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2. 各知財庁・機関のインターネット上の発信

2.13. タイ知的財産局( DIP )

 DIPのインターネット上の発信は、①年報(Annual Reports)、②長の挨拶(Director greetings)、

③プレスリリース(Press Release)、④白書(White papers)によって行われている。

 年報や長の挨拶、白書については、一部英語で併記されており、内容は同一であるが、プレス リリースやウェブサイト上に掲載されている文書についてはタイ語のみとなっており、情報の 大半はタイ語で発信されている。

 日本(JPO)との取組を紹介する記事が最も多く、登場する知財庁のうち、日本(JPO)の記 事は7件である一方、米国(USPTO)は2件、韓国(KIPO)とシンガポール(IPOS)は1件 ずつとなっている。また、マルチの国際的取組に関する記事に多く登場する機関は WIPO と

ASEANである。

 DIP ウェブサイトのプレスリリースでは、 DPIと JPOのバイの取組のうち、実際に行われた 会合について紹介した記事は計7件であり、JPOウェブサイトでは計10件であったことから、

ほぼ同程度掲載されている。DIPウェブサイトで掲載された7件中2件はJPOが提供する研修 プログラム(JPO Training Program)に関するものであった。

(1) 政策動向や情報発信方針に影響しうる背景

147

タイ知的財産局(DIP: Department of Intellectual Property)は、タイの国家経済・社会の「安全保 障、繁栄、持続可能性(“Security, Prosperity, Sustainability”)」を牽引する知的財産の強化や保護を 図る中核的機関として位置づけられている。

DIPでは、2017年から2021年までの5か年を対象とした国家計画「第12次国家経済社会開発計 画」及び長期国家戦略「the 20-Year (2017 – 2036) National Strategy」と密接に連携しながら、効率的 且つ国際水準の知財システムの構築をミッションに掲げている。

DIPが策定した「国家知的財産システム向上に向けた20年ロードマップ(20- year roadmap for the development of the national IP system)」における具体的な施策(その進捗が公開されている項目も含 む)の具体例としては、以下のとおり。

図表 147 DIP「国家知的財産システム向上に向けた20年ロードマップ」における具体的な施策

職員の増強

【目標】3年間(2016年〜2018年)で120人の職員を採用・増強する。

【進捗】2016年10月から2017年2月までに、82名の職員を採用・雇用。その他、

特許審査官や商標登録機関・関連機関職員の能力強化が実施された。

ITシステムの更新・向上

【目標】システム更新により IP 登録プロセスの効率性と適時性の向上し、光学文 字認識(Optical character recognition:OCR)や商標検索システム(trademark image

search system)等の電子政府モジュール(E-government) との連動性を確保する。

国際的基準への適応に向けた法律の改正

【目標】マドリッド議定書等へ加盟するため、商標法や特許法の見直し及び改正作 業を進める。

IP知識の普及

【目標】「知的財産 イノベーションエンタープライズセンター(Intellectual Property Innovation Driven Enterprise Center)」を通じた知的財産の商業的活用を促進し、市 場の需要に合致した知的財船の創造を推進する。

知的財産権侵害の保護と関連法の改正

【目標】知的財産の侵害に法的保護システムの向上と法執行の効率性を高める。

出所:DIPAnnual Report 2016』より作成

147 DIP2016年版年報(Annual Report 2016)に記載されている事項をもとに記載。

DIP, Annual Report 2016 http://www.ipthailand.go.th/th/รายงานประจําปี/item/รายงานประจําปี-2560.html

138 (2) 調査項目に基づく調査結果

① 「調査対象の知財庁・機関による発信情報を掲載したソースの調査」

タイのウェブサイトにおいて、情報発信は以下の方法によって実施されている。発信言語はタイ の公用語であるタイ語及び英語で行われているが、プレスリリース(News releases/Press releases) については、タイ語のみの発信となっている。なお、年報や白書、長の挨拶については、いずれも 英語とタイ語で内容に差はない。

図表 148 ウェブサイトにおけるソース(英語・タイ語)

