第9章 工学部の FD 活動
第2節 学部・研究科主催 FD 研修会
日 時: 平成22年9月1日(水) 13:30〜15:30 場 所: 農学部会議室
参加者:18 名 (内訳):副学部長、学務委員長、学科長、学務委員(教学委員を含む)など合計 12 名、岩部大学教育センター長、兼石教育コーディネーター、大学教育センター専任教員(小川勤、吉 田加奈、木下真、岡田耕一)合計6名
研修内容:
本年度 1 回目の教育改善研修会を 農学部の教学委員、FD委員長、F D委員、学務委員等を対象に実施し た。最初に、岩部大学教育センター 長より本研修会の開催趣旨が説明さ れた。平成 23 年 4 月の大学設置基準 改定に伴い、第 42 条には新しい項目 として「社会的及び職業的自立を図 るために必要な能力を培うための体 制」が付加されている。また、日本 学術会議による「大学教育の分野別 質保証の在り方について」では、専
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門教育の在り方について今後対応すべき内容が記されており、3 年後に主要 30 分野で掲げられる予定 である「教育課程編成上の参照基準」を作成するための手引きも添付されている。これらから今後大 学に求められるカリキュラム改善の方向性を予測できることが説明された。そして、大学設置基準改 定に合わせて、これまで整備してきた学部・学科・コースの GP に「社会的及び職業的自立を図るため の必要な能力」をどのように取り入れるかをカリキュラムマップ(以下、CUM)を用いて確認・検討す るとともに、個別学生の GP 達成度を確認する学習ポートフォリオの検討、学生や外部の人にもカリキ ュラムを分かりやすく示すためのカリキュラム・フローチャート(以下、CFC)の作成の依頼がなされ た。
次に、兼石教育コーディネーターより、山口大学における出口管理のグランドデザインの必要性が 説明された。ここでは、大学の GP は学部の GP を包含し、学部の GP は学科の GP を包含し、更には学 科の GP はコース等の GP を包含する関係にあるべきであり、カリキュラムマップはコース等の最小単 位の GP と授業科目との対応関係を示すべきであるとの説明がなされた。これに続いて、期待される GP の機能および GP が機能するまでの過程が示され、作業によって生じる問題点が指摘された。また、
昨年度に改定された農学部の CUM について、GP の記述に関する問題点(主語が学生になっていない等)
について指摘がなされた。
次に、大学教育センター・小川教授から CFC についての説明と作成依頼がなされた。CFC の説明で は、学科・課程、コース等の特性によっては資料に示した手順による作成が困難な場合も考えられる ため、その際は学問的な特性に応じて CFC の作成・表示方法を適宜変更してもかまわないと説明され た。また、CFC の例として、本学工学部機械工学科、愛媛大学環境工学コース、愛媛大学地域環境工 学の例が示された。CFC の提出期限については、今後行われる他学部の教育改善 FD 研修会で出される 意見も参考にして後日通知したいと説明された。
次に、農学部の教員との質疑応答が行われた。農学部の教員からは、「農学部には工学部ほど必修 科目は多くない。したがって、工学部のような CFC としては描けないと思われる。また、これと関連 して、分野によっては専門の内容が細分化され互いに異なるため、学科によっては工学部ほど具体的 な GP を設定できていない。まず GP から設定しなおさなければならないのか。」との質問があった。
これに対して、大学教育センターは「理系であればある程度の履修の順序性はあるだろうが、工学部 のような CFC として描くのは困難な場合も想定される。もし困難であれば、愛媛大学の例のように専 門グループと学年といった書き方でも良い。GP については全面的な改定を待って足踏みせずに、GP の改定も検討しながら、それと対応して CUM と CFC の改定も随時進めてほしい。このような継続的な 改善の過程を通じて GP、CUM、CFC についての議論を深め、本質的な教育改善に繋げていただきたい。」
と回答した。
今回の研修会では、「大学設置基準の改定」および「大学教育の分野別質保証の在り方について」
