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地山強度経年劣化モデルによる劣化予測

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第 4 章 維持管理の現状と新しい維持管理手法の提案

4.4 モデルトンネルの劣化予測の試行

4.4.3 地山強度経年劣化モデルによる劣化予測

本研究では,トンネルの覆工コンクリートの劣化予測を行うにあたり,劣化の要因 として周辺地山の劣化に着目し,時間依存性を考慮した数値解析による手法を試行し た.対象としたAトンネル(変状の詳細は2章にのべている)は,施工時のデータや変 状要因が明らかになっており,2度の点検結果(H12年,H16年)から判断すると,比 較的劣化の速度も速い.劣化モデルに関しては,各機関で研究が進められているが,

今回は,蒋らが提案した地山強度低下時間依存性モデル12)(Burger-MC劣化モデル)

を用いた.以下に検討内容の詳細を述べた.

(1) 時間依存性(Burger-MC劣化モデル)の概要12)

トンネル変状は,周辺地山の経年劣化が原因の1つであると考えられるため,本研究では,

時間の経過に伴い岩盤強度が低下するモデルを用いた.

図-4.4.10 に示すように,劣化モデルにおいては,各部は Kelvin セッション,Maxwell セッション,Mohr-Coulombセッション(MC モデル)から成り,これらを組み合わせる こ と で 様 々 な 劣 化 モ デ ル を 作 成 す る こ と が で き る . 例 え ば ,Kelvin-MC モ デ ル や

Maxwell-MC モデルが挙げられる.また,Kelvin セッションと Maxwellセッションを直

列 に つ な い だ も の を Burger モ デ ル と 呼 ぶ . こ こ で す べ て の モ デ ル を 組 み 合 わ せ た

Burger-MCモデル中のMCモデルの粘着力cと摩擦角φを時間と共に低下させ,岩盤の強

度劣化を考慮することができるように修正したモデルを,Burger-MC劣化モデルと定義し た(図-4.4.10).構成式は以下のように表される.式では,Rthr は岩盤の応力状態限界係 数であり,応力状態係数RRthr値を超えると劣化を始める.ω,ωφは粘着力と内部摩 擦角の劣化率であり,両者の経時的変化は Rに比例する11)

R    dt

dc ω

c

= ( RR

thr

)

・・・式4.4.1

R    dt

d

ω

φ

φ =

)

( RR

thr ・・・式4.4.2

φ σ

σ φ

σ σ

sin ) (

cos

2 1 3

3 1

+ +

= −

R c ・・・式4.4.3

ωc: MC要素の粘着力劣化率 ωφ MC要素の摩擦角劣化率 RthrMC要素の劣化応力状態限界係数

ηK GK

GM ηM

(t),φ(t),ψ ωc, ωφ, Rthr

Kelvin Section Maxwell Section Mohr-Coulomb 劣化Section

図-4.4.10 Burger-MC 劣化モデル

(2) Aトンネルにおける検証 1) 応力解放率の決定

解析による劣化予測では,まず,二次元解析および三次元解析を実施して応力開放率と 変位(天端沈下)の関係(GR 曲線:Ground Reaction Curve)を作成し,施工過程(加 背割り,補助工法等)を考慮した三次元解析結果による計算変位から適切な応力解放率を 設定する.図-4.4.11に対象トンネルの緒元を,図-4.4.12に解析に用いた二次元モデルの 緒元を示す.また,図-4.4.13 にトンネルの施工過程を考慮するための三次元解析モデル の概要を示した.なお,図-4.4.13の三次元モデルでは奥行き 30mとして,切羽が20m位 置にある場合を示している.

concrete_thick=0.35

Unit: (m)

rad _upper=4.65

shotcrete_thick=0.15

c0

c1 rad_middle=9.30

rad_invert=10.735

k1 foot_high =2.10 c2

図-4.4.11 対象トンネルの緒元

25.0015.00

25.00

k3 k5

k4 k6

k2 c2

k1 c1

c0

Unit: (m)

middle surrounding rock mass

invert surrounding rock mass

upper surrounding rock mass

corner surrounding rock mass

図-4.4.12 二次元解析モデルの緒元

図-4.4.13 三次元解析モデルの概要 凡 例 地山 補助工法 吹付け 覆工,インバート

表-4.4.4に解析に用いた基本物性値を示す.