英語 タイ語

①年報

Annual Report

2013 年 か ら 2016 年ま で の 年報 が 掲 載 さ れ 、 英 語 及 び タ イ 語 ( タ イ 語 ) で 併 記 さ れ て いる。 他国知財庁との会議、知財に関する

ASEAN ワーキンググループ、協力協定等、

多 国 間 お よ び 二 国 間 措 置 に 関 す る 情 報 が 掲載されている。

同左

②長の挨拶

Director greetings

各年度の年報(2013年、2014年、2015年、

2016 年 ) の 中 に 長 の 挨 拶 が 設 け ら れ て い る 。 た だ 、 国 際 的 取 組 に 関 連 す る 内 容 は 2015年と2016年の挨拶のみである。

同左

③ プ レ ス リ リ ー ス (News releases Press releases

英語の記事は設けられていない。 2015年~2017年の 3年分のプレスリリ ー ス が 掲 載 され て い る 。他 国 知財 庁 との 二国間(バイ)での取組の他、ASEAN WIPO と の 会 合 な ど 国 際 的 な 取 組 ( マ ル チ)に関する情報が発信されている。

④白書

White papers

「ASEAN知的財産権行動計画2016-2025

ASEAN Intellectual Property Rights Action Plan 2016 – 2025)」が収められている。

同左

② 「国際的な取組に関する情報(文章等)の調査」

1) 年報

2017年12月8日現在、2013年版~2016年版の年報がDIP ウェブサイトに収められている。年 報はタイ語で作成されているが、全て英語でも併記され、内容は同一である。

また、年報は、国名や知財庁名を章や節等の見出しにする構成となっていない。

2) 長の挨拶

2013年版~2016年版の年報に、長の挨拶が掲載されているが、国際的取組に関する記述は、2015 年版と 2016 年版の年報のみである。マドリッド議定書と意匠の国際登録に関する協定への参加に ついて言及がされ、知財政策の発展及び近代化に向けた展望が述べられている。

3) プレスリリース

2015年から2017年12月8日までで国際的取組に関連する記事は、計32件(英語の記事はない ため、タイ語のみ)であった。

図表 149 国際的な取組に関する記事件数

英語 タイ語

2017年(~12/8 0 12

2016 0 6

2015 0 14

3年間合計 0 32

出所:DIPウェブサイトより作成

139

バイの国際的取組に関する記事に登場する国および機関は以下のとおりである。

 欧州:デンマーク

 北米:米国

 中南米:なし

 オセアニア:なし

 中東: なし

 アジア:日本、韓国、シンガポール

 アフリカ:なし

 国際機関・その他:なし

なお、マルチの国際的取組に関する記事に多く登場する機関は、WIPOとASEANである。記事の 内容は、会合やMOU、また、PPHや協働調査などに関する記事が多く掲載されている。

図表 150 記事の単語数に関する情報

タイ語 最大文字数 4,990 最小文字数 74

中央値 129

出所:DIPウェブサイトより作成

4) 白書

「ASEAN知的財産権行動計画2016-2025(ASEAN Intellectual Property Rights Action Plan 2016–

2025)」が収められており、タイ語と英語の2言語で記載されている。

③ 「調査対象の知財庁・機関からみた海外知財庁・機関等の位置づけの比較調査」

以下の表は、プレスリリースにおける二国間の取組(バイ)に関する発信状況(海外知財庁の登 場する記事件数)を示している(英語の記事がないため、タイ語のみの記事件数としている)。

調査対象期間中、登場する海外知財庁は、米国(USPTO)、韓国(KIPO)、シンガポール(IPOS)、 日本(JPO)であり、登場回数は米国(USPTO)が2件、韓国(KIPO)が1件、シンガポール(IPOS) が1件、日本(JPO)が7件となっており、日本が最も多くなっている。

140

図表 151 二国間(バイ)に関する情報における海外知財庁・機関等名が登場する記事件数(プレス

リリース)

2017

~10/11

2016 2015 2014 2013 5年間合計

米国(USPTO

タイ語 2 0 0 0 0 2

英語 0 0 0 0 0 0

欧州(EPO

タイ語 0 0 0 0 0 0

英語 0 0 0 0 0 0

欧州(EUIPO OHIM)

