3.2 通過型パワー・センサの使用
3.2.2 測定の実行と設定
パワー・センサの接続が完了すると、信号パワーの測定が開始されます。
高パワーを測定する場合は、けがやパワー・センサの損傷を防ぐために以下の注意事 項を厳守してください。
火傷や本機の損傷を防ぐために
高パワーの測定では、火傷や本機の損傷を招く可能性があります。これを防ぐため に、以下の注意事項に従ってください。
● 連続パワーの許容値を絶対に超えないようにしてください。許容される連続パ ワーは、パワー・センサ背面を参照してください。
● パワー・センサを接続するときは、必ず RF パワーをオフにしてください。
● RF コネクタをネジでしっかりと固定してください。
中心周波数の定義
確度の最も高い測定結果を得るためには、周波数を信号の周波数に合わせる必要があ ります。
R&S FSH では、他の動作モードで設定した中心周波数を保持しています。その場合、
その周波数がパワー・センサ周波数として適用されます。
別の周波数の信号を測定する場合は、パワー・センサ周波数をマニュアル操作で変更 することができます。
► “MEAS” キーを押します。
► “Freq” ソフトキーを押します。
周波数を定義する入力フィールドが開きます。
► 信号の周波数を入力します。
R&S FSH からパワー・センサに新しい周波数が転送され、電力測定値が補正さ
れます。
パワー・センサのゼロ調整
詳細については、“パワー・センサのゼロ調整” を参照してください。
パワー測定加重モードの設定
順方向のパワー表示では、平均パワーとピーク・エンベロープ・パワーの両方が示さ れます。
► “MEAS” キーを押します。
► “Fwrd Pwr Display” ソフトキーを押します。
► 加重モードを選択します。
“Forward Power” 項目に、加重モードが表示されます。
- Forward power (AVG) = 平均パワー
- Forward power (PEP) = ピーク・エンベロープ・パワー
パワーの表示単位の選択
通過型パワー・センサの使用時には、順方向のパワーは対数レベル値 [dBm](相対 値)または線形値 [W または mW](絶対値)で表示されます。また、基準レベルを 定義して、レベル差 [dB] を表示することもできます。ロード・マッチングは、リ ターン・ロス(dB)または電圧定在波比(VSWR)として表示されます。さらに、絶 対反射パワーを W 単位で、または反射レベルを dBm 単位で表示することも可能で す。
詳細については、“パワーの表示単位の選択” を参照してください。
基準レベルの設定
順方向のパワーの単位として “dB Rel...” を選択した場合は、基準レベルを設定する入 力フィールドが開きます。ダイアグラム・ヘッダには、現在設定されている基準レベ ルが表示されます。
詳細については、“基準レベルの設定” を参照してください。
規格の選択
変調信号の測定時に適正な結果が得られるように、R&S FSH では、一般的な通信規 格に対応して補正値を適用することが可能になっています。
► “Standard” ソフトキーを押します。
規格を選択するメニューが開きます。
► 規格を選択します。
追加の減衰量の考慮
試験ポイントへ通過型パワー・センサを組み込む際に、直接接続ではなくケーブルを 介して行う場合には、ケーブル減衰量の影響を考慮に入れることができます。そのた めには、対象測定周波数に対するケーブル減衰量を、正または負の値で入力する必要 があります。パワーとマッチングをソース側で測定するためにソースとパワー・セン サの間にケーブルを追加するときは、正の dB 値を入力します。パワーとマッチング を負荷側で測定するために負荷とパワー・センサの間にケーブルを追加するときは、
負の dB 値を入力します。これに応じて通過型パワー・センサはパワーとマッチング の値を補正し、試験ポイントに直接接続した場合と同じ結果が得られるようにします。
► “AMPT” キーを押します。
► “Ref Offset” ソフトキーを押します。
基準オフセットの入力フィールドが開きます。
► オフセットを入力します。