からみえてくる今後の大学に求められるカリキュラム改善の方向性を確認し、これらに対応するため に GP、CUM、CFC をどのように整備すれば良いのかについて議論を行った。今回の研修会は、農学部に おける組織的なFD活動を継続する上で大変有意義であったと考えられる(大学教育センターFD研 修会報告書から転記)。
第3節 教育改善に関する活動
2008年4月1日に、農学部のグラデュエーションポリシー(GP:Graduation Policy)を以下に定 めている。
1)人々が自然と共存して幸せに生きていけるよう、生命と環境、およびそれらの相互関係を把 握するとともに、それらの将来あるべき姿を考える能力を身につけている。
2)農学の基礎知識、研究技術に加え、さらに理解力、創造力、解決力、総括力を身につけてい る。
3)学問・研究の他に、人間性および社会性を身につけている。
農学部のGraduation Policyを基礎として、各学科(生物資源環境科学科、生物機能科学科、獣医
学科)でのGPは、2008年4月1日に以下に定めており、2010年度も本GPに基づいて活動を実施 している。
1)生物資源環境科学科
1. 修学計画能力:生物資源環境科学科において何を学ぶか、生物資源環境科学とは何かの 概念を得る。また、生物資源環境科学科教育プログラムの学習・教育プログラムを把握 し、自ら修学プランを立案できる。
2. 一般的基礎能力:語学、人文、社会系科目を含む幅広い教養科目および生命倫理を学び、
社会に対する責任感を養う。
3. 農学基礎能力:自然科学的および社会科学的農学系基礎に関する知識と応用力を身につ ける。
4. 専門応用能力:生物資源環境科学に関する総合的専門知識及び技術の取得とそれらを用 いて諸問題の解決方法を自ら考え実践する能力を身につける。
5. コンピュータ応用能力:生物統計等に関するソフトウェアの理論と使用法を理解し、生 物生産、環境計測、農業経営などの様々な過程で現実的な複雑さを持つ農学的諸問題を 迅速に解決できる。
6. 農学研究能力:農学的諸問題に対して、農学的かつ論理的な考察を行い、自ら解決方法 を発想し成果を得ることができる。また、発想から成果に至る研究経過を明解にレポー トにまとめ、わかりやすくプレゼンテーションするとともに、討議できる能力を身につ ける。さらに、得られた成果を客観的に評価し、改善することができる。
7. 農業・農村地域の環境の課題における指導能力:生物多様性をはじめ、農業・農村地域 の環境課題を解決するための能力を発揮し、指導者となる素養を涵養する。
8. 自己研鑽能力:多様化・複雑化する生物生産システム、生命、環境、自然に関する諸問 題に関心を持ち、それらの問題を理解あるいは解決するために自己の能力を継続して向 上させることができる。
9. 進路計画能力:農業ならびに関連産業界の動向、求められる人材、就職環境などを把握 して、将来の進路を展望し、自ら進むべき方向を決定できる
2)生物機能科学科
1.生化学の基本的な知識とバイオテクノロジー等の技法を修得し、生物科学分野で社会貢 献できる。
2.生物と環境の相互作用の科学的な理解に基づき、環境問題に対処できる。
3.科学技術の発展に関連した社会全体の問題について、自ら課題を見出し解決しようとす る姿勢を持つ。
3)獣医学科
1.人と動物との関係を理解し,知識を得る方法と考え方を習得する。
2.食資源とその安全性の確保に関して理解し,知識を得る方法と考え方を習得する。
3.高度獣医療ならびに最新の生命科学を理解し,知識を得る方法と考え方を習得する。
4.英語をはじめとする外国語に通じる能力を養う。
5.正確に理解し,それを明解に発表できる能力を養う。
6.明晰かつ批判的に思考する能力を養う。
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カリキュラムフローチャート(CFC:Curriculum Flow Chart)の作成への取り組み状況は、全学 組織の教学委員会より、農学部内の各学科(生物資源環境科学科、生物機能科学科、獣医学科)への 作成の依頼があり、学務委員会においてCFCの主旨を説明し、学科毎に約2ヶ月間をかけてCFC作 成の作業を行った。学務委員会での数回の協議を経て、平成22年2月に完成版を教学委員会に提出 した。なお、獣医学科については、平成24年4月に鹿児島大学と「共同獣医学部」の設置を予定し ており、遠隔講義システムを両大学に導入し、6年間のカリキュラムは1年次の共通教育の一部を除 いて統一することから、暫定的な CFC となっている。以下には、生物資源環境科学科のカリキュラ ムフローチャートを示す。