タイ語 0 0 0 0 0 0

英語 0 0 0 0 0 0

ドイツ(DPMA

タイ語 0 0 0 0 0 0

英語 0 0 0 0 0

カナダ(CIPO

タイ語 0 0 0 0 0 0

英語 0 0 0 0 0 0

オーストラリア

(IP Australia)

タイ語 0 0 0 0 0 0

英語 0 0 0 0 0 0

韓国(KIPO

タイ語 0 0 1 0 0 1

英語 0 0 0 0 0 0

台湾(TIPO

タイ語 0 0 0 0 0 0

英語 0 0 0 0 0 0

シンガポール

(IPOS)

タイ語 0 0 1 0 0 1

英語 0 0 0 0 0 0

ロシア

ROSPATENT

タイ語 0 0 0 0 0 0

英語 0 0 0 0 0 0

インドネシア

(DGIP)

タイ語 0 0 0 0 0 0

英語 0 0 0 0 0 0

マレーシア

(MyIPO)

タイ語 0 0 0 0 0 0

英語 0 0 0 0 0 0

インド

CGPDTM

タイ語 0 0 0 0 0 0

英語 0 0 0 0 0 0

中国(SIPO

タイ語 0 0 0 0 0 0

英語 0 0 0 0 0 0

ブラジル(INPI

タイ語 0 0 0 0 0 0

英語 0 0 0 0 0 0

GCC タイ語 0 0 0 0 0 0

英語 0 0 0 0 0 0

アフリカ(OAPI

タイ語 0 0 0 0 0 0

英語 0 0 0 0 0 0

アフリカ

(ARIPO)

タイ語 0 0 0 0 0 0

英語 0 0 0 0 0 0

JPO(日本)

タイ語 2 3 2 0 0 7

英語 0 0 0 0 0 0

WIPO タイ語 0 0 0 0 0 0

英語 0 0 0 0 0 0

その他合計

タイ語 1 0 0 0 0 1

英語 0 0 0 0 0 0

出所:DIPウェブサイトより作成。

④ 「調査対象の知財庁・機関からみた海外知財庁・機関等の位置づけの推移調査」

2015年からの3年間における二国間の取組(バイ)に関する発信状況(海外知財庁の登場する記

141

事件数)の推移は以下のとおりである。日本(JPO)については、毎年 2 件~3 件の記事が継続し て掲載されている。

図表 152 二国間(バイ)に関する情報における海外知財庁・機関等名が登場する記事件数(タイ語)

2017年(~12/8 2016 2015 合計

米国(USPTO) 2 0 0 2

韓国(KIPO 0 0 1 1

シンガポール(IPOS) 0 0 1 1

日本(JPO) 2 3 2 7

出所:DIPウェブサイトより作成

図表 153 二国間(バイ)に関する情報における海外知財庁・機関等名が登場する記事件数(プレス

リリース)

出所:DIPウェブサイトより作成。

⑤ 「国際的な取組に関する情報(写真等)からの上記③,④の位置づけの調査」

ウェブサイトにおけるソースのうち、年報(Annual Report)及びプレスリリース(News releases

/Press releases)には国際的な取組に関する写真が掲載されている。

年報については、写真の説明(キャプション)が含まれていないが、プレスリリースに掲載され ている写真は全て写真の説明(キャプション)が併記されている。

国際的取組に関するプレスリリースの記事(タイ語の記事のみ)に写真が掲載されていたのは、

32件中(3年間)で27件であり、約84%の割合で写真が掲載されている。

バイの取組に関する写真掲載記事では、以下の国・地域が挙げられていた(計8ヵ国)。

 欧州:デンマーク

 北米:米国

 中南米: なし

 オセアニア:なし

 中東: なし

 アジア:日本、韓国、シンガポール

 アフリカ:なし

 国際機関・その他:なし

写真は 1 記事に複数枚が掲載され、写真の説明(キャプション)は記載されていない。例えば、

0 5 10 15 20 25 30 35 40

USPTO EUIPOOHIM DPMA CIPO

2015 2016 2017年(~12/8