NAGASE WAY
各務原工場第 1 期全面更新工事完成 1988:〈MST〉が通商産業省グッドデザイン商品に選定
1991:〈MST〉がハノーヴァ・メッセ"iF-優秀工業デザイン賞"を受賞 〈MOL〉が通商産業省グッドデザイン商品に選定
1992:関工園事務棟・ホール棟が完成
1993:〈MOL〉〈MHW〉〈MHS〉がハノーヴァ・メッセ"iF-優秀工業デザイン賞
"を受賞。関工園事務棟・ホール棟が日経ニューオフィス推進賞<通 商産業大臣賞>および"中部建築賞"を受賞
1994:関工園が通商産業省グッドデザイン施設(第 1 回)に選定 1997:関工園に自社機械の開発・製作を行う工場が完成 機工部事務棟"MEME Center"および"元気亭"が完成 1998:"MEME Center"および"元気亭"が"中部建築賞"を受賞 2000:ISO9001・ISO14001 全社統合同時認証取得
2001:鍋屋バイテック株式会社(通称:鍋屋バイテック会社)に社名を変更 2002:〈MSMA〉がグッドデザイン商品に選定
事業内容
プーリー、シャフトカップリング、ハンド ル・レバー、特殊ねじ、など各種機械要素 の製造・販売および関連ソフトウェアの開 発・販売
主な取引先
キヤノン、ソニー、ファナック、マザック、日本電気、
トヨタ自動車、三菱重工業、三菱電機、日立製作所、
東芝、松下電器産業
注)今回の調査対象会社「(株)ナベヤ」と同じ、
1560 年に岐阜市金屋町にて鋳造業を始めた「鍋
同社が開発した製品は、そのいくつかが、国内ではグッドデザイン商品(G マーク商品)
に選定され、海外でもドイツのハノーヴァ・メッセで「iF 賞」の最優秀賞を受賞するなど、
注目を集めている。
また同社は、多品種少量の時代と呼ばれる以前から進めてきた数多くの製品の標準化、
品質保証の徹底、即納体制の強化、セールスエンジニアの育成など、 ものづくり の原 点を大切にし、「業界でのトップシェア」、「No.1 の品揃え」、「信頼のブランド NBK」をキャ ッチフレーズに、独創的な製品づくり、品質保証・サービス体制の強化に努めてきた。
2.鍋屋バイテックの ものづくり 技術
鍋屋バイテックの今日の基礎を築いたのは、各種一般産業機械・自動車・電機などに使 われるプーリーの製造である。このプーリーには、「鍋屋」伝統の鋳造技術が生かされ、圧 倒的な高品質、かつコスト競争力のある製品を市場に出した。その結果、現在では、日本 国内で 70〜80%の圧倒的なシェアを有し、顧客信頼度 No.1 を獲得している。現在、プーリ ー・シャフトカップリングなどの鋳物製品は、売上げの約 40%を占める。
同社は、プーリーのほか、ミニチュアシャフトカップリング(小型精密軸継手)・ハンド ル・レバー・特殊ねじなどの商品を開発し、その用途は半導体製造装置・液晶製造装置・
医療機器・光学機器・食品機器などと多方面にわたり、その製品レベルの高さにより、確 かな信頼を獲得し、好調な販売成績をあげている。
さらに、「多品種少量生産」、「即納体制」、「製品の品質保証の徹底」、「自前の機械づくり による安い製品原価の実現」など、卓越したものづくり技術、顧客満足の商品づくりと、
従業員満足・地域社会との共生を目指した「工園(=工場公園)づくり」など、優れた経 営理念を基に、継続的な変革により、安定した経営と独創的な企業文化を築いた[1]。
鍋屋バイテックの経営の原点は顧客満足にある。多様なユーザーの多種多様な要求に応 える製品を、いかに素早く顧客に提供できるか、を常に追求する。部品 1 個でも、翌日に は顧客の手元に届ける。在庫がない、特殊な製品でも、短時日で納入する。経営の視点を、
こうした顧客満足に置き、その実現のために、機械はどうあるべきか、ラインはどうある べきか、ロジスティックスはどうあるべきか,を徹底して考えるのである。
鍋屋バイテックのものづくりを支える重要なポイントは、自社のものづくりに最適の機 械を自前でつくることにある。鍋屋バイテックでは、設備のほとんど全てを自社で開発・
設計・製作している。それは同時に設備投資額の低減になる。たとえば、中古の旋盤を購 入し、その架台に自社で開発・製作した NC 制御機構を取付けるのである。これで NC 旋盤 ができあがる。しかも,この NC 旋盤は、自社の製品とその生産にもっとも適した、必要で 十分な機能・性能・スピードを備えている。製作費用は、新規に購入した場合に比べて、
約 1/10 程度という。
このようにして設備投資コストを最低水準に抑えることができることは、製品のコスト 競争力を増し、経営の安定化に大きく貢献する。同時に、生産設備と生産技術の高度化・
効率化を進めることで、他社の追従を許さない優れた品質の商品群および強い価格競争力 を同時に生み出している。
こうした鍋屋バイテックの ものづくり 技術や生産システム・在庫管理などを以下で 順次紹介していく。
