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第 4 章 民間企業運営大規模直売所の価格政策

第 4 節 スーパー間競争の激化と価格政策

1 同一市内でのスーパー間競争の激化

T直売所は新潟市から約30㎞で、平地農業地域にある。T直売所は自店の商圏を10㎞ とみており4、10㎞商圏内には図Ⅳ-3に示すように、Iスーパー、Uスーパー5店、W大 規模直売所2店の合計8店の競合店があり、競合密度が高い。

UスーパーはT直売所と同じ市内が発祥地の地場食品スーパーであり、下越地域で勢力 が強いが、新潟県ではトップの食品スーパーHとの競争が2009年頃以降、激化している。

その影響で地場食品スーパーPは経営不振に陥り、2013年4月に倒産した。また、Uス ーパーは2012年7月に新店を開設したが、2013年9月には競合Hスーパーが商圏内に

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新店を開設予定で、更に3店の出店が予定されている。2013年以降、UスーパーとHス ーパーがT直売所と同一市内で直接競争を展開することになり、一層の競争激化が予想さ れる。Hスーパーの新店開設に対抗して、Uスーパーは既存店の売場変更を行って産直コ ーナーを広くし、現在既存店もう1店をリニューアル中である。

図Ⅳ-3 T直売所とその場所の商圏10㎞内の競合スーパー

(出所)聴き取り調査と地図より作成

また、2009年頃からT直売所と同一市内のスーパーでは、リーマンショック後の消費 不振への対策として国産野菜の価格競争が激化してきており、UスーパーやW直売所の の新店も開設したため、消費者はちらしの特売価格を見てスーパーや直売所の買い回りを 始めた。T直売所は商品差別化・ブランドが確立していないため、スーパー間の価格競争 に巻き込まれて、2010年1月から売上高の低下が始まり、2010年度以降の売上高は3億 円前後で停滞している。2012年7月のUスーパーの新店開店の影響でさらに売上高が減 少し、2012年度の売上高前年伸び率はマイナス3.5%である。T直売所では対策として、

2013年1月に売り場をリニューアルして地場の魚屋・総菜のテナントを導入し、生産者 が店頭に立って試食イベントも行い、その効果で売上高が改善してきている。

98 2 価格政策

T直売所は高品質・ブランド化による適正価格、即ち高品質に見合ったプレミアム価格 政策を採っており、他直売所より高めの価格設定となっている。その結果、2009年以降の スーパー間の低価格競争でスーパーの価格が低下したため、T直売所の価格がスーパー価 格と同等か高めとなった。

表Ⅳ-4のT直売所と競合店の100g単価比較をみると、Iスーパーは特売コーナーを設 置して特売価格を設定しており、IスーパーやUスーパーはT直売所やY直売所と比べて 安い品目が多い。Y直売所の価格は7品目中ブロッコリーでは最安値で、大根ではUスー パーに次いで2番目に安く、キャベツでもY直売所に次いで2番目に安くなっているが、

7品目中4品目では競合店より高めの価格である。

表Ⅳ-4 T直売所と競合店の価格比較

(出所)各店の野菜の小売価格と重量比較により算出

(注1)網掛けは最安値と2番目に安い価格。*は県外産。**は産地県が不明

(注2)参考のNE直売所は新発田市内にある売上高800万円の零細規模直売所(補論の事例)

Y直売所は高品質・ブランド化政策を取っていたが、2009年までに高品質の商品差別 化・ブランドを確立できなかった。その結果、2009年頃以降のUスーパー、Hスーパー、

およびIスーパーの3者間の価格競争に巻き込まれ、スーパーとT直売所を買い回りする 利用者から高価格とみなされて、そのイメージが定着して利用者数が減少し、売上高が停 滞してきたと考えられる。

T直売所 Y直売所 Iスーパー Uスーパー 参考NE直売所

大根 9.7 12.2 15.1** 8.0* 8.9

にんじん 22.6 16.8 16.6(特売) 16.6 14.3

長ネギ 40.5 29.6 40.0 48.2 14.7

ほうれん草 61.4 66.3 46.7(特売)* 53.3** 32.3

小松菜 40.4 35.9 36.6(特売)* 31.5* なし

キャベツ 10.4 9.9 17.2** 14.0* 7.0

ブロッコリー 38.2 48.4** 41.0(特売)** 56.1 45.5

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