解析結果として得られたGR曲線を図-4.4.14に示す.また,図-4.4.15に三次元解析に より得られた LDP曲線(弾性特性曲線)を示す.

これらの結果から,LDP曲線で得られた切羽面の収束変位は 0.224であり,二次元解析 のGR曲線における開放率40%(つまりinner pressure 0.6)に相当していることがわか る.

物性値 物性値

単位体積重量ρ(kg/m3) 2000 粘着力c 0.5 ヤング率 E(Mpa) 300 内部摩擦角φ 30.0 ポアソン比μ 0.3 ダイレイション角ψ 5.0 初期応力σzz(Mpa) 2.11 側圧係数 0.45

表-4.4.4 基本物性値

図-4.4.14 GR 曲線(二次元解析)

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1

0.000 0.153 0.235 0.328 0.434 0.563

Ground Reaction Curve (2D)

Artifical inner stress

Convergence at the

0.224

図-4.4.15 LPD 曲線(三次元解析)

0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

0 5 10 15 20 25 30

Advancing direction

Tunnel face Longitudinal Deformation Profile (3D)

Convergence at the crown 0.224

2) 劣化モデルパラメータの同定手順

次に第 2段階として,表-4.4.5に示すとおり,地山物性値の内,変形係数E,粘着力c,

側圧係数K0を未知数として,E (300 MPa - 3000 MPa), c (0.1 MPa - 1.0 MPa), K0 (0.1 - 1.0)の範囲でパラメータの決定について,効率性とコスト面を考慮する上で有効であるニ ューラルネットワークの誤差逆伝搬法(BN)と遺伝的アルゴリズム(GA)を用いて,施工 時の計測結果との同定を行う.

なお,吹付けコンクリートの物性値を表-4.4.6に示す.

図-4.4.16にパラメータ同定法の流れを示す.

物性値 物性値

単位体積重量ρ(kg/m3) 2000 粘着力c N/A ヤング率 E(Mpa) N/A 内部摩擦角φ 30.0 ポアソン比μ 0.3 ダイレイション角ψ 5.0 初期応力σzz(Mpa) 2.11 側圧係数 N/A

物性値 物性値

ヤング率 E(Mpa) 1.0e4 内部摩擦角φ 35.0 ポアソン比μ 0.25 ダイレイション角ψ 3.0 UCSσc(Mpa) 2.11 吹付け厚(m) 0.15

表-4.4.5 地山基本物性値

表-4.4.6 吹付けコンクリート基本物性値

key uMOkey

uFL pFL FLAC3D

step 4    検証

step 3 GAによる探索 step 2 ネットワークの 訓練 step 1 データセットの   準備

GAを用いて 最適解の探索

結合強度の調整 誤差逆伝搬法による

key key

scaled

oGA uGA uMO

post-trained network pGA

scaled

scaled

uBNkey

oBN BN

pBN

uFLkey

FLAC3D pFL

図-4.4.16 パラメータ同定法の流れ12)

まず,step1として,E (300 MPa - 3000 MPa), c (0.1 MPa - 1.0 MPa), K0 (0.1 - 1.0)の 範囲でランダムに決めた地山物性値 PFLを有限差分解析コード(FLAC3D)に入力し,変位

FL

ukeyを出力する.この過程を 30 回繰り返し,30 個のデータセットを得る.表-4.4.7 に用 意された30個のデータセットを示した.

ここで得られた30個のデータセットは教師データとして,step2でBNのトレーニング のために用いられる.この時,step1で得たデータセット(PFLukeyFL)を BN で用いるた めに(PBNukeyBN)へと変換する.ukeyBNをBNの望むべき出力値として設定し,入力値 PBN か ら得られた出力値oBNとを比較し BN の結合強度を調節する.つまり,30 個のデータセッ トを用いて,十分に結合強度を調節し,BNをよく訓練する.step3でよく訓練したBNと GAを用いて,解析モデルに必要な地山物性値を評価する.