2.1 「多品種少量生産」の製品
<プーリー>
プーリーは、鍋屋バイテック[1]が会社設立後の比較的早い段階(1947 年)から手がけた、
基幹となる製品である。そして、日本のプーリーの歴史は同社がつくってきた、といって 良い。
現在、プーリーは、空調機・送風機・ポンプ・食品機械・化学機械・包装機械・繊維機 械・印刷機械・紙工機械・製本機械・窯業機械など、「原子力から天津甘栗まで」さまざま な用途に幅広く使用されている。
プーリーは、同社が生産を始めた 1947 年以降、高度経済成長時代には少品種大量生産で あったが、市場の広がり・需要の多様化とともに次第に多品種少量生産へ移行してきた。
そこで、同社は 1,000 個以上の注文は断り、同社主導で製品価格を決めることのできる 1
〜100 個程度の注文に積極的に応じることとし、多種・多様な要求に応えることで、他社が マネのできない技術を蓄積するとともに、顧客主導(顧客プル)の製品提供へと、企業体 質を変えた。現在では、プーリーは、直径(15mm〜1,250mm)・溝形状・溝本数などの異 なった膨大な組合せとなっている。
そして少量かつ多種多様な仕様に対して、顧客満足度を上げるために即納体制を作り上 げた。つまり、販売実績を参考に、ある程度(製品によって差があるが、20〜30 個程度)
の在庫を常に持つ。そして、一定在庫を割ったときに順次補充する。つまり顧客要求があ った分だけ作るという、顧客主導のプル方式、つまり「トヨタ生産方式」を採用している のである。
このように、一定在庫を確保するやり方であるが、一方、プーリーの製造は、上述のよ うに、注文に応じて 2〜3 日で納入できるようにした。このため、もし在庫以上のオーダー があったときにでも、短時間で顧客に納入することができるわけである。
写真 1 は「プーリーのアンバランス検査」を撮ったもの。また、写真 2 は自社で NC 制御 に改造した旋盤である。
写真 1. プーリーのアンバランス検査 写真 2. プーリーの加工(NC 旋盤)
<プランジャ>
鍋屋バイテックでは、プランジャをすべて専用自動ラインで製造している。機械は、材 料のステンレス材の加工から、部品の組付け、完成品の性能の測定・検査といった後処理 まで、全工程を自動化したコンピュータ管理の自動機であり、同社が独自に開発・製作し たものである。
ミニボールプランジャは、位置ぎめや割 出しに利用される製品であり、精度と耐久 性が求められる。
たとえば半導体製造装置の部品として過 酷な条件で使用されるため、5×106回(常 温)程度の長期使用を保証している。また、
1
個ずつ、全自動で、最小荷重・最大荷重お よびストロークの確認を行い、性能を保証している。 写真
3.
製品(ミニボールプランジャ)[1]写真
5.
プランジャ製造自動機が並ぶ 写真4.
プランジャ製造自動機(鍋屋バイテック社内で撮影) (鍋屋バイテック社内で撮影)
(鍋屋バイテック社内で撮影)
(鍋屋バイテック社内で撮影)
2.2 自社機械開発について
プーリー・シャフトカップリング(軸継手)・特殊ねじなどを製造する同社は、古くなっ た加工機や、中古の工作機械などを購入し、自社内で NC 化などの改造を行うことで、設備 投資の低減を図っている。たとえば NC 制御旋盤は、新規購入なら 2,000 万円〜3,000 万円 はするが、中古の旋盤に FANUC 製の制御装置(100 万円程度)を取付けて改造すれば、新規 購入と同じものを約 1/10 の価格で手に入れることができる。
製造業の場合は、一般には、最新鋭の NC 工作機械を導入して、作業時間の短縮や作業者 の削減を図り、価格競争力を付けようとするのであるが、この場合、長期にわたって多額 の減価償却負担がかかり、経営を圧迫する要因になる。鍋屋バイテックの場合は、製品の 製造に不可欠な設備・装置を、低額の設備投資でまかなうことができるため、収益を圧迫 することはなく、また、製造原価の低減を図ることができる。
自社で機械を開発・設計・製作することで、画期的な生産工程の改革も実現可能となる。
複数の加工工程を 1 台の機械に一元化することで、省人化と加工工数の大幅な低減が可能 となる。品質管理の点でも、1 個 1 個が均一でしかも品質の安定した製品を作ることができ るようになる。たとえば、従来は 6 台の機械・6 人の作業者で行っていた加工を、「NC 制御 プーリー自動加工機」では、1 人が 1 台の機械ですべてを行うことができるようになった。
同社にとって、このような自機(自社機械)開発は、ミニマム設備投資・ミニマム作業 者を実現するためにも、また、多様なニーズと少量注文への即時対応、顧客満足の極大化 のためにも、重要な意味合いを持つ。
写真
6.
中古機械をNC
化する 写真7.
中古機械を改造したNC
旋盤(鍋屋バイテック社内で撮影)
(鍋屋バイテック社内で撮影)