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第 3 章 民間企業における PPP と事業評価

3.2. 民間企業における PPP の事業評価

前節から、民間企業を

PPP

参入に促すには、民間企業がどのような方法で

PPP

事業を評 価して、収益性の有無を判断しているのか整理し、理解することが必要だといえる。

中村ら[2017]によれば、民間事業の場合には、図 3-1に示す通り、供給者効果の中でも、

金銭的に取引される収入や支出に着手した財務評価が主になるという。

(出所)中村ら[2017],p.232

3-1

インフラストラクチャー投資効果の分類と官民の着眼点

PPP

において、民間事業者が要求する投資の収益性は、「Project IRR(PIRR)および Equity

IRR(EIRR)

」(JICA[2005],p.1-35)といわれる。同様に、「インフラ事業のリターンはイ

ンフラファンド関連の資料をみても、外国政府が行うインフラプロジェクトの競争入札用 資料をみても、

IRR

で記載」(今泉[2011])されるケースが多いことから、民間企業では

PPP

について、IRR(内部収益率)を評価指標として用いているといえる。中村ら[2017]は、

IRR

が重視される理由に、

IRR

の値が事業規模の大きさに依存せず、資金調達コスト(例え ば

WACC

など)との比較が容易であることを挙げている。

民間企業は、

PPP

の評価にあたってディスカウント・キャッシュフロー法(DCF法)を用 いる。将来キャッシュフローを見積り、図 3-2のような財務モデル(キャッシュフローモデ ル、ファイナンシャルモデル)を作成して、

IRR

や、各期の純現金収益を割引率で割り引い た現在価値の合計から投資金額を引いて算出する

NPV(ネット・プレゼント・バリュー。

正味現在価値」や「純現在価値」ともいわれる)といった指標を算出して、単独もしくは複

3

民間企業における

PPP

と事業評価

数の財務的指標から総合的にプロジェクトの定量的評価を行うのである

39

(注)横軸には時間軸、縦軸には収入や費用に関する項目などが入る。複雑なものは、複数のシ ートで構成されることもある。

(出所)著者作成

3-2

キャッシュフローモデルの例

NPV

は、プロジェクトから得られるキャッシュフローの現在価値から、プロジェクトの 投資金額の現在価値を差し引いた金額から求めることができる。従って、プロジェクトの実 施の検討において、

NPV

がプラスであれば、「プロジェクトを実施すべき」という判断がで きることになる。また、NPVは金額で表示されるため、NPVが大きい方が経済的価値も大 きいといえることから、NPV を比較して、異なるプロジェクトの経済的価値を比較するこ とができる。(グロービス[2001])

一方、IRR は「NPV がゼロになる割引率」である。与えられたキャッシュフローに対し て、割引率を決めて現在価値を求めるのが

NPV

であり、現在価値を

0(ゼロ)と決めて割

引率を求めるのが

IRR

ということになる。

IRR

をハードルレート(資本コスト)

40

と比較し

39 IRR

NPV

のほかにも、投資金額が何年で回収されるかを算出する投資回収期間、投資金額

から得られる利益の割合を算出する

ROI(投資利益率)などがあり、特定の一指標を用いるよ

りは、複数の指標を総合的に勘案して判断する方が一般的である。

40

ハードルレート(Hurdle Rate)は、文字通り、ある投資案件に対して求める最低限の収益率の ことで、プロジェクトの実施場所(国や地域)、期間、規模(事業や出資)、通貨(いわゆる

3

民間企業における

PPP

と事業評価

て、

IRR

の方が高ければプロジェクトを実施するという判断ができる。(グロービス[2001])

表 3-1は、NPVと

IRR

について整理したものである。

3-1

財務効率性(財務分析)に係る投資判断基準

指標 算出方法 投資判断基準(閾値)

純現在価値

NPV

フリーキャッシュフローの現在価値

(収入の現在価値-費用の現在価値)

純現在価値がプラス

NPV

0

) 財務的内部収益率

(FIRR)

収入の現在価値と費用の現在価値が 一致する割引率

財務的内部収益率が割引率 より大(FIRR>WACC)

(出所)中村ら[

2017

],

p.243

米ドルなどのハードカレンシーか新興国の現地通貨か)、カウンターパートなど、評価対象と なるプロジェクトの性質や想定されるリスクによって異なる。中村ら[

2017

]は、「

5

%程度と する企業もあれば、収益性の高い事業を行っている企業では

7~8%、外資系企業では 10%や 12

%といった値を設定する場合もある」と説明する。一方、海外であれば一般的に、基準値と して用いられる

IRR

は、実施判断の目安が

10%強の水準といわれ、JICA

[2005]によれば「投 資家の目標水準(リスク込み)

15

%~

20

%以上」だという。また、瀧[

2006

]によれば、

IRR

の 平均は、PFI事業:9~14%、有料道路(成熟期):8~12%、有料道路(建設期):12~16%な どとある。また、「財務的指標の水準は、

PPP

事業やリスク負担の内容により異なるが、開発 途上国には国としてのリスクが上乗せされるため、一般に要求される収益水準よりも高め」

JICA

2005

])になることが多いという。

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民間企業における

PPP

と事業評価