第 3 章 古典制御理論を用いた浮体前後動揺現象の安定性解析
3.3 伝達関数による定格条件での浮体前後動揺現象の解析
3.3.3 伝達関数を利用した安定判別
上式を微分すると下式を得る.
𝑑𝑑𝑣𝑣
𝑑𝑑𝑡𝑡 =−𝐿𝐿𝑑𝑑2𝜃𝜃
𝑑𝑑𝑡𝑡2 …式(3-17)
式(3-15)に式(3-17)を代入すると,下式が得られる.
𝑑𝑑𝜔𝜔
𝑑𝑑𝑡𝑡 =−3𝜌𝜌𝜌𝜌𝐶𝐶𝑟𝑟𝑣𝑣2𝐿𝐿 2𝑞𝑞
𝑑𝑑2𝜃𝜃
𝑑𝑑𝑡𝑡2 …式(3-18)
上式をラプラス変換することで下式が得られる.
𝜔𝜔(𝑠𝑠) =−3𝜌𝜌𝜌𝜌𝐶𝐶𝑟𝑟𝑣𝑣2𝐿𝐿
2𝑞𝑞 𝑠𝑠𝜃𝜃(𝑠𝑠) …式(3-19)
上式からゲインのみ取出すと,本関係の伝達関数が得られる.
𝐺𝐺𝑊𝑊𝑇𝑇4(𝑠𝑠) =3𝜌𝜌𝜌𝜌𝐶𝐶𝑟𝑟𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟𝑣𝑣𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟2𝐿𝐿 2𝑞𝑞𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟
…式(3-20)
ここで,𝑣𝑣𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟は本関係を記述する際の代表風速(本報告では14 m/s),𝐶𝐶𝑟𝑟𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟は代表風速における
パワー係数,𝑞𝑞𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟は代表風速における発電機トルク,である.
3.3.2.5 可変速制御(VSC)の特性
VSCは比例積分制御(Proportional-Integral control,PI control)に基づいて特性を決定する.
𝐺𝐺𝐶𝐶1(𝑠𝑠) =𝐾𝐾𝑃𝑃+𝐾𝐾𝐼𝐼1
𝑠𝑠=𝐾𝐾𝑃𝑃+𝐾𝐾𝑃𝑃
𝑡𝑡𝐼𝐼 1
𝑠𝑠 …式(3-21)
ここで,𝐾𝐾𝑃𝑃は比例ゲイン,𝐾𝐾𝐼𝐼は積分ゲイン,𝑡𝑡𝐼𝐼は積分時間,である.
を用いる.また,系全体の特性も確認するために,伝達関数のBode線図も併せて確認すること とする.Nyquist線図を描くための,図3-3に示す伝達関数の開ループ伝達関数𝐺𝐺𝑂𝑂𝑂𝑂1(𝑠𝑠)を以下に 示す.表3-3に,伝達関数に利用した定数を示す.
𝐺𝐺𝑂𝑂𝑂𝑂1(𝑠𝑠)
=���2𝑎𝑎𝑔𝑔𝜔𝜔𝑟𝑟𝑎𝑎𝑡𝑡+𝑏𝑏𝑔𝑔�𝐿𝐿+�2𝑎𝑎𝑏𝑏𝛽𝛽𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟+𝑏𝑏𝑏𝑏�𝐿𝐿𝐾𝐾𝑃𝑃�𝑠𝑠+�2𝑎𝑎𝑏𝑏𝛽𝛽𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟+𝑏𝑏𝑏𝑏�𝐿𝐿𝐾𝐾𝐼𝐼�3𝜌𝜌𝜌𝜌𝐶𝐶𝑟𝑟𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟𝑣𝑣𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟2𝐿𝐿 2𝑞𝑞𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟 𝑀𝑀𝑠𝑠2+𝐷𝐷𝑠𝑠+𝐾𝐾
…式(3-22)
また,Bode線図を描くための,系全体の伝達関数𝐺𝐺𝐴𝐴𝑂𝑂𝑂𝑂1(𝑠𝑠)を以下に示す.
