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われはかれ(イブラーヒーム)に(子)イスハークと(孫)ヤアコー ブを授けて、それぞれ導いた。先にヌーフも導いた。またかれの子孫の中には、

第4回タフスィール研究会報告第6章家畜章 80 節~ 103 節

明であり創造において全知であられ、お望みの者を導かれ、お望みの者を迷わ される。それは次の言葉にある通りである。

「本当に(罪が深いために)主の御言葉通りになった者は、信仰しないであろう。

例え凡て印がかれらに齎されても、かれらが(自分で)痛ましい懲罰を見るま では。」(10 章ユーヌス章 96 ~ 97 節))

生活上の教え:

 至高のアッラーはイブラーヒームに対して、民が理解できるようにすべての 理性的論拠を教えられた。また、民たちの疑いと主張を導きによって消し去っ た。これについて、至高のアッラーの言葉、「これはわれがイブラーヒームに 授け、その民を説得するために述べた確証であった。」(83 節)

 民たちは偶像を恐れていたが、彼は民たちに、断じて恐れることはないと説 得し続けた。何故なら、恐れは有益と有害を自在に操るものに対して起こるも のであり、彼らの偶像は益することも害をなすことも出来ないからである。

 預言者たちの義務はタウヒード(唯一神信仰)の確立と多神教の廃棄であり、

偶像は想像と迷信から派生したものである。

 論争と論拠は真の宗教を確立するためであり、無益な宗教の存立は否定され る。

2.[ 預言者たちの父イブラーヒーム、預言者たちの教えと導き方 の特徴 84 節~ 90 節 ]

本文 84.われはかれ(イブラーヒーム)に(子)イスハークと(孫)ヤアコー

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の中、われはかれら(のある者)を選んで正しい道に導いた。88.これはアッ ラーの導きであり、かれはそのしもベの中から、御好みになられる者を導かれ る。もしかれらが(神々をかれと)並べたならば、凡ての行いは、かれらにとっ て、虚しいものとなろう。89.これらの者はわれが、啓典と識見と預言の天 分を授けた者である。それでもしかれらがこれを信じないならば、われはこれ らを拒否しない(別の)者にこれを委ねるであろう。90.これらの者は、アッラー が導かれた者であるから、かれらの導きに従いなさい。言ってやるがいい。「わ たしはこのために、どんな報酬もあなたがたに求めない。これは只諸民族に対 して(アッラーの真意を)思い起させるだけである。」

語の説明:

84 節 - [ ヤアコーブ(ヤコブ)]:イスハーク(イサク)の息子

[ かれの子孫の中には ]:かれとはヌーフを指す。イブラーヒームではない。ルー トはイブラーヒームの甥であり、イブラーヒームの子孫にはならない

[ スライマーン(ソロモン)]:ダーウード(ダビデ)の息子 [ ユースフ(ヨセフ)]:ヤアクーブの息子

[ ハールーン(アロン)]:出エジプト記にある指導者

85 節 - [ ヤフヤー(ヨハネ)]:ザカリーヤー(ザカリア)の息子 [ イーサー(イエス)]:マリヤム(マリア)の息子

[ イルヤース(エリア)]:ハールーン(アロン)の兄弟の息子

86 節 - [ イスマ - イール(イシュマエル)]: イブラーヒーム(アブラハム)

の長男 [ アル・ヤサウ(エリシャ)]: ユダヤ第2王国の時代の預言者 [ ルート(ロト)]: イブラーヒーム(アブラハム)の甥

(訳者注)預言者がミーラージ(昇天)時に七天で会った預言者たち:「そのし もべを、(マッカの)聖なるマスジドから、われが周囲を祝福した至遠の(エ ルサレムの)マスジドに、夜間、旅をさせた。わが種々の印をかれ(ムハンマ ド)に示すためである。」(17 章夜の旅章 1 節)

第一天 : アーダム

第二天 : イーサー、ヤヒヤー

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第三天 : ユースフ 第四天 : イドリース 第五天 : ハールーン 第六天 : ムーサー 第七天 : イブラーヒーム

要点:

 至高のアッラーがイブラーヒームについて語った後、アッラーはタウヒード

(唯一神信仰)の確証として彼に数々の恩恵を与えられた。アッラーの言葉、

一つめは、「これはわれがイブラーヒームに授け、その民を説得するために述 べた確証であった。」、二つめは、「われは嘉する者の(英知や徳性の)階位を 高める。」、三つめは、「われはかれに授けた」である。即ち、アッラーは彼に 現世における名声を与えられた。何故なら、アッラーは預言者や使徒たちの子 孫に名誉を与えられたからである。この栄誉は復活の日迄、預言者たちの子孫 に与えられた。

解説:

 アッラーは彼の預言者イブラーヒームに栄誉を与えられ、イスハークを贈ら れた。イブラーヒームは子供の出来にくい体のため、彼も妻サーラも子供をあ きらめていた。そこへ天使が彼の元に来て吉報を伝えた。彼ら(天使)はルー トの民に遣わされた者たちだった。妻は驚いた。「ああ、情ない、わたしは老 婦人であり、この夫も老人なのに(子が)産めましょうか。本当にこれは不思 議なことです。」かれら天使は言った。「おお、この家の人びとよ、あなたがたは、

