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単元「私たちの名前 (1年生対象)の分析と考察 」

ドキュメント内 中学校国語科における実践個体史研究 (ページ 150-166)

第3章 佐藤きむ実践の分析と考察 第1節 とりあげる実践の特徴と分析の方法

第7節 単元「私たちの名前 (1年生対象)の分析と考察 」

1 実施時期と実践の特徴

「~の仕方(スキル 」を指導する方法として 「~したくなる場面を設定する」という特質) 、 が見られる実践である。第3節でとりあげた「漫画の吹き出しを考える」実践も同じくスキル学 習であるが、本実践は単元学習である。

佐藤実践の特徴の一つとして、教科書教材を中心に据えたものが多いことが挙げられる。が、

この実践では、教科書教材を用いはするが、単元の中心となる学習材は名前に使われている漢字 である。中学校1年生の入門単元にあたり、年間指導計画ではこの単元のあとに「くもの糸」の 学習が組み込まれている。

この単元でねらうこととそれを達成する手段について、佐藤は 1991 年の論考(注1)に載せ た指導案で以下のように述べている。

一年生の授業は、学習のレールを敷くことからスタートする。

学習のレールは、ノートのこと、読書カードのこと、授業の準備のこと等々いろいろある のだが、忘れてならないものの一つに「辞書に親しませる」ということがある。国語辞典や

、 、 。

漢和辞典については 小学校の時に学習して ほとんどの生徒が一応の引き方を知っている しかし、常に辞書を座右において愛用しているわけではない。辞書は、勉強する時にわから ない言葉、読めない文字を調べるだけでなくて、私は、生徒たちが「辞書を読む」楽しみを 知るまでになってほしいと願っている。

そのためには、単に「引き方 「利用の仕方」を教えるのではなくて、辞書を引いてみた」 くなるような場面を設定してやることが大切であろう。

(注2、施線は引用者)

「 」「 」 「 」

指導者の目標は 辞書の引き方 辞書の利用の仕方 といったスキルも含めて 辞書を読む 楽しみを知らせることであり、それを実現する手段は「辞書を引いてみたくなるような場面を設 定すること」である。よって、生徒が漢字について知りたくなるような題材として「名前に使わ れる漢字」を選び、それと内容的に関連のある教科書教材「名前の由来」とを組み合わせて単元 を設定している。

この教材は、当時の教科書に掲載されていたものではない。この単元で〈教えたいこと〉に適 した教材として、かなり以前の教科書からとりあげた。佐藤は、どの教材を組み合わせて単元を 組むかによって、授業は楽しくもなり、つまらなくもなると言う 〈教えたいこと〉を〈学びた。 いこと〉へと転化するには、教材の精選も欠かせないのである。

単元全体としての特徴は、生徒が持ち寄ったり作ったりした資料が次段階の学習材料になると ころにある。生活の中に存在する身近な漢字である「名前」に教材を求めたことによって 〈教、 えたいこと〉と〈学びたいこと〉が統合される。さらに 〈学んだこと〉を次段階の教材として、 いかすことにより、学習者の興味・関心、意欲を保ちつつ〈教えたいこと〉を指導できる流れに なっている。

2 指導目標と指導計画

(1)指導目標および指導事項

1 文章の展開に即して、内容と構成をとらえさせる。

2 漢和辞典に親しませ、大儀がらずに辞典を利用する習慣を身につけさせる。

3 漢和辞典の使い方に習熟させ、漢字を正しくつかえる技能を身につけさせる。

4 生活の中に存在する漢字に目を向けさせ、漢字の知識を広げていこうとする態度を 養う。

5 説明文を書かせる。

(注3)

(2)指導計画

次 指導内容 形態 主な学習活動(学習課題)

1 Ⅰ ○説明文「名前の 一斉 ・音読する。

次 由来」を通読さ せる。

Ⅱ ○文章の展開に即 班 ・意味段落に分け、見出しをつける。

次 して内容をとら 一斉 ・なぜそこで意味段落を分けたのか、理由を発表し合

えさせる。 う。

Ⅲ ○文章の構成をと 個人 ・ワークシートを手がかりに、意味段落と形式段落の 次 らえさせる。 見出しをあてはめて文章構成図を作る。

2 ○名前に使われている 個人 ●〔学習課題1〕

漢字に興味・関心を 自分の名前や身近な人たちの名前について調べ 家 持たせる。 てみましょう (学習資料①の作成)。

( 、 、 庭 ○実際に辞書を引かせ ・自分の名前に使われている漢字 部首 画数 学 ながら、漢和辞典で 読み方、意味など)

習 調べられることは何 ・自分の名前の由来 かを知らせる。 ・家族や親類の名前

・自分の子どもにつけたい名前

3 ○名前に使われている 班 ●〔学習課題2〕

漢字に興味・関心を 学習資料①を項目別にまとめてみましょう。

持たせる。 (学習資料②の作成)

