i「ねえ、どうする?」て先生が上村君に聞くのんと、ね i「上村君、今度のT君の誕生Bのプレゼントどうする?
iと聞くんと、これどうちゃうのん。
1 (しばらく間をあけた。.)
iそういうことが書いたあんねん。
7−3i (沈黙。)
教師i開いた表現の特徴。
7−3i (沈黙。)
教師 この会話の特徴、書いたあるやろ。
7−3i主語がなかったり。
教師 そうやろ、そや。この会話には、主語がないんです。
i「ねえ、どうする?」、「何を?」、「プレゼント。」
[irああ、T君の誕生日の。」、ね。で、また、「何を」
iを表す言葉や述語がないんです。
iA君、いきなり、「ねえ、どうする?」、「何を」と iか、そういうなん抜けてるでしょ。そういうのが開いた i表現の特徴になるわけ、ね。つまり、省略が多い。
i (板書) 「・省略が多い」
N
J
N
教師は、生徒7−3に対して、「開いた表現の特徴は」240)という発 問をした。教科書を読んで、筆者が述べるところの、開いた表現には主 語や述語、「何を」24Dを表す言葉が省略されているという特徴を理解 して、答えさせようとしたのである。しかし、生徒7−3は、この発問 に対して、「AとBの共通の知識」242>というように、「開いた表現」
243) ェ成り立つ理由、通じるための要素を答えた。この反応は、教科書 の読みが不足しており、理解できていないと考えられるとともに、発問 一192一
の内容や意図が伝わっていないとも考えられるため、本文のAとBの会 話を教師がもう一度読み、「この会話の特徴は」244)と、再度発問した
のである。しかし、生徒7−3は、沈黙している。教科書の内容と、発 問の内容とを相互作用させて、問題に取り組んでいるのである。教師は、
さらに、教科書のAとBの会話を読み、発問を繰り返した。生徒7−3 が考えている様子を見て、思考が集中するように、念を押しているので ある。この発問を繰り返した後にも、生徒7−3は、「AとBとは、T 君が誕生日を迎えることを知っている」245)と反応した。生徒7−3は、
「開いた表現」246)が通じることの背景としてあるものを答えたのであ る。そこで、教師は、その反応を否定し、また、AとBの会話について 集中するように促したが、この言葉が説明になっていなかったので、生 徒7−3は理解できずに、沈黙が続いたと考えられる。教師の、5度に わたる発問の繰り返しにより、生徒7一一3は、「主語がなかったり」24
7) ニいう正解に該当する、「開いた表現」248)の特徴を導き出した。こ の間の発問と反応を見ると、教師が、生徒7−3の理解のつまづきがど こにあるのか、どの言葉が理解できていないかについて把握できていな いと考えられる。したがって、同じ発問を繰り返し、よく読んでみなさ いとか、要点をつかみなさい、と言っている状態であり、指導性はそこ にはないと考えられる。生徒7−3は、要点がつかめていないから答え られないのであり、教科書の内容が理解できないから、要点が探せない のである。この場面では、生徒7一一3に音読させ、重点的な読み深めを
させるべきだったと考えられる。
一t93一
4 テスト結果とアンケート調査の結果
テスト結果249)について
①問(1)について
問(1)は、文章中の指示語について、それが示す言葉を抜き出してくる 問題であり、模範解答は、「家族の中、または友達との間」250)である。
3組のテスト結果を見れば、成績上位の生徒3−2、3−4、3−1
5、3−36の解答については、ほぼ模範解答のとおりに解答できてい る。したがって、これらの上位生徒については、文章に即して内容を理 解する力がついていると考えられる。
しかし、中位の生徒については、解答の適格性に不十分さが表れてく る。例えば、生徒3−3の解答は「友達の間」251>であって、採点とし ては○であるが、「そこ」252>が指し示す内容の解答としては不十分で ある。この解答では、文章の読み取りについての注意力の不足や、文章
に即して内容を読み取る力における不足があると考えられる。また、中 位の生徒3−19は、「わたしたちの言語行動」253>と書き、誤答して
