• 検索結果がありません。

コミュニケーション規範

ドキュメント内 日越間ビジネス通訳における職業規範 (ページ 104-144)

第 6 章 シミュレーション・データの分析結果

6.2 コミュニケーション規範

イ ン タ ビュー ・デー タ か らコ ミ ュ ニ ケー ション 規範 意 識と し て 「コ ミ ュ ニ ケ ー ション の流れ の円 滑 化」、「相互理 解 の促進 」お よび「良き 人 間 関係の 構築・

維持」 の 3 つ が抽出 さ れ た 。

6.2.1「コ ミ ュ ニ ケー ション の流れ の円 滑 化」 の検 証

イ ン タ ビュー ・デー タ の分 析で は 、相手あ る い は 通 訳 者 が しゃべっ て い る途 中 に割り込む 、 一方的 に しゃべり続け 、相手に発言権を譲ら な い 、 あ る い は同 じこ と を繰り返し て話す 、話の流れ に沿 わな い 会話当 事 者 が い る場 合に 、コ ミ ュ ニ ケー ション が捗る よ う に 通 訳 者 が ファシ リ テ ー タ ー の役 割を担っ て い る と い う切片デー タ か ら 「コ ミ ュ ニ ケー ション の流れ の円 滑 化」 が 浮 き彫り に な っ た 。

シミ ュ レー ション・デー タ の分 析で は 、日 越 間 ビ ジ ネ ス 通 訳 者 は計 16 回 ファ シ リ テ ー タ ー の役 割を担っ た 。 通 訳 者 が ファシ リ テ イ ト し た状 況は 、 イ ン タ ビ ュー の 回 答 で 言及さ れ た 、 会話当 事 者 が しゃべり続け るケー ス (1 回 ) と話の 流れ に沿 わな いケー ス (2 回 ) の他に 、話者交替が順調 に 進 ま ず 、沈 黙が続 く ケー ス (3回 ) お よび話が ま と ま ら な いケー ス (10 回 ) も あ っ た 。

以下の例(77) は 、セラ ー が タ オルの価格 を提 示す る際、 名入れ方 法別の価 格 を述 べた う え で 、 さ ら に月割り や 日割り を す る と い か に安くな る か な ど詳細 な情 報を盛り込み 、 通 訳 者 に 訳 出 す る 機 会 を与え な か っ た た め 、 通 訳 者 は ラ イ ン 34か ら ラ イ ン 36 に か け てセラ ー に対し て 通 訳 させてくれ る よ う に 要求し た シ ー ン で あ る 。

例(77) :

25 セラ ー

10 chữ thì trong trường hợp in tên、không phải thêu、thì giá sẽ là 187 yên 1 chiếc(10 文字な ら 、刺繍で は なく、 名前を プ リ ン ト す る場 合は価格 が 187 円で す ) 。

( 中略)

31 セラ ー Trong trường hợp thêu thì đắt hơn、sẽ là 190 yên(刺繍の場 合は よ り 高くて 、190 円に な り ま す ) 。

32 A① Ừm( う ー ん ) 。

33 セラ ー

Giả sử dùng khăn này trong vòng 1 năm tới thì mỗi tháng chưa đến 16 yên(A①:Ừm) 、mỗi ngày chỉ khoảng 0,5 yên( こ の タ オル を こ れ か ら 1 年 間使う と し た ら 、毎月 16 円未満で(A①:う ー ん ) 、毎日 0.5 円ぐら い に し か な り ません ) 。

34 A① Từ từ(落ち着い て ) 。

35 A

Anh vừa nói đến chỗ phần 190 yên nhé( (自 分と同年代、又は自 分の兄の 年代の男性の相手に用い る二人称/敬称) は只今 190 円の と ころま で 言 い ま し たね) 。

36 A

Xong sau đó sẽ dịch qua nhé để cho người ta sẽ nắm được cái giá như thế nào nhớ[セラ ー :頷く]( そ れ を終え た ら 、 あ ち ら が 価格 が ど う な っ て い る か を把 握で き る よ う にざっ と 訳 し ま す ね) 。

(巻末資料 213-214)

