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かれらが「アッラーは人間に何も(啓示を)下されていない。」と言 うのは、アッラーを尊崇すべきように、尊崇していないからである。言ってや

るがいい。「ムーサーが齎した、人間にたいする光明と導きの啓典を、下した

第4回タフスィール研究会報告第6章家畜章 80 節~ 103 節

のは誰か。あなたがたはそれを紙に書いて、それ(のあるもの)を示すが、多 くを隠すではないか。あなたがたもあなたがたの祖先たちも知らなかったこと を、教えられたではないか。」言ってやるがいい。「アッラーであられる。」だ から放って置け、かれらには空論で遊戯に耽らせておきなさい。92.これは われが下した祝福された啓典で、以前に下したものを確証し、また諸都市の母

(マッカ)とその周辺に、あなたが警告するためである。来世を信じる者は、

かれらの礼拝を守りそれを信仰するであろう。

語の説明:

91 節 - [ 彼らは ]:ユダヤ教徒は。

92 節 - [ 諸都市の母(ウンム・ル・クラー)]:マッカの別名。(注:ムスリムはマッ カと単独では言わずマッカ・ムカッラマ「祝福されたマッカ」と言う。)

啓示理由:

91 節:ユダヤ教徒のマーリク・ビン・アッサイフが来て預言者と議論をした。

預言者が彼に「ムーサーに啓示されたトーラーを朗誦しよう。トーラーの中で、

アッラーは太ったラビ(ユダヤ教の宗教学者)を嫌われるというのがあります か。」と言われた。その頃のラビは太っていたので彼は怒って「アッラーは人 間に何も啓示されていない。」 と言ったので、この啓示が下された。

 イブン・アッバースは次のように伝えている。ユダヤ教徒が、ムハンマドよ、

アッラーがあなたに啓典を下されたのか。」と言ったので、預言者は「そうで す。」と答えられた。それで、「言ってやるがいい。『ムーサーが齎した、人間 にたいする光明と導きの啓典を、下したのは誰か。』」の啓示が下された。

解説:アッラーの使徒に反対し啓示を否定したのはクライシュ族、または啓示 理由で述べたユダヤ教徒の一団であった。

 イブン・アッバースは次のように述べている。最初(クライシュ族の者に啓 示が下りたこと)はマッカでは容認されていた。また、ユダヤ教徒は天から啓 示が下ることを否定していなかった。クライシュ族とアラブの指導者たちはム ハンマドが普通の人間だったため預言者として遣わされたことを否定してい

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た。これについてアッラーの言葉。「われがかれら(マッカ人)の中の1人(預 言者ムハンマド)に啓示して、「あなたは人びとに(不信心の結末を)警告し なさい。」(10 章 ユーヌス章 2 節)、また至高至大のアッラーの言葉。「導きが かれらに下された時、人びとの信心を妨げたのは、かれらが、『アッラーは(わ たしたちと同じ)一人の人間を、使徒として遣わされたのか。』と言った(こ と)に外ならない。言ってやるがいい。『もし地上を悠々と往き来しているの が天使なら、われはきっと一天使を使徒として、天からかれらを遣わしたこと であろう。』」 (17 章 夜の旅章 94-95 節)。そして本節でのアッラーの言葉。「か れらが『アッラーは人間に何も(啓示を)下されていない。』と言うのは、アッ ラーを尊崇すべきように、尊崇していないからである。(89 節)」

 実際、本当にアッラーを知った者はアッラーがあらゆることにおいて、すな わち世界のすべてにおいて力があること知るであろう。アッラーの慈悲はあら ゆるところに広げられていることや人間には天啓の書が必要不可欠であること など。また、かつて人類は無秩序であり不安や心配の渦巻く世界にいたが、預 言者たちの教えは倫理的社会の改善の道など社会に秩序をもたらすものであっ た。これに対し、預言者たちの教えを否定する者たちは、真のアッラーの知識 や真の力について知ることがない。これについてのアッラーの言葉。あなたが たに『もしわたしたちに啓典が下されたならば、きっとかれらよりもよく導き に従ったであろうに。』」(6 章 家畜章 157 節)

まとめ:

