3. 主観的幸福の規定要因に関する実証研究
3.3 分析結果
3.3.1 基本推定結果
59
「大学生、大学院生、専門学校生、短大生、予備校」、「無職、定年退職」の 14 の職種に ついてのダミー変数を割り振った。ここに登場しないその他の職業の人が参照グループで あり、各ダミー変数の係数は、その他の職業の人との差異を表す。
3.2.1.9 地域ダミー
ここでは、「北海道」、「東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)」、「関東(茨城、
栃木、群馬、山梨)」、「京浜(埼玉、千葉、東京、神奈川)」、「北陸(新潟、富山、石川、
福井)」、「東海(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)」、「京阪神(滋賀、京都、大阪、兵庫、
奈良、和歌山)」、「中国(鳥取、島根、岡山、広島、山口)」、「四国(徳島、香川、愛媛、
高知)」、「九州・沖縄(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)」の 10 の 地域についてダミーを割り振った。東海を参照グループとし、各ダミー変数の係数は、東 海地方との差異を表す。
3.2.2 分析手法
被説明変数(主観的幸福度および生活満足度)が、離散変数であることを考慮し、以下 の確率モデル(順序ロジスティック回帰分析)によって分析を行う。
ここで、 は主観的幸福度および生活満足度、 は主観的幸福度および生活満足度の高 低を表すスコアー変数、 は係数ベクトル、 は説明変数ベクトル、 は誤差項、
は被説明変数である が をとる確率、 はロジスティック関数の累積確率密度、 はス コアー変数の 番目の閾値である。
60
相対年収および相対幸福度を含むか含まないかによって3つある。
表2 主観的幸福度 基本推定モデル(絶対所得)
係数 z p
世帯年収 0.054 4.03*** 0.000 教育年数 0.066 3.46*** 0.001
既婚 0.919 7.87*** 0.000
離婚 0.163 1.03 0.303
死別 -0.027 -0.10 0.919
未就学児 -0.054 -0.40 0.690
小学生 1.134 1.11 0.267
中学生 0.001 0.00 1.000
高校生 0.067 0.44 0.659
18歳以上 0.018 0.16 0.87
健康状態 0.376 8.59*** 0.000 睡眠時間 0.138 4.12*** 0.000 精神的落ち込み -0.700 -13.89*** 0.000
街並み 0.024 0.47 0.639
治安 0.072 1.35 0.176
生活利便性 0.155 4.37*** 0.000 自然環境 0.130 3.19*** 0.001
信頼性 0.138 3.36*** 0.001
教養(文化) 0.076 1.85* 0.064
外向性 0.317 7.17*** 0.000
非協調性 -0.187 -4.23*** 0.000
20代男性 0.388 2.43** 0.015
30代男性 Ref.
40代男性 0.132 0.91 0.364
50代男性 0.126 0.71 0.477
60代男性 0.212 1.14 0.254
20代女性 0.955 5.62*** 0.000
30代女性 0.501 3.28*** 0.001
40代女性 0.510 3.00*** 0.003
50代女性 0.517 2.91*** 0.004
60代女性 0.433 2.30** 0.021
正社員 -0.037 -0.16 0.874
管理職 -0.161 -0.61 0.539
役員・経営者 0.153 0.46 0.647 派遣・契約社員 -0.070 -0.25 0.800
61
公務員・非営利団体 0.240 0.88 0.380 教員・講師 0.167 0.55 0.586 医療専門職 0.211 0.70 0.485 その他専門職 -0.396 -0.82 0.415 農林漁業 -0.351 -0.66 0.512
自営業 -0.084 -0.32 0.746
パート・フリーター -0.276 -1.14 0.256 専業主婦・主夫 0.124 0.50 0.619
学生 0.622 2.10** 0.035
無職・定年退職 0.061 0.24 0.808
北海道 0.038 0.22 0.824
東北 -0.350 -2.21** 0.027
関東 -0.370 -2.22** 0.026
京浜/一都3県 -0.123 -1.08 0.278
北陸 -0.147 -0.98 0.329
東海 Ref.