以下の例(78)で は 、バイヤー の懸念 事項を A 氏が 訳 出 し た が 、セラ ー はバ イヤー の不安に触れ ず 、 ラ イ ン 100 に お い て価格 の条 件を追 加し 、 的 外 れ な返 答 を し た 。 そ こ で 、A 氏は ラ イ ン 101 でセラ ー に対し て話の流れ に沿っ て発言 す る よ う に促し て い る 。

例(78) :

98 バイヤー と 、プ リ ン ト だ と 、ま 、使う と 、あ 、ま 、洗う と 消 え て し ま う よ う な気も し ま す け ど 、 そ の方は ど う で す か 。

99 A

Tôi hơi phân vân một chút bởi vì là nếu như mà dùng in thì giặt nó đi thì nó sẽ bị mờ chữ đi ý( も し プ リ ン ト を使えば、 そ れ を洗 濯す る と 、そ れ は 文字が薄くな る の で 、私は ちょっ と迷 っ て い ま す ) 。

100 セラ ー

À、về vấn đề này thì nhờ em nói với ông ý là với in 10 chữ màu đen lên khăn thì giá sản phẩm sẽ là 185 yên 1 chiếc( あ ー 、 こ の件に つ い て は 、 タ オルに 10 文字を黒で プ リ ン ト す る と 、 商品の価格 が 1枚 185 円に な る と( 年配の男性の 第三者 に用 い る三人称/敬称≈Mr)に伝え る こ と を(自 分の弟も しくは 妹の 年代の相手に用い る二人称/敬称) に頼み ま す ) 。

101 A

Không、người ta đang phân vân về việc là nếu như mà dùng in、 chỉ in thôi thì nếu như rửa đi nó sẽ bị、à giặt đi nó sẽ bị trôi màu thì anh có cái tư vấn gì không( い い え 、 あ ち ら は 、 も し プ リ ン ト を使えば、 プ リ ン ト だ け な ら 、洗う と 、 そ れ が 、 あ ー 、 洗 濯す る と 、そ の色が 消 え て し ま う の で は な い か と迷っ て い ま す が 、(自 分と同年代、又は自 分の兄の 年代の男性の相手 に用い る二人称/敬称)は 何 か ア ドバイ ス が あ り ま す か )?。

(巻末資料 219-220)

話者交替が順調 に 進 ま ず 、沈 黙が続 く 際、 通 訳 者 が ファシ リ テ イ ト し た場 合 の例と し て 、 以下の ト ラ ン スクリ プ ト の抜 粋で は 、納期に つ い て話し た い と い うセラ ー の希望を 通 訳 者 がバイヤー に伝え終え た が 、セラ ー が納期の話を 開 始 せず 、沈 黙が続い た 。 そ こ で 、A 氏が例(79) の ラ イ ン 203 に お い て 、C 氏が 例(80) の ラ イ ン 286 に お い てセラ ー に発言 す る よ う に促し て い る 。

例(79) :

193 セラ ー Nhưng về thời hạn giao hàng thì tôi cũng muốn bàn thêm( し か し 、納期に つ い て は私も も っ と 協議し た い で す ) 。

( 中略)

201 A

そ の ー 、 何 日 ま で 、 い つ ま で に こ ち ら か ら 商品を送れば、 あ 、送ら な け ればな ら な い の か に つ い て 、 え ー 、 ちょっ と 確認 、少し確認 させて い た だ き た い と思い ま す 。

202 バイヤー は い 。

203 A

<<沈 黙 3 秒>>Anh nói đi( (自 分と同年代、又は自 分の兄の 年代の男性の相手に用い る二人称/敬称) は ど うぞ話し て くだ さ い ) 。

(巻末資料 228)

例(80) :

284 セラ ー

Nhưng về cái thời hạn giao hàng thì tôi cũng muốn bàn thêm với ông( し か し 、納期に つ い て は私も ( 年配の男性の相手に用 い る二人称/敬称≈Mr) と も っ と 協議し た い で す ) 。

285 C

ま 、ちょっ と 、あ の ー 、発注 書は ま 、最 初 は 200 枚、次 は 500 枚(バイヤー : う ん )と い う形で 、ま 、あ の ー 、問題あ り ま せん け ど 、 ちょっ と納期に つ い て ・ ・ ・ 。

286 C

<<沈 黙 3 秒>>[小 声で]Thì anh cứ trao đổi đi( え ー と 、(自 分と同年代、又は自 分の兄の 年代の男性の相手に用い る二人 称/敬称) は ど うぞそ の ま ま話し合っ てくだ さ い ) 。