ここでは実例として A トンネルの実測値 ukeyMOをよく訓練した BN で用いるため,ukeyGAに変 換する.そして,ランダムに決めたレオロジー値 PGAから出力値oGAを得る.出力値oGAuGAkey を比べ,GAを用いて最適なレオロジー値が選ばれる.さらに,step4でニューラルネット ワークの誤差逆伝搬法(BN)と遺伝的アルゴリズム(GA)により同定された物性値を用い て,数値解析により変位量(再検証結果)を計算する.

Case No E (MPa) c (MPa) K0 建設後uc (m) 建設後us (m) 1 2343 0.24 0.88 1.18E-02 8.33E-03 2 2269 0.45 0.80 1.13E-02 5.32E-03 3 1826 0.11 0.90 1.91E-02 1.87E-02 4 1582 0.31 0.80 1.65E-02 9.29E-03 5 2920 0.17 0.94 1.04E-02 9.02E-03 6 755 0.70 0.28 3.40E-02 1.98E-03 7 1068 0.16 0.99 2.73E-02 2.49E-02 8 2658 0.47 0.80 9.72E-03 4.49E-03 9 2596 0.47 0.20 1.19E-02 1.47E-03 10 2433 0.93 0.87 9.88E-03 4.08E-03 11 1937 0.84 0.29 1.41E-02 9.13E-04 12 1656 0.16 0.77 1.89E-02 1.42E-02 13 2558 0.80 0.32 1.07E-02 9.94E-04 14 2866 0.27 0.75 9.83E-03 5.66E-03 15 590 0.73 0.59 3.91E-02 9.02E-03 16 567 0.96 0.84 3.76E-02 1.47E-02 17 519 0.79 0.39 4.63E-02 4.44E-03 18 2526 0.95 0.97 9.33E-03 4.51E-03 19 2680 0.50 0.73 9.72E-03 3.93E-03 20 2450 0.54 0.33 1.15E-02 1.84E-03 21 1597 0.98 0.21 1.74E-02 3.49E-05 22 1187 0.79 0.53 2.09E-02 4.17E-03 23 370 0.44 0.27 7.13E-02 8.18E-03 24 488 0.26 0.92 4.93E-02 3.36E-02 25 1353 0.57 0.17 2.15E-02 9.45E-04 26 2710 0.47 0.32 1.07E-02 2.03E-03 27 2588 0.75 0.90 9.37E-03 4.21E-03 28 1463 0.34 0.71 1.78E-02 8.42E-03 29 587 0.42 0.30 4.57E-02 7.04E-03 30 1126 0.73 0.75 2.09E-02 7.31E-03 E (300 MPa – 3000 MPa), c (0.1 MPa – 1.0 MPa), K0 (0.1 – 1.0),

表-4.4.7 物性値同定のためのデータセット

数値解析により計算された変位(再検証結果)と実測値を比較することで,得られたパラ メータの妥当性を確認する.天端沈下の誤差

eucは以下のように定義される.

MO c

MO c FL c

u u u −

uc

=

e

(4)

ここに,ucMOは実測値,ucFLは数値解析結果である.なお, はベクトルの平均値を表す.

スプリングライン変位誤差eusも同じように定義される.

表-4.4.8 に同定された物性値と検証結果を示す.検証結果から,得られたパラメータの妥 当性が検証されたものと考えられる.

3) 変状メカニズムの解明

供用後の計測データ(天端沈下,内空変位)に関して,レオロジーモデル(Burger-MC 劣化モデル)を用いて供用時の変状メカニズムを再現する.

今回は,変状に影響すると考えられる 4個のレオロジーに関するパラメータ(GK,ηM, ηK,wh)の決定について,ニューラルネットワークの誤差逆伝搬法(BN)と遺伝的アルゴリ

ズム(GA)を用いて,供用時の計測結果との同定を行った.

なお,パラメータの同定を行うためのデータとしては,表-4.4.9 に示す 40 個のデータ セットを用いた.表-4.4.10に同定されたパラメータと検証結果を,図-4.4.17に計測値お よび解析による検証結果を示す.検証結果を見ると,解析結果の方が計測値に比べて若干 変位量が小さくなっているものの,劣化モデルを用いた解析結果は計測値とほぼ同様の変 位傾向を示していることが分かる.

