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 高砂市地方では次のように謡う。

(1) 「イットウ」と書う。用例「ナカジョバ カモイットウガ 多イ。 (中騨

〔地名〕は,加茂〔人名」一族が多い。)」「イッケ」 「カブウチ」は全く聞い たことがない。

      わるやまい② 「スジガ 悪イ」 「スジメガ 悪イ」 「ワッリャマイ(悪病)ノ スジヤ

(筋だ)」。以上三っの言い方は同程度によく使われている。強いて順をつけれ ば,「スジ」のほうが「スジメ」よりも多く使われるような気がする。「トウ」

「ソン」は全く聞いたことがない。

 富戸大同氏(明石工業高等専門学校講師・古代語法・方書)

 小野市地方の方言では,次のように言う。

3} 「イッケ」 「イッケウチ」 「イット(オ)」 「イット(オ)ウチ」の順に 使用の度合が低くなる。これは,また,}溺時に新一→古の順かとも思うが,ば

っきりしない。「〜ウチ」と言うと,親族の感(イッケ・親類に対して)ある やに思うが,これもはっきりとはしない。なお,姫路・神崎郡の辺では「ヨシ

ミ」という由。

(2) 「スジ」と言う。

 井上飯氏(兵庫県立竜野高等学校教諭 国語学)

 兵庫累揖保郡太子町の方言では,次のように雷う。

(1) 「イツトウ」 「イツケ」 「カブウチ」の三つを使う。ただし,現在ではぽ とんどの入が「イットウ」を使い, 「カブウチ」はかなり限定された人(老・

中年層に多い)が使う。「イッケ」は,ほとんど使われていないが,年寄りで は揚所によってはぽつぽつ使われていると雷えそうだ。三者とも意味用法の上.

でちがいはない。

:2) rスジ」を使う。若い人たちは,もう標準語として「血統」を使うが,巻

・中年層では「スジ」を使う。

 服部敬之氏(兵学:漿立飾磨工業高等学校教頭 国語学・方言)

 淡路島の灘本市の方言では,次のように言う。

用 「イッケ」一広く一般に使われている。

  「イッ}、一」一一一一老年贋力x よく使う。

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  「ウチマ」一一洲本市大野地区の老年屡から聞いた。親戚の意味だが,細

ttかい区:別はしていない。

  「ミウチ」一洲本市由良地区で聞いた。上と1司じく,親戚の意味で広く

言う。

(2) 「スジ」一大人が普通に使う。用例「アノ イヤ スジジャ。 (あの家

・は,スジだ。)」

   「ス ・一・ 」一隠語的な気持で使われることが多い。

   「ケットー」一かなり広く使われている。

 脇道夫氏(兵庫梁教育委員会事務局社会教育主:事 国語学)

 淡路島の津名郡津名町の方言では,次のように言う。

く11現在親類としての交際がある場合は,「イッケ」。現在親類としての交際 あるなしにかかわらず,その血筋である場合は「イヅトウ」。

(2}古い醤い方として「スジ」。新しい比い方として「ケットウ」。ただし現 在では両者とも使われている。

 藤本秀雄氏(兵庫県多紀郡今照町町立今田小学校校長)

 兵庫県多紀郡内の各小学校の国語科主任の先生の協力のもとに,多紀郡一円 の方言について次のような教示をお寄せくださった。(カッコ内は,藤本氏に それぞれその報告を寄せてくださった小学校名を示す。)

・{1)マキ 部落内のあるひとかたまりをマキというのを闘いた(多紀町村雲)。

、同族の意味ではないが,葬儀のときなどに使う(多紀町西紀北)。

  イットウ 多く使う(篠山町底上・同岡野・今閏町今閏)。 使う(篠山町 城北。同篠山・西紀町西紀・嗣西紀北・多紀受盃主・丹南町城南・同味間・城 東町雲部)。時々使う(城東跡目置)。 いう場合もある(篠由町畑)。

  イッケ 多く使う。親類・親戚の意味で姓が必ずしも同一にならない(城 東乱雲部・多紀町大芋)。 年長者が親類の意昧で使う(多紀町村雲)。 若い人 はあまり使わぬ。老入が使う(丹南町古市・同系間)。親戚の意味で使う(酉 紀町西紀北)。 一族の意味で使う(丹南町城南)。 使っている(多紀町徳住・

今田町今閏)。時々言う(城東町後州)。言うこともある(篠山町城北)。他 の苗掌の家も含めていうことがある(城東町臼置)。 こども仲間で言う(篠山       一68一