京阪神 -0.050 -0.41 0.685
中国 -0.162 -1.02 0.307
四国 -0.391 -2.08** 0.038
九州・沖縄 -0.137 -1.00 0.317
疑似決定係数 0.1080
観察数 3141
注:*** p<0.01, ** p<0.05, * p<0.10. 不均一分散一致標準誤差を採用。
Ref. は参照属性である。
表3 生活満足度 基本推定モデル(絶対所得)
係数 z p
世帯年収 0.101 7.69*** 0.000 教育年数 0.077 4.04*** 0.000
既婚 0.795 6.80*** 0.000
離婚 0.046 0.29 0.775
死別 -0.016 -0.06 0.965
未就学児 -0.232 -1.81* 0.071
小学生 -0.050 -0.40 0.688
中学生 -0.198 -1.19 0.234
高校生 0.044 0.29 0.770
18歳以上 -0.390 -0.36 0.717
62
健康状態 0.405 9.39*** 0.000 睡眠時間 0.168 5.18*** 0.000 精神的落ち込み -0.726 -14.50*** 0.000
街並み 0.128 2.53** 0.011
治安 -0.017 -0.32 0.749
生活利便性 0.165 4.63*** 0.000 自然環境 0.091 2.27** 0.023
信頼性 0.120 2.96*** 0.003
教養(文化) 0.047 1.14 0.253
外向性 0.220 4.98*** 0.000
非協調性 -0.622 -1.44 0.149
20代男性 0.317 1.95* 0.051
30代男性 Ref.
40代男性 0.290 1.98** 0.047
50代男性 0.211 1.22 0.222
60代男性 0.593 3.26*** 0.001
20代女性 0.962 5.81*** 0.000
30代女性 0.631 4.32*** 0.000
40代女性 0.641 3.80*** 0.000
50代女性 0.785 4.52*** 0.000
60代女性 0.949 5.09*** 0.000
正社員 -0.045 -0.21 0.836
管理職 -0.095 -0.38 0.706
役員・経営者 -0.053 -0.17 0.864 派遣・契約社員 -0.850 -0.33 0.744 公務員・非営利団体 0.306 1.15 0.250 教員・講師 0.068 0.24 0.811 医療専門職 0.159 0.52 0.604 その他専門職 -0.799 -1.84* 0.066 農林漁業 -0.731 -1.38 0.167
自営業 -0.307 -1.24 0.216
パート・フリーター -0.227 -1.00 0.316 専業主婦・主夫 0.160 0.69 0.488
学生 0.832 3.02*** 0.003
無職・定年退職 0.137 0.58 0.560
北海道 -0.081 -0.46 0.642
東北 -0.435 -2.68*** 0.007
関東 -0.557 -3.39*** 0.001
京浜/一都3県 -0.225 -1.94* 0.053
北陸 0.021 0.14 0.890
63
東海 Ref.
京阪神 -0.842 -0.65 0.515
中国 -0.180 -1.15 0.252
四国 -0.513 -2.73*** 0.006
九州・沖縄 -0.210 -1.49 0.135
疑似決定係数 0.1086
観察数 3141
注:*** p<0.01, ** p<0.05, * p<0.10. 不均一分散一致標準誤差を採用。
Ref. は参照属性である。
表4 主観的幸福度 基本推定モデル(絶対所得+相対所得)
係数 z p
世帯年収 0.027 1.93* 0.054 相対年収 0.204 6.53*** 0.000 教育年数 0.071 3.71*** 0.000
既婚 0.865 7.36*** 0.000
離婚 0.174 1.09 0.275
死別 -0.023 -0.09 0.926
未就学児 -0.047 -0.35 0.729
小学生 0.098 0.81 0.419
中学生 0.031 0.19 0.848
高校生 0.039 0.26 0.792
18歳以上 -0.022 -0.26 0.839
健康状態 0.367 8.45*** 0.000 睡眠時間 0.133 3.95*** 0.000 精神的落ち込み -0.672 -13.31*** 0.000
街並み 0.014 0.27 0.787
治安 0.076 1.47 0.142
生活利便性 0.149 4.16*** 0.000 自然環境 0.126 3.10** 0.002
信頼性 0.117 2.86*** 0.004
教養(文化) 0.073 1.77* 0.076
外向性 0.294 6.62*** 0.000
非協調性 -0.187 -4.24*** 0.000
20代男性 0.156 1.07 0.283
30代男性 Ref.
