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シミュレーションによるゲインスケジューリングパラメータの選定

第 4 章 ゲインスケジューリング機能を備えた浮体動揺制御の提案

4.6 シミュレーションによるゲインスケジューリングパラメータの選定

本節では,シミュレーションを利用して,提案するFVCにおいて適切なゲインスケジューリ ング機能について検討する.具体的には,図4-4に占めす𝜔𝜔𝐹𝐹𝑉𝑉𝐶𝐶,および𝐾𝐾𝐹𝐹𝑉𝑉𝐶𝐶𝑃𝑃 と発電電力の関係を 評価する.表4-2に,シミュレーション条件を示す.風速条件は変動風速を利用し,平均風速は

図4-6. 環境省実証にて建設された2MW浮体式洋上風力発電システムの概観

表4-1. 浮体式洋上風力発システムの仕様

定格出力 [kW] 2000

ロータ位置 ダウンウィンド

ロータ直径 [m] 80

浮体構造物 ハイブリッドスパー型

係留 カテナリー,3本

ハブ高さ [m] 55.88

定格風速 [m/s] 12

Modal inertia 30062 kN m s2/rad

Modal damping coefficient 74 kN m s/rad Modal stiffness coefficient 1805 kN m/rad

8~14m/s とした.この理由は,この風速範囲において,発電電力が定格値と定格未満の間で変 化するためである.変動風の乱流強度はInternational electrotechnical committee(IEC)で最も強度 が低く,洋上を想定したClass-Cとした.海象条件としては,試験装置が設置されるサイトにお いて,発生頻度が比較的高い波高2.16m,波周期6.21mとし,規則波を利用すると共に,流れが ない条件を想定した.また,シミュレーション期間は600s(10分間)とした.なお,乱流強度,

および海象条件はシミュレーション期間中に時間変化しないこととした.バンドパスフィルタの 角周波数比𝐶𝐶1,およびPD制御のゲイン比𝐶𝐶2は下式を満足するものとした.なお,この2つの係 数は可能な限り広い範囲を選択した.

𝜔𝜔𝐹𝐹𝑉𝑉𝐶𝐶𝑂𝑂 =𝐶𝐶1𝜔𝜔𝐹𝐹𝑉𝑉𝐶𝐶𝑟𝑟𝑎𝑎𝑡𝑡𝑎𝑎𝑒𝑒 …式(4-8)

𝐾𝐾𝐹𝐹𝑉𝑉𝐶𝐶𝑂𝑂 =𝐶𝐶2𝐾𝐾𝐹𝐹𝑉𝑉𝐶𝐶𝑟𝑟𝑎𝑎𝑡𝑡𝑎𝑎𝑒𝑒 …式(4-8)

図4-7に,シミュレーション結果を示す.図4-7(a)および(b)の横軸はそれぞれバンドパスフィ ルタの角周波数比𝐶𝐶1,およびPD制御のゲイン比𝐶𝐶2であり,縦軸は発電電力,およびナセルピッ チ角度の正規化標準偏差を示す.なお,標準偏差の正規化は,バンドパスフィルタの角周波数比 𝐶𝐶1,およびPD制御のゲイン比𝐶𝐶2を1.0とした場合の発電電力およびナセルピッチ角度を基準と して演算した.

図4-7より,8m/sの結果はバンドパスフィルタの角周波数比𝐶𝐶1,およびPD制御のゲイン比𝐶𝐶2に 依存せず,一定であることが確認できる.この結果は,8m/s は定格未満の運転条件であること から,提案するゲインスケジューリング機能は定格条件と定格未満の運転条件とを交互に行き来 する運転において効果を発揮することを示す.以下では,10m/s以上の結果について注目する.

図4-7(a)に注目すると,角周波数比𝐶𝐶1の増加に伴い,発電電力の正規化標準偏差は低下するが,

ナセルピッチ角度の正規化標準偏差は増加することが確認できる.これに対し,図4-7(b)に注目 すると,ゲイン比𝐶𝐶2の増加に伴い,発電電力の正規化標準偏差は増加するが,ナセルピッチ角度 の正規化標準偏差は低下することが確認できる.発電電力に影響を及ぼすVSCとナセルピッチ

表4-2. シミュレーション条件

平均風速 [m/s] 8-14

乱流強度 [-] International electrotechnical committee (IEC) Class-C

初期ヨー誤差 [deg] 0

波高 [m] 2.16

波周期 [s] 6.21

波のタイプ 規則波

流れ [m/s] 0

シミュレーション期間 [s] 600 バンドパスフィルタの角周波数比 𝐶𝐶1 [-] 0.8-2.0 PD制御のゲイン比 𝐶𝐶2 [-] 0.2-1.8

角度を制御するFVCは共にブレードピッチ角度を調整することから,PD制御のゲイン比𝐶𝐶2の増 加はFVCの効果を強めることに繋がるため,ナセルピッチ角度の正規化された標準偏差が低下 し,発電電力の正規化された標準偏差が増加することは当然の結果と考える.

図4-7の結果を総合的に見ると,発電電力,およびナセルピッチ角度の変動を同時に低減する ためには,バンドパスフィルタの角周波数比𝐶𝐶1,およびPD制御のゲイン比𝐶𝐶2を適切に設計する 必要があると言える.例えば,定格未満での運転条件での角周波数比𝐶𝐶1を定格条件の値より少し

(a) バンドパスフィルタの角周波数比

(b) PD制御のゲイン比

図4-7. バンドパスフィルタの角周波数比𝐶𝐶1,およびPD制御のゲイン比𝐶𝐶2を操作した場合

のシミュレーション結果

0.9 1.0 1.1

8 m/s 10 m/s 12 m/s 14 m/s

1.0 1.2 1.4

0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 2.0 Frequency ratio [-]

Electrical power[-]Nacelle pitch angle [-]

𝐶𝐶1

0.9 1.0 1.1

Electrical power[-] 8 m/s 10 m/s 12 m/s 14 m/s

0.8 1.0 1.2

0.2 0.6 1.0 1.4 1.8

Gain ratio [-]

Nacelle pitch angle [-]1.4

𝐶𝐶2

大きくすることで発電電力の変動を低減し,これによって悪化するナセルピッチ角度の変動を,

ゲイン比𝐶𝐶2を定格未満での値を定格条件よりも大きくすることで補うことができる.両値の最適 解は対象のシステムに応じて変化するが,本研究におけるシミュレーションでの最適値は,

𝐶𝐶1= 1.1,および𝐶𝐶2= 1.1であった.