• 検索結果がありません。

医療のリスクマネジメントと  IT の活用

ドキュメント内 05flN7„”“ƒ†E…O…›…r…A.QX (ページ 44-48)

〈平成 16 年 7 月・東京都〉

平井 愛山

千葉県立東金病院 病院長

国際モダンホスピタルショウ2 0 0 4・カンファレンス

㽳⊒↢䈚䈢ක≮੐᡿䉕ㅦ䉇䈎䈮ಣℂ䈜䉎

∛㒮䈱䊥䉴䉪䊙䊈䉳䊜䊮䊃䈮䈲䋲⒳㘃

ක≮䈱⾰䈱଻⸽䈫ะ਄

㽲ක≮੐᡿䈱⊒↢䉕ᧂὼ䈮㒐ᱛ䈜䉎

スライド1

点検ができるだろうか,ということになってくる わけで,これは明らかに事故発生時とは対応が違 い,予防になります。ここはやはりしっかり頭の なかで2つのことを整理して取り組む必要があり ます。

 これはいずれも医療の質の保証と向上に繋がっ ていく部分でして,最終的に目指しているのは

「医療の透明性の確保」と,「説明責任の遂行」の 2点に尽きるのではないかと思います。医療の分 野においては,リスクマネジメントの目的はこの 2点になってまいります。これを具体的に,総論 的にお話ししてもなかなか見えない部分があるか と思いますので,特に重大事故が発生したときの 対処,あるいは原因の分析と対策の立て方といっ たところから,私どもの病院で起こりました,あ る大きな不幸な医療事故を踏まえてご紹介をした いと思います。

東金病院の透析事故から学ぶ        

 東金病院における透析事故というのは,平成12 年5月25日に起こりました。スライド2は,その ときの千葉日報のホームページに掲載されている ものです。透析終了後に抗生剤を透析回路を用い て投与したあと,操作ミスによって大量の空気が 患者さんの血管内に流入いたしまして,空気塞栓 でお亡くなりになった事故でございます。

 まずこのような突然の事故が発生した場合,ど ういうふうな姿勢で取り組んでいくか。現在も私 どもの病院のホームページに詳細が公開してござ いますが,今日は特にその原因分析のあたりを中 心にお話をしていきたいと思います。

 その前に,まずこういった重大事故が発生した 場合の病院の透明性の確保,あるいはご遺族への 説明責任をどういうふうに果たしていくかをお話 しします。

 平成12年は国立大学の附属病院長会議で医療事 故に関わる指針が示された時で,その指針には,患 者さまあるいはご遺族に対していかに誠意を持っ て取り組むかという部分,警察への届け出,そして 記者会見という部分がこまかく記載してあります。

 (スライド3)今まで記者会見でも,いろいろな パターンがあったかと思いますが,重要な点は事 前にご遺族と十分話して了解をいただくという部 分です。私どもはこの記者会見の前に,すでにご 遺族には事故発生の時点で謝罪と警察への届け出 を行っております。この記者会見は事故発生の翌 日の昼に行ったものですけれども,記者会見のさ なかに司法解剖を行っていた警察から空気塞栓で

