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在することを意味する.

2

に,選抜のステージにも確率的なプロセスを置く.数理モデル上,個人 は自らの能力によって主観的合格率を計算する.選抜のプロセスにおいては完 全に能力の高い者から選抜されるため,個人は進学を決定した時点で合否は決 まっている.シミュレーションでは,そこに誤差を含め,選抜においては個々 の能力を期待値とする乱数をそれぞれ発生させ,その値の大きさによって合否 を決定する.入学試験に際して「山が当たった」「調子が悪かった」などの攪乱 要因ととらえればよい.

以上のプロセスを

3

つの教育段階で再現する.意思決定

選抜

意思決定を 繰り返し,個人に配分される最終的な教育達成に対する階層の影響力,そして その影響力の教育制度による変化を分析する.

5.2 使用するパラメータ一覧 要素 ノーテーション・分布・値 説明 決定方

備考

完全局外パラメータ

N

𝑁𝑁𝑆𝑆= 400 𝑁𝑁𝑊𝑊= 700 𝑁𝑁𝑈𝑈= 900

各階級の人数 仮定

分析はすべてオッズ比を 用いるため,値の変化の影 響を受けない

個人パラメータ

𝑥𝑥𝑖𝑖

𝑋𝑋𝑆𝑆~𝑁𝑁(50,10) 𝑋𝑋𝑊𝑊~𝑁𝑁(50,10) 𝑋𝑋𝑈𝑈~𝑁𝑁(50,10)

各階級の学力 仮定 階級ごとに学力差がない ことを仮定している.

𝑟𝑟𝑖𝑖

𝑅𝑅𝑆𝑆~𝐿𝐿𝑁𝑁(−.5,1) (𝑅𝑅𝑊𝑊1)~𝐿𝐿𝑁𝑁(−.5,1) (𝑅𝑅𝑈𝑈2)~𝐿𝐿𝑁𝑁(−.5,1)

各階級のリソー

仮定

制度パラメータ

P1= (.057, .050, .067, .062) 中学校段階(国私

立中学校)の定員 外挿

変数化

SSM19852005より,世代 4区分ごとの進学率を外挿 6章では変数として値を操 作する.

P21= (.0633, .112, .156, .206)

P22= (.378, .442, .509, .457) 高校段階の定員

P31= (. 0371, .0442, .0571, .0338) P32= (.0923, .156, .2005, .187)

高等教育段階の 定員

𝛥𝛥𝑥𝑥𝑖𝑖1 𝛥𝛥𝑥𝑥𝑖𝑖2

𝛥𝛥𝑋𝑋1~𝑁𝑁(𝜃𝜃1,𝜎𝜎1) 𝛥𝛥𝑋𝑋2~𝑁𝑁(𝜃𝜃2,𝜎𝜎2)

各中出身者の学

力分布の変動 外挿

SSM1985,2005より,中学 校と高校のクロス表から 計算

𝛥𝛥𝑥𝑥𝑖𝑖21

𝛥𝛥𝑥𝑥𝑖𝑖22 𝛥𝛥𝑥𝑥𝑖𝑖23

𝛥𝛥𝑋𝑋21~𝑁𝑁(𝜓𝜓1,𝜙𝜙1) 𝛥𝛥𝑋𝑋22~𝑁𝑁(𝜓𝜓2,𝜙𝜙2) 𝛥𝛥𝑋𝑋23~𝑁𝑁(𝜓𝜓3,𝜙𝜙3)

各高校出身者の

学力分布の変動 外挿

SSM1985,2005より,高校 と高等教育のクロス表か ら計算

c

c1= exp(0.45) c2= exp(0.39) c3= exp (0.5)

各学校段階にか かるコスト

仮定

外挿

高校段階のみUクラスの 進学率より計算

e e = 0.002 国私立中学校の

参入障壁 仮定

BGMパラメータ 𝛢𝛢=𝛼𝛼11 𝛼𝛼12 𝛼𝛼13

𝛼𝛼21 𝛼𝛼22 𝛼𝛼23

𝛼𝛼31 𝛼𝛼32 𝛼𝛼33

教育達成から得 られる到達階級 の確率分布

推定・

仮定

Β,Γは仮定しΑのみ反復シ ミュレーションと計量分 析の結果より推定 𝛣𝛣=𝛽𝛽11 𝛽𝛽12 𝛽𝛽13

𝛽𝛽21 𝛽𝛽22 𝛽𝛽23

𝛽𝛽31 𝛽𝛽32 𝛽𝛽33

=. 2 . 35 . 45 . 35 . 35 . 30 . 35 . 50 . 15 𝜸𝜸= [γ1,γ2,γ3] = [. 3, .43, .27]

114

いに注目している.

