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シミュレーションの場面設定

ドキュメント内 日越間ビジネス通訳における職業規範 (ページ 39-42)

第 4 章 研究方法

4.2 シミュレーション・データ

4.2.1 シミュレーションの場面設定

4.1.3 イ ン タ ビュー ・デー タ の分 析 手 法

本 研 究 で は 、Glaser & Strauss(1967) に よ り発案さ れ た グ ラウンデッド ・セ オ リ ー・ア プロー チ(Grounded Theory Approach, GTA)に基 づき 、戈 木(2013:

73) で示さ れ た手順に倣い 、 以下の流れ で分 析を 行 っ た 。

1)音 声デー タ を 文字化す る 。 2) 文字化し たデー タ を 読 み込む 。 3)デー タ を内 容ごと に切片に分け る 。

4)切片化さ れ たデー タ に ラ ベル名 を つ け る 。

5)類 似し た ラ ベルを カ テゴリ ー に ま と め 、 名前を付け る 。

6)カ テゴリ ー を 構 成 す る切片デー タ に戻り 、カ テゴリ ー 名 がデー タ の内 容 を表し て い る か を確認 す る 。

7)各切片デー タ に お い て 通 訳 者 が採 用し た ス ト ラ テ ジ ー や 作 業 を検出 す る 。

8)そ れぞれ の カ テゴリ ー を Chesterman(1997)に よ る責 任規範、コ ミ ュ ニ ケー ション 規範、 関係規範お よびそ れぞれ の下位分類に 当 て は め る 。

3)で は 、文字化資料か ら 日 越 間 ビ ジ ネ ス 通 訳 者 が 業務を遂行 す る際に心が け て い る こ と 、適 切ま た は不 適 切だ と考え る こ と 、 通 訳 者 の 規範 意 識が示さ れ る デー タ に対し て内 容の ま と ま りごと に切片化し た う え で 、 日 本 語 に 翻 訳 し た 。

4.2 シミ ュ レー ション ・デー タ

果 的 な こ と か ら 、広く 採 用さ れ て い る が 、話し 言葉を書かせる不 自然さ や フォ ーマ ルな形 式が選ばれ や す い こ と な ど が 指摘さ れ て い る (伊藤 2004:6) 。自 然会話の観 察は 実際に使われ た話し 言葉を分 析の対 象に す る方 法で あ る 。 従 っ て 、デー タ の信頼 性の 高 さ が 最 大 のメリット と し て挙げら れ る 。 と ころが 、 そ の 一方で 、 調 査 者 が 変数をコン トロールす る こ と は非 常に難しく、個々の発言 を 事前に予想す る こ と も殆ど不 可 能で あ る(伊藤 2004:5)。ま た 、ビ ジ ネ ス 現 場の 会話に は 機密 情 報が 多くあ り 、許可を得て録 音・録 画す る こ と は極め て困 難で あ る 。

シミ ュ レー ション は 、場 面を想定 し 、 実際に被 験者 に役 割を演じさせる こ と に よ り 会話のデー タ を収集 す る方 法で あ る 。 シミ ュ レー ション のメリット は 、 必要 なデー タ が確実 に得ら れ る こ と に加え 、DCT よ り自然な話し 言葉に近いデ ー タ が得ら れ る こ と で あ る 。 一方、 シミ ュ レー ション のデメリット と し て 、演 技で あ る 以 上 、自然さ は 実際の状 況で の 会話に は及ばな い こ と が挙げら れ る 。 し か し 、 本 研 究 で シミ ュ レー ション を 訳 出 テクス ト の収集方 法と す る場 合、設 定 さ れ た役 割を演じる の は 会話当 事 者 の み で あ り 、 協 力 し てくれ る 通 訳 者 は普 段通 訳 を務め て い る 作 業 と は 変わら な い 。 そ れぞれ のデー タ収集方 法のメリッ ト お よび デメリット を踏ま え 、 本 研 究 で は 、 ビ ジ ネ ス 通 訳場 面の シミ ュ レー シ ョン を 訳 出 テクス ト のデー タ収集方 法と し た 。

