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第3章 ハイブリッド・ミスマッチ・アレンジメ ントの無効化

第2節 ハイブリッド・ミスマッチ・アレンジメントの無効化に 係るパブリック・コメント係るパブリック・コメント

ハイブリッド・ミスマッチ・アレンジメントの無効化に関するビジネス界の

主なパブリック・コメントとしては、OECDのBIAC(Business and Industry Advisory Committee to OECD;経済産業諮問委員会)が2013年10月1日に、

産業界に対してOECDのBEPS行動計画について質問状を投げかけ、これに 対して、以下の主要な世界の経済団体からコメント(以下「BEPSへの欧米ビ ジネス・コメント」という。)が提出された。

これは、BIAC のホームページ上で公表されているところであり、このなか で、OECDの15のBEPS行動計画に対する産業界の見解をみることができる ところである。

〔BIACからのBEPS行動計画に係る質問状に回答した主な経済団体〕

 Association of British Insurers 〔ABI〕

 Confederation of British Industry 〔CBI〕

 British Bankers’ Association 〔bba〕

 Captive Insurance Companies Association 〔CICA〕

 Corporate Taxpayers Group 〔CTG〕

 Baker & McKenzie LLP

 European Business Initiative on Taxation 〔EBIT〕

 European Round Table of Industrialists 〔ERT〕

 Global Federation of Insurance Associations 〔GFIA〕

 Global Financial Markets Association 〔GFMA〕

 International Alliance for Principled Taxation 〔IAPT〕

 Tax Executives Institute 〔TEI〕

 Treaty Policy Working Group 〔TPWG〕

 United States Council for International Business 〔USCIB〕

(以下、各章において略語は同じ。)

これについては、2014年4月4日に開催された本庄資名古屋経済大学名誉 教授の租研講演「国際課税における重要な課税原則の再検討(第8回)~BEPS プロジェクトに対する欧米ビジネス界からの懸念と問題提起~」で取り上げら れ、そのなかで、ハイブリッド・ミスマッチ・アレンジメントの無効化(行動

計画2)に関しては、以下のビジネス界の意見等について指摘がなされた(17)

 ハイブリッド証券の利用は、「規制産業」については資本要件に関し多く の有効な商業上の理由がある。「規制産業以外」についてもいろいろな商業 上の目的で異なる事業体を利用する多くの商業上の理由がある。〔CBI〕

 英国は、次のようにハイブリッド・ストラクチャーの「意図せざる結果」

対処する広範な国内措置を講じている。〔CBI〕

 裁定取引防止ルール(2005 年以前の二重居住投資会社ルール)及び GAAR

 グループ・ミスマッチ・ルール

 配当免除

 G20/OECDのBEPS行動計画によって、米国の多国籍企業は国内的反

作用を受けず、外国で税源浸食を自由に行うことから不当に有利になり、

EU の多国籍企業は BEPS 対策の欧州実施指令と国家補助禁止ルールに よって競争上不利に追いやられる。〔EBIT〕

 「妥当でない濫用的なハイブリッド事業体アレンジメント」の使用に対 しては、客観基準によって厳格に制限をすべきであり、それ以外について は、ハイブリッド事業体アレンジメントの使用を容認すべきである。〔TEI〕

 「アグレッシブ・タックス・プランニング」の共通の定義がないため、

ハイブリッド・ミスマッチのすべてがBEPS対策のターゲットとすべき「濫 用による結果」を生ずるものとは限らないので、商業上の動機による事業 体、証券及び取引のアレンジメントに悪影響を与えない方法で対処すべき である。〔USCIB〕

(17) 本庄資「国際課税における重要な課税原則の再検討(第8回)~BEPSプロジェ

クトに対する欧米ビジネス界からの懸念と問題提起~」配付資料6~9頁。

 租税条約にハイブリッド防止規定を入れるとき、特定のハイブリッドの 特性から生じる意図せざる二重非課税にターゲットを絞ることが重要であ る。例えば、EUのように「Subject-to-Tax条項」をOECDモデル租税条 約に含めることは妥当でない。〔IAPT〕

 二重非課税を生ずる取引が租税条約の意図に反するとは自動的にみなす ことはできない。以下の場合には、合法的に二重非課税が生じることにな る。〔IAPT〕

 領土主義課税の居住地国で免除される支払

 参加免税制度により居住地国で免除される支払

 免税事業体が取得し居住地国で免除される支払

 タックスホリデーその他の租税優遇措置により居住地国で免除される支 払

 外国税額控除により居住地国で課税されない支払

 受領者の繰越欠損金により当期課税されない金額

 受領者が他の関連者と連結課税をするため当期課税されない金額

 条約慣行上、ハイブリッド・ミスマッチ・アレンジメントの二重非課税 のための多様な規定が既に存在しており、新しい規定を導入するのであれ ば、既存の規定の見直しも議論すべきである。〔IAPT〕

 勧告で世界中の国内法でリンキングのための立法が行われるのであれば、

ベネフィットの二重否認を避けるためのタイブレーカー・ルールが必要に なる。OECDがプログラマチック・アプローチに従ってガイダンスを策定 することを奨励する。〔IAPT〕

 国内税制の差異から自然に生じるハイブリッド・ミスマッチには制裁を 科すべきではない。〔IAPT〕

第3節 諸外国におけるハイブリッド・ミスマッチ・アレンジメ

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