I T

᧲㊄∛㒮䈮䈍䈔䉎ㅘᨆ੐᡿

スライド2

੐᡿䈱౏㐿 䋨⸥⠪ળ⷗䋩

⋵䈍䉋䈶∛㒮䈱⸥⠪ળ⷗䈱್ᢿ䈫䈗ㆮᣖ䈱ੌ⸃

ᐔᚑ䋱䋲ᐕ䋵᦬䋲䋶ᣣඦᓟ䋳ᤨ䌾

᧲㊄∛㒮 ᄢળ⼏ቶ

⸥⠪ળ⷗ਛ䈮⼊ኤ䈎䉌䈱⊒⴫ 䇺ⓨ᳇Ⴇᩖ䈪䈅䈦䈢䇻 䈗ㆮᣖ䈫䈱䊒䊤䉟䊋䉲䊷଻⼔䈮㑐䈜䉎ᛂ䈤ว䉒䈞

⸥⠪ળ⷗

スライド3

あるとの連絡が入りました。事故が発生して翌日 あたりまでは事故の詳細はほとんど見えておりま せん。何が起きたかの詳細を明らかにしてから公 表するという手続きを取っていると,おそらく 3,4日経ってしまうという混乱があったかとい うふうに,私はその時に考えておりました。そこ でこの透析事故から私どもが学んでいくのは,重 大事故が起きた時にどうアプローチしていくかと いうことです。やはり重大事故から学んで正すべ きところを正していかなければいけないわけです。

 その出発点はご遺族の言葉でして,これは,ど のような事故でも同じ気持ちであろうと思うんで すね。突然生命を断たれてしまうということにな りますので。今回の場合は透析を受けるというこ とで入院されていた糖尿病の男性の患者さんでし たけれども,スライド4がご長男の言葉です。こ れはいろいろなところで引用させていただいてお りますが,「無念である」,「何が起こったのか,な ぜ起こったのか明らかにしてほしい」と。まずこ の点が非常に重要でして,今まで医療事故のあと,

医事紛争になるケースの大部分というのは,実は 病院側が十分な情報開示を行っていないため,遺 族側が何が起こったのか,なぜ起こったのかを明 らかにする手段として民事訴訟を起こすケースが 大部分であるというふうに聞いております。

 千葉県では,裁判所の判事の方,それから県内 の弁護士さん,医療機関の関係者,そして千葉大 学の法学部の教授が入って,千葉医事紛争研究会 というのを年に4回ほど開いております。そのな かで意見交換をしていくのですが,弁護士さん,

特に医療関係の民事を担当していらっしゃる弁護 士さんのお話を聞くと,民事訴訟を起こすご遺族 の気持ちというのは大部分はここだとおっしゃい ます。補償金であるとかそういうことではなくて,

病院側の説明,あるいは様々なかたちで公開され ていくことに対して納得ができない。この部分が 非常に不透明になっているということで医事紛争 になっているのだという話をしばしば聞きました。

 私どものところでは,最初の対応のところで,

この透明性の確保にいちばん意を尽くしました。

もう1つは,二度と起こらないようにしてほしい というのは,私どもの病院においてということも そうですし,この時ご遺族がおっしゃったのは,

全国で透析を受けている患者さんが20万人いらっ しゃるので,ほかの方々が安心して透析ができる ように今回の事故のなかで学んだことをできるだ け外に発信してくださいということでした。

 それはあとで私どもの取り組みのところでお話 ししますが,こういったことを1つずつやってい くことが最大限の誠意を示すことであって,記者 会見をして病院長が頭を下げて謝罪をしただけで は,スタートに過ぎないわけです。これらの部分 を明らかにして説明していくというプロセスが,

実は最も重要である,そのプロセスを遺族の方々 は見ているわけです。

 このことを順番にお話ししていきたいと思いま す。この本(スライド5)は医療だけではありま せんが,リスクマネジメント先進国であるアメリ カでの医療事故防止の実際ということで,最近日 本語にも訳されました,『To Err is Human』。「人

I T

ᓮㆮᣖ䈱䈍⸒⪲

ήᔨ䈪䈅䉎䇯

૗䈏⿠䈖䈦䈢䈱䈎䇮䈭䈟⿠䈖䈦䈢䈱䈎 䉕᣿䉌䈎䈮䈚䈩䈾䈚䈇䇯

ੑᐲ䈫⿠䈖䉌䈭䈇䉋䈉䈮䈚䈩䈾䈚䈇䇯 ᦨᄢ㒢䈱⺈ᗧ䉕␜䈚䈩䈾䈚䈇䇯

スライド4 スライド5 スライド6

は過ちをおかすもの」というタイトルで,アメリ カ医師協会が出版したものです。いわゆるヒュー マンエラー,あるいはヒューマンファクターを中 心とした大変示唆に富む本でして,かなり医療事 故の本質を突いた本ではないかと考えております。

