藤井・佐竹 v8.0
0.0
0.0 0.0 2.0
6.0 4.0
8.0
3.3.5.
計算条件の一覧本研究で設定 した計算 条件一覧を表 3.7 に 示す.
表 3.7 再現計算にお ける計算条件 一覧
# 項 目 条 件
計 算 手 法 基 礎 式 非 線 形 長 波 理 論 式
差 分 ス キ ー ム 【 空 間 差 分 】 ス タ ッ ガ ー ド 格 子 法
【 時 間 差 分 】 リ ー プ ・ フ ロ ッ グ 法
越 流 公 式 本 間 公 式
計 算 条 件 計 算 領 域 本 章 3.2.2の 通 り
計 算 格 子 間 隔 1350m→450m→150m→50m→10m→2m 計 算 領 域 数 Domain 1(1350mメ ッ シ ュ )
Domain 2(450mメ ッ シ ュ ) Domain 3(150mメ ッ シ ュ ) Domain 4(50mメ ッ シ ュ ) Domain 5(10mメ ッ シ ュ ) Domain 6(2mメ ッ シ ュ ) 波 源( 断 層 )モ デ ル 藤 井 ・ 佐 竹 モ デ ル ver.8.0
初 期 潮 位 T.P.0.5m( 第 一 波 到 達 時 刻 の 天 文 潮 位 ) 粗 度 係 数 地 形 モ デ ル の ケ ー ス に 応 じ て0.025~0.04 陸 域 境 界 Domain 1~4は 完 全 反 射
Domain 5~6は 遡 上 境 界 計 算 間 隔 dt = 0.05s(CFL条 件 は 満 足 す る)
3.4. 再現計算の実施
3.4.1. 東北沖における津波波形の比較
本研究では,気仙沼市 街地に来襲す る津波波 形について,実測と計 算の比較 を行った.実測波形 に ついて気仙沼 市街地に 近い岩手県南 部,宮 城 県北部,宮 城県南部 の
GPS
波浪 計を用いた.図 3.26に波浪計の位 置を示す .図 3.26 東北沖 にお ける GPS 波浪計位 置 35)
図 3.27は実測の水位 偏差と計算波 形の比較 を行ったもの である. これらの結 果から,計算 水位 は実 測の波形と概 ね一致し ており, 概ね 良好 な再 現結果であ ることを確認 した.
(a)
岩手県南部(b)
宮城県北部(c)
宮城県南部図 3.27 東北沖 にお ける津波波形 の検証
-10.0 -8.0 -6.0 -4.0 -2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0
2011/03/11 14:00 2011/03/11 16:00 2011/03/11 18:00
Tsunami height(m)
date