40代男性 0.156 1.07 0.283
64
50代男性 0.190 1.08 0.280
60代男性 0.180 0.97 0.333
20代女性 0.904 5.22*** 0.000
30代女性 0.476 3.10*** 0.002
40代女性 0.508 3.01*** 0.003
50代女性 0.531 2.97*** 0.003
60代女性 0.364 1.94** 0.052
正社員 -0.090 -0.38 0.701
管理職 -0.263 -0.99 0.321
役員・経営者 0.547 0.17 0.867 派遣・契約社員 -0.493 -0.18 0.858 公務員・非営利団体 0.098 0.36 0.720 教員・講師 0.116 0.38 0.706 医療専門職 0.109 0.36 0.719 その他専門職 -0.363 -0.73* 0.464 農林漁業 -0.250 -0.47 0.637
自営業 -0.078 -0.30 0.766
パート・フリーター -0.246 -1.01 0.314 専業主婦・主夫 0.118 0.47 0.636
学生 0.483 1.60 0.109
無職・定年退職 0.052 0.21 0.837
北海道 0.037 0.22 0.825
東北 -0.318 -2.02** 0.043
関東 -0.320 -1.92* 0.055
京浜/一都3県 -0.125 -1.10 0.271
北陸 -0.110 -0.72 0.471
東海 Ref.
京阪神 -0.036 -0.29 0.771
中国 -0.121 -0.76 0.444
四国 -0.376 -1.97** 0.049
九州・沖縄 -0.130 -0.94 0.347
疑似決定係数 0.1118
観察数 3141
注:*** p<0.01, ** p<0.05, * p<0.10. 不均一分散一致標準誤差を採用。
Ref. は参照属性である。
65
表5 生活満足度 基本推定モデル(絶対所得+相対所得)
係数 z p
世帯年収 0.055 3.99*** 0.000 相対年収 0.371 11.52*** 0.000 教育年数 0.088 4.58*** 0.000
既婚 0.723 6.11*** 0.000
離婚 0.085 0.52 0.600
死別 -0.001 -0.00 0.999
未就学児 -0.245 -1.85* 0.065
小学生 -0.130 -1.05 0.296
中学生 -0.157 -0.95 0.342
高校生 -0.102 -0.07 0.945
18歳以上 -0.100 -0.93 0.354
健康状態 0.391 9.12*** 0.000 睡眠時間 0.161 4.93*** 0.000 精神的落ち込み -0.684 -13.72*** 0.000
街並み 0.106 2.08 0.037
治安 -0.001 -0.04 0.966
生活利便性 0.158 4.46*** 0.000 自然環境 0.083 2.10** 0.036
信頼性 0.080 1.96** 0.050
教養(文化) 0.046 1.13 0.258
外向性 0.179 4.41*** 0.000
非協調性 -0.062 -1.45 0.147
20代男性 0.223 1.41 0.159
30代男性 Ref.
40代男性 0.343 2.38** 0.017
50代男性 0.317 1.86* 0.064
60代男性 0.530 2.97*** 0.003
20代女性 0.905 5.37*** 0.000
30代女性 0.592 4.05*** 0.000
40代女性 0.639 3.85*** 0.000
50代女性 0.801 4.60*** 0.000
60代女性 0.810 4.39*** 0.000
正社員 -0.154 -0.71 0.480
管理職 -0.300 -1.19 0.235
役員・経営者 -0.261 -0.86 0.389 派遣・契約社員 -0.038 -0.15 0.882 公務員・非営利団体 -0.034 0.13 0.900
66
教員・講師 -0.029 -0.10 0.920 医療専門職 -0.379 -0.12 0.903 その他専門職 -0.803 -1.88* 0.060 農林漁業 -0.541 -1.03 0.302
自営業 -0.336 -1.35 0.177
パート・フリーター -0.189 -0.82 0.410 専業主婦・主夫 0.151 0.65 0.517
学生 0.588 2.09** 0.037
無職・定年退職 0.120 0.51 0.608
北海道 -0.076 -0.45 0.656
東北 -0.372 -2.37** 0.018
関東 -0.473 -2.88*** 0.004
京浜/一都3県 -0.232 -2.03** 0.043
北陸 0.078 0.50 0.616
東海 Ref.
