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8. ユニットを考える 1. 対話

8.2. 授業

今日の授業の後半では、「音節」という単位を扱います。最初 にちょっと復習しましょう。次が音節を作るときの規則です。

(…)

ここで、padreやsigloなどに現れる二重子音という子音の連続 を復習しましょう。dr, gl など二重子音の例をあげてレポートに 書いてみましょう。

(…)

いくつぐらい書けましたか。ここでは、二重子音の数が問題な のではなく、その仕組みを探ることが問題です。二重子音の仕組 みは第1要素が次のように分類され、閉鎖音と摩擦音であること、

そして第2要素がlとrであることです。

唇音 歯音 軟口蓋音 無声閉鎖音 p t c

有声閉鎖音 b d g 摩擦音 f

この図を使って、{p, b, t, d, c, g, f} + {l, r}の組み合わせを作れば、

二重母音になります。ただし、tlとdlは除きます。もう一度二重 母音のリストを作ってレポートしてください。

(…)

ここで二重子音について次の2つの問題を設定します。

 (1) この第1 要素の子音を見ると fだけが摩擦音で他の閉 鎖音と違っています。この理由は何でしょうか。

 (2) なぜtlとdlは二重子音にならないのでしょうか。

(1)について考えるためにスペイン語の子音の全体図を見まし ょう。

唇音 歯音・歯茎音 硬口蓋音 軟口蓋音 無声閉鎖音 p t ch c

有声閉鎖音 b d g

摩擦音 f z, s j

鼻音 m n ñ 側面音 l

弾き音 r 震え音 rr

この図で真ん中にあるd, z, s, n, l, rをマークしました。これら は、語末に現れる子音です。このようにスペイン語では、歯音・

歯茎音という口の中央部で発音される子音が語末にくることが できます。思いつく単語を書いてください。(ただし、tとrrは 除きます。)

さて、ここで「音節末の子音と語末の子音には共通性がある」

という仮説を立ててみましょう。たとえば、inmediatamente のよ

うな語はin-me-dia-ta-men-te と切れますから、音節末にある n は

語末にもよくある子音であることがわかります。上の図でマーク した中央部の子音に含まれます。

一方、influir, sufrirではどうでしょうか。もし、これらをinf-luir,

suf-rirのように切ってしまうと、音節末に fを認めることになり

ます。語末にfはありませんから、さっきの仮定に反することに なります。さっきの仮定が正しいとすると、不自然な位置だとい うことになります。そこで、in-fluir, su-frirのように切ります また、このように切ると、今度はflやfrという連続が語頭に起 こるかどうか、気になります。辞書を使って探してみましょう。

たしかに、florやfríoなどたくさん見つかりますね。

このように、音節末と語末、そして音節頭と語頭は共通する子 音になることがわかります。

sl, sr, zlなどは同じ「摩擦音+l, r」という構造ですが、二重母 音になるのでしょうか。Es-lo-ve-nia, Is-ra-el, Haz-lo, ... どれも2 つの音節に分立して、二重子音にはなりません。この理由も、「音 節末=語末、音節頭=語頭」という図式から導き出せます。s, z は語末にある子音ですから音節末にあっても OK です。もし、

E-slo-ve-nia, I-sra-el, Ha-zloのように切ると、sl, sr, zlという語頭に はない子音連続ができてしまいます。それは「音節末=語末、音 節頭=語頭」という図式に反するのです。

(2)についても、一部は先の図式で説明できます。たとえば、

HacedloやadlátereをHa-ce-dlo, a-dlá-te-reとすると、dlという語 頭にない子音連続ができてしまいます。一方、Ha-ced-lo, ad-lá-te-re ならば、語末のdも語頭のlも認められますから、OKです。

atlas, atletaなどのtlは、少しむずかしくなりますが、やはりtl

は語頭にはないので、at-las, at-le-taのように切ります。そうする とtという語末にはないはずの子音が音節末に現れることになり ます。しかし、語末のtはまったくないわけではありません。argot, ballet, carnet, cenit, chalet, mamut, robot, tíquet, vermut など、外来語 では多く使われます。このことは強い根拠にはなりませんが、語 頭のtlと比べると、語末のtは比較的許容範囲にあると考えられ ます。なお、tl, dlは非常に頻度の低い子音連続です。

同様にして、monstruoなどのような複雑な子音連続の切り方も、

「音節末=語末、音節頭=語頭」という図式で解釈してみましょ

う。仮にmon-struoとして切ると、strという語頭にはない子音連

続ができてしまいます。「摩擦音+二重子音」は一般に語頭には 現れません。これを mons-truo のように切ると、語頭の問題はな くなります。確かに語末にns はないのですが、これは語頭の str と比べると許容範囲にあると考えられます。

それでは、今日の授業を終わります。レポートを書き終えたら、

提出してください。