日 越 通 訳 を介し た ビ ジ ネ ス場 面を リ アルに再現 す る た め に 、 シミ ュ レー ショ ン の場 面設定 と し て検 討すべき 事項は 、 通 訳 の方式、 通 訳 者 の雇用形態、 通 訳 者 と依 頼者 と の 関係、 会話の内 容、 会話が 行われ る状 況が あ る 。

通 訳 の方式に 関 し て は 、2.2.2 項で述 べた よ う に 、ビ ジ ネ ス 通 訳 の方式と し て 、 社 内に お け る常設 ブー ス や ワ イヤレス 受信機 を用い た同 時通 訳 や 、 通 訳 を必要 と す る 人数が少な い場 合のウィスパリ ン グ 通 訳 は増え て き た が 、逐次 通 訳 は依 然と し て 最 も 多く行われ て い る 。 そ の た め 、 本 研 究 の シミ ュ レー ション に お い て 、逐次 通 訳 が採 用さ れ る場 面を設定 し た 。

ビ ジ ネ ス 通 訳 に 従 事 す る 通 訳 者 の雇用形態は 、主に 2種 類あ る 。 一 つ は 、 通 訳 業務の必要性が 生じる 度 に フ リ ー ラ ン ス の 通 訳 者 を 企 業 が依 頼す るケー ス で あ る 。 も う 一 つ は 正社員や 有期 雇用の契約社員、派 遣社員と し て 、常駐の形で 通 訳 者 を雇用す るケー ス で あ る (平塚 2013b:58) 。前者 の フ リ ー ラ ン ス 通 訳

者 と 比べ、 後 者 の 企 業内通 訳 者 は勤務す る 企 業 の環 境に慣れ 、 そ の 企 業 が提 供 す るモノやサー ビ ス の特徴を把 握し 、 通 訳 の依 頼者 が内部の 人 間 で あ り 、 企 業 内の 定例、 日々の 会話を 通じて依 頼者 と の 人 間 関係が あ る程度築か れ て い る と 考え ら れ る 。 本 研 究 の シミ ュ レー ション に お い て 、 企 業内通 訳 者 で あ る と設定 す る と 、 実際の ビ ジ ネ ス 通 訳 の場 面を 最 大限に再現 す る た め に依 頼者役も そ の 通 訳 者 と同 じ企 業 の 人 間 で あ る こ と が望ま しくな っ て し ま う 。 ま た 、 企 業内の 日 越 通 訳 者 は 通常、 一 つ の 企 業 に 1名 か 2 名 し か い な い た め 、 企 業内通 訳 者 の 設定 で は 、 イ ン フォーマン ト お よび 依 頼者役が 集 ま ら な い こ と が予想さ れ る 。 従 っ て 、 通 訳 者 の雇用形態お よび通 訳 者 と依 頼者 と の 関係に 関 し て は 、 フ リ ー ラ ン ス 通 訳 者 で あ り 、 シミ ュ レー ション 実 施 当 日 に 初 め て依 頼者 と 会 う と い う 設定 に し た 。

