第1章 諸言
3.1 光学モデルと分光エリプソメトリー解析
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第3章 テクスチャーSnO2:F基板の分光エリプソメトリー解析
薄膜シリコン太陽電池構造の分光エリプソメトリー解析を行う手順として、この章では テクスチャーSnO2:F 基板の分光エリプソメトリー解析を行った。まず膜面からプローブ光 を入射してエリプソメトリー解析を行い、テクスチャーSnO2:F 基板の光学モデルを構築し た。次に膜面入射においてガラス基板の裏面反射がある状態で、インコヒーレント条件の エリプソメトリー計算方法を検証した。そして基板入射解析では、試料表面が平坦な
a-Si:H/Glass試料にて基礎検証を実施した後に、テクスチャーSnO2:F基板について基板入射
解析を行った。そして最後に、テクスチャーSnO2:F 基板の物性ついてエリプソメトリー解 析結果と直接的手法の比較を行い、エリプソメトリー解析の妥当性を検証した。
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図 3-1 から、SnO2:F 層は表面に大きさがランダムなテクスチャー構造を有した多結晶構 造であり、テクスチャー領域とバルク領域の膜厚はそれぞれ約150 nm、870 nmとなってい る。また、SnO2:F層の粒径はガラス基板との界面付近では最小で約50 nmであるのに対し
て、約500 nmにも達する結晶粒が表面テクスチャー構造を形成している。このガラス界面
付近の小さな結晶粒は、表面テクスチャー構造を形成に不可欠な大粒径SnO2:F層を成長さ せるためのシード層だと考えられる。SnO2:F層の詳細な成膜条件は不明だが、既出の図1-12 より、多層膜プロセスだと予想される。
本研究では、ガラス基板/SnO2:F バルク層/表面ラフネス層という構造でテクスチャー SnO2:F 基板の光学モデルを構築した。なおバルク層に関しては、後述するように単層と積 層のモデルを構築し、光学モデルにおける膜構造の検証を行った。またテクスチャー構造 をモデル化した表面ラフネス層の誘電関数は、バルク最上層と void の体積分率を 0.5:0.5 としたEMAで定義した。
3.1.2 誘電関数モデル
テクスチャーSnO2:F基板の光学モデル構築において、ガラス基板とSnO2:F層の誘電関数 が必要となる。しかしAsahi-U基板に使われているソーダライムガラス基板を入手すること が出来なかったため、本研究ではCauchyモデルを用いてガラス基板の誘電関数を仮定した。
式(2-80)において、Cauchyモデルは第2項まで使用し、その値をA = 1.45、B = 0.01 m2と した。分光エリプソメトリー測定は0.7 eVから3.3 eVの範囲で行ったが、一般的にソーダ ライムガラス基板はこのエネルギー領域で光吸収を示さない1)。従って、k = 0と仮定した。
次に、SnO2:F層はキャリヤー濃度が1020 cm−3台と高いため、その誘電関数はTauc-Lorentz
モデルとDrude モデルを組み合わせて表現した。図3-2はSnO2:F層の 2スペクトルを模式
化したものである。
図3-2 SnO2:F層の誘電関数モデル
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SnO2:F層などTCO材料の誘電関数は一般的に、紫外から可視のエネルギー領域でバンド間 遷移を示し、近赤外領域から低エネルギー側でフリーキャリヤー吸収を示す。従ってバン ド間遷移をTauc-Lorentzモデル、フリーキャリヤー吸収をDrudeモデルで表現した。分光エ リプソメトリー解析におけるこのような誘電関数のモデリングは、SnO2:F 層だけでなく、
ITO層やZnO層においても多数の報告例がある2)。
Drudeモデルに関して、式(2-89a)と式(2-89b)に示したように、パラメータADと Dから光
学的にキャリヤー濃度と移動度を評価することが可能である。しかしこの解析において、
半導体材料の有効質量m*が必要となる。またTCO 材料において、m*はキャリヤー濃度と 共に増加する。本研究で用いたAsahi-U 基板をHall 測定で評価したところ、キャリヤー濃 度は2.06 × 1020 cm−3という結果が得られた。SnO2:F層と同じTCO材料であるZnOとITO のDrude解析において、キャリヤー濃度が約2 × 1020 cm−3の場合にm* ~ 0.3 m0という報告 例2)があるため、本研究ではm* = 0.3 m0としてDrudeモデルによる解析から光学的キャリ ヤー濃度と移動度を評価した。
3.1.3 多層膜モデルのキャリヤー特性解析
本研究では、Hall測定によるキャリヤー濃度と移動度を使って、エリプソメトリー解析で 得られたキャリヤー特性の妥当性を評価した。光学モデルにおいてTCO層が多層膜構造の 場合、Hall測定と分光エリプソメトリー解析結果を比較するには、光学モデルの膜構造につ いて平均的なキャリヤー濃度と移動度を算出する必要がある。平均的キャリヤー特性の算 出について、2層膜を例に説明する。図3-3はドーピング層が2層構造の場合における等価 回路モデルであり、 、R、d、Sはそれぞれ層の抵抗率、抵抗、膜厚、面積である。
図3-3 2層膜構造の透過回路モデル
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まず、図3-3において膜の平均抵抗Raveは次式で示される。
2 1
1 1
R Rave R
ここで膜の平均抵抗率を aveとすると、Rave、R1、R2はそれぞれ次のように書き表せる。
2
1 d
d Rave ave S
1 1
1 d
R S
2 2
2 d
R S
式(3-1)に式(3-2)、(3-3)、(3-4)を代入すると S
d S d S d d
ave 2
2 1
1 2 1
より、 aveは層数がiの場合に次式で表現できる。
i i
i i
i
ave d
d d
d d d
2 2 1 1
2 1
次に、キャリヤー濃度は単位体積当たりのキャリヤー数であるから、膜の平均キャリヤ ー濃度Naveは以下のように算出できる。
i i i
i i
ave d
d N N
そして平均キャリヤー移動度は次式で表される。
i i ave ave
ave eN d
1