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実データの特性

ドキュメント内 早稲田大学大学院情報生産システム研究科 (ページ 118-122)

第 8 章 ランダム曲面モデルの空間相関表現と LSI デザインへの応用

8.5 実データの特性

これより,実際の素子の特性(相関係数の距離依存)を観察する.観測の手順を以下に示す.

まず測定データ(図 8.6(a):このデータはチップ内平均値に対する差分のみを示す)に4次多項 式(式(8.35))をフィッティングし,ばらつきのシステマティック成分(図8.6(b))を得る.

Z(x,y) = a0 + a1 x + a2 y + a3 x2 + a4 xy + a5 y2 + a6 x3 + a7 x2y + a8 xy2 + a9 y3 + a10 x4

+ a11 x3y + a12 x2y2 + a13 xy3 + a14 y4 (8.35)

データの対称性を確保するために,図8.6(b)の値を反転させたデータ(図8.6(c))を生成させる.

次にこれらの配列(図8.6(b),図8.6(c))を正規化する(図8.7(a)).この正規化した測定データ に対し,2点の組を多数サンプリングする(図8.7(b)).サンプリング点数はチップ毎に5千点と した.データの正転,反転,チップ数から,全サンプリング数は51万点となる.この51万の距 離と値の組から,相関係数の距離依存が求まる.

0

1 5

0

1 5

- 1 - 0 .7 5 - 0 .5 - 0 .2 5

0

0 .2 5 0 .5 0 .7 5

1 0

1 5

0

1 5

- 1 - 0 .7 5 - 0 .5 - 0 .2 5

0

0 .2 5 0 .5 0 .7 5

1

x Variation(a.u.) y 0

15 15

x 0 Variation(a.u.) y 0

15 15

0

(b) フィッティング結果 (a) 測定データ

0

1 5

0

1 5 - 1

- 0 .7 5

- 0 .5

- 0 .2 5

0

0 .2 5

0 .5

0 .7 5

1

x Variation(a.u.) y 0

15 15

0 (c) 反転データ

× (-1)

図8.6 測定データの処理

(a) 正規化 (b) サンプリング

(1,1)

(1,-1) (-1,1)

(-1,-1)

x y

16 × 16 matrix

x y

図8.7 データの正規化とサンプリング方法

実データを観測する前に,リファレンスとなる図を用意する.図 8.8 にそれを示す.このデー タは図8.2と同じ方法で導出したものである.ただし式(8.31)~(8.34)から0次の項(a0R0(x,y))を 省いてある.測定データがチップ平均からの差分であることに合わせて,ランダム曲面モデルも チップ内平均が 0になるようにした.サンプル数も107個に上げ,結果のデータにスムージング 処理をしてある.図中の数字は関数の次数を示す.このデータをリファレンスとして,個々の素 子の相関係数の距離依存を重ね書きする.これから示すグラフの“点付き太線”が素子のデータ である.

-1.2 -1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 1.2

0.8 0.4 0.0 -0.4 -0.8

Correlation coefficient -1.2

Distance

N= 107

1 2

3 4 1

4

図8.8 リファレンスデータ

実データの観測結果を図8.9に示す.順次各特性を議論して行く.

・図8.9(a):第2配線層の最小ピッチ配線の容量

主に隣接配線間容量を表している.距離が短いところでは3次の線に近く,

長い部分では2次の線に近い.

・図8.9(b):第2配線層と第1配線層の間の容量

主に層間容量を示している.図8.9(a)とほぼ同様の特性傾向である.

図8.9(a),図8.9(b)のような特性が観測されるのは,これらの測定データに図8.10(a)のような形

状が多く見られるためである.全体的に2次関数に近い形状を持ちながら,外周付近でやや急な カーブを描いている.

・図8.9(c):第2配線層と第3配線層の間の容量

主に層間容量を表している.比較的1次の線に近い特性傾向を示している.

・図8.9(d):MOS構造のゲート入力容量

図8.9(c)と同様に,1次の線に近い特性傾向を示している.

図8.9(c),図8.9(d)のような特性が観測されるのは,これらの測定データに図8.10(b)のような形

状が多く見られるためである.曲面成分の少ない平面的な形状である.

