第 13章
14.3 摂動論
(ただしZ0[Jiκ= 0] = 1,Z0[σa= 0,σ¯a = 0] = 1,Z0[Si= 0,S˜i= 0] = 1)として,
Z0[Jiκ, σa,σ¯a, Si,S˜i] =Z0[Jiκ]Z0[σa,σ¯a]Z0[Si,S˜i] と分解される.
各自由場の生成汎関数はQEDの場合と同様,次のように評価される.
• 自由なグルーオン場の生成汎関数 Z0[Jiκ] = exp
(
−i
2[JiκDFijκλJjλ] )
, DκλFij(x) =δijDFκλ(x) :グルーオンの伝播関数.
• 自由なクォーク場の生成汎関数
Z0[σa,¯σa] = exp (−i[¯σaSFabσb]), SFab(x) =δabSF(x) :クォークの伝播関数.
• 自由なゴースト場の生成汎関数 Z0[Si,S˜i] = exp
(−i[Si∆FijS˜j] )
, ∆Fij(x) =δij∆F(x) :ゴースト(粒子)の伝播関数.
– ただし∆F(x)は中間子伝播関数(3.59)において質量をゼロとおいたものである.
14.3.3結節点因子 1次の摂動論では
⟨ABC· · ·⟩=i
∫
d4x⟨LI(x)(ABC· · ·)⟩0
と な る[QED の 場 合 と 同 様 ,LI の ゼ ロ 次 の 項 は ゼ ロ と な る ].Wick の 定 理 を 適 用 し た と き に
⟨LI(x)(ABC· · ·)⟩0 が ゼ ロ に な ら な い 場 の 組 合 せ A, B, C,· · · を 持 つ Green 関 数 を 計 算 す る と ,以 下 のように関連する結節点因子が得られる.[全ての結節点に因子ieγµを充てれば良いQEDと違って,以下に 見るようにQCDでは,異なる結節点に応じて異なる因子を充てなければならない.]
■クォーク-グルーオン結節点 Green関数⟨Aνi(x1)ψc(x2) ¯ψd(x3)⟩は1次の摂動論において
⟨Aνi(x1)ψc(x2) ¯ψd(x3)⟩=−i 2gs
∫
d4iDµνF (x1−x)iSF(x2−x)γµ(λi)cdiSF(x−x3) と計算され,対応する運動量空間のGreen関数は
⟨Aνi(k)ψc(p′) ¯ψd(p)⟩=iDFµν(k)iSF(p+k)[−igs(Ti)cdγµ]iSF(p), Ti≡ λi
2
となる.これは図3のFeynmanグラフにおいて,Green関数の脚に光子伝播関数iDµνF (k)とフェルミオン 伝播関数iSF(p+k), iSF(p)を充て[グルーオンとクォークの伝播関数ではない],結節点因子として
−igs(Ti)cdγµ
を充てれば得られる.
■3グルーオン結節点 Green関数⟨Aαl(x1)Aβm(x2)Aγn(x3)⟩は1次の摂動論において
⟨Aαl(x1)Aβm(x2)Aγn(x3)⟩=igsgµσgντflmn
∫
d4xiDσαF (x−x1)iDτ βF (x−x2)∂xµiDFνγ(x−x3) +· · ·
図3 クォーク-グルーオン結節点
図4 3グルーオン結節点
と計算される.ただし· · · は添字と引数の組(l, α, x1),(m, β, x2),(n, γ, x3)を入れ替えて得られる項を表す.
対応する運動量空間のGreen関数は
⟨Aαl(k1)Aβm(k2)Aγn(k3)⟩=gsflmnVστ νiDσαF (k1)iDFτ β(k2)iDFνγ(k3),
Vστ ν ≡[gντ(k3−k2)σ+gσν(k1−k3)τ+gτ σ(k2−k1)ν] となる.これは図4のFeynmanグラフにおいて,Green関数の脚に光子伝播関数
iDσαF (k1), iDFτ β(k2), iDνγF (k3) を充て[グルーオンの伝播関数ではない],結節点因子として
gsflmnVστ ν を充てれば得られる.
■4グルーオン結節点 1次の摂動論におけるGreen関数⟨Aαl(x1)Aβm(x2)Aγn(x3)Aδo(x4)⟩に対応する運動量 空間のGreen関数は
⟨Aαl(k1)Aβm(k2)Aγn(k3)Aδo(k4)⟩
=−igs2FlmnoVλµνσiDFλα(k1)iDµβF (k2)iDFνγ(k3)iDσδF (k4), FlmnoVλµνσ
≡filmfino(gλνgµσ−gµνgλσ) +finmfilo(gνλgµσ−gµλgνσ) +filnfimo(gλµgνσ−gνµgλσ) と計算される.これは図5のFeynmanグラフにおいて,Green関数の脚に光子伝播関数
iDλαF (k1), iDµβF (k2), iDνγF (k3), iDσδF (k4) を充て[グルーオンの伝播関数ではない],結節点因子として
−igs2FlmnoVλµνσ を充てれば得られる.
