3 一流ジャンプ選手における床反力発揮の特徴(実験2)
3.2 方法
3.2.3 データ処理
床反力データの高周波ノイズを除去するために,遮断周波数
20 Hz
の特性を持 つ2
次のバターワース型ローパスフィルタをデータの両端から用いて平滑化を行っ た後に,以下の分析を行った。埋設された床反力計は全長
10 m
であるが,その前半3.8m
の区間はR1
と呼ばれる 助走路の曲線部分(曲率半径85 m
)を含んでいる。すなわち,この区間で測定され た床反力(Fa
)は,踏み切り動作によって発揮された正味の床反力(F
),選手の 総重量(mgcosθ)および遠心力(Fr:mv2/r)の総和である。そこで,下記①式を
用いて選手が発揮した正味の床反力(F)を算出した(Fig. 8参照)。r mv mg
Fa
F cos
2 ①ここで,mは選手の装備を含めた総質量(kg),gは重力加速度(9.81m/s2),θ
(
t
)は助走路の傾斜(13.1
から10.5
°)を時間t
の関数で示したもの,v
は助走速 度(m/s
),そしてr
はR1
の曲率半径(85m
)を示す。床反力計の後半部分(6.2m)は直線であり,測定された床反力(Fa)は踏み切り 動作によって発揮された正味の床反力(F)と選手の総重量 (mgcosθ)の総和で ある。そこで,下記②式を用いて選手が発揮した正味の床反力(
F
)を算出した。 cos mg Fa
F
②ここで,
m
は選手の装備を含めた総質量(kg
),g
は重力加速度(9.81m/s
2),θ は助走路の傾斜(10.5
°)を示す。選手が助走路を通過する際に,助走路に対して垂直方向に働く力としてこれらの他に揚力がある。揚力については助走姿勢で約
40N,直立に近い踏み切り姿勢で約 80 N
程度の揚力が選手を上方に引き上げるように働くことが示されているが (
Baumann 1979
),本研究では揚力を無視した。こ れらの処理を経て床反力データから以下の項目を解析した。1)Fmax1:助走路の曲線部分 (10-6.2m) における床反力(Fa)の最大値を選手 の総質量(
m
)で除した値(N/kgBw
)2)
F
max2:助走路の直線部分(6.2
-0m
)における床反力(Fa
)の最大値を選手の 総質量(m)で除した値(N/kgBw)3)F2/F1:Fmax2を
F
max1で除した値(この値が大きいほど,助走路の後半部分で相 対的に大きな力を発揮したことを意味する。)4)
V
max:床反力(F
)から得られた加速度の積分から算出した身体重心上昇速度の 最大値(m/s)(なお,積分開始位置を10m
の光電管通過の時点とすると,脛 の前傾,あるいは圧力センサーの過渡特性に由来すると思われる荷重の遅れが 見られたため,床反力波形を二次微分して変曲点(Ts
)を求め,Ts
を積分開始 点とした。積分開始時点(Ts
)の助走路上の位置は助走路の終端から9.53
~9.40m
手前の範囲であった。)5)DCGmin:床反力(F)から得られた加速度を
2
回積分して得た重心変位の最小 値(m
)6)
T1
:DCG
minが観察された時点から選手が助走路の終端を通過した時点までの時 間(s)(DCGminが助走路の終端以前に現れた場合(-)の符号で表示した。)7)DCG0m:ジャンプ台の終端の光電管を通過した時点における重心変位(m)
Figure 8 Force curve (a, b), the displacement of the center of gravity and photocell signals (c). Measured force (Fa) includes the body weight (Bw) during all the part of the take-off platform and also includes the centrifugal force (Fr) during the 10-6.2m before the take-off edge (a). Then a net force(F) generated by the jumper was calculated by subtracting these forces (b). Fmax1 and Fmax2 is the maximal value of the force. DCGmin and DCG 0m refer to the displacement of the center of gravity at the minimal value and at the instant of take-off respectively. T1 refers to the time duration from the point of DCGmin to the edge of the take-off. A starting point of integration is shown as Ts.
① ②
Time (s)
3.2.3. b 映像の解析
映像解析ソフトウエア(ベルテックジャパン社製,WinAnalyze Ver. 1.4)によっ て,選手の矢状面(右側面)における身体部位の
2
次元平面座標を求めた。映像解 析によって得られた2
次元座標値に対して,遮断周波数6 Hz
の特性を持つ2
次のバ ターワース型ローパスフィルタをデータの両端から用いて平滑化を行った後に,以 下の解析を行った。肩関節中点,大転子,膝関節中点,足関節外踝の
4
点のデジタイズを行った。足 関節については,助走路全域に沿って設置された高さ約20 cm
の遮蔽物のために足 部が観察できず,脛の下部を足関節外踝の代わりにデジタイズした。デジタイズさ れた座標から膝関節角度(Knee)および股関節角度(Hip)を求めた(Fig. 2参照)。さ ら に , 助 走 路 の 終 端 に 設 置 し た 光 電 管 を 通 過 し た 時 点 に お け る 膝 関 節 角 度
(
Knee-0m
)および股関節角度(Hip-0m
)をそれぞれ求めた。試技終了後に縦横2 m
の正方形の較正用フレームを助走路の中央に設置し,水平および鉛直方向の較正を 行った。較正点より手前
500 mm
の遠近誤差は水平方向で33.42 mm(1.7%),鉛直
方向で23.59 mm
(1.2%
)であった。
ドキュメント内
スキージャンプ踏み切り局面が初期飛行局面に及ぼす影響 : バイオメカニクス的観点から
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