ቑຍ ኚ䛺䛧
5.5 アンケートの考察
5.5.3 アンケート回答者の世帯における二酸化炭素の排出量・排出許 容枠把握後の改案の印象に関する考察
5.5.3 アンケート回答者の世帯における二酸化炭素の排出量・排出許
しながら、そのような人が不公平感を抱くのは、普段自身が日常的に体験できない厳 しい条件のもとで生活を送っている人に対する補助に対してであり、自身が日常的に 体験できる事柄に対する補助であれば、それを公平に思う傾向にあるということが推 測できる。よって、改案のFIT-PCAが公平な制度として制度対象者に支持されるため には、特に過少評価的不公平感の持ち主に焦点を当て、そのような人が普段経験でき ない体験を疑似体験できるような取り組みを考案すべきであると考えられる。
5.5.4 ペルソナ法を用いた説明による不公平感低減効果に関する考察
と今後の課題
改案のFIT-PCAに対して不公平感を感じている対象者に対し、ペルソナ法により作
成した説明を提示することによる不公平感の低減の効果は確認できなかった。この原 因は3つあると考えられる。
1つ目は、本アンケートの回答者に対する負荷の大きさが考えられる。これには、本 アンケートの回答時間の長さが関係していると考えられる。本アンケートにおける有 効回答者の回答時間の中央値は9分32秒であり、他のアンケートと比べてやや長いと 思われる。その原因は、本アンケートが、アンケート回答者にとって馴染みのない制 度を理解した上で質問に答えてもらうという形式をとっていたからであると考えられ る。そして、アンケート回答者の世帯における二酸化炭素の排出量・排出許容枠把握後
の改案のFIT-PCAに対して公平と答えた回答者と違い、不公平と答えた回答者には、
そこでアンケートが終了せずに、さらに不公平感を低減する説明を読んだ上で不公平 感が変化したかを確認する質問を課している。つまり、改案のFIT-PCAに対して不公 平に思った回答者ほど、負荷がかかる設計であったため、その負荷が不公平感を低減 する説明に対し心理的リアクタンス[45]を生起させた可能性が考えられる。
よって、ペルソナ法を用いた説明を提示することによる不公平感の低減の効果を適 切に把握するには、本アンケートにおいては、アンケート回答者の世帯における二酸化 炭素の排出量・排出許容枠を表示する前に、一旦アンケートを終了させ、後日改めて、
同じ回答者に世帯における二酸化炭素の排出量・排出許容枠を把握してもらい、改案
のFIT-PCAに対する印象は変わったのかどうか、そして、改案のFIT-PCAに対して
不公平に思った回答者に対して、ペルソナ法を用いた説明を提示するというアンケー ト設計が考えられる。もしくは、世帯における二酸化炭素の排出量・排出許容枠を把 握してもらい、改案のFIT-PCAに対する印象は変わったのかどうかを聞いて、一旦ア ンケートを終了し、後日、改案のFIT-PCAに対して不公平に思った回答者のみに対し
て、ペルソナ法を用いた説明を提示するというアンケート設計が考えられる。
いずれにしても、本アンケートのような回答時に理解を要するアンケートにおいて、
より精度の高い結果を出すためには、可能な限り回答者に負荷を与えない設計が今後 望まれるであろう。
2つ目は、ペルソナ作成時に用いた不公平に思いやすい属性と、改案のFIT-PCAに 対して不公平に思いやすい属性に多少の違いが生じたことが考えられる。4章で述べ たように、既存研究のインターネットアンケート調査で是正要求の多かった寒暖の差、
公共交通機関の発達の差、世帯人員数の差を不公平であると回答した人の属性を抽出 した。つまり、この属性はあくまで原案のFIT-PCAに対する不公平感の調査結果をも とにしたものであるということである。本研究では、原案のFIT-PCAに対する不公平 感を低減するために改案のFIT-PCAを考案した。よって、原案のFIT-PCAに対して 不公平感を持っていた属性の人は、改案のFIT-PCAによって、その不公平感は低減さ れている可能性が考えられる。
以上から、ペルソナ作成時に用いた不公平に思いやすい属性は、厳密には、改案の