図5 4グルーオン結節点
図6 ゴースト-グルーオン結節点
■ゴースト-グルーオン結節点 1次の摂動論におけるGreen関数⟨Aαl(x1)˜ηm(x2)ηn(x3)⟩に対応する運動量 空間のGreen関数は
⟨Aαl(k1)˜ηm(k2)ηn(k3)⟩=gsflmnk2µiDFµα(k1)i∆F(k2)i∆F(k3)
と計算される.これは図6のFeynmanグラフにおいて,Green関数の脚に光子伝播関数iDFµα(k1)[グルー オンの伝播関数ではなく]とゴーストの伝播関数i∆F(k2), i∆F(k3)を充て.結節点因子として
gsflmnk2µ を充てれば得られる.
14.3.3について
■「式(14.32)の最初の項だけが式(14.54)へ寄与を持ち」(p.377下から6行目)について 同時刻縮約の項 は非連結ダイヤグラムを作るため,ここでも除かれる.このことは一般化されたWickの定理(6.38)の径路 積分形式における表現と見なせるかもしれない.同じ理由により式(14.55b)において,ψ¯a(x)とψb(x)を縮 約した項も省略して良い.
■連結Green関数の式(14.56)について
F=Aµj(x)Aνi(x1)ψc(x2) ¯ψa(x)γµ(λj)abψb(x) ¯ψd(x3)
={iδijDFµν(x−x1)}{iδcaSF(x2−x)}γµ(λj)ab{iδbdSF(x−x3)}
=iDµνF (x−x1)iSF(x2−x)γµ(λi)cdiSF(x−x3).
「iSFab(p) =iSF(p)δabやiDµνFij(k) =iδijDFµν(k)のような伝播関数因子を充てるときには,我々は常套的に a=b, i=jと置いてKroneckerのデルタを省く」(p.378,l.13〜15)とあるが,ここで行った計算のように
Kroneckerのデルタを消費してしまえば,既にKroneckerのデルタは不要であり,グルーオンやクォークの
伝播関数の代わりに光子伝播関数DµνF とフェルミオン伝播関数SFを充てれば良い.あるいはKroneckerの デルタは色や色電荷の保存を表しており,あらかじめ保存則を満たす過程のみを考えてKroneckerのデルタ を省いたと考えても良い.
■運動量空間のGreen関数(14.57)について
∫
d4x1d4x2d4x3e−ik·x1e−ip′·x2e−ip·x3⟨Aνi(x1)ψc(x2) ¯ψd(x3)⟩
=− i 2gs
∫ d4x
[∫
d4x1e−ik·x1iDFµν(x1−x) ] [∫
d4x2e−ip′·x2iSF(x2−x) ]
γµ(λi)cd
[∫
d4x3e−ip·x3iSF(x−x3) ]
=− i 2gs
[∫
d4xe−i(k+p′+p)·x ]
iDµνF (−k)iSF(−p′)γµ(λi)cdiSF(p)
=(2π)4δ(4)(k+p+p′)iDµνF (k)iSF(p+k) [
−igs
2 (λi)cdγµ ]
iSF(p) より,運動量空間のGreen関数は式(14.57)のように同定される.
■Tiの式(14.58d)について 色演算子(11.11a): ˆFi=12λiと同一である.
■「……縮約をつくる3!通りの方法」(p.380,l.4,5)について 連結Green関数を得るには,引数がxの3つ の場を,いずれも引数の異なる場Aαl(x1), Aβm(x2), Aγn(x3)のいずれかと縮約しなければならない.
■Green関数へのF1の寄与(p.380,l.13,14)について
F1={δiliDσαF (x−x1)}{δjmiDτ βF (x−x2)}∂xµ{δkniDFνγ(x−x3)},
∴igsfijkgµσgντ
∫
d4xF1=igsgµσgντflmn
∫
d4xiDσαF (x−x1)iDFτ β(x−x2)∂xµiDFνγ(x−x3).
■運動量空間のGreen関数へのF1の寄与(14.64)について
∫
d4x1d4x2d4x3e−ik1·x1e−ik2·x2e−ik3·x3⟨Aαl(x1)Aβm(x2)Aγn(x3)⟩1
=igsgµσgντflmn
×
∫ d4x
[∫
d4x1e−ik1·x1iDσαF (x−x1) ] [∫
d4x2e−ik2·x2iDτ βF (x−x2) ] [∫
d4x3e−ik3·x3∂xµiDνγF (x−x3) ]
=igsgµσgντflmn
[∫
d4xe−i(k1+k2+k3)·x ]
iDσαF (k1)iDτ βF (k2)(−ik3µ)iDFνγ(k3)
=(2π)4δ(4)(k1+k2+k3)gsgµσgντflmnk3µiDFσα(k1)iDτ βF (k2)iDνγF (k3)
なので,運動量空間のGreen関数への寄与⟨Aαl(k1)Aβm(k2)Aγn(k3)⟩1は式(14.64)のように同定される.
