• 検索結果がありません。

浮体動揺制御の設計指針

第 3 章 古典制御理論を用いた浮体前後動揺現象の安定性解析

3.5 浮体構造物および浮体動揺制御の設計指針

3.5.2 浮体動揺制御の設計指針

め,上述の衝撃荷重を考慮する必要はなく,この点に関連するコスト増加がない.このように,

総合的な観点から浮体構造物を設計する必要がある.

3.5.2.2 PD制御の微分時間

図3-27から図3-29に,FVCのPD制御の微分時間を変更した場合のNyquist線図とBode線図 を示す.まず,3つの図のNyquist線図に注目すると,全てのケースにおいて,(−1,𝑗𝑗0)が軌跡の 外側に存在するため安定であると共に,微分時間を長期化することで(−1,𝑗𝑗0)からの距離が離れ

表3-9. FVCに設定したパラメータ

ケース 番号

PD制御の比例 ゲイン 𝐵𝐵𝑃𝑃

PD制御の

微分時間 𝑡𝑡𝑆𝑆

バンドパスフィルタ の減衰比 𝜁𝜁𝐶𝐶

バンドパスフィルタ

の角周波数 𝜔𝜔𝑐𝑐 図番号

- s - rad/s

Baseline 5.0 1.0 0.5 2.0𝜔𝜔𝑃𝑃 図3-23

B-1 1.0 1.0 0.5 2.0𝜔𝜔𝑃𝑃 図3-24

B-2 20.0 1.0 0.5 2.0𝜔𝜔𝑃𝑃 3-25

B-3 50.0 1.0 0.5 2.0𝜔𝜔𝑃𝑃 3-26

T-1 5.0 0.0 0.5 2.0𝜔𝜔𝑃𝑃 図3-27

T-2 5.0 4.0 0.5 2.0𝜔𝜔𝑃𝑃 図3-28

T-3 5.0 16.0 0.5 2.0𝜔𝜔𝑃𝑃 3-29

Z-1 5.0 1.0 0.1 2.0𝜔𝜔𝑃𝑃 図3-30

Z-2 5.0 1.0 1.0 2.0𝜔𝜔𝑃𝑃 図3-31

Z-3 5.0 1.0 5.0 2.0𝜔𝜔𝑃𝑃 図3-32

O-1 5.0 1.0 0.5 1.0𝜔𝜔𝑃𝑃 図3-33

O-2 5.0 1.0 0.5 3.0𝜔𝜔𝑃𝑃 図3-34

O-3 5.0 1.0 0.5 6.0𝜔𝜔𝑃𝑃 図3-35

(a) Nyquist線図 (b) Bode線図

図3-23. Nyquist線図とBode線図:Baseline

-2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5

-1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

Real

Image

Bottom-fixed Floating Floating with FVC

-150 -100 -50 0

10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100 101

-270 -180 -90 0 90 180

Gain [dB]Phase [deg.]

Frequency [Hz]

Bottom-fixed Floating Floating with FVC

(a) Nyquist線図 (b) Bode線図 図3-24. Nyquist線図とBode線図:B-1

(a) Nyquist線図 (b) Bode線図

図3-25. Nyquist線図とBode線図:B-2

(a) Nyquist線図 (b) Bode線図

図3-26. Nyquist線図とBode線図:B-3

-2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5

-1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

Real

Image

Bottom-fixed Floating Floating with FVC

-150 -100 -50 0

10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100 101

-270 -180 -90 0 90 180

Gain [dB]Phase [deg.]

Frequency [Hz]

Bottom-fixed Floating Floating with FVC

-2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5

-1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

Real

Image

Bottom-fixed Floating Floating with FVC

-150 -100 -50 0

10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100 101

-270 -180 -90 0 90 180

Gain [dB]Phase [deg.]

Frequency [Hz]

Bottom-fixed Floating Floating with FVC

-2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5

-1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

Real

Image

Bottom-fixed Floating Floating with FVC

-160 -140 -120 -100 -80 -60 -40 -20 0

10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100 101

-270 -180 -90 0 90 180

Gain [dB]Phase [deg.]