ここで選択したオフセットは、ダイアグラム・ヘッダに表示されます。パワー
(レベル)とマッチングの結果は、このオフセット値を考慮したものになります。
R&S FSH-Z14 または R&S FSH-Z44 の最大入力レベルを超える高いパワーを印加す る場合は、方向性結合器またはアッテネータをパワー・センサの前段に接続する必要 があります。その場合、方向性結合器の結合減衰量またはアッテネータの減衰値を正 の dB 値(上記を参照)として R&S FSH に入力します。それにより、適正な測定パ ワー値が表示されるようになります。いずれの場合も、十分なパワー処理容量の終端 器またはアッテネータをパワー・センサの負荷端に接続します。その場合、マッチン グも同様に終端器やアッテネータの減衰値を考慮して補正されるため、マッチングの 指示値は意味のないものになります。
4 ネットワーク・アナライザ・モード
ネットワーク・アナライザ・モードでは、1 ポートまたは 2 ポートのネットワーク 測定を実行することができます。
ネットワーク・アナライザ・モードの機能を使用するためには、トラッキング・ジェ ネレータを搭載した R&S FSH(モデル .14/.18/.24/.28)または VSWR ブリッジを 内蔵した R&S ZVH(モデル .24/.28)が必要です。
スカラ測定
トラッキング・ジェネレータ搭載の R&S FSH の基本構成は、スカラ測定を実行する 機能、および被測定物(DUT)の反射特性や逆方向伝送特性の測定機能のみに対応し ています。ただしスカラ測定では、伝送パワーまたは反射パワーの振幅のみが測定さ れます。
試験セットアップに合わせて R&S FSH を校正すると、最良の測定結果が得られます。
工場出荷時のデフォルト校正状態でも高い測定確度が得られますが、各測定に対して 振幅を補正して測定結果の確度をさらに高めるために、必要な校正方式が R&S FSH に備わっています。
VSWR ブリッジも内蔵している R&S FSH(モデル .24/.28)の場合は、各ポートで
の反射特性および伝送特性も測定することができます。VSWR ブリッジを搭載した
R&S FSH では、トラッキング・ジェネレータを各測定ポート(ポート 1 と 2)に切
り替えられるため、ポート2 からポート 1(およびその逆方向)への信号伝送が可能 になります。
ベクトル測定
ダイナミックレンジを広げて測定確度を高めるために、R&S FSH にファームウェ ア・オプション R&S FSH-K42(オーダー番号 1304.5629.02)を搭載することがで きます。これにより、ネットワーク・アナライザ・モードでベクトル測定が可能にな ります。なお、ベクトル測定が可能なのは、トラッキング・ジェネレータと VSWR ブリッジを搭載したモデル(.24/.28)のみです。
このオプションは、DUT の振幅特性と位相特性を測定できるほか、その他の校正方式 や、測定機能、測定フォーマット(群遅延、群位相など)にも対応しています。
► “MODE” キーを押します。
► “Network Analyzer” ソフトキーを押します。
トラッキング・ジェネレータが起動します。周波数とレベルの設定は、直前の動 作モードでの値が保持されます。
トラッキング・ジェネレータの出力レベルの定義
トラッキング・ジェネレータは、R&S FSH の現在の周波数で信号を生成します。こ の信号の公称出力レベルは 0 dBm ~ -40 dBm の範囲で、1 dB ステップで調整する ことができます。
► “AMPT” キーを押します。
► “TG Output Attenuationr” ソフトキーを押します。
出力レベルは、 0 dB ~ 40 dB の減衰量に対応した値になります。例えば、減衰 量を 0 dB に設定すると、出力レベルは 0 dBm になります。減衰量を 40 dB に 設定すると、出力レベルは -40 dBm になります。
ネットワーク・アナライザの画面レイアウト
1 結果表示 2 測定モード 3 0 dB 基準
4 ステータス・ライン - S パラメータ - 校正ステータス - 測定フォーマット 5 トレース・ウィンドウ
6 ネットワーク・アナライザ用のソフトキー・メニュー