表1 式(14.64)において添字と引数の組(14.65)を入れ替えて得られる3!通りの項
(l, α, k1) (m, β, k2) (n, γ, k3) gsflmngντk3σiDσαF (k1)iDτ βF (k2)iDFνγ(k3) (l, α, k1) (n, γ, k3) (m, β, k2) gsflnmgντk2σiDσαF (k1)iDτ γF (k3)iDνβF (k2)
=−gsflmngντk2σiDFσα(k1)iDFτ β(k2)iDνγF (k3) (m, β, k2) (l, α, k1) (n, γ, k3) gsfnmlgντk3σiDσβF (k2)iDFτ α(k1)iDFνγ(k3)
=−gsflmngσνk3τiDFσα(k1)iDFτ β(k2)iDνγF (k3) (m, β, k2) (n, γ, k3) (l, α, k1) gsfmnlgντk1σiDσβF (k2)iDFτ γ(k3)iDναF (k1)
=gsflmngσνk1τiDσαF (k1)iDFτ β(k2)iDFνγ(k3) (n, γ, k3) (l, α, k1) (m, β, k2) gsfnlmgντk2σiDσγF (k3)iDτ αF (k1)iDFνγ(k3)
=gsflmngτ σk2νiDσαF (k1)iDFτ β(k2)iDFνγ(k3) (n, γ, k3) (m, β, k2) (l, α, k1) gsfnmlgντk1σiDσγF (k3)iDτ βF (k2)iDναF (k1)
=−gsflmngτ σk1νiDFσα(k1)iDFτ β(k2)iDνγF (k3)
■3グルーオン結節点を持つ運動量空間のGreen関数(14.67)について 式(14.64)において添字と引数の組 (14.65)を入れ替えて得られる3!通りの項を表1にまとめる.
■4グルーオン結節点を持つ運動量空間のGreen関数(14.69)について
⟨Aαl(x1)Aβm(x2)Aγn(x3)Aδo(x4)⟩=− i
4gs2fiprfistgλνgµσ
∫ d4xF,
F≡ ⟨Aλp(x)Aµr(x)Aνs(x)Aσt(x)Aαl(x1)Aβm(x2)Aγn(x3)Aδo(x4)⟩0. ここで上式のF に対してWickの定理を適用する際に,連結ダイヤグラムに関係する,異なる引数の場どう しの縮約を作る方法は4!通りあり,それらは
F1≡Aλp(x)Aαl(x1)Aµr(x)Aβl(x2)Aνs(x)Aγl(x3)Aσs(x)Aδl(x4) において添字と引数の組
(l, α, x1), (m, β, x2), (n, γ, x3), (o, δ, x4) を入れ替えて得られる.F1のGreen関数への寄与は
⟨Aαl(x1)Aβm(x2)Aγn(x3)Aδo(x4)⟩1
=− i
4gs2fiprfistgλνgµσ
∫ d4xF1
=− i
4gs2filmfinogλνgµσiDλαF (x−x1)iDFµβ(x−x2)iDνγF (x−x3)iDσδF (x−x4) と評価される.これを運動量空間に移すと
⟨Aαl(k1)Aβm(k2)Aγn(k3)Aδo(k4)⟩1=−i
4gs2filmfinogλνgµσiDλαF (k1)iDµβF (k2)iDνγF (k3)iDFσδ(k4) となることは,式(14.57)や式(14.64)の導出との類似性から容易に推察される.これと添字および引数の組
(l, α, k1), (m, β, k2), (n, γ, k3), (o, δ, k4)
の入れ替えを行った4!個の項を合わせて式(14.69)が得られれば良いが,その確認を省略する.
■ゴースト-グルーオン結節点を持つ運動量空間のGreen関数(14.71)について
⟨Aαl(x1)˜ηm(x2)ηn(x3)⟩=igsfijk
∫ d4xF,
F ≡ ⟨(∂µηi(x))˜ηj(x)Aµk(x)Aαl(x1)˜ηm(x2)ηn(x3)⟩0
=−Aµk(x)Aαl(x1)(∂µηi(x))˜ηm(x2)˜ηj(x)ηn(x3)
=−δklδimδjniDµαF (x−x1){−∂µi∆F(x2−x)}i∆F(x−x3) であり,これに対応する運動量空間のGreen関数(14.71)は以下の計算から見出される.
∫
d4x1d4x2d4x3e−ik1·x1e−ik2·x2e−ik3·x3⟨Aαl(x1)˜ηm(x2)ηn(x3)⟩
=igsflmn
∫ d4x
[∫
d4x1e−ik1·x1iDµαF (x−x1) ] [∫
d4x2e−ik2·x2∂xµi∆F(x2−x) ] [∫
d4x3e−ik3·x3i∆F(x−x3) ]
=igsflmn
[∫
d4xe−i(k1+k2+k3)·x ]
iDFµα(k1)(−ik2µ)i∆F(−k2)i∆F(k3)
=(2π)4δ(4)(k1+k2+k3)gsflmnk2µiDµαF (k1)i∆F(k2)i∆F(k3).