第 6 章 経済学部の FD 活動
第1節 授業公開(ピア・レビュー)
経済学部では学科単位で授業公開を実施するとともに、学科ではなくゼミ単位でFD活動を実施した。
前者の学科単位では経営学科、国際経済学科、経済法学科および観光政策学科において授業公開を実施し た(後掲するように経済学科では大学院の授業科目として授業公開を実施した)。以下、4つの学科におけ る授業公開並びに1つのゼミにおけるFD活動について紹介する。
経営学科
藤田 健(経営学科准教授)
1.担当者:藤田 健 2.授業科目:流通論 3.テーマ:ロジスティクス
4.日時:2010 年 6 月 29 日(火) 3・4時限(10:20〜11:50)
5.場所(教室):第 2 大講義室
6.参加人数:2 名(中田範夫教授、野村淳一准教授)
7.内容
以下では「内容」の部分を報告する。
(1)授業内容
授業内容は「流通論」のなかの「ロジスティクス」に関する内容であった。はじめに、ロジスティクス を考えるとどのような効果が発生するのかをFedex社の戦略にもとづいて説明し、授業の中でロジスティ クスを考えるきっかけを提示した。Fedex 社は物流専業者であるため、流通論に適した事例として「ファ ッションセンターしまむら」(以下、「しまむら」と記す)を取り上げ、事例の説明をおこなった。
しまむらは1953年に北関東で生まれた小さな衣料品店であったが、現在は1280もの店舗を展開するフ ァッション衣料専門のチェーンストアである。郊外幹線道路沿いに立地し、比較的小規模な店舗を作るが、
そのなかには4〜5万点もの商品を品揃えしている。しまむらの特徴は商品の扱い方にある。しまむらは1 アイテムの在庫を2着までとし、「売り切れご免」を基本とする。その代わり、新商品を次々と投入し、常 に店内が高いファッション性を維持するようにしている。このように商品がすぐになくなり、新しい商品 との入れ替わりの激しい点が、しまむらの特徴である。
しまむらが回転の高い商品を扱おうとすれば、在庫の移動や保管をうまく管理しておく必要がある。そ こで取り入れられた考え方がロジスティクスである。しまむらは、中国で生産された商品を日本の店舗に 運ぶまで、輸送・保管・荷役・流通加工といった物流活動を一貫して管理している。それでも、日本から 中国へ商品を1つ運ぶのにコストは59円しかかからない。このように、しまむらは、物流活動をうまく管 理して確実に店舗まで在庫を届け、しかも低コストで実施できるように物流の仕組みをうまく設計してい る。
以上のような事例を見た上で、物流機能について順番に説明を行った。物流機能は①輸送、②保管、③ 包装、④荷役、⑤情報の5つである。第1の輸送はトラック・船などの輸送機関を、②保管については通 常倉庫と冷蔵倉庫について、③包装については物流の出発点になるとともに販売方法を規定すること、④ 荷役については人肩荷役と機械による荷役を説明し、⑤最後に情報によってこれら4つの機能が結ばれる
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ことを説明した。そのうえで、これらの諸機能を統合的に管理し、活動とコストをコントロールする考え 方がロジスティクスであると締めくくった。
(2)工夫したと考えている授業方法
以上のような授業内容を、すべてパワーポイント資料を用いて実施した。パワーポイント資料は約 30 枚程度利用した。内容は文字だけでなく、図、写真を多用し、一部はアニメーションを入れ込み、プロセ スや変化を理解しやすいように工夫した。
この授業で、特に工夫を凝らした点は次の3点である。第1は映像資料を多用できる環境なので、学生 がよく見聞きする現象・製品・店舗を多く取り込んだことである。主な事例はつかみの「Fedex」と本論の
「しまむら」だけであるが、主要な概念を説明するときにはコカ・コーラ、卵パック、しょうゆなど具体 的な製品を取り上げ、店舗での陳列やどのように運ばれているのかといった現象面を見せるようにした。
第2はスライドとスライドのつながりを明確にすることである。パワーポイント資料は前後のスライド 間のつながりがわかりにくいため、①授業の冒頭に本日の授業の流れを説明するとともに、②スライドの 切り替え時には、出来る限り、以前のスライドとのつながりを強調した。また、③全体の流れを理解して もらえるよう、学生には穴埋め式のプリントを配布した。
