2. 各知財庁・機関のインターネット上の発信
2.8. 中国商標局( CTMO )
SAIC や CTMO は独自の年報や白書を作成していないため、SIPOとは別の情報ソースを見る には各機関のニュースを確認する必要がある。SAIC もニュースは中国語でしか発信されてい ないが、CTMOのニュースは中国語・英語の両方で発信されている。
CTMOのニュースの記事数は2017年は特に減少している。SAICやSIPOにニュースの内容が 統合されている可能性がある。
(1) 調査項目に基づく調査結果
① 「調査対象の知財庁・機関による発信情報を掲載したソースの調査」
調査項目の情報を収集整理するに際し、CTMOウェブサイトを調査したところ、国際協調や国際 的な取組を掲載している情報ソースとして、中国語と英語でそれぞれ以下のものが確認できた。
図表 105 ウェブサイトにおけるソース(中国語・英語)
中国語 英語
①ニュース
(News releases/Press releases)
「国际交流」
101(国際交流ニュース)
2017年11月17日現在、2012年分以降の 約 180 件のニュースリリース記事が掲載さ れている。このうちCTMOの国際協力に関 連する記事は121件あった。
「International Cooperation」ウェブペー ジ
102
「International Cooperation」には2012 年 分以降の約130件の記事掲載されてい る。このうちCTMOの国際協力に関連す る記事は73件あった。
SIPOが毎年発行している中国IP分野の白書である「中国知識産権保護状況」には、中国商標局
(CTMO)の活動状況を含めて報告されており、CTMOのウェブサイトには独自の年報や白書は掲 載されていない。
こ の ため 中 国語 ウェ ブサ イ トの 「 国际交流 」(国 際 交流 ニ ュー ス) 及び 英 語版 ウ ェブ サイ トの
「International Cooperation」に掲載の記事について記載内容、国際的な取組についての記載の有無、
その内容等について調査を行い、整理を行った。
② 「国際的な取組に関する情報(文章等)の調査」
調査日(2017年11月17日)現在、2012年3月から2017年のニュースリリースのうち国際協力 に関連する記事は144件あった。内容的にはマルチに関するものが6件、バイに関するものが138 件で、二国間での交流に関する記事が大半を占めている。情報量は中国語でおよそ50文字から540 文字の間で平均は108 文字であった。SIPOやSAICのニュースリリース記事と比較するとCTMO の掲載記事は簡潔で要点のみの掲載となっている。なお、144件の記事に写真が掲載されている記 事は1件もなかった。
図表 106 国際的な取組に関する記事件数
現地語 英語
2013年 18 13
2014年 36 11
2015年 19 16
2016年 20 6
2017年(~11/17) 5 0
5年間合計 98 46
出所:CTMOウェブサイトより作成
101 CTMOウェブサイト、http://sbj.saic.gov.cn/gjjl/。
102 CTMOウェブサイト、http://www.saic.gov.cn/sbj/sbjEnglish/InternationalCooperation/。
91
図表 107 国際的な取組に関する記事件数
出所:CTMOウェブサイトより作成
図表 108 記事の単語数に関する情報
現地語 英語
最大文字数 539 156
最小文字数 51 28
中央値 85 48
出所:CTMOウェブサイトより作成
③ 「調査対象の知財庁・機関からみた海外知財庁・機関等の位置づけの比較調査」
以下の表は、ニュースにおける国際的な取組(バイ)に関する発信状況(海外知財庁が登場する 記事件数)を示している。
CTMOの5 年間合計では、米国が一番多く、続いてWIPO、韓国が続く。SAICと同様にその他 の知財庁の記事件数が多く、CTMOの場合はイギリス、フィンランド、デンマーク、スイス等、欧 州の国々に関する記事が比較的多い。
18 13
36
11 19
16 20
6 5
0
0 20 40 60 80 100 120
