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第 4 章 ゲインスケジューリング機能を備えた浮体動揺制御の提案

4.7 実機試験結果

大きくすることで発電電力の変動を低減し,これによって悪化するナセルピッチ角度の変動を,

ゲイン比𝐶𝐶2を定格未満での値を定格条件よりも大きくすることで補うことができる.両値の最適 解は対象のシステムに応じて変化するが,本研究におけるシミュレーションでの最適値は,

𝐶𝐶1= 1.1,および𝐶𝐶2= 1.1であった.

タに流入する風力エネルギーが周期的に振動するためであると考える.図4-8(b)のパワースペク トル密度に注目すると,この周期的振動の成分は0.035Hz近傍であり,この値はナセルピッチ角 度の固有周波数と一致することを確認した.

表4-3. 試験に利用したFVCのパラメータ

名称 単位

条件

発電電力制限時 定格条件

200 kW 550 kW 500 kW 2000 kW

𝜁𝜁𝐹𝐹𝑉𝑉𝐶𝐶 - 0.4 0.4 0.4 0.4

𝜏𝜏𝐹𝐹𝑉𝑉𝐶𝐶 s 0.3 0.3 0.3 0.3

𝜔𝜔𝐹𝐹𝑉𝑉𝐶𝐶𝑂𝑂 rad/s 0.15 0.40 0.7 1.54

𝜔𝜔𝐹𝐹𝑉𝑉𝐶𝐶𝑟𝑟𝑎𝑎𝑡𝑡𝑎𝑎𝑒𝑒 rad/s 0.15 0.28 0.26 0.7

𝐾𝐾𝐹𝐹𝑉𝑉𝐶𝐶𝑂𝑂 - 2.04 2.45 2.45 4.07

𝐾𝐾𝐹𝐹𝑉𝑉𝐶𝐶𝑟𝑟𝑎𝑎𝑡𝑡𝑎𝑎𝑒𝑒 - 2.04 2.45 2.45 3.74

𝑃𝑃𝑂𝑂 kW 185 525 475 1850

𝑃𝑃𝑟𝑟𝑎𝑎𝑡𝑡𝑎𝑎𝑒𝑒 kW 200 550 500 2000

(a) 時系列データ (b) パワースペクトル密度

図4-8. 発電電力制限時(200kW)の試験結果

0 0 5 10 15

Nacelle wind speed [m/s]

2000 2200

-10 0 10 20

0 50 100 150 200 250

Time [s]

100 200

Electrical power [kW]Generator speed [min-1]

Nacelle pitch angle [deg]

300

2100

without FVC with FVC

107 109 1011 1013 10-2 100 102 104 106

Nacelle wind speed [m2/s]

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

Frequency [Hz]

100 102 104 10-3 10-1 101 103

Nacelle pitch angle [deg2s]

Electrical power [W2s]

10-2 Generator speed [1/s]

105

106

without FVC with FVC

次に,図4-8(a)の FVC適用時(赤色実線)に注目すると,ナセル風速,発電機回転角速度,

およびナセルピッチ角度の周期的振動が抑制されていることが確認できる.また,図4-8(b)のパ ワースペクトル密度においても,上述の0.035Hzの成分のピークが低減していることが確認でき る.この結果より,提案制御を適用することで,発電電力を200kWに制限した条件におけるナ セルピッチ角度の固有振動を抑制できることを確認した.

4.7.3 発電電力を550kWに制限した場合

図4-9に,発電電力を550kWに制限した場合の試験結果を示す.図4-9(a)は時系列データを示 し,横軸は時間,縦軸は図上方からそれぞれ,ナセル風速,発電電力,発電機回転角速度,およ びナセルピッチ角度,を示す.図4-9(b)は(a)の時系列データのパワースペクトル密度であり,横 軸が周波数,縦軸はそれぞれ図4-9(a)と同様の値を示す.また,図4-9において,黒色破線がFVC 未適用を示し,赤色実線がFVC適用時を示す.それぞれのナセル風速の平均値は8.3m/sと8.7m/s であった.なお,FVC未適用時と FVC 適用時の試験は,同日に連続して実施したものであり,

風況や海象はほとんど同様の条件であった.