𝐺𝐺𝐴𝐴𝑂𝑂𝑂𝑂1(𝑠𝑠) =��2𝑎𝑎𝑔𝑔𝜔𝜔𝑟𝑟𝑎𝑎𝑡𝑡+𝑏𝑏𝑔𝑔�𝐿𝐿+�2𝑎𝑎𝑏𝑏𝛽𝛽𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟+𝑏𝑏𝑏𝑏�𝐿𝐿𝐾𝐾𝑃𝑃�𝑠𝑠+�2𝑎𝑎𝑏𝑏𝛽𝛽𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟+𝑏𝑏𝑏𝑏�𝐿𝐿𝐾𝐾𝐼𝐼
𝐷𝐷𝐴𝐴𝑂𝑂𝑂𝑂1(𝑠𝑠) …式(3-23)
𝐷𝐷𝐴𝐴𝑂𝑂𝑂𝑂1(𝑠𝑠) =𝑀𝑀𝑠𝑠3+�𝐷𝐷
+��2𝑎𝑎𝑔𝑔𝜔𝜔𝑟𝑟𝑎𝑎𝑡𝑡+𝑏𝑏𝑔𝑔�𝐿𝐿+�2𝑎𝑎𝑏𝑏𝛽𝛽𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟+𝑏𝑏𝑏𝑏�𝐿𝐿𝐾𝐾𝑃𝑃�3𝜌𝜌𝜌𝜌𝐶𝐶𝑟𝑟𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟𝑣𝑣𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟2𝐿𝐿 2𝑞𝑞𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟 � 𝑠𝑠2 +�𝐾𝐾+�2𝑎𝑎𝑏𝑏𝛽𝛽𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟+𝑏𝑏𝑏𝑏�𝐾𝐾𝐼𝐼
3𝜌𝜌𝜌𝜌𝐶𝐶𝑟𝑟𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟𝑣𝑣𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟2𝐿𝐿2
2𝑞𝑞𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟 � 𝑠𝑠
…式(3-24)
図3-3に示す定数を利用し,Nyquist線図とBode線図を描いた結果を図3-7に示す.なお,Nyquist
線図とBode線図はMATLABを利用して作成した.図3-7(a)のNyquist線図では,矢印で示すよ
うに,陸上風力発電システムおよび浮体式洋上風力発電システムともに時計回りの方向の軌跡を 描く.そのため,Nyquist線図上で系の安定判別は「系の伝達関数の開ループ伝達関数の極が左 半面にあり,開ループ伝達関数の軌跡が進行方向に対して(−1,𝑗𝑗0)が左側にあると安定」である ことから,図3-7の結果では「系の伝達関数の開ループ伝達関数の極が左半面にあり,開ループ 伝達関数の軌跡の外側に(−1,𝑗𝑗0)が存在する場合は系が安定」と一致する.なお,陸上風力発電 システムおよび浮体式洋上風力発電システムともに開ループ伝達関数の極は左半面にあること を確認した.
上記を踏まえて図3-7(a)に注目すると,陸上風力発電システムでは安定であるが,浮体式洋上 風力発電システムは不安定と判別できる.また,図3-7(b)のBode線図におけるゲインに注目す ると,浮体式洋上風力発電システムはナセルピッチ角度の固有周波数である0.035 Hz付近にピ ークをもつことから,ナセルピッチ角度の固有周波数の動揺が励起され,発散する可能性がある ことを示す.これに対し,図3-7(b)の陸上風力発電システムでは,0.4 Hz近傍にナセルピッチ角 度の固有周波数のピークが存在することから,この周波数での動揺は発生するが,図3-7(a)で安 定と判定されているため,発散に至らないと考える.