(巻末資料 337-338)

会話当 事 者 の話が ま と ま る よ う に 通 訳 者 が ファシ リ テ イ ト し た場 合の例と し て 、 以下の ト ラ ン スクリ プ ト の抜 粋で は 、 名入れ方 法別の価格 を提 示す る際、 セラ ー は黒の 1色で プ リ ン ト す る と い う案を 出 し た が 、 そ の案を採 用す る と価 格 が いくら に な る か に つ い て は述 べな か っ た 。 そ こ で 、C 氏は例(81) の ラ イ ン 117と例(82)の ラ イ ン 96 に お い て 、D 氏が例(83)の ラ イ ン 67に お い て 、 I 氏が例(84) の ラ イ ン 60 と例(85) の ラ イ ン 118 に お い て 、J 氏が例(86)

の ラ イ ン 96 に お い て 、話が ま と ま る よ う に 、セラ ー が黒の 1 色で プ リ ン ト す る 場 合の価格 を提 示す る よ う に促し て い る 。

例(81) :

115 セラ ー Và cụ thể ở đây là chúng ta sẽ dùng màu đen( そ れ か ら 、具体的 に は こ こ は (相手を含ま な い 「我々」 ) は黒を使い ま す ) 。

116 C① Ừm( う ー ん ) 。

117 C① Thì là giá nó sẽ là bao nhiêu ạ( で は 、価格 は いくら に な り ま す か )?。

(巻末資料 322) 例(82) :

94 セラ ー Cụ thể ở đây sẽ là màu đen(具体的 に は こ こ は黒に な り ま す ) 。 95 C

ま 、 え ー と 、方 法と し て は (バイヤー : う ん ) で すね、 え ー 、 黒い色で プ リ ン ト し た ら 。

96 C②

Thế thì nếu、giá là bao nhiêu anh nhờ( え ー と 、 も し 、価格 は い くら で す か 、(自 分と同年代、又は自 分の兄の 年代の男性の相 手に用い る二人称/敬称) )?。

(巻末資料 360) 例(83) :

64 セラ ー Và cụ thể ở đây sẽ là màu đen( そ れ か ら 、具体的 に は こ こ は黒 に な り ま す ) 。

65 D① Ừm、ừm( う ー ん 、 う ー ん ) 。 66 セラ ー Thì・ ・ ・ ( え ー と ・ ・ ・ ) 。

67 D① Cùng、thế thì cái giá là bao nhiêu ạ( で は 、価格 は いくら で す か )?。

(巻末資料 392-393)

例(84) :

58 セラ ー Và cụ thể ở đây là chúng ta sử dụng màu đen( そ れ か ら 、具体的 に は こ こ は (相手を含む 「我々」 ) は黒を使用し ま す ) 。

59 I① Ừm( う ー ん ) 。

60 I①

Ờ、thì giá như thế nào hở anh( え ー 、 え ー と 、価格 は ど う な り ま す か 、(自 分と同年代、又は自 分の兄の 年代の男性の相手に 用い る二人称/敬称) )?。

(巻末資料 678)

例(85) :

113 セラ ー Cụ thể ở đây là sẽ dùng màu đen(具体的 に は こ こ は黒を使い ま す ) 。

( 中略)

118 I②

Thì giá có giảm hơn một chút không anh( え ー と 、価格 は も う少 し下が り ま す か 、(自 分と同年代、又は自 分の兄の 年代の男性 の相手に用い る二人称/敬称) )?。

(巻末資料 715)

例(86) :

94 セラ ー Cụ thể ở đây sẽ là màu đen(具体的 に は こ こ は黒に な り ま す ) 。 95 J① は い 。

96 J① Thì、thì giá thành thế nào( え ー と 、え ー と 、価格 は ど う で す か )?。

(巻末資料 747)

