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2. 各知財庁・機関のインターネット上の発信

2.6. オーストラリア知的所有権保護局( IP Australia )

 IP Australiaの情報ソースは、①年報(Annual Report)と②ニュース(News)に限定される。さ

らに、年報とニュースには写真が1枚も用いられていない。

 ニュースは2015 年からのものしか無く、現在までで国際的な取組に関するものは 9 件しかな い。年報とニュースの限られたソースでの判断になるが、IP Australiaでは2015~2016年頃か ら中国に関する情報の発信が増えている。

 IP AustraliaとJPOのバイの取組のうち、IP Australiaのウェブサイトで紹介された調査対象期間

中の記事は0件である。他方で、JPOの英語ウェブサイトでは、調査対象期間中のIP Australia との取組に関する記事は2件であった。

(1) 政策動向や情報発信方針に影響しうる背景

74

オーストラリア知的所有権保護局(IP Australia)は、1904年にオーストラリア特許庁として設立 され、1998年2月に旧称オーストラリア知的財産庁(Australian Intellectual Property Office)から名 称変更されて現在に至っている。革新産業科学研究省(The Department of Innovation, Industry, Science

and Research)の下部機関の1 つで、特許部門、商標部門、意匠部門及び育成者権部門で構成され

た行政機関である。

(2) 調査項目に基づく調査結果

① 「調査対象の知財庁・機関による発信情報を掲載したソースの調査」

IP Australiaのウェブサイトの情報発信は以下の方法によって実施されている。発信言語は英語の

みで行われている。IP Australiaのソースは年報とニュースに限られている。

図表 67ウェブサイトにおけるソース(英語のみ)

英語

①年報

(Annual Report)

Annual Report

20171231日時点で、直近5年間である2012年から2016年の年報のすべてが ウェブサイトから確認できる。

②ニュース

News)

20171231日時点で、国際的取組に関する記事は9件である。

② 「国際的な取組に関する情報(文章等)の調査」

1) 年報

IP Australiaの年報は2012年から2016年も直近5年間のものを確認した限りでは、産業技術革新

省(Department of Industry, Innovation and Science)

75

の年報の一部として構成されている。

IP Australia の 年 報 に お い て 国 際 的 な 取 組 と し て 項 目 が 設 け ら れ て い る の は international

engagement のパートで直近5 年間の年報全てに設けられている。ただし、IP Australiaの年報では

international engagement の項目に限らず、その年の各トピックで国際的な取組に関わるものは都度

言及されていく構造となっている。

2012年の年報

76

では、例えばオーストラリアの主催したRPET(Regional patent examination training) プログラムの参加国であるマレーシア、フィリピン、インドネシア、ケニア、ARIPO等との知財庁 の名前を挙げている。

74

特許庁、「オーストラリア連邦」

https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_shouhyou/kokusai/pdf/modopro_syohyoseido/au.pdf

75 2015921日から20171220日までの組織名。20171220日以降はDepartment of Jobs and Small Business組織名を変更。

76Australian Government, “Annual Report 2012-2013,”

https://industry.gov.au/AboutUs/CorporatePublications/AnnualReports/AnnualReport201213/outlook.html.

51

2013年の年報

77

では、日本の他、カナダ、英国、中国、欧州、韓国、米国の知財庁との特許出願 に関する検索と審査を管理するシステムのWIPO CASEに関する共同取組について紹介している。

2014年の年報

78

では、特にニュージーランドとの単一市場化に際する知財制度の改定の動向につ いてある程度文量を割いて触れられている。

2015年の年報

79

では、在中国オーストラリア大使館にIPカウンセラーを常駐させることについて 項目を変えて3回言及している。

2016年の年報

80

では、過去の年報でも扱ったニュージーランドとの単一市場化に伴う両国の弁護 士・弁理士の共通化に関する取組、オーストラリア初の海外IPカウンセラーとなる中国大使館での 例に関すること等、を扱っている。また、中国SIPOとのMOU締結等も紹介している。国際的な連 携の中では、総じて中国知財庁との連携に関して積極的に紹介している。

