第 7 章 GNL モデルにおける集計ルールの導出 121
7.5 MNL , NL モデルとの集計ルールの比較
7.5.1 ネストを集計した場合
131
= (
γkDexp (
VDkO + ˆVkO ))1/µD (expVD′O)1/µD =
∑
o∈OHoQˆok(D)
∑
o∈OHoPDo (7.34)
と等価である.式(7.34)について対数を取り,1/µDで除すことにより,
VDkO =VD′O−VˆkO+µDln
( ∑
o∈OHoQˆok(D) (∑
d∈Dγkd
)1/µD∑
o′∈OHo′PDo′ )
(7.35) を得る.これらの式のうち,式(7.29),(7.31),(7.34)が,GNL モデルにおける出発地側の満た すべき集計ルールとなる.
出発地,目的地あわせ,式(7.27)–(7.29),(7.31),(7.32),(7.35)が全体として満たすべき集計 ルールである.
においてはVj′,Vjk に分離することとなる.そして,最後のVjk についてはモデルにより加わる 項が異なる.この事実から,さらにネストを重ねたモデルや GNL モデルにさらにネストを付加 したもの (高橋・大野,2001 [116];Koppelman and Sethi,2005 [67]) では,この項のみが変化 するものと容易に推測できる.これは,NL,GNL モデルの Vjk に関する条件に含まれるVj′ に ついてその集計ルールの条件を代入し,整理すると,異なるのが最後の項(Υ) のみとなる.
次に,集計により各確定的効用項がどのように変化するのかを示そう.どのモデルにおいても,
V˜J については,Sweet でいうセントラル・ログサムにあたる.従がって,Sweet の式(12) と同 様に,
minj∈J
V˜j ≤V˜J ≤max
j∈J
V˜j (7.36)
となる.V˜J′ についても同様に,
minj∈J
(V˜j+Vj′
)−max
j∈J Vj′ ≤VJ′ ≤max
j∈J
(V˜j+Vj′
)−min
j∈J Vj′ (7.37)
を得る.VJ k については,VJ′ は式(7.37)に示すとおりであり,Vˆk は集計と無関係であるため定 数である.従がって,VJ k の上限,下限は最後の項Υに左右される.Υは,Pk|j をPj で重み付 けしたものを µj 乗したものを,γkJ で除し,対数をとったものである:
Υ = ln (
∑ 1
j∈Jγkj (∑
j∈jPk|jPj
∑
j′∈JPj′
)µj)
. (7.38)
ここで,式(7.9),(7.10)より,
0≤∑
j∈J
γkj =γkJ ≤1 (7.39)
である.
133
表7.3:MNL,NL,GNLモデルにおける集計ルール:ネストjを集計する場合 Model˜VJV′ JVJk MNL˜VJ=ln∑ j∈Jexp˜Vj—VJk=ln∑ j∈JexpVjk−ln∑ j∈Jexp˜Vj−ˆVk NL˜VJ=ln∑ j∈Jexp˜VjV′ J=ln∑ j∈Jexp( ˜Vj+V′ j) −ln∑ j∈Jexp˜VjVJk=V′ J−ˆVk+µJln(P j∈JPjPk|jP j′ ∈
JPj′) GNL˜VJ=ln∑ j∈JexpˆVjV′ J=ln∑ j∈Jexp( ˜Vj+V′ j) −ln∑ j∈Jexp˜VjVJk=V′ J−ˆVk+µJln(P j∈JPjPk|j (P j∈Jγkj)1/µJP j′ ∈ JPj′
)
表7.4:MNL,NL,GNLモデルにおける集計ルール:選択肢kを集計する場合 ModelˆVKVjK MNLˆVK=ln∑ k∈KexpˆVkVjK=ln∑ k∈KexpVjk−ln∑ k∈KexpˆVk−˜Vj NL∗ˆVK=µjln∑ k∈K
( expˆVk)1/µj VjK=µjln∑ k∈K(expVjk)1/µj −µjln∑ k∈K
( expˆVk)1/µj GNLˆVK=µjln( 1 γKj∑ k∈K( γkjexpˆVk)1/µj) VjK=µjln( 1 γKj∑ k∈K(γkjexpVjk)1/µj) −µjln( 1 γKj∑ k∈K
( γkjexpˆVk)1/µj) ∗ Ivanovaをはじめ,既存研究では,NLモデルにおいて選択肢を集計した場合を求めているものはない.今回はGNLモデルの場合と同様に 求めた.
135 一般的にγkJ が大きい場合,つまり多くのネストを束ねた場合,Υはマイナスになりやすくなる.
また,式(7.8),0≤Pj ≤1,0≤Pk|j ≤1より,
0≤ (∑
j∈JPjPk|j
∑
j′∈JPj′
)µj
≤1 (7.40)
である.一般的にPk|j が大きい場合,つまりネストj に属する選択肢が魅力的な場合,Υはプラ スになりやすくなる.最終的な Υの正負は式(7.39),(7.40)の大小で決まる.しかし,Υの最大 値,最小値は決めることはできず,VJ k についても同様となる.
最後に,各モデルの選択確率(Wen and Koppelman) と,各モデルのネストの集計ルールにお ける条件間は整合的であることを示そう.µJ →0とすると,NLモデルの場合の VˆJ k に関する条 件は,
VJ k|NL =VJ′−Vˆk = ln∑
j∈J
expVjk−ln∑
j∈J
exp ˜Vj −Vˆk =VJ k|MNL (7.41) となり,NL モデルの条件はMNLモデルのそれに帰着する.同様に,γkj →1とするとGNL モ デルにおける VˆJ k に関する条件は,
VJ k|GNL =VJ′−Vˆk+µJln
∑
j∈JPjPk|j (∑
j∈J1
)1/µJ∑
j∈JPj
=VJ′−Vˆk+µJln (∑
j∈JPjPk|j
∑
j∈JPj )
=VJ k|NL (7.42)
となり,GNL モデルの条件は NL モデルのそれに帰着する.VJ 及び Vj′ に関する条件はNL モ デルとGNLモデルで同じであるため,各モデルにおける選択確率の関係性と,ネストの集計ルー ルの条件の関係性は整合的であるといえる.