第四章 株式市場におけるルールの形成とその発展状況
6 中国証券監督管理委員会の位置づけ―真の監督者?
中国証券監督管理委員会は、中国の資本市場に対する監督・保護者として、証券市場の 安定性を何より求めている機関である。中国証券監督管理委員会は株式の上場過程におい て、資格審査、日常上場管理、事件処理などの業務に携わり、証券市場を監督し、ルール を制定する行政機関である。
中国証券監督管理委員会は、政府の部門として、常に主要な方針、政策を策定し、公布 した。例えば、中国証券監督管理委員会が公布した「1999 年の株式発行業務を改善するこ とに関する通知」では、「株式市場を利用して国有企業改革および発展を促進し、1997 年は 株式発行の重点を国民経済の命脈、経済規模に係る国有大中型企業に置くと方針を示した。
各地、各部門が企業を選択するときに、優先的に上場発行条件に適合する国が確定した 1,000 社の重点国有企業、100 社の企業集団および 100 社の現代企業制度試行企業の中から 選び、特に、優先的に今後株式の発行を通して買収を行い、欠損はしているが発展の見込 みがある企業に対し、資産組み合わせを実現し、企業の実力を増加しなければならない」
と明確に示した。
また、中国証券監督管理委員会の政策研究室が編纂した「中国証券市場発展報告 1999」
の第二章の表題は「証券市場の機能を発揮し、国有企業改革の発展をサポートする」と明 示されており、各節の表題を順次にみると、「証券市場の融資ルートを十分利用し、国有企 業の実力を増加する」、「国有企業再編を推し進め、国有企業を助けて困境から脱出するよ うに」、「国有企業の経営メカニズムの転換を促進し、現代企業制度を構築する」、「積極的 に国際資本市場を開拓し、企業の国際競争力を強化する」「1999 年には持続的に国有企業改 革発展の措置を支持する」と掲載されていた。その中には、データまで提供されていた。
国有企業の改組段階において中国証券監督管理委員会は 1998 年末まで、国が確定した 512 社の重点国有企業の内既に 251 社の改制および上場を実現し、100 社の現代企業制度試行企 業においては 47 社の改制および上場に携わった。
すなわち、中国証券監督管理委員会は、監督者というよりも国有大型企業を助けるため の役割が更に強かった。実際に、株式会社はその上場において中国証券監督管理委員会の 審査を経ないと上場できないはずであるので、不正が発覚した場合、不正会社を上場させ た責任を証券監督管理委員会も負うべきである。しかし、これについては何らの規制もな い。
ただ、粉飾決算などの不正に対応し、会計情報の質を高めるために、中国証券監督管理 委員会は、数十個の関連法規および制度を制定・公布した。例えば、「企業財務会計報告条 例」(国務院)、「企業会計準則」、「株式有限会社会計制度」、「会計基礎工作規範」(財政部)、
「上場会社財務諸表開示細則」(中国証券監督管理委員会)などが公布され、1999 年 10 月 31 日、第二回目に改正した「中華人民共和国会計法」が正式に公布され、2000 年 7 月 1 日 より施行された。なお、財政部は 2000 年 12 月に「企業会計制度」を公布し、これらの規 則をもって会計情報の質を改善し、虚偽の会計情報を途絶えることを期待していた。
しかし、制度は制度なりに存在し、粉飾・偽計事件は相変わらず生じていた。前章で取 上げた紅光実業会社の事例が発覚した時期をみると、上場会社の会計情報制度として、「中 華人民共和国会社法」(1993 年)、国務院「株式発行および取引管理暫定条例」(1993 年)、
「中華人民共和国会計法」(1993 年)、財政部「企業会計準則」および「株式制度試行企業 に関する会計制度」、中国証券監督管理委員会による「株式の公開発行における会社情報開 示実施細則」などの会計法規が存在していた。これらの法規は、上場会社が真実かつ信用 できる会計情報を提供するようになっているとの保証であると世間は理解していた。しか し、問題はこれらの会計情報の質に関する関連規定が実践において有効的に執行できるか 否かである。発覚した一連の事例からみると、制度の執行性はと乏しかった。
一応のところ、株式制度の導入の初期段階に国は全力を国有企業の改革に尽くし、資本 市場法制の整備に励んでいたが、実際の企業運営と噛み合わない部分が多く、無理に不良 資産に現代化を刻み込もうとした。現代株式会社制度構築の名目で、国有企業も、民営企 業も、政府も不正を行った。健全に発展しているのは、国の命脈産業として国の独占的保
護を受けている国有独資会社くらいであるといえる。
今後証券市場をめぐって法規制は継続して規範化されると思うが、今後の展開を見守り つつ、ここでひとまず本章を終える。