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数学的性質

ドキュメント内 早稲田大学大学院情報生産システム研究科 (ページ 105-112)

第 7 章 ガウス分布回転体ベースのランダム曲面モデル

7.3 数学的性質

ガウス分布の回転体を並べることにより,ランダム曲面を生成できることを示した.これから このランダム曲面の数学的性質を調べて行く.ただし,話を簡単にするために,1 次元のモデル

(ランダム曲線)で説明する.また実際の話,1 次元のモデルでも十分説明できる.ガウス分布 の回転体の任意の断面はガウス分布であり(図7.4),ガウス分布同士の加算もガウス分布になる.

よって,ランダム曲面(図7.3)の任意の断面はランダム曲線(図7.1)と同じ性質を持つ.ラン ダム曲線は式(7.3)となる.ここでaiはガウス分布に従う独立な乱数である(σ= 1).積算の範囲 が±∞になっているが,実用的には有限で良い.dはガウス分布の配列間隔である.

} 2 / ) ( exp{

)

( 2

4





i

i x id

d a x

f

(7.3)

z

0

0 .0 7 0 .1 4 0 .2 1 0 .2 8 0 .3 5 0 .4 2 0 .4 9 0 .5 6

x

y

0

0

3

-3 0

3 -0.56

図7.4 ガウス分布の回転体の断面

ランダム曲線の観測点の定義をする.図 7.5 にそれを示す.二つの対称点と,一つの非対称点 が定義される.第1対称点はガウス分布にとっての対称点となっている.第2対称点はガウス分 布のアレイとしての対称点である.そしてこれらの中間に非対称点が定義される.以後の分析は,

これらの3点の特性を比較して行く.特にdの大小による特性の違いに着目する. dが大きい場 合,ランダム曲線は荒くなり,一様性が低下する.逆に小さい場合は一様性が良くなる.ただし dを過剰に小さくすると計算量が多大になるので,dの値には適切な範囲がある.

x y

1st symmetry point Asymmetry point

2nd symmetry point d

図7.5 観測点の定義

ランダム曲線のばらつき幅(σ)を観察する.式(7.5)がそれを表す.観測点によってxの値が 変わることに注意が必要である.

) 2 / exp(

)

( 4 d x2

x

f  

(7.4)

2

0

{ ( )}



i

id x

f (7.5)

1st-symmetry point : x = 0 Asymmetry point : x = d/4 2nd-symmetry point : x = d/2

σ0は式(7.5)のばらつき幅(微分0次)を示しているが,ばらつき幅の微分値も観測できる.式(7.7) がそれを示している.nは微分の次数である.

)}

2 / {exp(

)

( 4 x2

dx d x d

f n

n

n  

(7.6)

}2

) (

{



i n

n f x id

(7.7)

1st-symmetry point : x = 0 Asymmetry point : x = d/4 2nd-symmetry point : x = d/2

表7.1にばらつき幅およびばらつき幅の微分値を示す(6次まで).この表ではd = 0.25で求め ているので,十分に一様性が取れた状態の数値である.上段はσnを表しているが,下段はσn/n! に 変換してある.これはランダム曲線に対する実際の寄与度を表している.よって下段の数値が実 際の評価指標になる.次数0では振幅(σn/n!)が1であるが,次数の増大と共に,振幅は急速に 小さくなって行き,次数6では0.018まで縮小した.よって,高次の次数では波形への寄与度が 非常に小さくなっていることが分かる.

表7.1 ばらつき幅およびばらつき幅の微分値

d = 0.25

0 1 2 3 4 5 6

1 0.707 0.866 1.369 2.562 5.434 12.744 1 0.707 0.433 0.228 0.107 0.045 0.018 σn/n!

σn

n

表 7.1の下段をグラフ化し,d に対する依存性を調べる(図7.6).グラフの見易さのため,二 つに分けて表示した.dが1を超えるところでは値が乱れて一様性がない.d = 1では実使用上十 分な精度が得られる.実効的な誤差は0.1%以下であった.d = 0.5における振幅は,いずれの次数 においても,ほぼ完全に収束することが確認された.

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2

0 0.5 1 1.5 2 2.5

0 0.1 0.2

0 0.5 1 1.5 2 2.5

d

1st-symmetry point 2nd-symmetry point Asymmetry point n = 0

n = 1

n = 2 n = 3

n = 4 n = 5 n = 6

! n

n

図7.6 ばらつき幅およびばらつき幅の微分値のd依存

次にランダム曲線の微分値間(0次を含む)の相関係数を調べる.次数m(m = 0~6)と次数n

(n = 0~6)の間の相関係数は式(7.9)で表せる.kは微分の次数を示している.表7.2にd = 0.25 の場合の相関係数のマトリックスを示す.

)}

2 / {exp(

)

( 4 x2

dx d x d

f k

k

k  

(k=0~6) (7.8)

n m

n i

m mn

id x f id x f

 





) ( ) (

(7.9)

1st-symmetry point : x = 0 Asymmetry point : x = d/4 2nd-symmetry point : x = d/2

表7.2 ばらつき幅の微分値の相関関係 d = 0.25

0th 1st 2nd 3rd 4th 5th 6th

0th 1 0.000 -0.577 0.000 0.293 0.000 -0.147 1st 0.000 1 0.000 -0.775 0.000 0.488 0.000 2nd -0.577 0.000 1 0.000 -0.845 0.000 0.595 3rd 0.000 -0.775 0.000 1 0.000 -0.882 0.000 4th 0.293 0.000 -0.845 0.000 1 0.000 -0.905 5th 0.000 0.488 0.000 -0.882 0.000 1 0.000 6th -0.147 0.000 0.595 0.000 -0.905 0.000 1

表7.2をグラフ化し,dに対する依存性を調べる(図7.7,図7.8).グラフの見易さのため,二 つに分けて表示している. dが1を超えるところでは相関係数が不安定になり,実用的ではない.

d = 1では実用的な精度が得られる.一部変動の大きいもの(図7.8の*)もあるが,高次の項は

影響が少ないので問題ではない(図7.6の下側).d = 0.5ではほぼ完全に収束する.