Frequency [Hz]

Bottom-fixed Floating Floating with FVC

(a) Nyquist線図 (b) Bode線図 図3-27. Nyquist線図とBode線図:T-1

(a) Nyquist線図 (b) Bode線図

図3-28. Nyquist線図とBode線図:T-2

(a) Nyquist線図 (b) Bode線図

図3-29. Nyquist線図とBode線図:T-3

-2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5

-1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

-150 -100 -50 0

10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100 101

-270 -180 -90 0 90 180

Gain [dB]Phase [deg.]

Frequency [Hz]

Bottom-fixed Floating Floating with FVC

-2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5

-1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

Real

Image

Bottom-fixed Floating Floating with FVC

-160 -140 -120 -100 -80 -60 -40 -20 0

10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100 101

-270 -180 -90 0 90 180

-2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5

-1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

-160 -140 -120 -100 -80 -60 -40 -20 0

10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100 101

-270 -180 -90 0 90 180

Gain [dB]Phase [deg.]

Frequency [Hz]

Bottom-fixed Floating Floating with FVC

ることが判る.これは微分時間が安定性に大きく影響を及ぼさない傾向があることを示す.Bode 線図に注目すると,基準に対して微分時間が小さい図3-27 では,ナセルピッチ角度の固有周波 数近傍のピークが基準よりも増加していることがわかる.図3-28および図3-29 に示すように,

微分時間を基準よりも増加させることで上記ピークを低減できるが,微分時間を上げすぎること で,ナセルピッチ角度の固有周波数よりも低い成分と高い成分にピークが現れてくる.このこと から,微分時間の上昇で新たなナセルピッチ角度およびブレードピッチ角度に新たな振動成分を 励起する可能性がある.

3.5.2.3 バンドパスフィルタの減衰比

図3-30から図3-32に,FVCのバンドパスフィルタの減衰比を変更した場合のNyquist線図と Bode線図を示す.まず,3つの図のNyquist線図に注目すると,図3-30 に示すように減衰比が 低い場合は(−1,𝑗𝑗0)が軌跡の内側に存在するため不安定であるが,図3-31のように減衰比を上昇 させることで(−1,𝑗𝑗0)が外側に存在するため,安定化できることが判る.しかしながら,減衰比 が高いほど安定化できることではなく,図3-32より,減衰比の上昇で(−1,𝑗𝑗0)が軌跡の内側に存 在するようになって不安定化するため,注意が必要である.このことから,適切な範囲があるが,

その帯域は他パラメータの設定値に応じて変化すると推測する.Bode線図に注目すると,減衰 比を増加させることで,ピークを持つ周波数が高周波側へ少しシフトするとともに,ピークのゲ インが増加することが確認できる.すなわち,減衰比を上げすぎることで,ナセルピッチ角度の 固有周波数よりも少し高い周波数をもつ動揺が発生する可能性がある.

3.5.2.4 バンドパスフィルタの角周波数

図3-33から図3-35に,FVCのバンドパスフィルタの角周波数を変更した場合のNyquist線図 とBode線図を示す.まず,3つの図のNyquist線図を比較すると,(−1,𝑗𝑗0)を軌跡の内側に存在 させるためは,角周波数を適切に選択する必要があることが判る.図3-23と合わせて判断する と,ナセルピッチ角度の固有周波数よりも少し高い周波数帯域,すなわち約2.0~3.0倍の範囲が 適当と考える.また,Bode線図に注目すると,バンドパスフィルタの角周波数が低い場合には,

ナセルピッチ角度の固有周波数よりも高い周波数帯域のピークを増加させるとともに,バンドパ スフィルタの角周波数を増加させることで,ナセルピッチ角度の固有周波数近傍のピークを増加 させる特徴があることが確認できる.

3.5.2.5 浮体動揺制御のパラメータ設定方針の提案

前節の結果を踏まえ,以下に示すFVCのパラメータの設定方針を提案する.