京阪神 -0.061 -0.48 0.634
中国 -0.122 -0.77 0.444
四国 -0.485 -2.52*** 0.012
九州・沖縄 -0.196 -1.39 0.164
疑似決定係数 0.1205
観察数 3141
注:*** p<0.01, ** p<0.05, * p<0.10. 不均一分散一致標準誤差を採用。
Ref. は参照属性である。
表6 主観的幸福度 基本推定モデル(絶対所得+相対所得+相対幸福度)
係数 z p
世帯年収 0.004 0.32 0.748 相対年収 -0.016 -0.55 0.580 周囲の幸福度 0.108 3.79*** 0.000 相対幸福度 1.180 30.07*** 0.000 教育年数 0.046 2.55** 0.011
既婚 0.574 4.78*** 0.000
離婚 0.209 1.38 0.166
死別 0.115 0.45 0.651
未就学児 0.045 0.33 0.743
小学生 0.265 2.15 0.031
中学生 0.166 1.08 0.282
高校生 0.085 0.59 0.557
67
18歳以上 -0.056 -0.53 0.596
健康状態 0.150 3.77*** 0.000 睡眠時間 0.039 1.34 0.179 精神的落ち込み -0.454 -9.59*** 0.000
街並み -0.062 -1.24 0.214
治安 0.135 2.57*** 0.010
生活利便性 0.090 2.61*** 0.009 自然環境 0.045 1.10 0.271
信頼性 0.040 1.07 0.286
教養(文化) -0.068 -1.72 0.086
外向性 0.063 1.49 0.135
非協調性 -0.087 -2.18 0.030
20代男性 0.019 0.12 0.903
30代男性 Ref.
40代男性 0.109 0.79 0.429
50代男性 0.108 0.65 0.514
60代男性 -0.051 -0.30 0.767
20代女性 0.490 2.76*** 0.006
30代女性 0.153 1.02 0.309
40代女性 0.142 0.88 0.380
50代女性 0.080 0.49 0.625
60代女性 0.028 0.16 0.872
正社員 0.042 0.22 0.829
管理職 -0.073 -0.30 0.761
役員・経営者 0.342 1.20 0.231 派遣・契約社員 0.187 0.81 0.420 公務員・非営利団体 0.073 0.30 0.766 教員・講師 0.068 0.25 0.805 医療専門職 -0.126 -0.46 0.646 その他専門職 -0.293 -0.70 0.481 農林漁業 0.010 0.02 0.981
自営業 -0.076 -0.34 0.732
パート・フリーター -0.076 -0.38 0.704 専業主婦・主夫 -0.003 -0.01 0.988
学生 0.351 1.35 0.177
無職・定年退職 0.155 0.74 0.462
北海道 0.066 0.40 0.690
東北 -0.226 -1.53 0.125
関東 -0.173 -1.09 0.275
京浜/一都3県 -0.086 -0.80 0.423
68
北陸 -0.133 -0.91 0.365
東海 Ref.
京阪神 -0.079 -0.69 0.493
中国 -0.197 -1.35 0.177
四国 -0.117 -0.62 0.535
九州・沖縄 -0.017 -0.13 0.899
疑似決定係数 0.2810
観察数 3141
注:*** p<0.01, ** p<0.05, * p<0.10. 不均一分散一致標準誤差を採用。
Ref. は参照属性である。
表7 生活満足度 基本推定モデル(絶対所得+相対所得+相対幸福度)
係数 z p
世帯年収 0.052 4.08*** 0.000 相対年収 0.215 7.06*** 0.000 周囲の幸福度 0.072 2.75*** 0.006 相対幸福度 0.993 27.80*** 0.000 教育年数 0.061 3.40*** 0.001
既婚 0.423 3.66*** 0.000
離婚 -0.017 -0.11 0.912
死別 0.080 0.27 0.787
未就学児 -0.182 -1.40 0.161
小学生 -0.117 -0.94 0.349
中学生 -0.036 -0.22 0.829
高校生 0.052 0.36 0.716
18歳以上 -0.222 -2.13** 0.033
健康状態 0.204 5.05*** 0.000 睡眠時間 0.092 3.09*** 0.002 精神的落ち込み -0.439 -9.36*** 0.000
街並み 0.090 1.81* 0.070
治安 -0.001 -0.18 0.859
生活利便性 0.108 3.15*** 0.002 自然環境 0.012 0.30 0.761
信頼性 0.007 0.19 0.849
教養(文化) -0.123 -3.19*** 0.001
外向性 -0.054 -1.27 0.205
非協調性 0.064 1.58 0.115
20代男性 -0.075 -0.45 0.652
69
30代男性 Ref.