アッラーの命令に驚くのか。アッラーの慈悲と祝福があなたがたの上にあるよ うに。本当にかれは讃美すべき方、栄光に満ちた方であられる。」(11 章 フー ド章 72 ~ 73 節)また彼ら二人が子供を作るのには高齢に達していたが、預言 者の天分があると吉報を伝えた。 至高のアッラーは言われた。「またわれは 正しい人物、預言者イスハークの(誕生の)吉報をかれに伝えた。」(37 章 整 列者章 112 節)これは吉報の成就であり、大きな恩恵であった。至高のアッラー

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は言われた。「イスハークの後、ヤアコーブの(産れる)吉報を伝えた。」(11 章 フード章 71 節)

 このイブラーヒームへの報奨は、彼が民たちの中で孤立したため、彼らから 離れアッラーの信仰を行える地に移住したことによるもので、それで至高至大 なるアッラーは彼の民の代わりに宗教に堅固な子供を与えられた。これについ てのアッラーの言葉。「それでかれ(イブラーヒーム)が、かれらとアッラー 以外にかれらが仕えるものから離れ去った時、われはかれにイスハークとヤア コーブを授けた。そしてわれはかれらをそれぞれ預言者にした。」(19 章 マ リヤム章 49 節)、また「われはかれ(イブラーヒーム)に(子)イスハークと(孫)

ヤアコーブを授けて、それぞれ導いた。(6 章 家畜章 84 節)」。即ち、アッラー は彼にイスハークとヤアコーブを与え二人を預言者とされた。そしてイブラー ヒームに預言者の天分を与えたのと同じく彼らに叡智と論証する聡明さなどを 与えた。また、イスマールではなくイスハークについて述べたのは、信仰と善 行、そして完全な帰依と誠実さへの報奨として高齢になった彼と彼の妻サーラ の不妊に対し至高なるアッラーの賦与の印を与えられたためである。また他の 理由として、イスハークやヤアコーブを祖先とするイスラエル族の預言者たち を述べる目的でもあった。それに対しイスマーイールはムハンマド(アッラー の祝福と平安が彼の上にありますように)を除き預言者として堅固ではなかっ た。

 アッラーはヌーフの子孫であるイブラーヒームに伝えた。「かれらは、一系 の子々孫々である。」(3 章 イムラーン家章 34 節)

 ヌーフはイブラーヒームの叔父で、祖先たちの名誉であり、また預言者たち の栄誉である。なぜなら啓典と預言者性を与えられたからである。アッラーの 言葉。「われは、以前、ヌーフとイブラーヒームを遣わした。またわれは両者 の子孫に預言の天分と啓典を授けた。それでかれらの或る者は導かれた。」(57 章 鉄章 26 節)

 アッラーはイブラーヒームの子孫に預言者の天分と叡智を授けた。ザカリー ヤー、ヤヒヤー、イーサー(イエス)、イリヤース、イスマーイールは、言葉

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と行いにおいて誠実な者たちであった。

 また、アッラーがイスマーイールの子孫に選ばれた者(アッラーの祝福と平 安が彼の上にありますように)をみることが出来る。アル・ヤスア、ユーヌス、

ルートらには世界で他のものよりも恩恵を与えた。

 しかし、ルートについてはイブラ-ヒームの子孫ではない。ルートはアーザ ルの息子ハールーンの兄弟の子であった。至高のアッラーは言われた。「ヤア コーブが臨終の時、あなたがたは立ち会ったか。かれがその子孫に向かって、『わ たしが亡き後、あなたがたは何に仕えるのか。』と言うと、かれらは、『わたし たちはあなたの神、イブラーヒーム、イスマーイール、イスハークの神、唯一 の神(アッラー)に仕えます。かれに、わたしたちは服従、帰依します。』と言っ た。」(2 章 雌牛章 133 節)また、「それで天使たちは、イブリースを除き一斉 にサジダした。」(15 章 部屋章 30 節 及び 38 章 サード章 73 節)

 イーサー(イエス)はイブラーヒームの子孫で母はマルヤム(マリア)で父 はいなかった。これに似て、父親が亡くなった後に宗教的リーダーになったの が預言者の子孫ハサンとフセインである。両者の母はファーティマであった。

これについてハディース(ブハーリーの真正集)によると、神の使徒が説教中 にアル・ハサン・ビン・アリーがやって来た時、彼は「この子は長となり、恐 らくアッラーは彼によってムスリムの両派を和解させ給うであろう」と言われ た。

預言者たちの特徴は次の3つのカテゴリーに分けられる。

1.ダーウードと、スライマーン、アイユーブ、ユースフ、ムーサー、ハールーン:

(権力を持った預言者たち)彼らは全員、預言者の天分と使命を持ち、王や首長、

知事などになった。ダーウードとスレイマーンは王であった。アイユーブは王 子であった。ユースフは大臣と知事であった。ムーサーとハールーンは知事で あったが王ではなかった。クルアーンの中では宗教の導き手として階梯をあげ られた。彼らを功績順にすると、ムーサーとハールーン、次にアイユーブとユー セフ、次にダーウードとスレイマーンである。アッラーの言葉。「われはこの ように善い行いをする者に報いる。」(6 章 家畜章 84 節)

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