 「あなたがたもあなたがたの祖先たちも知らなかったことを、教えられたで はないか。」という説教はアラブの多神教徒に対するものである。即ち、アッラー は以前に知らせたことを、クルアーンを通じて教えられたのである。  

 また、ザム・ハシャリー及び他の者がこう述べている。「教えられたではな いか。」という言葉はユダヤ教徒への説教であり、トーラーで知らされていた ことをムハンマドの言葉で教えたのである。それについてのアッラーの言葉。

「本当にこのクルアーンは、イスラエルの子孫に、かれらが議論している最も

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大きな問題について語るものである。」(27 章 蟻章 76 節)、さらにザム・ハシャ リーはこの説教はクライシュ族の中で信じている者に対してであると付け加 えた。これにつての至高のアッラーの言葉。「祖先がいまだ警告を受けず、そ れで気付かないでいる民に、あなたが警告するためのものである。」(36 章ヤー・

スィーン章 6 節)

 「啓典」とあるクルアーンの重要性についてであるが、以前にムーサー下さ れたトーラーと同じく真理の道へ導くものであり、すでに下された啓典の書 を支えるものである。アッラーに服従する者に対する天国の吉報、報奨や許 しを知らせるものである。またアッラーに反抗する者に対しては地獄での懲 罰を警告するものである。またマッカの人々やその他の人々、すなわちアー ダムの子孫であるアラブ人や非アラブ人の集団に警告するものである。これ についてのアッラーの言葉。「言ってやるがいい。「人びとよ、わたしはアッラー の使徒として、あなたがた凡てに遣わされた者である。」(7 章 高壁章 158 節)、

「わたしがあなたがたそして届く限りの者に、それによって警告するためであ る。」(6 章 家畜章 19 節)、「だがそれを信じない一派の者たちは、火獄がかれ らの約束された場所である。」(11 章 フード章 17 節)、 「万民への警告者とする ために、かれのしもベに識別を下された方に祝福あれ。」(25 章 識別章 1 節) 、

「また啓典を授っている人びとと啓典を授っていない者たち(アラブの多神教 徒)に言いなさい。「あなたがたは服従、帰依したのか。」もし服従、帰依す れば、たしかに正しく導かれ、仮令かれらが背き去るにしても、あなたの務 めは、只(啓示を)かれらに伝えるだけである。本当にアッラーはしもべた ちを(漏れなく)御存知であられる。」(3 章 イムラーン家章 20 節) ハディー スによると、アッラーの使徒はこう言われたという。「私は私の以前の預言者 たちの誰にも与えられなかった五つのものを与えられた。」そのうちの一つを 述べられた。「他の預言者は自分の民に特別に遣わされたが、私は人類凡てに 対して遣わされた。」(ブハーリー)

生活上での教え:

1.アッラーを賛美することは義務である。人類への慈悲と生活の改善のた

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めに預言者たちに啓典が下されたことを受け入れることが必要。  

2.アッラーの命令や教えられたことを世界に明らかにすることは、義務であ る。  

3.アッラーの言葉。「アッラーは人間に何も(啓示を)下されていない。」と 言うのはムーサー(彼に平安あれ)の警告したこと同様クライシュ族の不信の 徒に対するものである。  

4.クライシュ族やユダヤ教徒、多神的なキリスト教徒はムハンマド(彼に祝 福と平安あれ)の預言者の天分を否定する。

5.クルアーンは祝福に満ちた贈り物であり、また天上にある書を確証するも ので、原本は真正なものである。

6.クルアーンの節は派遣された預言者が対象とした人々だけではなく、すべ ての人類や集団、民族に対するもので人種を分け隔てたり、特定の時代や時、

場所に限定されない。

7.審判の信仰は宗教の根本であり、それを信じる者はクルアーンを信じる者 である。礼拝は宗教の柱であり、礼拝を捧げる者は宗教のすべてを実践するこ とであり、礼拝をなおざりにする者は宗教のすべてをなおざりにすることであ る。

4.[ アッラーに対する虚偽の捏造とアッラーの懲罰 93 節~ 94 節 ]

本文 93.アッラーについて、虚偽を作り上げる以上に、不義を行う者があろ

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