40代男性 0.339 2.43** 0.015
50代男性 0.271 1.69* 0.091
60代男性 0.435 2.56*** 0.010
20代女性 0.461 2.75*** 0.006
30代女性 0.268 1.85* 0.064
40代女性 0.280 1.75* 0.079
50代女性 0.524 3.13*** 0.002
60代女性 0.703 3.98*** 0.000
正社員 -0.132 -0.67 0.502
管理職 -0.241 -1.30 0.303
役員・経営者 -0.102 -0.36 0.716 派遣・契約社員 0.136 0.62 0.534 公務員・非営利団体 0.061 0.26 0.799 教員・講師 -0.186 -0.67 0.501 医療専門職 -0.362 -1.26 0.208 その他専門職 -0.952 -2.03** 0.042 農林漁業 0.521 -1.24 0.216
自営業 -0.354 -1.56 0.118
パート・フリーター -0.088 -0.43 0.669 専業主婦・主夫 -0.029 -0.14 0.890
学生 0.483 1.80* 0.071
無職・定年退職 0.209 0.99 0.320
北海道 -0.050 -0.29 0.774
東北 -0.184 -1.24 0.215
関東 -0.320 -2.08** 0.037
京浜/一都3県 -0.180 -1.71* 0.088
北陸 0.147 1.03 0.305
東海 Ref.
京阪神 -0.116 -0.99 0.322
中国 -0.073 -0.51 0.611
四国 -0.298 -1.41 0.160
九州・沖縄 -0.091 -0.69 0.492
疑似決定係数 0.2481
観察数 3141
注:*** p<0.01, ** p<0.05, * p<0.10. 不均一分散一致標準誤差を採用。
Ref. は参照属性である。
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ここで、有意である変数の符号は、主観的幸福度、生活満足度ともにほぼ同じである。
ここでの結果は以下のようにまとめることができる。
・ 収入の絶対水準のみを考慮する場合、世帯収入は有意に正の相関を示す(表 2、3)。しか し、「あなたが最終的に通った学校の同級生と比べて、現在のご自分の所得はどの程度だと 思いますか」という質問に対する回答(相対収入)を併せて推定すると、収入の絶対水準 は、有意に正の相関を示すものの、その説明力は下がることがわかる(表 4、5)。すなわ ち、相対所得仮説を支持する結果が得られている。
・ さらに、「あなたが普段接する周りの人は幸せだと思いますか」、および「あなたが普段接 する人と比べて、ご自分は幸せだと思いますか」という回答(幸福度に関する主観的な相 対評価)をも併せて推定すると、主観的幸福度の場合、収入の絶対水準も、収入に関する 主観的な相対評価も、いずれも説明力を失う(表6)。ただし、生活満足度の場合には、収 入はいぜんと有意に正の相関を示している(表7)。
・ 教育年数は、ここで推定した全てのモデルにおいて有意に正の相関を示している。すなわ ち、教育水準が高い人ほど幸福度・生活満足度は高い。
・ 既婚ダミーは、ここで推定した全てのモデルにおいて有意に正の相関を示している。すな わち、既婚者の幸福度・生活満足度はそうでない人よりも高い。また、離婚・死別のダミ ーはいずれも有意でない。
・ 子供が主観的幸福に与える影響については、いずれも有意な結果が示されなかった。これ は、昨年度の結果と整合的である。一方で、生活満足度への影響については、未就学児ダ ミーが有意に負の相関を示している(表3、5)ほか、相対所得と相対幸福度を考慮したモ デルで18歳以上ダミーが同様に有意に負の相関を示している(表7)。昨年度研究におい ても、子持ちダミーは生活満足度と有意に負の相関が得られているが、ここでの分析から、
手のかかる乳幼児がいる場合や、進学等で経済的負担のかかる高卒以上の子供がいる場合 に生活満足度が下がる得ることが示された。
・ 健康状態に関する自己申告は、ここで推定した全てのモデルにおいて有意に正の相関をし ている。すなわち、自らの健康状態が良いと評価している人の幸福度・生活満足度は、そ うでない人よりも高い。また、睡眠時間も有意に正の相関を示しており、睡眠時間が長い 人の幸福度・生活満足度は高いことが示された(平均は約6.5時間)。さらに、精神的な落 ち込みを感じるかどうかに関する自己申告は、有意に負の相関を示しており、不安や憂鬱 を感じる頻度の高い人の幸福度は下がる傾向にあることが示された。
・ 居住地域への満足度については、結果のばらつきがみられるが、生活利便性はここで推定 した全てのモデルにおいて有意に正の相関をしている。すなわち、居住地域の利便性を高 く評価している人ほど、幸福度・生活満足度が高い。また、自然環境については、一部を