れは一つの星を見た。かれは言った。「これがわたしの主です。」だが星が沈む と、かれは言った。「わたしは沈むものを好みません。」76 次いでかれは月が 昇るのを見て、言った。「これがわたしの主です。」だがそれが沈むと、かれは
第3回タフスィール研究会報告第6章家畜章 54 節~ 79 節
言った。「わたしの主がわたしを導かれなかったら、わたしはきっと迷った民 の仲間になったでしょう。」77 次いでかれは太陽が昇るのを見て、言った。「こ れがわたしの主です。これは偉大です。」だがそれが沈むと、かれは言った。「わ たしの人びとよ、わたしはあなたがたが、崇拝する者と絶縁します。78 わた しは天と地を創られた方にわたしの顔を向けて、純正に信仰します。わたしは 多神教徒の仲間ではない。」79
生活とイスラーム法解釈、あるいは法規範
1. 唯一信仰の確定をめぐるイブラーヒームの見解と論争、言葉が不要なほど 明解さと、その証拠。
2. イブラーヒームの4つの見解と彼の優れた論争能力と実行力 2-1.父への見解表明
1)マリヤム章 19 章 42 節
「かれが父にこう言った時を思え。「父よ、あなたは何故聞きも、見もしないで、
また僅かの益をも与えないもの(木石の偶像)を崇拝なさるのか。」
2)家畜の章 6 章 73 節
「イブラーヒームがその父アーザルに、こう言った時を思え。」
2-2. 彼の一族への見解表明:
家畜の章 6 章 75 節「夜(の暗闇)がかれを覆う時、」
2-3. 王への見解表明:
牝牛章 2 章 258 節
「アッラーがかれに王権を授けられたことから、(高慢になって)主に就いてイ ブラーヒームと論議した者を、あなたは知らなかったのか。イブラーヒームが、
「わたしの主は、生を授けまた死を賜う方だ。」と言った時、かれは「わたしも、
生を授けまた死を与える。」と言った。イブラーヒームは言った。「アッラーは、
太陽を東から昇らせられる。それであなたは、それを西から昇らせなさい。」
そこでかの不信者は当惑してしまった。アッラーは不義を行う民を御導きにな られない。」
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2-4. 不信仰者への実力行使による見解表明:
21 章 58 節
「こうしてかれは、必ずかれらがそこに返って来るであろうと(思って)、唯一 体の巨像を除きそれらを叩き壊した。」
3. イブラーヒームが否定した崇拝物:星、月、太陽:これらは現れ、消える。
創造主は隠れもしないし、隠されることもない。
4. 信仰は心、本能、伝心、アッラーの導き、理性、感性によって不動である。
5. 家畜の章 6 章 77 節「わたしの主がわたしを導かれなかったら、」は仮定で、
イブラーヒームにはアッラーの導きはあった。導きの確証は、開端の章 1 章 6 節「真っ直ぐな道へ私たちを導き給え。」から明らかである。
6. イブラーヒームは「顔を向けた」、実際に、星、月、太陽が神でないことを人々 に伝えた。
7. ファハルッディーン・ラーズィーの見解:この世界において、能力、英知、
叡智において創造主アッラーに同位の存在はいない。しかしながら、他のもの を神にしている例は多い。星辰崇拝、創造主否定、キリスト教徒がイーサ(イ エス)を神としていること、偶像崇拝など。
8. 宗教の歴史:偶像崇拝が最古であるのは、私たちが知ることのできる最古 の預言者ヌーフ(ノア)が偶像を否定したことでも知ることができる。
ヌーフ章 71 章 23 節
「かれらは言います。『あなたがたの神々を捨てるな。ワッドもスフーウも、ま たャグースもヤウークもナスルも、捨ててはならない。』」
9. ラーズィーのアッラーのイメージ:1)身体をもたない、2)性質はない、
変化するものだから。3)伝承ではなく、明証によって証明される、4)預言者 たちが伝えたアッラーについての知識は本能によって知りえる。5)アッラー は被創造物から知ることができる。