(1) PD制御のゲイン:

大きくすることで安定化が可能だが,高すぎるゲインで不安定化する.また,高いゲイン はナセルピッチ角度よりも高い周波数帯域の動揺を励起することに留意が必要である.

(a) Nyquist線図 (b) Bode線図 図3-30. Nyquist線図とBode線図:Z-1

(a) Nyquist線図 (b) Bode線図

図3-31. Nyquist線図とBode線図:Z-2

(a) Nyquist線図 (b) Bode線図

図3-32. Nyquist線図とBode線図:Z-3

-2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5

-1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

Real

Image

Bottom-fixed Floating Floating with FVC

-150 -100 -50 0

10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100 101

-270 -180 -90 0 90 180

Gain [dB]Phase [deg.]

Frequency [Hz]

Bottom-fixed Floating Floating with FVC

-2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5

-1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

Real

Image

Bottom-fixed Floating Floating with FVC

-160 -140 -120 -100 -80 -60 -40 -20 0

10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100 101

-270 -180 -90 0 90 180

Gain [dB]Phase [deg.]

Frequency [Hz]

Bottom-fixed Floating Floating with FVC

-2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5

-1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

Real

Image

Bottom-fixed Floating Floating with FVC

-160 -140 -120 -100 -80 -60 -40 -20 0

10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100 101

-270 -180 -90 0 90 180

Gain [dB]Phase [deg.]

Frequency [Hz]

Bottom-fixed Floating Floating with FVC

(a) Nyquist線図 (b) Bode線図 図3-33. Nyquist線図とBode線図:O-1

(a) Nyquist線図 (b) Bode線図

図3-34. Nyquist線図とBode線図:O-2

(a) Nyquist線図 (b) Bode線図

図3-35. Nyquist線図とBode線図:O-3

-6 -5 -4 -3 -2 -1 0 1

-3 -2 -1 0 1 2 3

Real

Image

Bottom-fixed Floating Floating with FVC

-150 -100 -50 0

10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100 101

-270 -180 -90 90 180

0

Gain [dB]Phase [deg.]

Frequency [Hz]

Bottom-fixed Floating Floating with FVC

-2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5

-1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

Real

Image

Bottom-fixed Floating Floating with FVC

-160 -140 -120 -100 -80 -60 -40 -20 0

10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100 101

-270 -180 -90 0 90 180

-2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5

-1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

Real

Image

Bottom-fixed Floating Floating with FVC

-160 -140 -120 -100 -80 -60 -40 -20 0

10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100 101

-270 -180 -90 0 90 180

Gain [dB]Phase [deg.]

Frequency [Hz]

Bottom-fixed Floating Floating with FVC

(2) PD制御の微分時間:

大きくすることで安定化できる.ただし,高すぎる微分時間はナセルピッチ角度の固有周 波数よりも低い成分と高い成分の動揺を励起することに留意が必要である.

(3) バンドパスフィルタの減衰比:

適切な範囲があり,その範囲は他パラメータに依存.低すぎても高すぎても安定性が低下 すること,高くすることによってゲインのピークが高周波数側へシフトすることに留意が 必要である.

(4) バンドパスフィルタの角周波数:

適切な範囲が存在.ナセルピッチ角度の固有周波数よりも少し高い周波数帯域,すなわち

約 2.0~3.0 倍が適当である.また,低い場合にはナセルピッチ角度の固有周波数よりも高

い成分の動揺を励起すること,高い倍にはナセルピッチ角度の固有周波数近傍の成分の動 揺を励起することに注意が必要である.

なお,ナセルピッチ角度の変動を低減するためのFVCのパラメータは,実装時の参考とはな るが,FVC 以外の制御の性能にも関係することから,実装対象の応答に合わせて調整しなけれ ばならないことに留意が必要である.また,遷移条件ではVSC,BPCT,FVC,およびGTCの4 つの制御が存在するため,制御干渉を回避するようなパラメータ選定が必要である.