町八上)。

  カブウチ 同姓の場合。本家分家の関係。多く使う(西紀町西紀北)。 使

・っている(篠山町篠山・{司畑・西紀町西紀・多紀町二佐)。

  カブチ 醐族の意味で使っている(丹南町城南・醐味問・多紀照丁大芋・篠

豆i町篠山)。

  カウチ 使っている(西紀町西紀)。

  カブ 使っている(多紀町福住・城東時下部)。丁丁〜族の意味で使う。

親類・親戚の意味ともちがう。畑カブ・山本カブのように(多紀町村雲・岡大 芋)。 なお,マキ・マキウチは氷上地方でもよく使う。

働 ラィ病スジ・〜スジ 使っている(城東町目置・篠由町篠出・岡城北・同 岡野・丹南町味間・嗣城南・西紀町西紀・今蟹町今閏)。

  スジが悪い 使っている(篠出町八上・同城北・岡畑・、同篠由・同岡野・

丹南町城南・鶴野間・多紀町福住・今田町今闘)。昔屠殺を業とした家のこと を「スジが悪い」という(篠由町同上・今田町今山)。

  スジ よく使っている(城東町営州・同門部・多紀町大門・篠由町岡野)。

使っている(西紀町西紀・多紀町福住・同村雲・丹南町城南・岡古市・同味問

●今田町今閏・篠出三八上・同城北・野畑・城東町雲部)。 大人の世界で使っ ている(西紀町西紀北)。老人がよく使う。最近は血筋・血統を多く使う(篠

.出瞬篠山)。

  ソン 使っている(丹南町城南・城門時学部)。 老入が使っている(丹南 町昧問)。 ごく一部で「あの家は代々おとなしいソンや」のように使っている

(篠鼠【町篠f−9−E )。

 ソンが最も古く,次がスジだと思う(篠由町篠山・丹南町味聞)。 スジが郡

:内一円の成人贋に一般的に使われているのに反し,ソンはごく一部の老人層に しか使われておらず,しかも年とともに廃れていく傾向が強いことから,ソン

、が古いと考える(藤本町i入の意見)。

 岡閏荘之輔氏(兵庫県浜坂高等学校講師・国語学)

 兵庫県美方郡湯村温泉・同郡村岡町・城崎郡R高町日置・朝来郡柏照山町西 枚照で調査した結果は次のとおり。これは侃馬地方一般と見て誤りなし。但馬       一69一

一円ほぼ同じ。異なるところだけ地名をあげる。

(1}マキと呼ぶのが,昔からの心安い呼びかたである。しかし,用法は広狭両 様である。狭義では,同じ血族仲間で,一族・同族の意味である。日高瞬日置

と村職町ではこの狭義の意味でのみ使っている。

 広義では,岡族でも勢力として見て,幾つかに分裂していると,それぞれ霧 のマキである。他人でも,直面にはいっていると認めると,圃じマキであると 言う。マキという呼びかたは,だんだんと使わない方向に行きつつある。それ は,標準語でなく,テレビや文章に現われないからだ。村岡町では,イチマキ

というほうが普通。

  ルイ 湯村温泉では,なまってズイという入もいる。いうまでもなく,親 類の上略語である。これもマキと同様古くから使われた語であるが,マキより

も純粋に親戚の意稼で使う。地方に根を下した語だが,シンルイやシンセキの 語にとって代られつつある。

  ミウチ 語感としてはルイやマキよりも範囲が狭く,普通は親子兄弟など の意味だが,対外的に親戚の範囲に用いることもある。

  ヒッポー マキ・ルイ・ミウチのほかに,ヒッポー(筆法)ともいう。直 接的にルイやマキ・ミウチが用いられるのに対し,乱曲な丸いかたである。

「渡辺のヒッポーだ。」 など。

  イッカ これは新しいことばだ。上記4地点のうち最も山奥の村岡町では 使っていない。他の地点では極めて新しい言いかた。湯村温泉では,誰ってイ ッケともいう。これは,一家族の山畑で,同居を原則とするから,一族・闘族 の意味では用いない。

  イットウ 文字ことば。古い感じ。稀に用いる。 「渡辺家御一統様には…

……vなどと,婚礼等儀式張った湿声に用いる。

  イチゾク 若い入が稀に用いる。漢語の武張った感じ。

〔2)スジ これが一般に使うことば。「頭ノ エー スジダ。」 とか「肺病ノ  スジダ。」 とか用いる。

  マキ マキともいうが,これは,スジの語がきつく感じるので,和らげて  マキという。系統とかスジとはいいにくい時に,まわった言いかたとして罵

       一70一

  いる。

  トウ・ソン この二つのことばは使っていない。

〔岡山県〕

 虫明吉治郎氏(稠山操出高等学校教諭・国研地方研究員・国語学・方言学)

鶏 岡由市(近辺)では「イットウ」のようだ。県南の玉野市では「イッケ」

とも言う所があるようだ。笠岡市はrイットウ」, 倉敷市粒江でも「イット ゥ」。 金川では「カブウチ」 「カブナイ」 「ミウチ」という。 (カブウチとミ ウチでは意味が少し違うらしいが,不明。金川出身の入からカブウチ・ミウチ という話を聞いて,岡山市近辺でも,カブウチ・ミウチを使わないでもない,

と思い出した。)

{2}岡山市あた9では「スジ」というのが普通のようだ。笠岡市・倉敷市粒江 では「ケツトー」。金川では「イエスジ」「エスジ」。

 折尾卓治氏(解由累真庭郡新庄下新庄小学校教諭)

{1}岡山県真庭郡地方でよく使用されているのはrカブウチ」である。「つな がりのあるひとまとまり」という意味の使われかただ。このうちでも現に交際 のある揚合は「シンルイ」という。また, 「イットウ」ともいうが,「カブウ チ」のほうが一般に使用されている。在所の人や老入は「イッケ」ということ ばも使うが,これは,わたしたちはあまり耳にしない。

② 輿庭では「スジ」ということばが多く使われている。特に上に名詞がつい て,「肺病スジ」「ナリスジ」とか,人指しゆびをかぎに曲げて示しながら,

「これ久ジ」といいます。老入などは,古い言い方にはいると思いますが,

ギトウ」 という。

    とまた

 県北の苦閏郡撫茂町の方言を調査しているなかまの人の話では,この加茂町 の古老は,「ソン」とか「スーキ」という言いかたをするそうだ。また,肥勝 田郡で現在は津山市に属しているところのなかまは,そこでは「トー」という 言いかたをすると言っている。

〔広島県〕

 近藤四郎氏(広島県立呉宮原高等学校教諭・国研地方研究員・国語学)

 安芸地方全般の状況を総合して,次のようなことがいえるかと思う。