いる。この誤答は、AとBの会話は、わたしたちの言語行動のほとんど を占める具体的な友達同士の会話であるということを、正確に理解して いないために起こったと考えられる。つまり、この誤答は、文章の内容 の理解の不十分さを指摘するものなのである。
次に、生徒3−31の解答を見ると、「友達(Tくん)のたん生日プ レゼントのこと」254>としている。この誤答は、指示語が、前の内容を 指し示すという役割をもつ言葉であることを理解できていないために起
一194 一一
こったと考えられる。「そこ」255)での会話の内容は、生徒3−31の 解答に書かれたことであるが,会話の次に「このようなものが多い」25
6) ニいう一文がある。このことから、この会話は、内容を尋ねているの ではなくて、会話が行われる場面を尋ねているというように理解しなけ ればならないのである。そういう点で、会話の内容は理解していても、
問題に合った解答をしなければならないという点で、理解が不十分であ ると考えられる。
下位の生徒については、生徒3−7が、「ほとんど、家族との中、ま たは友達との間の会話」257)として、誤答している。この解答は、模範 解答の語句は含んではいるが、言葉の使い方において、日本語として不 完全である。指示語の内容としては、この場合、「そこ」258)という語 句に入れ替わったとしても意味が同じで、しかも文脈がねじれないとい
う条件を満たさないと適切ではないのである。生徒3−7の解答は、
「そこ」259)と入れ替えた場合、文脈が意味をなしていない。この誤答 は、「ほとんど」260)という言葉を入れたために起こっているのである。
「ほとんど」という言葉を解答にいれることは、「そこ」26Dという指 示語が示す内容が理解できていないことを表すものであり、文のねじれ にも気づいていないということなのである。したがって、文章の内容に ついて、理解が乏しいのではないかと考えられるのである。
また、生徒3−21は、「家や学校の中」263)として、誤答している。
これは、「家族の中、または友達との間」264)という言葉の意味を解釈 して書き換えたのではないかと考えられる。生徒3−21の書きたい意 味は、家族は家にいて、友達は学校にいるので、「そこ」265)はそうい う場所を表す言葉でもさしつかえないのではないかということであり、
そのようにとらえて解答したと考えられる。しかし、文脈から言えば、
一195一
ここは明らかに「家族」266>、または「友達」267)という人間関係を示 す言葉で解答しなければならないのである。したがって、この点につい ても指示語について誤った理解をしているのではないかと考えられる。
次に、生徒3−46についても、「そこ」268)という指示語の前の文
をすべて抜き出して解答している。前の一一・一・S文のすべてを抜き出すという
ことは、その文の内容についても理解できていないのではないかと予想 される。したがって、「そこ」269)に置き換える内容についても理解で きていないと考えられるのである。このように下位の生徒については、
指示語そのものの役割についての理解、文章の内容についての理解が乏 しいと考えられるのである。
7組の生徒については、特に下位の生徒7−17、7一一20において は、ここの解答は空欄である。指示語への理解ができていないか、また は、文章を理解することに対して非常に困難であると考えられる。3組 の生徒で、この問いに対して空欄であったのは、生徒3−33だけであ
る。生徒3−33は、中間テストでは、上位の成績を取っているが、今 回のテストでは、かなり落ちている。本教材の問題、18点中では2点 しか取れていない。全体でも49点である。本教材についての学習面に おいて、何らかの困難があったのではないかと考えられるのである。
これに対して、7組では5人の生徒が空欄であった。指示語に対する 理解、文章の内容に関する理解が弱いことの表れと考えられるのである。
②問②について
問②の問題は、文章の展開に即して、文と文をつなぐのに適切な接続 語を5項目の中から選んでくる問題である。この問題は、前後の文の内 一196一