平松(2007:94)は 、ビ ジ ネ ス・コ ミ ュ ニ ケー ション を 3 つ に分類し て い る 。 第 一 は 、 人 の 生活や社会 に 有効な 「モノとサー ビ ス 」 を効率 的 に 生 み 出 す た め の社 内 コ ミ ュ ニ ケー ション 、 第二は 、 そ こ で 生 み 出 し た 「モノやサー ビ ス 」 の 存 在 と価 値を顧 客に 認知し て も ら い 、購 買を促進 す る た め の顧 客コ ミ ュ ニ ケー ション 、 第三に は 、 ビ ジ ネ ス と 関わり を持つ 人 や社会 、コ ミ ュ ニティと良 好な 関係を保つ た め のソー シ ャル コ ミ ュ ニ ケー ション で あ る 。平松(2007:89) は ま た 、 ビ ジ ネ ス の意 義と目的 に つ い て 、 ビ ジ ネ ス に お い て は収益を 上げ、 利益 を 上げる こ と は 第 一義的 に必須の こ と で あ る と述 べて い る。社 内 コ ミ ュ ニ ケー ション 、顧 客コ ミ ュ ニ ケー ション とソー シ ャル コ ミ ュ ニ ケー ション の 3 つ の う ち 、顧 客コ ミ ュ ニ ケー ション に お い て ビ ジ ネ ス の意 義と目的 が 最 も顕 著に 現 れ る と考え ら れ る 。 ま た 、 ビ ジ ネ ス活 動の 一環と し て 、売り込み は 、モノやサー ビ ス の 存 在 と価 値を顧 客に 認知し て も ら い 、購 買を促進 す る た め の 第 一歩で あ る 。平松(2007:89) に よ る ビ ジ ネ ス の意 義と目的 が は っ き り と示さ れ 、 通 訳 者 と依 頼者 が シミ ュ レー ション 実 施 当 日 に 初 め て 会 う設定 に合 致す る こ と か ら 、 本 研 究 で は売り込み の場 面を設定 し た 。売り込み対 象の 商品に 関 し て は 、特殊 な 商品やサー ビ ス だ と 、 専 門用語 が 多く 用い ら れ る こ と が想定 さ れ 、 通 訳 者 に 協 力 し て も ら え な い可 能 性が 高 い 。 そ の た め 、 日常生活に馴染み の あ る タ オル を売り込み の対 象に し た 。

Chesterman(1997)の 規範 モ デ ルで は 、期 待規範は 、翻 訳 プロ ダ クト が ど の よ う な も の で あ るべき か と い う 翻 訳 の 受 け手の期 待の 集合で あ り 、職業 規範を 規 定 す る も の で あ る 。依 頼者 の期 待が ビ ジ ネ ス 通 訳 者 の 訳 出 や 行動に 一 定 の影 響 を与え て い る 現象は 先 行 研 究 の瀧本(2006)に お い て も報告が あ る 。瀧本(2006) に よ れば、依 頼者 と の物理 的 、心理 的 な距 離が非 常に近い た め 、 ビ ジ ネ ス 通 訳 者 は常に依 頼者 が 何 を求め て い る か を 的確に判 断し 、 結 果 的 に は 倫 理 規 定 に反 す る こ と に な っ て も依 頼者 の期 待に応え る よ う な 行動を 行 っ て い る と い う 。 本 研 究 で は 、同一内 容に対し て依 頼者 が 変わる と 日 越 間 ビ ジ ネ ス 通 訳 者 の 訳 出 も 変わる か ど う か 、依 頼者寄り の立 場が 訳 出 に 現 れ る か ど う か を検 証す る た め に 、 シミ ュ レー ション で は 、場 面①:依 頼者 が ベ ト ナ ム 人セラ ー で あ る場 合と 、場 面②:依 頼者 が 日 本 人バイヤー で あ る場 合を設定 す る 。

こ の よ う に 、 日 越 間 ビ ジ ネ ス 通 訳 者 の職業 規範 意 識が ど の よ う に 訳 出 に反 映 さ れ て い る か 、依 頼者 の 変更に伴う 訳 出 の 変更が見ら れ る か を明ら か に す る目 的 で 、日 越 通 訳 を介し た ビ ジ ネ ス場 面を リ アルに再現 す る た め に 、本 研 究 で は 、 依 頼者 と 初対 面の フ リ ー ラ ン ス 日 越逐次 通 訳 者 を介し た タ オルの売り込み場 面 を 、 そ れぞれ場 面①:依 頼者 が ベ ト ナ ム 人セラ ー で あ る場 合と 、場 面②:依 頼 者 が 日 本 人バイヤー で あ る場 合に分け て 実 施 す る 。

ドキュメント内 日越間ビジネス通訳における職業規範 (ページ 39-42)