4

節では,現実のデータとシミュレーションによるデータ を突き合わせるため,教育機会の規模を妥当な値に設定しなければならない.

教育機会の規模は世代によりおおきなばらつきがあるため,どの値を採用して も結果にゆがみが出る可能性を捨象できない.よって

4

節では,各学校段階の 規模を

4

通り設定し,それらを用いた

4

回の試行によって得られたデータを合 併し,最終的な分析対象とする.以後この

4

回の試行を

1

セットと表現する.

具体的には,3・4章で用いた

SSM1985,2005

データより,各学校段階におけ るコーホート

4

区分ごとの進学パターンの度数分布を出力し,これらを世代ご との教育機会規模とする.6章以降では,このパラメータを変数として扱い,

教育機会の規模変動による階級と教育達成の関連の変化について検討する.各 学校段階のコストとトラッキングパラメータも

4

章までに示したデータから算 出することができる.詳しくは次節で述べる.

4

BGM

パラメータは,オリジナルの

BGM

を拡張した,質的な分化を考 慮した下での教育達成と地位達成の結びつきを示すパラメータである.本モデ ルにおいては

14

BGM

パラメータが存在する.4節ではこれらのパラメータ を変化させながら現実データを最もよく再現するパラメータの組み合わせを推 定していく.ただし

14

のパラメータすべてを推定するのは過剰な計算負荷をか けるため,本論では

𝐵𝐵, 𝜸𝜸

を固定して,

𝛢𝛢

内の

6

つを推定することにする.

5.3.2 BGM

パラメータの推定方法

本モデルの重要な要素である

BGM

パラメータは,14 の自由度を持つ.本論 では,

𝛣𝛣, 𝜸𝜸

をそれぞれ固定し,

Α

の値を現実データから推定する.推定方法は以 下のように行う.

まず,3つの

𝜶𝜶

𝑖𝑖の組を,0から

1

の範囲で,さらに合計が

1

を超えないような 制約のもとでランダムに発生させ,そのもとで

1

セットのシミュレーションを 行う.1セットのシミュレーションが終了したら,

𝜶𝜶

𝑖𝑖 の組合せを変化させ,再

5.3 3クラスによる潜在クラスモデルの結果の一部

115

5.3 コーホートごとの教育達成分布

中学校 高校 高等教育

国私立 公立 普通科A 普通科B 職業科 非進学 A大学 4年制大学 短大専門 非進学

C1 5.7 94.3 6.33 37.86 25.01 30.80 3.71 9.23 7.78 79.29

C2 5.0 95.0 11.27 44.19 35.44 9.10 4.42 15.68 17.85 62.05

C3 6.7 93.3 15.67 50.91 28.92 4.50 5.71 20.05 25.27 48.97

C4 6.2 93.8 20.63 45.75 28.38 5.25 3.38 18.75 31.00 46.88

C1:1935~50年生,C2:1951~60年生,C3:1961~70年生,C4:1971~85年生

びシミュレーションを行う.これらの操作を繰り返すことによって,さまざま な

𝜶𝜶

𝑖𝑖の値の下での仮想データが作成される.次に,シミュレーションによって 作成された仮想社会データのそれぞれに対して以下の多項ロジスティック回帰 分析を行う.

log � 𝑝𝑝

𝑚𝑚

𝑝𝑝

4

� = 𝛽𝛽

0(𝑚𝑚)

+ 𝛽𝛽

1𝑊𝑊(𝑚𝑚)

𝑋𝑋

𝑖𝑖𝑊𝑊

+ 𝛽𝛽

1𝑈𝑈(𝑚𝑚)

𝑋𝑋

𝑖𝑖𝑈𝑈 (5.6)

ここで

m

は高等教育の学校タイプ(4は非進学),

𝑋𝑋

𝑖𝑖𝑊𝑊

, 𝑋𝑋

𝑖𝑖𝑈𝑈は個人の出身階級が

W, U

であることを示すダミー変数である.