したがって,これら同定された劣化モデルパラメータを用いれば,将来の予測も可能で あると考えられる.

E(Mpa) c(Mpa) K0 uc(m) us(m) 解析値 1169 0.3 0.85 2.77e-02 2.51e-02 計測値 2.80e-02 2.50e-02

表-4.4.8 同定された物性値と検証結果

表-4.4.10 同定されたパラメータと検証結果 GK (MPa) ηK (MPa*s) ηM (MPa*s) wh (m/year) H16

uc (m)

H16 us (m) Optimal

solution 1.14E+09 2.43E+16 1.79E+17 1.38E+01 -1.47E-02 4.13E-03 Monitoring

data -2.00E-02 6.00E-03

解析値 計測値

Case No GK (MPa) ηK (MPa*s) ηM (MPa*s) wh (m) H16年 uc (m) H16年 us (m) 1 2.56E+09 1.49E+16 2.34E+17 7.17E+00 -1.03E-02 1.52E-04 2 7.21E+08 4.13E+16 3.70E+17 9.10E+00 -1.26E-02 5.99E-04 3 8.28E+08 3.30E+16 4.77E+17 9.66E+00 -6.74E-03 3.27E-03 4 1.71E+09 4.63E+16 1.80E+17 1.17E+01 -1.31E-02 2.57E-03 5 2.72E+09 6.63E+15 4.14E+17 1.37E+01 -1.19E-02 6.17E-03 6 2.46E+09 6.60E+15 7.00E+16 9.03E+00 -2.12E-02 -1.21E-03 7 2.83E+09 2.59E+16 1.89E+17 9.20E+00 -1.17E-02 1.03E-03 8 1.00E+09 8.36E+15 2.31E+17 1.13E+01 -1.29E-02 2.35E-03 9 2.50E+09 8.10E+15 3.44E+17 1.06E+01 -9.57E-03 3.18E-03 10 8.21E+08 3.95E+16 2.16E+17 7.90E+00 -1.42E-02 -4.83E-04 11 2.61E+09 4.12E+16 6.13E+15 1.13E+01 -5.20E-02 2.00E-02 12 5.05E+08 1.19E+16 1.34E+17 8.33E+00 -1.84E-02 -7.79E-04 13 2.95E+09 3.50E+16 3.63E+17 7.67E+00 -7.99E-03 1.12E-03 14 1.25E+09 2.82E+16 1.88E+17 1.36E+01 -1.43E-02 4.08E-03 15 1.59E+09 3.35E+16 2.97E+17 1.25E+01 -1.19E-02 4.22E-03 16 1.85E+09 3.03E+16 4.66E+17 1.10E+01 -9.14E-03 3.57E-03 17 1.88E+09 1.93E+16 4.69E+17 8.65E+00 -8.03E-03 1.76E-03 18 3.74E+08 2.18E+16 2.39E+17 7.41E+00 -1.78E-02 -1.02E-03 19 2.28E+09 5.54E+16 7.34E+15 1.41E+01 -4.83E-02 1.64E-02 20 2.54E+09 7.36E+16 5.68E+16 6.00E+00 -1.54E-03 -2.35E-02 21 9.56E+08 9.24E+16 2.62E+16 1.38E+01 -3.31E-02 1.50E-03 22 2.68E+09 7.55E+16 3.87E+16 8.47E+00 -2.83E-02 -1.00E-03 23 1.23E+09 9.56E+16 2.10E+16 1.38E+01 -3.52E-02 2.62E-03 24 6.77E+08 7.17E+16 9.27E+16 1.36E+01 -2.09E-02 1.69E-03 25 7.79E+08 6.54E+15 3.51E+16 1.08E+01 -2.96E-02 -8.35E-04 26 2.44E+09 9.60E+16 6.36E+16 1.47E+01 -2.27E-02 2.24E-03 27 9.35E+08 8.81E+16 9.34E+16 1.05E+01 -2.00E-02 -3.60E-04 28 2.34E+09 3.96E+16 2.39E+16 5.65E+00 -3.36E-02 1.06E-03 29 1.98E+09 7.23E+16 6.16E+16 1.06E+01 -2.29E-02 -7.96E-04 30 4.04E+08 4.13E+16 7.52E+16 8.35E+00 -2.40E-02 -9.61E-04 31 2.58E+09 7.55E+15 1.76E+17 9.93E+00 -1.24E-02 1.55E-03 32 1.98E+09 6.69E+16 3.04E+17 1.01E+01 -9.70E-03 2.30E-03 33 2.87E+09 1.74E+16 1.95E+17 7.87E+00 -1.15E-02 3.62E-04 34 2.24E+09 9.64E+15 1.52E+17 6.00E+00 -1.34E-02 -1.13E-03 35 1.78E+09 3.49E+16 1.83E+17 9.35E+00 -1.27E-02 8.40E-04 36 2.28E+09 2.99E+16 2.85E+17 8.80E+00 -9.64E-03 1.40E-03 37 2.04E+09 6.02E+16 3.90E+17 1.26E+01 -1.19E-02 4.71E-03 38 1.07E+09 1.07E+16 2.23E+17 9.36E+00 -1.29E-02 8.76E-04 39 2.62E+09 3.31E+15 3.50E+17 9.31E+00 -8.41E-03 2.25E-03 40 2.33E+09 6.84E+16 8.02E+16 1.37E+01 -1.99E-02 2.19E-03