次に自己相関について議論を進める.図7.9に考え方を示す.ランダム曲線上に距離r離れた2 点間a, bの相関が自己相関の距離依存となる.r1のように近い場合は相関係数が1に近づき,r2 のように遠い場合は相関係数が0に近づく.

-1.2 -1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

0 0.5 1 1.5 2 2.5

1st-symmetry point 2nd-symmetry point Asymmetry point Unstable area

Practical Accurate area

area Correlation coefficient

d

1st-5th 0th-4th

0th-6th

0th-2nd 1st-3rd 0th-1st, 0th-3rd,0th-5th 1st-2nd, 1st-4th,1st-6th

図7.7 相関係数のd依存(1/2)

-1.2 -1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

0 0.5 1 1.5 2 2.5

1st-symmetry point 2nd-symmetry point Asymmetry point Correlation

coefficient

d

2nd-6th

2nd-4th 4th-6th

3rd-5th 2nd-3rd, 2nd-5th,3rd-4th 3rd-6th, 4th-5th,5th-6th

5th-6th

4th-5th 3rd-6th

*

*

*

Unstable area Practical

Accurate area area

図7.8 相関係数のd依存(2/2)

x y

a b

r r1

r2

図7.9 自己相関の考え方

自己相関の距離依存(ρ(r))は式(7.11)で与えられる.この式をグラフ化したものを図7.10に示

す.図7.10(a)はd = 2の場合のものであり,観測点により値が変動する.d = 2では一様性がない.

d = 1.5の場合はわずかに揺らぎがある.d = 1では実用上十分な精度(Error < 0.2%)が得られる.

) 2 / exp(

)

(x 4 d x2

f  

 (7.10)

2 0

) (

) ( )

(

id r x f id x f r i





(7.11)

1st-symmetry point : x = 0 Asymmetry point : x = d/4 2nd-symmetry point : x = d/2 σ0 = 1

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

0 1 2 3 4 5

1st-symmetry point 2nd-symmetry point Asymmetry point Correlation coefficient

Ideal curved line d = 2

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

0 1 2 3 4 5

Correlation coefficient d = 1.5

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

0 1 2 3 4 5

Correlation coefficient

r

d = 1 r

r

1st-symmetry point 2nd-symmetry point Asymmetry point

Ideal curved line

1st-symmetry point 2nd-symmetry point Asymmetry point

Ideal curved line

(c) (a)

(b)

図7.10 自己相関の距離依存

式(7.11)には,d → 0における極限値(理論曲線)がある.それを以下に示して行く.式(7.11) の積算区間は±∞であるので式(7.12)に書きなおせる.d → 0, id = t とすると式(7.13)の理論曲線 が得られる.

) ( ) ( )

(r f id f id r

i









i

r id d id

] 2 / } ) ( ) {(

exp[ 2 2

(7.12)

dt r

t

t  

 1 exp[ {( )2 ( )2}/2]

dt r

tr

t  

 1 exp{ ( 2 2/2)}

dt r

t r

  

 1 exp{ ( /2) }

) 4 /

exp( 2 2

) 4 / exp(r2

 (7.13)

最後にこのランダム曲面の応用について提案する.今までランダム曲線で説明してきたが,こ こからはランダム曲面の説明に戻る.ランダム曲面は式(7.2)で表すことができる.この式での,

ガウス分布の回転体(図7.2(a))の広がりはσ = 1であった.振幅(σ)も1である.この式に対 して,広がりと振幅を自由に設定できるようにする.それは式(7.14)で表される.σが広がりを表 し,Aが振幅を表す.

 









i j

ij x id y jd

Ad a x

f( ) exp[ {( )2 ( )2}/(2

2)]

(7.14)

このランダム曲面には,曲面構成の自由があり,色々な応用を考えることができる.応用例を二 つ示す.図7.11は図7.3のランダム曲面(σ = 1,A = 1)に対し,σ = 0.2,A = 0.2のランダム曲面 を重ね合わせたものである.図7.12は図7.3のランダム曲面の外周部を取り出したものである.

その取り出し方は図7.13の要領で行った.この他にも様々な応用を考えることができる.このよ うな応用は,実際のシステマティックばらつきの様々なケースに対しての検証に有益である.

0 2

4 6

8 100

2 4

6 8

10

- 3 - 2 . 2 5 - 1 . 5 - 0 . 7 5

0

0 . 7 5 1 . 5 2 . 2 5

3

2.25-3 1.5-2.25 0.75-1.5 0-0.75

3

-3 0

z

x

y

図7.11 応用例1

0 2

4 6

8 100

2 4

6 8

10

- 3 - 2 . 2 5 - 1 . 5 - 0 . 7 5

0

0 . 7 5 1 . 5 2 . 2 5

3

2.25-3 1.5-2.25 0.75-1.5 0-0.75

3

-3 0

z

x

y

図7.12 応用例2

x

y d

d d=1

(0, 0)

(10, 10)

回転体あり 回転体なし

図7.13 外周部の取り出し方法

しかし一方で,これらの応用には課題も残されている.実際のシステマティックばらつきの特 性をモデルとどう対応させるかという問題である.実際とモデル,いずれもランダムに変化する もの同士を,どのようにしてその等価性を保証するのか? 実はこれは難問である.ランダムな もの同士の等価性の証明に関しては,今後の検討を必要とする重要な課題の一つである.

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