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トンネルの施工方法および建設年と ASR の発生状況

ドキュメント内 著者 麻田 正弘 (ページ 38-42)

第 2 章 ASR と凍害環境下における道路トンネルの実態調査とその評価

2.2 石川県内における ASR が発生した道路トンネルの実態調査

2.2.3 トンネルの施工方法および建設年と ASR の発生状況

1)地域ごとのトンネル数とASRの発生状況

奥能登地域,中能登地域,および加賀地域の各地域におけるトンネル数とその割合を

2.2.2に示す。地域ごとのトンネル数の割合は各地域の面積の割合に比例する傾向がある

が,地形的あるいは道路整備状況などから次のようなことが考えられた。奥能登地域では 中山間地域におけるトンネルが比較的多く,トンネル数は38箇所で石川県内全体数の32%

となる。中能登地域は20箇所で県内全体数の17%とトンネル数は少ない状況となっている。

加賀地域は白山山麓の山間地域,富山県や福井県との県境の山間地域,そして金沢市内で 整備された山側の環状道路などのトンネルなど比較的多くあり,トンネル数62箇所,県内 全体数の51%の比率となっている。

そして,図2.2.3には石川県内のトンネルのうちASRによる劣化が発生していたトンネル 数を表している。その数は35箇所であり石川県内全体数120箇所のうち29%,すなわち約 3割のトンネルでASRが発生していた。これを地域ごとに,ASRが発生したトンネル数と その割合を表しているのが図2.2.4である。奥能登地域では9箇所のトンネル(地域内トン ネル数の24%),中能登地域では7箇所のトンネル(同35%),加賀地域では19箇所のトン ネル(同31%)でASRによる劣化が発生していた。地域ごとにASRが発生したトンネルの 割合はほぼ3割程度であり石川県全体の発生割合と同程度であった。地域ごとでASRによ る劣化の発生割合の相違は見られなかった。

2)トンネルの施工方法とASRの発生状況

トンネルの施工方法による区分,在来工法かNATMかの施工方法別に,石川県内でASR が発生したトンネル数およびその割合を図2.2.5に示した。これらの図によると,在来工法 で施工されたトンネルでは31箇所,同工法で施工されたトンネル全数の46%に及ぶトンネ ルでASRが発生していた。一方,NATMで施工されたトンネルでASRが発生しているトン ネルは4箇所,同工法で施行されたトンネル全数の8%に留まっていた。

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2.2.2 石川県内の地域ごと

のトンネル数

2.2.3 石川県内でASRが発生

したトンネル数

2.2.4 地域ごとのASRが発生したトンネル数

2.2.5 施工方法別(在来工法・NATM)でASRが発生したトンネル数

奥能登 38箇所 32%

中能登 20箇所 17%

加賀 62箇所

51%

全体数 120 箇所

ASR 35箇所

29%

非ASR 85箇所

71%

全体数 120 箇所

ASR 9箇所 24%

非ASR 29箇所 76%

奥能登地域

地域全数 38箇所

ASR 7箇所 35%

非ASR 13箇所

65%

中能登地域

地域全数 20箇所

ASR 19箇所

31%

非ASR 43箇所 69%

加賀地域

地域全数 62箇所

ASR 4箇所

8%

非ASR 49箇所

92%

NATM

NATM全数 53箇所 ASR

31箇所 46%

非ASR 36箇所

54%

在来工法

在来全数 67箇所

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3)トンネルの建設年とASRの発生状況

トンネルの建設年を 10 年ごとに区切り,施工方法別に建設されたトンネル数を図 2.2.6 に示した。本図にはASRが発生したトンネル数およびその発生割合も記載している。

本図より,以下の点が指摘できる。

ⅰ)1970年(S45年)~1979年(S54年)の10年間,および1980年(S55年)~1989 年(H1年)の10年間に建設されたトンネルで,ASRが発生していた割合は61%およ び75%であり,その他の建設年代に比べて大きな割合であった。これは,1970 年代か らの生コンの製造とほぼ同時に,安山岩砕石が使用され始めたことに関連していた。

また,ASR で劣化したトンネルを外観目視で判断する際に,建設年代が1 つの指標と なることを示している。

ⅱ)1990年(H2 年)を境にしてASRが発生したトンネルの割合は減少している。これ は1989年(H1年)に制定されたJIS A 5308のASR抑制対策19)が効果をあげていると 考えられる。

ⅲ)1990年(H2 年)を境にしてトンネルの施工方法が在来工法からNATMへ移行して いる。これは,1989年に道路トンネル技術基準14)が改訂され,NATMが標準工法にな ったことによるものと考えられる。ASR の発生割合が減少しているのは,施工方法が NATMへの移行したことも1つの理由として挙げられる。NATMは覆工コンクリート

2.2.6 建設年,施工方法別のトンネル数,および建設年別のASRが発生したトンネル数

3

19

31

12

2

26 27

ASR, 0

ASR, 3

ASR, 19

ASR, 9

ASR, 4

ASR, 0 0

5 10 15 20 25 30 35

トンネル数

建設年

NATM 在来工法 0% ASR

15%

16%

61%

75%

0%

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と吹付けコンクリートの間に,図2.2.7に示すように,在来工法にはなかった防水シー ト(0.8mm)が設けられ,覆工コンクリートへの地山からの湧水がなくなり,ASRを促進 させる水分の供給が抑えられたことによると考えられる。

一方,吹付けコンクリートはトンネル完成後,直接目視できないが,急結剤に含ま れる多量のアルカリや,地山からの十分な水の供給で,吹付けコンクリートにASRの 発生が懸念されてきた。しかし,現在までのところ,吹付けコンクリートのASR発生 の事例は十分に検証されていない。

ⅳ)1990年(H2年)以降,NATMで施工された4つのトンネルでASRが発生している。

これは,ASR抑制対策効果の検証が必要であることを示唆している。

2.2.7 在来工法とNATMのトンネル構造断面図

覆工コンクリート

在来工法 覆工コンクリート

防水シート

吹付けコンクリート NATM

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