現地語 英語
2013年 2014年 2015年 2016年 2017年(~11/17)
92
図表 109 二国間(バイ)に関する情報における海外知財庁・機関等名が登場する記事件数(ニュー
ス)
2017年
(~11/17)
2016年 2015年 2014年 2013年 5年間合計
米国
(USPTO)
現地語 0 1 3 5 5 14
英語 0 0 2 1 4 7
欧州(EPO)
現地語 1 1 0 0 0 2
英語 0 0 0 0 0 0
欧州(EUIPO、 OHIM)
現地語 0 0 1 4 0 5
英語 0 0 0 2 0 2
ドイツ(DPMA)
現地語 0 0 0 0 0 0
英語 0 0 0 0 0 0
カナダ(CIPO)
現地語 0 1 0 0 0 1
英語 0 0 0 0 0 0
オーストラリア
(IP Australia)
現地語 0 0 0 0 0 0
英語 0 0 0 0 0 0
韓国(KIPO)
現地語 0 2 0 2 0 4
英語 0 1 1 1 0 3
台湾(TIPO)
現地語 0 0 0 0 0 0
英語 0 0 0 0 0 0
シンガポール
(IPOS)
現地語 0 0 0 0 0 0
英語 0 0 0 0 0 0
タイ(DIP)
現地語 0 0 1 3 0 4
英語 0 0 2 0 0 2
インドネシア
(DGIP)
現地語 0 0 0 0 0 0
英語 0 0 0 0 0 0
マレーシア
(MyIPO)
現地語 0 0 0 0 0 0
英語 0 0 0 0 0 0
インド
(CGPDTM)
現地語 0 0 0 0 0 0
英語 0 0 0 0 0 0
ロシア
(RUSSIA)
現地語 0 1 0 0 1 2
英語 0 1 0 0 1 2
ブラジル
(INPI)
現地語 0 0 0 0 0 0
英語 0 0 0 0 0 0
GCC 現地語 0 0 1 0 0 1
英語 0 0 1 0 0 1
アフリカ
(OAPI)
現地語 0 0 1 0 0 1
英語 0 0 0 0 0 0
アフリカ
(ARIPO)
現地語 0 0 0 1 0 1
英語 0 0 0 1 0 1
JPO(日本)
現地語 1 0 0 0 0 1
英語 0 0 0 0 0 0
WIPO 現地語 0 1 0 3 1 5
英語 0 0 1 1 1 3
その他合計
現地語 3 13 10 13 7 46
英語 0 5 9 5 4 23
出所:CTMOウェブサイトより作成。
93
④ 「調査対象の知財庁・機関からみた海外知財庁・機関等の位置づけの推移調査」
上記の図表 109をもとにニュースにおけるCTMOからみた海外知財庁・機関等の位置付けの推 移をみると、まず全体の記事件数が2017年は減っている。また記事件数が1番多い米国も2013年 が一番多く、年を経るにつれ減少しており2017年の記事数は0である。同様にWIPOも2015年、
2016年が1件で、2017年が0件である。CTMOからのニュースの発信をSIPOサイトからのニュー スの発信に統合しようとしている可能性がある。
⑤ 「国際的な取組に関する情報(写真等)からの上記③,④の位置づけの調査」
CTMO の中国語ウェブサイトの「国际交流」(国際交流ニュース)及び英語版ウェブサイトの
「International Cooperation」に掲載の記事の144件の記事に写真が掲載されている記事は1件もなか
った。
⑥ 「国際的な取組(マルチ)に関する情報に関する調査」
マルチに関する記事6件は、五庁/意匠五庁/商標五庁関係が4件、OHIM(EU内部市場協調局)
が1 件、アフリカ広域知的財産機関(ARIPO)1 件が確認された。五庁関係は、2016年 五庁商標 中期専門家会議、2015 年商五庁商品・サービス専門家会合、2014 年商標五庁分類専門家技術会議 がそれぞれ北京で開催されたこと、また「商標五庁商品・サービスリスト(ID List)」のオンライ ン提供が正式に開始されたことに関する記事であった。
OHIM(EU内部市場協調局)は、SAICとOHIMが北京で共同開催した中欧IP Key枠組みによる
「2016中欧商標ベストプラクティスフォーラム」の実施に関するもので、アフリカ広域知的財産機
