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3. 主観的幸福の規定要因に関する実証研究

3.2 データと分析手法

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人生の意味を考える - *** - ***

困った時の相談相手 + *** + ***

隣近所との接触頻度 + ** + ***

職場関係の人との接触頻度 + - 趣味・学習・スポーツ仲間との接触頻度 + + **

ボランティア仲間との接触頻度 + ** + ***

学生時代の友人・幼馴染との接触頻度 - - *

親戚との接触頻度 + *** + ***

普遍化信頼 + *** + ***

報道への信頼 - -

家族が大事 + *** + ***

知人・友人が大事 + *** + **

政治が大事 + *** + **

仕事が大事 - ** - ***

自己決定・高揚 + *** +

非自己主導 - *** - ***

物質志向 - *** - ***

安全・安定志向 + + **

周りの幸せが大事 + ** +

礼儀作法が大事 + *** + ***

自然環境が大事 + +

伝統・習慣が大事 + *** + ***

注:***p<0.01, **p<0.05, *p<0.10

3.2.1.2 相対幸福度

相対所得仮説が成立するのであれば、幸福度に関しても同様のことが言えるかもしれな い。この点を考慮するため、準拠集団の幸福度と自らの幸福度との比較の観点を取り入れ、

次のような2つの質問、「あなたが普段接する周りの人は幸せだと思いますか」、および「あ なたが普段接する周りの人と比べて、ご自分は幸せだと思いますか」を用意した。

3.2.1.3 婚姻

昨年度は、既婚者を1、未婚者を0とするダミー変数を使用した。今年度はより細かく 分析するために、「既婚者」、「離婚者」、および「死別者」の3つのダミー変数を用意した。

ダミーを割り振っていない未婚者が参照グループであり、各ダミー変数の係数は、未婚者 と比べた差異を表す。

3.2.1.4 子持ち

昨年度は、子持ちを1、子持ちを0とするダミー変数を使用した。昨年度調査では、生 活満足度を被説明変数とした場合に、子持ちダミーが有意にマイナスを示した。子供がい

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ることにより生活満足が下がることの1つの要因としては、育児に関する時間・肉体・金 銭的費用や、進学の際の経済的負担など、いくつかの点を考えることができる。この点を 分析するために、子供の年齢を考慮する形でダミー処理を行った。具体的には、「未就学児」、

「小学生」、「中学生」、「高校生」、「18歳以上」の5つのダミー変数を用意した。ダミーを 割り振っていない子供を持たない人が参照グループであり、各ダミー変数の係数は、子供 を持たない人と比べた差異を表す。

3.2.1.5 健康状態

昨年度は、「全体としてみて、あなたの現在の健康状態はいかがですか」という質問に対 する自己申告を変数として扱った。これに、「睡眠時間」と「精神状態」の 2 つの変数を 追加した。「睡眠時間」は、毎日の平均的な睡眠時間をたずねたものであり、「精神状態」

は「精神的な落ち込みや不安、憂鬱を感じることがありますか」という質問への自己申告 である。

3.2.1.6 居住地域への満足度

居住地域への満足度が主観的幸福度に影響を与えるという研究(國光、2008、2010)を 参考に4つの変数を準備した。具体的には、現在の居住地の「街並み」、「治安」、「生活の 利便性」、「自然環境」に関する主観的評価を変数として取り上げた。

3.2.1.7 性格尺度

性格心理学の分野では、いわゆる「ビッグファイブ」とよばれる5つの性格尺度が利用 される。この5つの尺度は、たとえば、包括的な記述モデルをつくったとされるTupes and

Christal (1961)によれば、高潮性、協調性、信頼性、情緒安定性、教養(文化)に分類さ

れる。この、個人の性格は主観的幸福度に影響を与えるという研究が存在する(Steel et al., 2008)。ここでは、正確に関する44項目の質問を行い、それらを因子分析にかけて抽出さ れた 5 つの因子を得点化し、性格尺度として用いている。ただし、「やや不注意だ」、「緊 張しやすい」、「情緒が不安定になりやすい」、「あれこれ心配する」、「恥ずかしがり屋だ」、

「気が散りやすい」から構成される性格因子(情緒不安定)は、健康状態であつかってい るうつ傾向とかなり相関が高いため、この因子は除外し、「信頼性」、「教養(文化)」、「外 向性7」、「非協調性」の4因子を変数として扱う。

3.2.1.8 職業

ここでは、「会社員(管理職以外の正社員)」、「会社員(管理職)」、「会社役員・経営者」、

「派遣・契約社員」、「公務員・非営利団体職員」、「教員・講師」、「医療専門職(医師、看 護師、療法士など)」、「その他専門職(弁護士、会計士、税理士など)」、「農林漁業」、「自 営業(農林漁業を除く)」、「パート・アルバイト・フリーター・内職」、「専業主婦・主夫」、

7 ここでいう「外向性」とは、「高潮性」と同義であり、話好きで元気、社交的といった性格を 表すが、「高潮性」では意味が取りづらいので、良く使用される「外向性」に置き換えている。

因子分析の結果は補足資料を参照。

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「大学生、大学院生、専門学校生、短大生、予備校」、「無職、定年退職」の 14 の職種に ついてのダミー変数を割り振った。ここに登場しないその他の職業の人が参照グループで あり、各ダミー変数の係数は、その他の職業の人との差異を表す。

3.2.1.9 地域ダミー

ここでは、「北海道」、「東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)」、「関東(茨城、

栃木、群馬、山梨)」、「京浜(埼玉、千葉、東京、神奈川)」、「北陸(新潟、富山、石川、

福井)」、「東海(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)」、「京阪神(滋賀、京都、大阪、兵庫、

奈良、和歌山)」、「中国(鳥取、島根、岡山、広島、山口)」、「四国(徳島、香川、愛媛、

高知)」、「九州・沖縄(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)」の 10 の 地域についてダミーを割り振った。東海を参照グループとし、各ダミー変数の係数は、東 海地方との差異を表す。

3.2.2 分析手法

被説明変数(主観的幸福度および生活満足度)が、離散変数であることを考慮し、以下 の確率モデル(順序ロジスティック回帰分析)によって分析を行う。

ここで、 は主観的幸福度および生活満足度、 は主観的幸福度および生活満足度の高 低を表すスコアー変数、 は係数ベクトル、 は説明変数ベクトル、 は誤差項、

は被説明変数である が をとる確率、 はロジスティック関数の累積確率密度、 はス コアー変数の 番目の閾値である。