こ の よ う に 、 イ ン タ ビュー ・デー タ に お け る 、 会話当 事 者 が相手あ る い は 通 訳 者 が しゃべっ て い る途中 に割り込む 、 あ る い は同 じこ と を繰り返し て話す場 合に 通 訳 者 が ファシ リ テ ー タ ー の役 割を担っ た状 況は 、 シミ ュ レー ション ・デ ー タ に は見ら れ な か っ た 。 し か し 、 イ ン タ ビュー の 回 答 で 言及さ れ た 会話当 事 者 が しゃべり続け るケー ス と話の流れ に沿 わな いケー ス の他に 、 シミ ュ レー シ ョン ・デー タ に お い て は話者交替が順調 に 進 ま ず 、沈 黙が続 く ケー ス お よび話 が ま と ま ら な いケー ス も あ っ た 。

ま た 、 イ ン タ ビュー ・デー タ に な い が 、 シミ ュ レー ション ・デー タ に お い て 新 た に見ら れ た 、コ ミ ュ ニ ケー ション の効率化を 図 る た め に 通 訳 者 が と る 言動 と し て 、冗語 お よび 視覚情 報だ け で 理 解 し得る発話文 の 訳 出 の省 略お よび会話 当 事 者 の代弁と い う 2 つ の 作 業 が あ る 。

中村・袖 岡(2004:152)は 、情 報の伝達に あ ま り 関係し な い不要 な 言葉を冗 語 と呼び、下記の 9 つ に分け て い る 。 さ ら に 、冗語 が 多く 含ま れ る と 、情 報 密 度 が低くな る と主張し 、省 略を推奨し て い る 。

a) 言 い よ ど み ( 「 え ー 」 「 あ の ー 」 「 ま 」 「Um」 「Aah」 )

b)時間 かせぎ の極端に丁 寧な 言葉使い(「 と い う 次 第 でござい ま す の で 」)

c)話し手と聞き手が 理 解 で き る 専 門用語

d)分か り き っ た主語 ( 「私」 「 あ な た 」 「 み な さ ん 」 )

e)同 じ 内 容の繰り返し ( 「cities and towns, aah, cities and towns」 ) f) 言 い直し ( 「 日 本 と アメリ カ の 、 日 米 の 」 )

g)詳細す ぎ る例示の羅列(「 日 本 の全国紙、こ れ に は 読売新聞、朝日 新聞、 毎日 新聞、 日経新聞、産 経新聞、東 京新聞、 と い う六つくら い 」 ) h)独り 言 の よ う に つぶやく余談

i)意味の な い 言葉( 「~と 言 い ま す か 」 「 何 と 言 っ た ら い い か~」 )

シミ ュ レー ション・デー タ に お い て も 中村・袖 岡(2004:152)の い う冗語 が 会話当 事 者 に よ る発話で 多用さ れ て い る 。 し か し 、相槌1 6(例(87) の ラ イ ン 11) 、 言 い よ ど み (例(88) の ラ イ ン 164) 、独り 言 (例(89) の ラ イ ン 195)

だ け で 構 成 さ れ る発話文 の う ち 、訳 出 さ れ な か っ た の は計 349 件あ っ た 。ま た 、 通 訳 者 が 訳 出 し な か っ た発話文 は 上記の よ う なケー ス 以 外 に 、例(87) の ラ イ ン 7の よ う に 通 訳 者 に よ る 訳 出 が なくて も視覚情 報だ け で 会話当 事 者 が 理 解 し て し ま うケー ス も あ る 。 こ の よ う な冗語 お よび 視覚情 報だ け で 理 解 し得る発話 文 の 訳 出 の省 略は 、 会話当 事 者 間 の情 報の伝達に支障を き た さ ず 、 会話当 事 者 の主体性も阻 害し て い な い 。 さ ら に 、コ ミ ュ ニ ケー ション の流れ を加速させる 効果 が あ る と考え ら れ る 。

例(87) :

7 バイヤー し か も 、[ 咳 ]う ん と[ 咳 ]失礼。

8 バイヤー え ー 、 会社の 名前は ちょっ と長くて 、10 文字に な り ま す 。

9 B②

Vâng、trước hết là cái sản phẩm này thì chúng tôi cũng dự định sử dụng làm những cái quà tặng cho các khách hàng của chúng tôi( は い 、 ま ず は 、 こ の 商品は (相手を含ま な い 「我々」 )

16 堀口(1997:42)は「話し手が発話権を 行使し て い る 間 に 、聞き手が話し手 か ら送ら れ た情 報を共有 し た こ と を伝え る表現 」 と 定義し て い る 。

ドキュメント内 日越間ビジネス通訳における職業規範 (ページ 104-144)