浮体式が不安定である理由は下記の通りである.表3-4に,陸上風力発電システムと浮体式洋 上風力発電システムのモーダル係数を比較した結果を示す.モーダル慣性係数に対するモーダル 粘性係数およびモーダル剛性係数の比が,陸上風力発電システムと比較して浮体式洋上風力発電 システムの値が極端に低い.この特性によって浮体式洋上風力発電システムの浮体前後動揺が発 生する要因と考えるが,詳細検討のため,Routhの安定判別法を利用する.Routhの安定判別法
は,伝達関数の特性方程式から得られるRouth配列の成分に符号変化がない場合には系が安定で あり,符号変化がある場合には系が不安定化する.図3-3に示す系の特性方程式は下式の通りで ある.
表3-3. 定常条件における発電機回転角速度とナセルピッチ角度の伝達関数に関連するパラメータ
風力発電システムのタイプ 浮体式洋上風力
発電システム
陸上風力発電 システム 代表風速 𝑣𝑣𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟 [m/s] 14
ナセル代表点とナセルピッチ角度回転中心の距離 𝐿𝐿 [m] 101.88 65.38 ナセルピッチ角度の固有周波数 𝑓𝑓𝑒𝑒 [Hz] 0.085𝑓𝑓𝑒𝑒𝑜𝑜𝑒𝑒𝑠𝑠ℎ𝑜𝑜𝑟𝑟𝑎𝑎 𝑓𝑓𝑒𝑒𝑜𝑜𝑒𝑒𝑠𝑠ℎ𝑜𝑜𝑟𝑟𝑎𝑎
シャットダウン時刻 𝑇𝑇𝑆𝑆𝑆𝑆 [s] 30 シミュレーション終了 𝑇𝑇𝑎𝑎𝑒𝑒𝑒𝑒 [s] 600 シャットダウン直前の値(平均値)演算用の時間 𝑇𝑇𝑎𝑎𝑎𝑎𝑎𝑎 [s] 30
シャットダウン直前のスラスト力 𝐹𝐹𝑇𝑇𝑆𝑆𝑆𝑆 [kN] 1.37𝐹𝐹𝑇𝑇𝑆𝑆𝑆𝑆𝑜𝑜𝑒𝑒𝑠𝑠ℎ𝑜𝑜𝑟𝑟𝑎𝑎 𝐹𝐹𝑇𝑇𝑆𝑆𝑆𝑆𝑜𝑜𝑒𝑒𝑠𝑠ℎ𝑜𝑜𝑟𝑟𝑎𝑎
シャットダウン直前のナセルピッチ角度 𝜃𝜃𝑆𝑆𝑆𝑆 [rad] 13.598𝜃𝜃𝑆𝑆𝑆𝑆𝑜𝑜𝑒𝑒𝑠𝑠ℎ𝑜𝑜𝑟𝑟𝑎𝑎 𝜃𝜃𝑆𝑆𝑆𝑆𝑜𝑜𝑒𝑒𝑠𝑠ℎ𝑜𝑜𝑟𝑟𝑎𝑎
シャットダウン時のオーバーシュート量 𝑂𝑂𝑠𝑠 [rad] 19.732𝑂𝑂𝑠𝑠𝑜𝑜𝑒𝑒𝑠𝑠ℎ𝑜𝑜𝑟𝑟𝑎𝑎 𝑂𝑂𝑠𝑠𝑜𝑜𝑒𝑒𝑠𝑠ℎ𝑜𝑜𝑟𝑟𝑎𝑎
2次の応答特性の減衰比 𝜁𝜁 [-] 0.49𝜁𝜁 𝜁𝜁 2次の応答特性のモーダル慣性 𝑀𝑀 [Nms2/rad] 216.008𝑀𝑀𝑜𝑜𝑒𝑒𝑠𝑠ℎ𝑜𝑜𝑟𝑟𝑎𝑎 𝑀𝑀𝑜𝑜𝑒𝑒𝑠𝑠ℎ𝑜𝑜𝑟𝑟𝑎𝑎
2次の応答特性のモーダル粘性係数 𝐷𝐷 [Nms/rad] 0.908𝐷𝐷𝑜𝑜𝑒𝑒𝑠𝑠ℎ𝑜𝑜𝑟𝑟𝑎𝑎 𝐷𝐷𝑜𝑜𝑒𝑒𝑠𝑠ℎ𝑜𝑜𝑟𝑟𝑎𝑎
2次の応答特性のモーダル弾性係数 𝐾𝐾 [Nm/rad] 0.157𝐾𝐾𝑜𝑜𝑒𝑒𝑠𝑠ℎ𝑜𝑜𝑟𝑟𝑎𝑎 𝐾𝐾𝑜𝑜𝑒𝑒𝑠𝑠ℎ𝑜𝑜𝑟𝑟𝑎𝑎