・図8.9(e):第2配線層の最小ピッチ配線の抵抗

図8.9(a)と同様の特性傾向を示す.

・図8.9(f):第2配線層の幅広配線の抵抗

2次の線に近い特性傾向を示す.

・図8.9(g):nMOSのIds

3次あるいは4次の線に近い特性傾向を示す.

(g) IDS (nMOS L/W = 90nm/1.5μm)

(d) C (nMOS L/W = 90nm/1.5μm)

(e) R (Metal-2 line and space) (f) R (Metal-2 wide line) (c) C (Metal-2 to Metal-3)

(a) C (Metal-2 line and space) (b) C (Metal-2 to Metal-1)

-1.2 -1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 1.2

0.8 0.4 0.0 -0.4 -0.8

Correlation coefficient -1.2

Distance

N= 5×105

-1.2 -1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 1.2

0.8 0.4 0.0 -0.4 -0.8

Correlation coefficient -1.2

Distance

N= 5×105

-1.2 -1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 1.2

0.8 0.4 0.0 -0.4 -0.8

Correlation coefficient -1.2

Distance

N= 5×105

1 2

3 4 1

4

1 2

3 4 1

4

1 2

3 4 1

4

-1.2 -1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 1.2

0.8 0.4 0.0 -0.4 -0.8

Correlation coefficient -1.2

Distance

N= 5×105

-1.2 -1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 1.2

0.8 0.4 0.0 -0.4 -0.8

Correlation coefficient -1.2

Distance

N= 5×105

-1.2 -1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 1.2

0.8 0.4 0.0 -0.4 -0.8

Correlation coefficient -1.2

Distance

N= 5×105

1 2

3 4 1

4

1 2

3 4 1

4

1 2

3 4 1

4

-1.2 -1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 1.2

0.8 0.4 0.0 -0.4 -0.8

Correlation coefficient -1.2

Distance

N= 5×105

1 2

3 4 1

4

図8.9 実データ(素子)の特性評価結果

(c) Sample 3

(a) Sample 1 (b) Sample 2

-1 0 1

-1 0

1 -1.0-0.8

-0.5-0.30.00.3 0.80.5 1.0

1 0

-1

1 0 -1 -1

0 1

x y

-1 0 1

-1 0

1 -0.8-1.0

-0.3-0.50.50.30.0 0.8 1.0

1 0

-1

1 0 -1 -1

0 1

x y

-1 0 1

-1 0

1 -0.8-1.0

-0.3-0.50.50.30.0 0.8 1.0

1 0

-1

1 0 -1 -1

0 1

x y

図8.10 測定波形サンプル

図8.9(g)のような特性傾向は,元の測定データにおいて,ランダム成分が支配的(図8.10(c))な

場合に生じる固有な現象である.(この現象は第5章2節「4次多項式近似と擬似システマティッ ク成分」の図5.2に示されている,擬似システマティック成分の発生原理と同じである.) 実デ ータの評価時において,ランダム成分が支配的な場合は,真のシステマティック成分がランダム 成分に埋もれて,検出が難しくなるので注意を要する.

表8.1に観測結果をまとめる.多くの観測データは,やや2次の傾向を含む1次の特性傾向か,

やや3次を含む2次の特性傾向を示した.しかしながら,この観測結果は,ある1枚のウェハ上 の 51チップを評価したに過ぎず,実際の LSI製品の一般的傾向を示しているものではない.よ り多くのサンプルを評価すれば,様々な特性傾向が観測されると予想される.

表8.1 観測結果のまとめ

Here, “~” means “lesser tendency.”

Drain current Wiring resistance

Wiring capacitance

Metal-2 line and space Between metal-2 and -1 Between metal-2 and -3 Gate

capacitance

Metal-2 line and space Metal-2 wide line nMOS L/W = 90nm/1.5μm nMOS L/W = 90nm/1.5μm

Tendency

Item Structure of curved

surface

1nd (~2nd) 2nd (~3rd) 2nd (~3rd)

3rd (~4th) 2nd (~3rd) 2nd (~3rd) 1nd (~2nd)

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