また、年報は、国名や知財庁名を章や節等の見出しにする構成となっていない。

2) ニュース

IP Australiaにおけるニュースは英語のみで発信されており、最も古いニュースでも2015年1月8

日のもので、それ以前のニュースは確認できない。そのような中で国際的な取組に関するものとし て確認できたものは9件である。

図表 68 国際的な取組に関する記事件数

英語

2013 0

2014 0

2015 2

2016 5

2017年(~12/31) 2

5年間合計 9

出所:IP Australiaウェブサイトより作成

77 IP Australia, “IP Australia Director General’s review,”

Annual Report 2013-2014, Chapter16, PART C,

https://industry.gov.au/AboutUs/CorporatePublications/AnnualReports/Documents/13-14/Chapter-16-21.pdf.

78 IP Australia, “IP Australia Director General’s review,” Annual Report 2014-2015, Chapter 12, PART C,

https://industry.gov.au/AboutUs/CorporatePublications/AnnualReports/AnnualReport201415/Annual-Report-Chapt er12.pdf;

IP Australia, “IP Australia report on performance,” Annual Report 2014-2015, Chapter 14, PART C,

https://industry.gov.au/AboutUs/CorporatePublications/AnnualReports/AnnualReport201415/Annual-Report-Chapt er14.pdf.

79 Department of Industry, Innovation and Science, “Annual Report 2015-2016,”

https://www.ipaustralia.gov.au/sites/g/files/net856/f/annual-report-2015-16.pdf.

80 IP Australia, “IP Australia Overview,” Annual Report 2016-2017, Chapter 11,

https://industry.gov.au/AboutUs/CorporatePublications/AnnualReports/AnnualReport201617/Annual-Report-2016-1 7-Chapter-11.pdf;

IP Australia, “IP Australia Report on Performance,” Annual Report 2016-2017, Chapter 12, September 15, 2017, https://industry.gov.au/AboutUs/CorporatePublications/AnnualReports/AnnualReport201617/Annual-Report-2016-1 7-Chapter-12.pdf.

52

図表 69 国際的な取組に関する記事件数

出所:IP Australiaウェブサイトより作成

IP Australiaの記事の最大単語数は565ワード、最小単語数は89ワード、中央値は237ワードで

あり、英語主体で発信をしている他の知財庁の比べるとやや分量は少ない。

図表 70 記事の単語数に関する情報

英語

最大単語数 565

最小単語数 89

中央値 237

出所:IP Australiaウェブサイトより作成

③ 「調査対象の知財庁・機関からみた海外知財庁・機関等の位置づけの比較調査」

以下の表は、ニュースにおける国際的な取組(バイ)に関する発信状況(海外知財庁が登場する 記事件数)を示している。

IP Australiaのバイに関する記事件数の5年間の合計は5件である。その内訳を見てみると、中国

が3件で一番多く、続いてEU(EPO)が1件、WIPOが1件、ニュージーランドが1件で続く。

0 1 2 3 4 5 6

2013 2014 2015 2016 2017(~12/31)

英語

53

図表 71二国間(バイ)に関する情報における海外知財庁・機関等名が登場する記事件数(ニュース)