GK (300 MPa – 3000 MPa), ηK (1e9 MPa*s – 1e11 MPa*s), ηM (5e9 MPa*s – 5e11 MPa*s), wh (5m/year – 15m/year).

表-4.4.9 物性値同定のためのデータセット

さらに,上記の検証をもとに,数値解析により供用時の水位変化にともなう変状への影 響予測を試みる.水位変化に関しては,A トンネルにおける点検結果時の経時変化を参考 にして,最初 8年間で,水頭は 13.8m/year のスピードで増加し,その後 8 年間キープす るものとした.図-4.4.18に水位変化の予測結果を示す.

図-4.4.17 検証結果(実測値と計算値の比較)

変位量(m)

経 年

uc(内空方向沈下)

us(内空方向収縮)

図-4.4.18 地下水位の推移予測 (a)平成 8 年 (b)平成 12 年

(c)平成 12 年 (d)平成 16 年

凡 例

図-4.4.19 に地下水位の影響を考慮した変位予測結果を示す.予測結果では地下水位上 昇の影響によるトンネルの内空変位への影響が見られ,特にインバート部分に関しては

4.5cm 程度の隆起が予測されるが,地下水位の安定とともに変位も収束していることが分

かる.なお,トンネルの変位量に関しては,点検時の計測データとの差異が見られ,その 原因の究明は予測解析の今後の課題であるが,点検時に正確な地下水位が測定できればよ り予測精度は高まるものと期待される.

(3) まとめ

本研究では,施工時に多量湧水が発生したトンネルを対象として,地山強度低下時間依 存性モデル(Burger-MC 劣化モデル)を用いて,逆解析によるパラメータの算出を行い,

変状予測値と計測データを比較・検討することにより,提案モデルの有用性と逆解析によ るパラメータ決定法の検討を行った.なお,パラメータ決定においては,ニューラルネッ トワークの誤差逆伝搬法(BN)と遺伝的アルゴリズム(GA)を用い,建設時ならびに供用時の 計測結果との同定を行った.

検証結果からは,解析結果のほうが計測値に比べて若干変位量が小さくなったが,変状 予測に重要な変位の傾向は,良く一致していることが確認できた.さらに,建設後の地下 水位の変化に伴うトンネル変位への影響に関しても検討を行った.地下水位の影響につい ては,点検時の漏水等の現象から地下水位を推定しているため,解析結果と計測データと の差異が見られた.この原因に関しては,今後の課題であるが,点検時の正確な地下水位 の測定により精度は高まるものと考えられる.

本研究により,破砕帯,湧水地山,および膨張性地山といった時間依存性を有する特殊地 山条件下におけるトンネルの変状予測において,今回提案する手法の有効性を確認できた.

図-4.4.19 地下水位の影響を考慮した変位予測結果

変位量(m)

経 年

(内 空 方 向 収 縮 )

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