𝐺𝐺𝑊𝑊𝑇𝑇2(𝑠𝑠)の係数 𝑎𝑎𝑔𝑔 [kNs2/rad2] 0.003 0.0028
𝐺𝐺𝑊𝑊𝑇𝑇2(𝑠𝑠)の係数 𝑏𝑏𝑔𝑔 [kNs/rad] 0.1844 0.032
𝐺𝐺𝑊𝑊𝑇𝑇2(𝑠𝑠)の係数 𝑐𝑐𝑔𝑔 [kN] -69.656 -4.4566
定格発電機回転速度 𝜔𝜔𝑟𝑟𝑎𝑎𝑡𝑡 [rad/s] 𝜔𝜔𝑟𝑟𝑎𝑎𝑡𝑡𝑜𝑜𝑒𝑒𝑠𝑠ℎ𝑜𝑜𝑟𝑟𝑎𝑎
𝐺𝐺𝑊𝑊𝑇𝑇3(𝑠𝑠)の係数 𝑎𝑎𝑏𝑏 [kN/rad2] -5514.1 -3329.3
𝐺𝐺𝑊𝑊𝑇𝑇3(𝑠𝑠)の係数 𝑏𝑏𝑏𝑏 [kN/rad] 1354.5 550.03
𝐺𝐺𝑊𝑊𝑇𝑇3(𝑠𝑠)の係数 𝑐𝑐𝑏𝑏 [kN] 102.55 186.88
代表風速で平均的に利用されるブレードピッチ角度 𝛽𝛽𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟
[rad] 𝛽𝛽𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟𝑜𝑜𝑒𝑒𝑠𝑠ℎ𝑜𝑜𝑟𝑟𝑎𝑎
空気密度 𝜌𝜌 [kg/m3] 1.225 ロータ面積 𝜌𝜌 [m2] 𝜌𝜌𝑜𝑜𝑒𝑒𝑠𝑠ℎ𝑜𝑜𝑟𝑟𝑎𝑎
代表点でのパワー係数 𝐶𝐶𝑟𝑟𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟 [-] 𝐶𝐶𝑟𝑟𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟𝑜𝑜𝑒𝑒𝑠𝑠ℎ𝑜𝑜𝑟𝑟𝑎𝑎
代表点での発電機トルク 𝑞𝑞𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟 [kNm] 𝑞𝑞𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟𝑜𝑜𝑒𝑒𝑠𝑠ℎ𝑜𝑜𝑟𝑟𝑎𝑎
PI制御の比例ゲイン 𝐾𝐾𝑃𝑃 [s] 𝐾𝐾𝑃𝑃𝑜𝑜𝑒𝑒𝑠𝑠ℎ𝑜𝑜𝑟𝑟𝑎𝑎
PI制御での積分ゲイン 𝐾𝐾𝐼𝐼 [-] 𝐾𝐾𝐼𝐼𝑜𝑜𝑒𝑒𝑠𝑠ℎ𝑜𝑜𝑟𝑟𝑎𝑎
𝐷𝐷𝐴𝐴𝑂𝑂𝑂𝑂1(𝑠𝑠) = 0 …式(3-25)
Routh配列の成分は式(3-25)の係数より演算でき,その結果を表3-5に示す.表3-5より,浮
体式洋上風力システムのRouth配列のうち,𝑎𝑎1の符号が負であり,Routh配列の符号が変化する ことが確認できる.これは,浮体式洋上風力発電システムの浮体前後動揺特性は不安定であるこ とを示す.𝑎𝑎1は式(3-24)の右辺第2項に等しいため,下式を利用することで浮体式洋上風力発電 システムの安定性を検討できる.