・男子の名前の漢字の画数…1班、2班

・女子の名前の漢字の画数…3班、4班

・男子の名前の漢字の部首…5班、6班

・女子の名前の漢字の部首…7班、8班

・家族や親類の人の名前(男子)…9班

・家族や親類の人の名前(女子)…10班

・自分の子どもにつけたい名前…11班

4 ○漢和辞典を引くこと 個人 ●〔学習課題3〕

に慣れさせる。 一斉 学習資料②にまちがいがないか確かめてみまし ょう。学習資料②をまとめてみて感じたことを発 表しあいましょう。

5 ○教育漢字 常用漢字、 、 個人 ●〔学習課題4〕

人名漢字について理 一斉 11 班がまとめた資料②を使って、自分の子ども 解させ、漢和辞典で につけたい名前について、もう一度辞典で確かめ の記載の仕方を知ら ましょう。

せる。 ・現実的でないのはどれでしょうか。

○音訓、部首、総画の ・名前をつける時には、辞典のどういう箇所を 三つの索引を使い分 確かめたらいいでしょうか。

けさせ、能率的な辞 ・どの索引を使うのが、能率的でしょうか。

典の引き方を習得さ せる。

○漢和辞典を活用させ 個人 ●〔学習課題5〕

る。 10 班がまとめた資料②を使って、ひらがな・か たかなの名前に漢字をあててみましょう。

6 ○説明文を書かせる。 個人 ●〔学習課題6〕

自分の名前を紹介する文章を書きましょう。

・名前の由来

・使われている文字のこと

・名前にまつわるエピソード など

・完成した紹介文を読み合う。

3 各指導段階の考察

(1)第1次の指導

次 指導内容 形態 主な学習活動(学習課題)

1 Ⅰ ○説明文「名前の 一斉 ・音読する。

次 由来」を通読さ せる。

Ⅱ ○文章の展開に即 班 ・意味段落に分け、見出しをつける。

次 して内容をとら 一斉 ・なぜそこで意味段落を分けたのか、理由を発表し合

えさせる。 う。

Ⅲ ○文章の構成をと 個人 ・ワークシートを手がかりに、意味段落と形式段落の 次 らえさせる。 見出しをあてはめて文章構成図を作る。

①教材「名前の由来」について

著者名が示されていないので、教科書編集委員による書き下ろしだと思われる。

一行空きで分けられた三つの文段から成る文章である。文章構成がしっかりしているため、中 学校で初めて学習する説明的文章としては、意味段落に分けさせるのに適した教材であると言え る。また、読解指導のあとで、自分の名前について調べさせ、名前の由来を説明する文章を書く 活動へとつなげることで、第3文段にこめられた著者のメッセージが、生徒にとってより印象深 いものになるだろう。各文段の要旨は以下の通りである。

第1文段は「まえがき」にあたり 「わたしたちの名前は、どんな由来をもっているのでしょ、 うか 「姓と名に分けて、その起こりを調べ、いくつかの型に分けてみましょう」と話題を提起」 する。

第2文段では、提起された話題を受け、姓の起こりの三つの型、現代(教科書の発行年当時)

の男子の名の起こりの四つのタイプ、女子の名前の起こりへと話題が展開されていく。

第3文段は「むすび」にあたり、姓の由来を知ることは、長い間受け継がれてきた祖先の息吹 を感じること、名の由来を知ることは、名付けた両親の願いを知ることにつながると述べる。

②第Ⅱ次の指導

4人1班のグループで、本文を意味段落に分け、見出しをつけさせる。この時、一行空きで示 された文段のまとまりはそのまま踏襲するので、第2文段を意味段落に分けることが、学習の中 心となる。

各班から出された意見は一覧表にして全員に配布し、なぜそこで分けたのか理由を説明し合わ せる。一覧表の様式は、次のページ〔表1〕に示した通りである。この一覧表があると、各班の 意見の違いが一目瞭然である。生徒がお互いに質問し合うのにも、指導者が話し合いの舵取りを するのにも便利である。

形式段落⑨と⑩の間で分けることについてはすべての班が一致しているので、話し合いの論点 は、②と③の間、⑤と⑥の間、⑩と⑪の間、⑯と⑰の間で分けるかどうかということになる。ま

、 、 。

た 10班だけが⑮と⑯の間で分けているので 他の班は自然と理由を質問したくなるであろう

(注4)

表1 意味段落の分け方と見出し一覧表

段落

けのまえがき姓に関する男子だけの名と事

結論

姓名についむかしの風習姓の男子の名にいて筆者の考えにつ

私た名前姓のならわし姓の名の姓名の大切さ

名前の中の

一人一人の名前姓のなりた現代の男子思い昔の名

いろいろな前の筆者からタイ姓のでき方名のったえや意見

名前のろいろな自分名へ

タイプ姓の名の歴の想

の名

名前の由来に

名前に種類姓のや由男子の史や由来のがいついてつく

姓名につい名の

名前の由来姓のでき方男子の名のなの結論でき

姓と名はど私たちの

上代

おこ今つけられて由来現代の男子名の由来共通すること

男女のの由来の由

一般一つの姓をもと女子の名10一人一人の名前ならわ新しい姓を作った男子の名前のいろいろなタイプいろいなタ両親の願いイプ

段落

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