図 4-9(a)より,FVC 未適用時(黒色破線)では,ほとんどの期間において発電電力を 550kW

に保持できているが,ナセルピッチ角度の振動が発生していることが確認できる.時刻500s近 傍でのナセル風速の低下により,一時的にナセルピッチ角度の振幅が低下するが,その後のナセ ル風速の上昇によってナセルピッチ角度の振動が再び発生している.これに対して,FVC 適用 時(赤色実線)に注目すると,提案するFVCにより,ナセル風速,発電機回転角速度,および ナセルピッチ角度の振動を抑制できたことが確認できる.図4-8(b)のナセルピッチ角度の固有周 波数(0.035Hz)近傍のピークに注目すると,黒色破線よりも赤色実線のピークが小さいことが 確認できる.これらの結果より,発電電力を550kWに制限した条件においても,提案するFVC はナセルピッチ角度の振動を抑制できることを確認した.

図4-10に,発電電力を550kWに制限した条件において,提案するゲインスケジューリング機 能を検証した結果を示す.図 4-10(a)は時系列データを示し,横軸は時間,縦軸は図上方からそ れぞれ,ナセル風速,発電電力,発電機回転角速度,およびナセルピッチ角度,を示す.図4-10(b) は(a)の時系列データのパワースペクトル密度であり,横軸が周波数,縦軸はそれぞれ図 4-10(a) と同様の値を示す.また,図4-10において,黒色破線がゲインスケジューリング機能のないFVC 適用時を示し,赤色実線が提案するゲインスケジューリング機能を備えたFVC適用時を示す.

それぞれのナセル風速の平均値は6.4m/sと6.6m/sであった.これらの平均値の近傍でナセル風 速が変化した場合,発電電力が550kW未満での運転と,550kWを保持する運転を交互に繰り返 す.なお,FVC未適用時とFVC適用時の試験は,同日に連続して実施しており,風況や海象は ほとんど同様の条件であった.

図4-10(a)に注目すると,FVCを適用したとしても,ゲインスケジューリング機能がない場合

(黒色破線)には,発電電力,およびナセルピッチ角度に周期的な振動があることが確認できる.

これに対し,ゲインスケジューリング機能を適用した場合(赤色実線)では,上述の振動が抑制

されていることが確認できる.図 4-10(b)に注目すると,黒色破線では,ナセルピッチ角度の固 有周波数近傍の成分のピークが高いが,赤色実線ではそのピークが減少していることが確認でき る.これらの結果より,提案するゲインスケジューリング機能は,発電電力が定格条件と定格未 満を交互に行き来する運転条件におけるナセルピッチ角度の振動を抑制できることを確認した.

4.7.4 定格条件(発電電力が500kW,および2000kW)

図4-11,および図4-12に,提案するFVCを適用した場合の,発電電力が定格条件を維持でき

る風速での試験結果を示す.図の横軸は時間,縦軸は図上方からそれぞれ,ナセル風速,発電電 力,発電機回転角速度,およびナセルピッチ角度,を示す.また,図4-11,および図4-12はそ れぞれ,発電電力を500kW,2000kWと設定し,発電機回転角速度を1600min-1,2098min-1に設 定した.これらの設定値において,定格風速はそれぞれ7m/s,12m/sである.なお,図4-11,お よび図4-12のナセル風速の平均値は12m/s,および15m/sであった.

図4-11,および図4-12より,提案するFVCを適用することで,定格風速を超える運転条件に

おいても,ナセル風速,発電電力,発電機回転角速度,およびナセルピッチ角度の周期的振動は 見られず,安定した発電運転を実行できることが確認できる.