9

つ推定される係数のうち

6

つが出 身階層と教育達成の結びつきを示す対数オッズ比である.

本論では,4章にて,(総合化した)階層と高等教育の関係を示す対数オッズ 比を算出している.

4

章では,

2

カテゴリの潜在クラスを用いて,各教育段階の 質的な分化に対する階層効果を測定した.同様のモデルを,階層

3

クラス,中 学校

2

タイプ,高校

4

タイプ(含非進学),高等教育

4

タイプ(A大学,国私立 大学,専門短大,非進学)に設定して,高等教育に関する階層効果

(𝜇𝜇

𝑒𝑒𝑒𝑒𝐸𝐸𝐸𝐸

)

を推定 すると図

5.3

のような結果になる.

5.3

の値と式(5.6)を対応させると,

𝛽𝛽

1𝑊𝑊(1)

= 𝜇𝜇

1𝑊𝑊𝐸𝐸𝐸𝐸

, 𝛽𝛽

1𝑊𝑊(2)

= 𝜇𝜇

2𝑊𝑊𝐸𝐸𝐸𝐸

, 𝛽𝛽

1𝑊𝑊(3)

= 𝜇𝜇

3𝑊𝑊𝐸𝐸𝐸𝐸 (5.7)

𝛽𝛽

1𝑈𝑈(1)

= 𝜇𝜇

1𝑈𝑈𝐸𝐸𝐸𝐸

, 𝛽𝛽

1𝑈𝑈(2)

= 𝜇𝜇

2𝑈𝑈𝐸𝐸𝐸𝐸

, 𝛽𝛽

1𝑈𝑈(3)

= 𝜇𝜇

3𝑈𝑈𝐸𝐸𝐸𝐸

となる.確率的なプロセスを伴うシミュレーションは一般にはこの等式を満た さない.さらに,各

𝛽𝛽

の値はシミュレーションに用いるパラメータの値によって も変化する.本論ではシミュレーションの結果としての係数

𝛽𝛽

の組が最も

𝜇𝜇

の組 と近くなった

α

の組を最尤な値の組み合わせとして採用する.近似の評価方法は,

最小二乗法と同じロジックで,

𝜷𝜷 = �𝛽𝛽

1𝑊𝑊(1)

, 𝛽𝛽

1𝑊𝑊(2)

, 𝛽𝛽

1𝑊𝑊(3)

, 𝛽𝛽

1𝑈𝑈(1)

, 𝛽𝛽

1𝑈𝑈(2)

, 𝛽𝛽

1𝑈𝑈(3)

�, 𝝁𝝁 = [𝜇𝜇

1𝑊𝑊𝐸𝐸𝐸𝐸

, 𝜇𝜇

2𝑊𝑊𝐸𝐸𝐸𝐸

, 𝜇𝜇

3𝑊𝑊𝐸𝐸𝐸𝐸

, 𝜇𝜇

1𝑈𝑈𝐸𝐸𝐸𝐸

, 𝜇𝜇

2𝑈𝑈𝐸𝐸𝐸𝐸

, 𝜇𝜇

3𝑈𝑈𝐸𝐸𝐸𝐸

]

として

ℒ = (𝜷𝜷 − 𝝁𝝁)(𝜷𝜷 − 𝝁𝝁)

𝐭𝐭 (5.8)

116

を最小にする

𝛼𝛼

の組を採用する 3.ただし,確率的なシミュレーションの下では,

条件がすべて同じであっても異なる結果を出力する.確率的な変動を考慮し,

同一のパラメータの組み合わせで

5

セットのシミュレーションを行い,それぞ れで得られた係数の平均値を

𝜷𝜷

として用いる.