第3は理論と事例を可能な限り対応させていることである。事例を取り上げる授業だと、事例を聴いて
「面白かった」とは答えるが、理論が理解できたかどうか怪しいものである。そこで、理論と事例を出来 るかぎり一致させ、事例がわかれば理論も自ずとわかり、(試験前などで)理論を考えるときに事例も頭に 浮かべられるよう工夫した。要するに、事例が単に「興味を持たせる小話」に矮小化されないように授業 全体を組み立てたことが、最も工夫を凝らした点である。
(3)他の教員からの意見
1)空欄のある(穴埋めする)プリントを配布することについて
配付資料として「空欄のある(穴埋めする)プリント」を配布していたが、これは興味深い。パワーポ イントを使用しているからと言って、すべての資料を配付してしまうと、学生が文字を書かなくなる。そ うすると、授業の内容や大切な箇所が、覚えられない。自分の授業では計算をさせるので具体的な数字が 出てくるので、学生が寝ることはあまりない。しかし、論理を追う授業をするときは十分な資料を準備す ると学生が寝てしまうし、すべて板書をするようにしてみると、学生の負担が重くなる。だからこそ、論 理を追う授業では、ときどき、重要な言葉を書かせるようにわざと穴埋めにするのは興味深いアイデアだ と思う。
2)パワーポイントで見えにくい文字がある
パワーポイントファイルの赤字が見えにくい。色を変えて赤字で表示することは重要だと思うのだが、
逆に見えにくいのは問題だ。教室にあわせた色設定が必要だと思われる。赤字で書かれた「荷役」が見え なかった。
回答→教室の光の具合や機械の特性によるが、毎年不満が出ているので、その都度確認するように心が ける。
3)空欄のある(穴埋めする)プリントの様式・内容について
① 配付資料をA3サイズにしているのはなぜか。A4サイズだと小さすぎるという理由であれば、B4用紙 を使わないのはなぜか。
回答→学生の持っているフォルダを見ると、ほとんどがA4サイズである。そのため、フォルダのサイ ズに合わせて、大きなサイズの用紙にした。過去に B4 用紙を配布したこともあったが、フォルダからす るりと抜けてしまい、プリントが落ちているのをよく見かけた。
② 空欄を埋める作業をさせるのは良いのだが、もう少し学生が考えるような問題なども出せないのだろう
か。簡単な「クイズ」的な設問でもあれば、学生が考えるようなものがあるだけでも、授業中に眠ったり ケータイを見たりすることはない。
回答→穴埋めをさせる以外に、問題を出すことも重要だと思う。今後の改善点としたい。ただ、穴埋め プリントは、ある意味、解答を提示していることになるので、試験勉強などはしやすいと思う。しかし、
このパワーポイントを写してプリントの穴埋めをしさえあればいい、という発想になってしまいかねない。
そこで、教科書も読んでもらい、教員の話を聞いてもらうことで、はじめてプリントの意味を理解しても らえるように授業を組み立てている。
4)大教室での着席ルールについて
座席は後ろがあいていたところを見ると、着席ルールがあるのか。第 2 大講義室を使用しているのに、
授業注のこの静けさは見たことがない。
回答→授業の最初から7・8回は、確実に着席ルールを伝えている。第2大講義室であれば、中央の通 路を基準に一つ飛ばしで座ること、後ろ3列は座らせないというルールを完全に徹底している。そして、
ルールを守らない学生がいれば、その都度怒っている。
以上
国際経済学科
2010 年度ピア・レビュー報告書
石川耕三(国際経済学科講師)
1. 実施内容
日時: 2011年1月18日(火) 5・6時限(10:20-11:50)
場所: 経済学部 C-202教室
科目: 経済発展論(2010年度後期)
担当者: 石川耕三 2. 参加者
中田範夫 教授 吉川信將 教授 油納健一 教授 藤田健 准教授 梶原健佑 准教授
3. 参加者から寄せられた意見
下記はご参加頂いた先生方から頂戴した意見を、報告者が要約したものである。
良かった点
・声も通り、早口にもならず聴き取りやすい。
・パワーポイントのスライドの枚数が適切である。
・豊富なデータ・資料が用意されている。
・復習部分が授業時に設けられている。
・パワーポイントに穴埋め部分があり、学生が手を動かす仕組みが組み込まれている。