FIT-PCAに対する不公平感を調査した上で作成したものではなく、それに伴って作成
したペルソナの特性や不公平感のタイプ、インタビュー内容も適当なものではなかった ために、ペルソナ法により作成した説明の効果が現れなかったかもしれない。
今後、改案のFIT-PCAを導入するのであれば、改案への不公平感を抽出し、それを 踏まえたペルソナを作成した上で、ペルソナ法により作成した説明を考案し、提示す べきであると考えられる。
3つ目は、不公平感を感じた理由が同一のものにもかからわず、その理由を感じた 背景が、それぞれの人で異なっていたことが考えられる。
まず、本アンケートの結果を受け、ペルソナ法により作成した説明を提示する前に
改案のFIT-PCAを不公平であると答えた回答者には、次の2つのタイプがいるのでは
ないかと考えられる。
• 改案のFIT-PCAに内包している「必要性」を十分に理解できず、不公平であると
回答した人
• 改案のFIT-PCAに内包している「必要性」を十分に理解したものの、それが自
身の持つ「公平性」とずれているために不公平であると回答した人
本研究では、不公平感を低減するために、主に、改案のFIT-PCAの指針である必要 性を軸にして説明内容を考案した。しかしながら、上記の後者のタイプのような人に
そのような説明を提示しても効果がないと思われる。
特に過少評価的不公平感の持ち主のような必要性による分配を不公平と感じている 人に対し、改めて必要性を訴えかけても、結局のところ不公平感は変わらない可能性 が高い。むしろ、訴えかけた分、不公平感は強まるだけであると推測できる。過少評 価的不公平感の持ち主が持つ公平性は、その特徴から「衡平性」であると想定できる。
以上の考えから、不公平感を低減するための説明方法としては、この2つのタイプ を想定し、1つの不公平の理由それぞれに対し、2つの説明方法を試みるべきであった と考えられる。つまり、前者には必要性に重きを置き、理解が促進される説明を、後 者には制度の理解を促すのではなく、必要性以外の公平性である衡平性や平等性に重 きを置いた説明が考えられる。
そして、本アンケート設計においても、二酸化炭素の排出量・排出許容枠把握後に 問うた「改案のイメージ」に対して、ペルソナ法により作成した説明を提示する前に 不公平であると答えた回答者のタイプは前者か後者のどちらであるのかを分類できる ような質問を加えるべきであったことが考えられる。その質問を通じて、必要性に重 きを置いた説明か、必要性以外の公平性である衡平性や平等性に重きを置いた説明か のどちらかを提示すべきであったと考えられる。本研究におけるペルソナ法により作 成した説明は、ある1つの不公平に感じた理由に対し、ペルソナ法を使用したものの、
必要性以外の公平性である衡平性や平等性に重きを置いた説明かのどちらか1つを提 示しただけであった。つまり、公平性として必要性を持つ人に対し、衡平性や平等性 に重きを置いた説明を、公平性として衡平性や平等性を持つ人に対し、必要性に重き を置き、理解が促進される説明をしてしまった可能性がある。
以上のことから、不公平感を低減するためには、同じ不公平感の理由を持っている 人に対しても、制度の理解や公平性の違いなど、なぜその理由を思ったのかを事前に 調査し、1つの説明ではなく、複数の説明方法を考案すべきであると考えられる。
また、ペルソナ法により作成した説明とペルソナ法を使用していない一般的な説明 とでは、不公平感の低減率には差がなかったが、ガソリン・軽油の追加枠に対する不 公平に思う理由の1つである「対象者に追加される排出枠の量がすくないから」に対 応したペルソナ法による説明によって、4人中3人の人が不公平感が低減したとしてい る。この説明は4章で触れたように、本研究で作成したペルソナである松本恵子と小 林亮の2人の不公平感が低減するよう「パークアンドライド」という具体的な二酸化 炭素排出削減行動を薦める内容となっている。さらに、パークアンドライドは自分だ けでなく他者にとっても利益になる施策である。ゆえに、この説明によって不公平感