関(ARIPO)関係は、はやり北京で開催された「2016年アフリカ英語国家 IP担当官研修会」及び
「2016年発展途上国 IP 担当官研修会」に関する記事であった。「2016 中欧商標ベストプラクティ スフォーラム」にはEU各国の在華公館やモンゴルなど一帯一路沿線諸国から商標分野の関係者約 80名が参加したとされている。
⑦ 「国際的な取組(バイ)に関する情報に関する比較調査」
バイでの国際交流の内容を含む138件のうち知財庁の登場回数の多い順に機関、国名を挙げると アメリカが18件と最多であった。欧州機関はEUが14件、OHIMが5件、EPOが2件あり、これ らの合計では 21件となる。次いでイギリス 10件、韓国 7件、日本 6件、WIPO6 件、フランス 5 件、タイ5件、スイス4件、ニュージーランド3件、ロシア2件、デンマーク2件、オーストリア 2件、香港2件などとなっている。
日本関係が掲載された6件の記事は、JPO及び日本国際知的財産保護協会がCTMOを訪問(2017 年4月)、JPOより2名の審査員を迎えて商標登録等の実務交流(2012年11月)、CTMO呉群副巡 視員が日本経済産業大臣政務官と会談(2012年9月)、CTMO呂志華副局長がJPO審査業務部長と 会談(2012年9月)、日本国際貿易促進協会の来訪を受け会談(2012年4月)、CTMO許瑞表局長 が在華日本大使一行と会談(2012年3月)の内容であった。
CTMO(中国商標局)は SAIC(国家工商行政管理総局)の下部機関であるため、重要な来賓へ の対応はSAIC局長または副局長クラスが主として応対し、CTMO副局長クラスが会談に同席した という形で記事にまとめられている場合が多い。
また、外国より訪問を受け入れる形のほかに、外国の在華公館の知財商標担当者等が CTMO を 訪問しての会談が活発に行われている。この場合、表敬訪問というよりも、当該国企業の商標をめ ぐっての懸案事項があり、その個別的案件についての実務折衝的な内容の会談が多いとみられる。
記事の中にも在華イギリス公使がBP社に関する商標問題をCTMO法律部署と協議したことや、在 華フランス公使がラコステ社の商標保護について協議した等の企業名が含まれている記事も比較 的多く目に付く。
CTMOの国際交流は外国の商標所管機関等が中国(北京)へ来訪しての会談の形で行われている ものがほとんどで、CTMOが外国を訪問して相手国で会談を実施した記事は調査範囲において1件 もなかった。また、CTMOのバイによる国際交流の記事に中にMOU署名についての具体的な記述
94
は基本的になく、SIPO及びSAICが商標関連を含めたIP 分野の協力MOU 署名の対外管掌窓口と なっているためであると考えられる。
バイによる商標分野の国際交流の取組の一環として商標関連のセミナーを中国国内で積極的に 開催している。CTMOと米国USPTOの共同開催による「中米地理表示保護フォーラム」の四川省 での実施、CTMOとOHIM(欧州内部市場協調局)の共同開催による「中欧共同商標巡回フォーラ ム」の遼寧省瀋陽市及び黒竜江省ハルビン市での実施、SAIC とイギリス特許庁の共同開催による
「北京商標フォーラム」にCTMO呉群副巡視員が出席するなどの共同取組が行われている。
⑧ 「対内的な発信情報と対外的な発信情報の比較調査」
英語ウェブサイトの「International Cooperation」に掲載の2012 年分以降の46件の記事は、すべ て中国語ページとの対応が確認できた。英語ページは中国語ページの逐語対訳となっており記載内 容は一致していた。
英語ページの公表日付は中国語版の日付より1週間から 10 日ほど遅れて掲載されているものが 多いが、2カ月から3カ月ほど遅れた日付で掲載されている英語記事も相当程度散見される。また、
調査日(2017年11月17日)時点で、2016年6 月分以降の記事について対応する英語ページが1 件も掲載されていなかった。CTMO の中国語版「国際交流ニュース」及び英語版の「International
Cooperation」に掲載の記事のいずれにも写真を掲載したものが1件もなく、SIPOやSAICのウェブ
サイトと比較すると、CTMOのウェブサイトは対外的な情報発信をそれほど重視していない印象を 受ける。