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ねじ底の相当応力分布

第 5 章 平均応力が油井管特殊ねじ継手の疲労強度に及ぼす影響

5.5 有限要素法解析によるピンねじ底の応力状態の評価

5.5.2 ねじ底の相当応力分布

本節ではまず,ピンとボックスのねじ底における応力分布を把握するため,ピンとボッ クスのねじ底を対象に,繰返し曲げ時の相当応力を評価した.相当応力を適用したのは,

ねじ底が三軸応力状態となる可能性があることから,それらの影響を考慮するのに妥当で あると考えたためである[10].ただし,相当応力は圧縮負荷時でも引張負荷時と同様に符号 がプラスになってしまうため,軸方向応力の符号を付与し応力振幅と平均応力を算出した.

また,評価の便宜上,油井管ねじ継手のピンねじ底にトルクショルダ側から数えて番号を 付与した.0 deg 断面における相当応力分布を図5-14および図5-15に示す.図5-14が引張平 均応力を負荷しない場合,図5-15が引張平均応力を負荷した場合を示している.相当応力が 最大になる箇所はいずれも荷重面側のねじ底曲面上であり,いずれの場合も応力振幅はピ ン不完全ねじ底で,平均応力はボックスの危険断面近傍のねじ底で増加する傾向が得られ た.これは,実体試験結果における貫通き裂の発生するねじ底と定性的に整合していた.

図5-14 各ねじ底の相当応力の分布(引張平均応力を負荷しない場合)

Stress amplitude, Δσa[MPa]

Plastic strain amplitude, Δεp

0.004 0.008 0.012

200 400 600

0

Experimental results Theoretical curve

132

図5-15 各ねじ底の相当応力の分布(引張平均応力を負荷した場合)

ここでは,疲労に最も弱くなるねじ底を特定するため,ピンとボックスのねじ底の相当 応力を用いて修正Goodman線図による疲労性能評価を実施した.その結果を図5-16,図5-17 に示す.図5-16が引張平均応力を負荷しない場合,図5-17が引張平均応力を負荷した場合を 示している.いずれの場合も,ピンねじ底のうち,特に16~18番の不完全ねじ底の発生応 力が,限度線を越えてプロットされていることが確認された.

図5-16 修正Goodman線図に基づくねじ底の疲労性能評価

(引張平均応力を負荷しなかった場合)

-2000 0 200 400 600 800

200 400 600

PIN BOX

Stress amplitude,σa[MPa]

Mean stress, σm[MPa]

σB σw

16th~18th

133

図5-17 修正Goodman線図に基づくねじ底の疲労性能評価

(引張平均応力を負荷した場合)

さらに,疲労破壊に対して弱くなる箇所を詳細に特定するため,図5-18に示す危険率Df の考え方を導入した.この危険率は,図のとおり耐久限度線とねじ底のプロット点との距 離に関連しており,原点からプロット点までの距離k,および原点から耐久限度線までの距 離lを用いて下記式(2)で算出される.なお,この危険率が1を上回った際は,耐久限度線を越 えていることになる.

2

図5-18 危険率Dfの考え方

-2000 0 200 400 600 800

200 400 600

PIN BOX

Stress amplitude, σa[MPa]

Mean stress, σm[MPa]

σB σw

16th~18th

Stress amplitude, σa

Mean stress, σm

σB σw

k l

134

図5-19に不完全雄ねじ底の危険率の比較を示す.この図より平均応力を考慮した場合の疲 労破壊の発生やすいねじ底はピンの先端から数えて16~18番目となることがわかったため,

当該ねじ底の応力状態を以下に詳細に評価することとした.

図5-19 ピン不完全ねじ底の危険率の比較