第 3 章 タール炭田開発状況
3.1 タール炭田概要
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「パ」国の地質構造形成に深く関係する南東部のインドプレート(Indian Plate:右下)
と、それに接するように北部及び北西部はユーラシアプレート(Eurasian Plate:上半部)
があり、「パ」国の中部及び北部は、その構造運動を強く受けている(図3.2)。これらの運 動により、石炭層はリグナイトから一部、亜瀝青炭あるいは瀝青炭まで、様々な炭種を産出 する。タール炭田は、インドプレート側に位置する。
図3.2 「パ」国の地質図(右図:「パ」国周辺のプレート境界)
出典:パキスタン地質調査所
南東部のインド国境付近でタール炭田を有するSindh州は、インダス川の西方及びカラ チの北東では、比較的穏やかな地質構造を示す。ここでは石炭(リグナイト)の開発が行わ れている。
一方、タール炭田があるインダス川の東側では、砂丘砂と沖積層の下位に厚いリグナイ トを挟在する夾炭層(Bara Formation:Bara層)が、花崗岩を基盤として賦存する。
2) Sindh州炭田概要
Sindh州には、6つの炭田(図3.1中の1-6:あるいは石炭鉱床地)があり、インダス川の
西側に4. Lakhra④、3. Meting-Jhimpir③、2. Sonda-Thatta-Jherruck②、東側に1. Indus East①、5. Badin⑤、そして6. Thar炭田⑥がある。
Sindh州の各炭田の資源量と石炭の代表品位(水分・灰分・全硫黄・発熱量)の比較を図
3.3にまとめ、以下にそれぞれの炭田の概要を記す。石炭ランクの分類はASTMに基づく。
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図3.3 「パ」国(Sindh州)の各炭田の資源量と石炭品位の比較 出典:Weatherford(2010)を編集
a. Lakhra炭田
概要(地質、全体資源量、炭質)
炭層は、暁新統のBara層中に賦存。緩いLakhra背斜構造で深度50m-150mに賦存す る。炭層は複数層あるが、この内、3層が採掘対象として重要。
3層中のLaian層は、厚さが0.75m-2.5m(平均厚1.5m)で、高灰分、高硫黄分の特徴
を持ち、発熱量が5,500-9,450 BTU/lb (3,053-5,245kcal/kg)。分類では、lignite Bから sub-bituminous Cである。
石炭総資源量は、13.28億トン。この内、可採埋蔵量は、およそ1.46億トンである。
b. Meting-Jhimpir炭田
概要(地質、全体資源量、炭質)
炭層は、始新統下部のSohnari層中に傾斜10°程度で賦存するが、 厚さが0.3-1m(平 均厚0.6m)と薄い。灰分は8.2-16.8%、全硫黄2.9-5.1%、発熱量が6,725-7,660 BTU/lb (3,730-4,250kcal/kg)。分類では、lignite Aからsub-bituminous Cである。
石炭総資源量は、1.61億トン。この内、確認資源量は、1千万トンである。小規模採掘 が行われている。
c. Sonda-Thatta-Jherruck 炭田 概要(地質、全体資源量、炭質)
炭層は、暁新統のBara層と始新統下部のSohnari層の2層準に賦存するが、多くの 炭層がBara層に挟在する。Bara層にはおよそ10の炭層帯があり、各炭層帯は厚さが
0.5-15mでそれぞれ1-5層の炭層を挟在する。炭層の最大厚は2.4m、最小厚0.07mで
ある。上位のSohnari層中には、数枚の薄層を挟む。
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Sonda-Thattaブロックで灰分は、2.7-52%(Sindh Coal Authority SCA資料では 7.69-14.7%)、全硫黄分 0.2-15%(同、1.38-2.82%)、発熱量 8,880-13,560 BTU/lb (4,928-7,525kcal/kg) (SCA資料 6,780-11,029 BTU/lb)。 分類では、sub-bituminous Cから high volatile B/C bituminousである。
石炭資源量は、Sonda-Tahttaブロックで37.6億トン、この内、確認資源量は6千万ト ンである。一方、Jherruckブロックでは18,23億トン、この内、確認資源量は1.1億ト ンである。
d. Indus East炭田
概要(地質、全体資源量、炭質)
炭層は、暁新統の Ranikot グループ(Bara層は Ranikotグループの中位)に挟在す る。炭層の厚さは、0.3-2.5m。探査は行われているが、詳細は不明。
灰分は、5-39%、全硫黄は0.4-7.7%、発熱量は7,780-8,660 BTU/lb (4,318-4,806 kcal/kg)。 lignite Bからsub-bituminous Bである。
石炭資源量は、17.7億トン。この内、確認資源量は、5.1千万トンである。
e. Badin炭田
概要(地質、全体資源量、炭質)
炭層は、暁新統のRanikotグループ(Bara層はRanikotグループの中位)に挟在す る。複数の薄炭層に分層し、最大6層が確認されている。炭層の平均層厚は、0.35-2.98m。 lignite A/Bからsub-bituminous B。
灰分は 5-39%(Sindh Coal & Energy Dept. 2010 では 8.2-14.6%)、全硫黄は 0.4-7.7%(同、3.4-7.4%)、発熱量は11,415-11,521BTU/lb (6,335-6,394 kcal/kg) (同、 6,740-11,100 BTU/lb)である。
f. タール炭田
概要(地質、全体資源量、炭質)
南東のインドとの国境付近に位置するタール炭田は、Tharparkar砂漠に位置し、砂丘 砂及び沖積層に被覆される。炭層は地表下110mから200mに賦存する(図3.4)。
炭層は、花崗岩を基盤として暁新統であるBara層中、厚さ50-125mに賦存する。炭 層は複数層あり、最大で20層が確認されている。 炭層は、緩く(3°以下)西方向に傾 斜する。炭層の厚さは、変動が激しく、0.2m から厚いもので22.8mに達する。炭層の 累積層厚は、0.2m から42mである。
炭質40%以上の水分を有し低灰分炭である。lignite Bからsub-bituminous Aである。
石炭資源量は、タール炭田全体で、1,750億トン(推定埋蔵量)が計上されている。
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図3.4 地層概念図(Block II)
出典:Empowering futures, enabling excellence, Thar Mining & Power Project information Pack Sindh Engro Coal Mining Company
3) 石炭生産量
州別・地域別の過去5カ年度の石炭生産量を図3.5に示す。国内での石炭生産は、全て 坑内採掘によるものである。
2012-2013年度は、Sindh州での生産が減ったことにより全「パ」国での石炭生産量は
300万トンを下回ったが、それ以外では300万トンを超え、2014-2015年では340万トン であった。Balochistan州からの生産量が最も多く、136万トン、次いでSindh州が112万 トンの生産であった。タール炭田のBlock IIでの生産(露天掘)が本格化し、計画されて いる発電所(330MW×2)への供給が開始されると、国内の生産量の倍増が見込まれる。
図3.5 「パ」国の州・地域別石炭生産量 出典:Pakistan Bureau of Statistics
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