2017

(~12/31) 2016 2015 2014 2013 5年間合計

米国(USPTO) 英語 0 0 0 0 0 0

欧州(EPO 英語 0 1 0 0 0 1

欧州(EUIPOOHIM 英語 0 0 0 0 0 0

ドイツ(DPMA 英語 0 0 0 0 0 0

カナダ(CIPO 英語 0 0 0 0 0 0

ロシア(RUSSIA) 英語 0 0 0 0 0 0

韓国(KIPO) 英語 0 0 0 0 0 0

台湾(TIPO) 英語 0 0 0 0 0 0

シンガポール(IPOS 英語 0 0 0 0 0 0

タイ(DIP 英語 0 0 0 0 0 0

インドネシア(DGIP 英語 0 0 0 0 0 0

マレーシア(MyIPO 英語 0 0 0 0 0 0

インド(CGPDTM) 英語 0 0 0 0 0 0

中国(SIPO) 英語 1 2 0 0 0 3

ブラジル(INPI) 英語 0 0 0 0 0 0

GCC 英語 0 0 0 0 0 0

アフリカ(OAPI 英語 0 0 0 0 0 0

アフリカ(ARIPO 英語 0 0 0 0 0 0

JPO(日本) 英語 0 0 0 0 0 0

WIPO 英語 0 0 1 0 0 1

その他合計 英語 1 2 1 0 0 4

出所:IP Australiaウェブサイトより作成。

④ 「調査対象の知財庁・機関からみた海外知財庁・機関等の位置づけの推移調査」

IP Australiaの場合、記事件数が少ないことから海外知財庁・機関等の位置づけの推移を把握する

ことは難しいが、中国については2016年、2017年と2年続けて記事として取り上げられているこ とから、年報における中国の扱い方と併せて、近年IP Australiaにとって中国の重要性が高まってい ることが推測できる。

⑤ 「国際的な取組に関する情報(写真等)からの上記③,④の位置づけの調査」

1) 年報

IP Australia の2012年から2016年までの直近5年分の年報を確認する限り、写真は1枚も掲載さ

れていない。

2) ニュース

IP Australiaのニュースで国際的な取組に関する記事として取り扱われている9件の内、写真が掲載

されている記事はなかった。

⑥ 「国際的な取組(マルチ)に関する情報に関する調査」

図表 72はニュースにおけるマルチの国際的取組に関する記事件数を示している。記事の総数自 体が少ないため断定的なことは言えないが、WIPOに関する記事が3件でやや多い。WIPO以外で

54

はOECDが1件、その他でIPSDM(知的財産統計会議)が1件あった。

図表 72 ニュースにおける国際的な取組(マルチ)に関する記事件数

WIPO OECD その他

2013 0 0 0

2014 0 0 0

2015 2 0 0

2016 1 0 0

2017年(~12/31) 0 1 1

5年間合計 3 1 1

出所:IP Australiaウェブサイトより作成

図表 73 ニュースにおける国際的な取組(マルチ)に関する記事件数(グラフ)

出所:IP Australiaウェブサイトより作成

⑦ 「国際的な取組(バイ)に関する情報に関する比較調査」

1) 国際的な取組(バイ)に関する情報

図表 74は、ニュースにおける連携形態別のバイの国際的取組を扱った記事件数を示している。

国際連携の形態はMOU/MOCとPPHがそれぞれ1件ずつで、その他が2016年の2件である。その 他の2件はそれぞれ、オーストラリアとニュージーランド共通の特許の単一申込制度の行方、在中 国オーストラリア大使館に対豪企業向けの IP カウンセラーを常駐させることの決定に関する発表 などである。

図表 74 ニュースにおける年別の国際連携の形態(記事数)

MOU/MOC PPH その他

2013 0 0 0

2014 0 0 0

2015 0 0 0

2016 0 1 2

2017(~12/31) 1 0 0

5年間合計 1 1 2

出所:IP Australiaウェブサイトより作成 0

1 2 3 4

WIPO OECD その他

2013 2014 2015 2016 2017(~12/31)

55

図表 75 ニュースにおける年別の国際連携の形態(記事数)、グラフ

出所:IP Australiaウェブサイトより作成

2) 日本との取組について

IP AustraliaとJPOのバイの取組のうち、国際交流についてIP Australiaのウェブサイトで紹介さ

れた調査対象期間中の記事は0件である。他方で、JPOの英語ウェブサイトでは、調査対象期間中

のIP Australiaとの国際交流に関する記事は2件であった。

⑧ 「対内的な発信情報と対外的な発信情報の比較調査」

IP Australiaのウェブサイトは英語のみで構成されているため、対内的な発信情報と対外的な発信

情報の比較調査を行うことはできない。

0 1 2 3

MOC/MOU PPH その他

2013 2014 2015 2016 2017(~12/31)

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