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基板入射エリプソメトリーの解析結果と検証

第 4 章 テクスチャーa-Si:H/SnO 2 :F 構造の分光エリプソメトリー解析

4.2 基板入射エリプソメトリー評価

4.2.2 基板入射エリプソメトリーの解析結果と検証

膜面入射時と同じ膜構造の光学モデルを用いて、テクスチャーa-Si:H/SnO2:F 構造の基板 入射エリプソメトリー解析を行った。図4-12は測定と解析の( , )スペクトル、図4-13は 解析パラメータ値と信頼区間を光学モデル中に示している。図 4-12 から、 スペクトルは 全エネルギー領域に渡って測定と解析のスペクトルが一致している。一方、 スペクトルは

2.0 eV以上で良好なフィッティングを示したが、低エネルギー側で測定と解析のスペクトル

で振幅やピークのエネルギー位置が一致していない。また解析パラメータ値について、

a-Si:H/SnO2:F 界面層の膜厚は表面積モデルの領域1と2でほぼ等しく、界面層の膜厚が領

域1と2で差が認められた膜面入射解析結果と傾向が異なっている。さらに、a-Si:Hバルク

層と表面 a-Si:H テクスチャー構造の膜厚について、パラメータ信頼区間が膜面入射の場合

図4-11 膜面入射解析結果から算出した基板入射スペクトル

105 と比較して非常に大きくなっている。

以上の解析結果から、光学モデルの変更を行った。まず、a-Si:H/SnO2:F 界面層は表面積 モデルを設定せず1領域のみとした。a-Si:H表面構造に対しては、図4-13のモデル化では 不十分な可能性があるため、表面積モデルによって領域 1と 2 で膜厚が異なるように設定 した。テクスチャーa-Si:H/SnO2:F 構造の基板入射エリプソメトリー解析について、光学モ デル変更後の解析( , )スペクトルを図4-14に、その解析パラメータ値と信頼区間を図4-15 に示す。図4-14から、光学モデルを変更しても高エネルギー側では図4-12と同様に良好な フィッティングが得られているのに対して、低エネルギー側では スペクトルのフィッティ

図4-13 テクスチャーa-Si:H/SnO2:F構造の基板入射エリプソメトリー解析結果

図4-12 テクスチャーa-Si:H/SnO2:F構造の基板入射エリプソメトリー解析

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図 4-14 基板入射エリプソメトリー解析におけ

る光学モデル変更前後のスペクトル比較 ングが改善されていない。しかし図 4-13

と図4-15 を比較すると、a-Si:H バルク層 の膜厚および a-Si:H 表面テクスチャー領 域の sと について、光学モデル変更によ り解析パラメータ値の信頼区間が減少し ている。以上の結果から、a-Si:H/SnO2:F 界面層における表面積モデル適用の有無 は高エネルギー側のフィッティングに影 響していないため、基板入射エリプソメト リーは a-Si:H/SnO2:F 界面構造に対する測 定感度が低いと考えられる。一方、a-Si:H 表面テクスチャー領域への表面積モデル 適用により解析パラメータ値の信頼区間 が減少したことから、基板入射エリプソメ

トリーはa-Si:H表面テクスチャー構造に敏感であるという傾向が得られた。

次に図4-15のエリプソメトリー解析結果に関して、a-Si:H/SnO2:F界面層からa-Si:H表面 層におけるa-Si:H 相の体積分率を図 4-16 に示す。図 4-16において、a-Si:H バルク層から

a-Si:H表面領域に向かって体積分率は滑らかに変化しているが、SnO2:F/SiO2界面から1200

nmの位置付近から急激に体積分率が変化し、1250 nmから試料表面にかけてはfa-Siが0.46 で一定になっている。図4-1に示すテクスチャー構造の観察結果から、a-Si:H表面領域では 試料表面に向かって体積分率が徐々に変化するのが妥当だと思われるため、低エネルギー 領域におけるフィッティングはa-Si:H表面層のfa-Siプロファイルが原因だと考えられる。

図4-15 光学モデル変更後の基板入射エリプソメトリー解析結果

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図4-17 各SnO2:F層の膜厚を10 nm増加さ せた場合の膜面入射と基板入射の 変化率 さらに、図4-15より基板入射エリプソメトリーでは各SnO2:F層の膜厚における信頼区間 が膜面入射時の1/3から1/4程度に減少している。その理由として、膜面入射測定配置では

a-Si:H層の光吸収により高エネルギー側ではSnO2:F層へプローブ光が到達しないのに対し

て、SnO2:F層が光入射側に位置する基板入射測定配置では全エネルギー領域でSnO2:F層が

( , )スペクトルに寄与するためだと考えられる。次に、低エネルギー領域においてSnO2:F

層がエリプソメトリー解析に与える影響について調べた。図4-13および図4-15における各 SnO2:F層の膜厚を10 nm増加させて各入射測定配置の スペクトルを計算し、図4-12およ び図4-14に対する計算 スペクトルの変化量

を求めた。ただし膜面入射と基板入射は ス ペクトルの強度幅が異なるため、計算 スペ クトルの変化量を図4-12および図4-14の計 算 スペクトル値で割ることで、各SnO2:F層

の膜厚が10 nm増加した場合の計算 スペク

トルの変化率で評価した。2.0 eV以下におけ る膜面入射と基板入射の計算 スペクトル変 化率を図4-17に示す。

図4-17から、a-Si:H層のバンドギャップで

ある約 1.7 eV 以下の領域においても基板入

射測定配置は膜面入射よりも SnO2:F 層の膜 厚が スペクトルに大きな影響を与えている。

図4-16 基板入射エリプソメトリーによるテクスチャーa-Si:H/SnO2:F構造の体積分率

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しかしフリーキャリヤー吸収が大きい1.0 eV以下では、SnO2:F層の膜厚が変化しても両入 射測定配置において スペクトルに与える影響はあまり認められなかった。