アメリカでは,実際に,どんなかたちで医療事故 の分析を行って,再発防止を図っているかといい ますと,その出発点はここでありまして,原因指 向型の分析がアメリカでは定着しております。

 日本病院会と同じような組織がアメリカにあり,

そこでは様々な医療事故防止のプロフェッショナ ルを養成しております。そこで最もよく使われて いるテキストブックが『Root Cause Analysis in  Health Care』(スライド6)というもので,これ は「根源的な原因の分析」という,マニュアル本 でありテキスト本です。まだ日本語では訳されて いないかもしれませんが。

 事故後この2冊の本をすぐ購入して,叩き台に して事故原因の分析を始めたのです。事故原因を どのように分析していくか。表面的な解決では駄 目で,本当に1歩ずつ探っていく,こういった解析 手段というのがアメリカではもう定着しています。

 例えばアメリカの退役軍人病院は各地にありま すけれども,全国ネットワークで,年に何回も全 国で持ち回りでリスクマネージャーの勉強会など を開いて,医療事故の原因分析,対策の立て方の プロを養成しているというのは有名な話です。

 こうしたアメリカの取り組みに対して日本はど うだったかというと,ある事故が発生した際の最 初の取り組みは,当然何が起きたのかを皆が見よ うとするわけです。従来の対応は最初にだれがや ったのか,whoということで,そこで処罰をして 一件落着という責任追求型あるいは責任指向型の 対応だったのではないかと思います。例えば先ほ ど申しあげましたが,誤ってラインから塩化カリ ウムを静注して心停止でお亡くなりになったとし ます。そうするとやったコメディカルが処罰され ておしまいにしてしまう。そういうことがなぜ発 生して,次に起こさないためにはどうしたらいい かということが,ほとんど解析されていなかった

可能性があります。処罰ということになると,例 えば医師が関わった場合には隠蔽工作が出てくる わけです。例えば,東京女子医大の人工心肺のと きには記録が 改  竄 されたということが出てきまし

かい ざん

た。これでは同じような医療事故が繰り返される ことになってしまって,1つのことから教訓を得 て対策をたてられない。ですからそこで出てくる 方策は,当然スライド7の右側の方法でないとま ずいということです。これはアメリカでは普通に 行われていることで,なぜ起きたのかというwhy という質問があって,そこから様々なことが解析 されて出てきて,その結果どこをどのようにした らいいか,そして対策は何かという,つまり原因 指向型で,次の対策をたてるという方向に変わっ ていきます。ともすると病院の管理者はスライド 7の左側の指向に陥りがちですけれども,そうで はなくて,根源的な解析を踏まえた部分をもって 右側に変えていかないといけません。このスライ ドの原図は柳田邦男先生からいただいた資料に基 づいています。

事故原因の分析の手法は      

 私どもの透析事故の例は,詳細はホームページ に掲載してございますので,あとでご覧になって みてください。さて事故原因の分析に当たって具 体的な進め方はどうしたか。先ほどの透析事故の 部分ですが,スライド8に書いてあるような「直 接的な原因の究明」,普通はここで終わってしま

I T

੐᡿䈮ኻ䈜䉎䋲䈧䈱ᕁ⠨ᣇะ

੐᡿⊒↢

૗䈏⿠䈖䈦䈢䈱䈎 㪮㪟㪘㪫

⺕䈏䈚䈢䈱䈎 㪮㪟㪦

৻ઙ⪭⌕

ಣ ⟏

⽿છᜰะ ේ࿃ᜰะ

䈭䈟⿠䈖䈦䈢䈱䈎 㪮㪟㪰 䈬䈉䈜䉏䈳䉋䈇䈱䈎

㪟㪦㪮 ኻ╷䈲૗䈎

㪘㪚㪫㪠㪦㪥

スライド7

ドキュメント内 05flN7„”“ƒ†E…O…›…r…A.QX (ページ 44-48)