𝑎𝑎1=𝐷𝐷+��2𝑎𝑎𝑔𝑔𝜔𝜔𝑟𝑟𝑎𝑎𝑡𝑡+𝑏𝑏𝑔𝑔�𝐿𝐿+�2𝑎𝑎𝑏𝑏𝛽𝛽𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟+𝑏𝑏𝑏𝑏�𝐿𝐿𝐾𝐾𝑃𝑃�3𝜌𝜌𝜌𝜌𝐶𝐶𝑟𝑟𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟𝑣𝑣𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟2𝐿𝐿 2𝑞𝑞𝑟𝑟𝑎𝑎𝑟𝑟
…式(3-26)
表3-3および式(3-26)より,風力発電システムの特性の1つを示す係数である𝑎𝑎𝑏𝑏が負であるた めに,𝑎𝑎1の符号が負となる.式(3-26)において,𝐾𝐾𝑟𝑟と𝑎𝑎𝑏𝑏が乗算されることから,VSCの影響が少 ない場合,すわなち𝐾𝐾𝑟𝑟が小さければ系は安定であることが確認できる.また,式(3-26)にはモー ダル粘性係数𝐷𝐷は含まれるが,モーダル弾性係数𝐾𝐾を含まない.このことから,浮体式洋上風力 発電システムの浮体前後動揺の安定性はモーダル弾性係数𝐾𝐾には無関係であり,モーダル粘性係 数𝐷𝐷に依存することがわかる.𝑎𝑎1が正となるモーダル粘性係数𝐷𝐷を確認した結果,表3-3に示す
(a) Nyquist線図 (b) Bode線図
図3-7. 定常条件での発電機回転角速度とナセルピッチ角度の伝達関数のNyquist線図とBode
線図:陸上風力発電システムと浮体式洋上風力発電システムの比較
表3-4. モーダル特性パラメータの比較
風力発電システムのタイプ 浮体式洋上風力発電 システム
陸上風力発電 システム モーダル慣性係数𝑀𝑀に対するモーダル粘性係数𝐷𝐷の比 0.042𝜔𝜔1𝑜𝑜𝑒𝑒𝑠𝑠ℎ𝑜𝑜𝑟𝑟𝑎𝑎 𝜔𝜔1𝑜𝑜𝑒𝑒𝑠𝑠ℎ𝑜𝑜𝑟𝑟𝑎𝑎
モーダル慣性係数𝑀𝑀に対するモーダル粘性係数𝐾𝐾の比 0.007𝜔𝜔2𝑜𝑜𝑒𝑒𝑠𝑠ℎ𝑜𝑜𝑟𝑟𝑎𝑎 𝜔𝜔2𝑜𝑜𝑒𝑒𝑠𝑠ℎ𝑜𝑜𝑟𝑟𝑎𝑎
-2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5
-1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
Real
Image
Bottom-fixed Floating
-150 -100 -50 0
10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100 101
-270 -180 -90 0 90 180
Gain [dB]Phase [deg.]
Frequency [Hz]
Bottom-fixed Floating
値の1.92 倍が必要であることが分かった.なお,表3-3 に示す通り,陸上風力発電システムに おいても𝑎𝑎𝑏𝑏が負であるが,Routh配列の符号変化がない.この理由は,モーダル粘性係数𝐷𝐷が大 きいこともあるが,ナセル代表点からナセルピッチ角度の回転中心までの距離𝐿𝐿が小さいためで ある.
本節で得られた知見を以下にまとめる.
(a) VSCによって浮体前後動揺が励起される.
(b) 浮体前後動揺のモーダル弾性係数は浮体前後動揺の安定性に影響を及ぼさない.
(c) 浮体前後動揺の要因の 1 つはモーダル粘性係数が低いことである.モーダル粘性係数の 増加で浮体前後動揺を抑制するためには,本検討で想定した値の1.92倍が必要である.
(d) 浮体前後動揺の他の要因はナセル代表点とナセルピッチ角度の回転中心との距離が長い ことである.